在日外国人支援事業担当の廣野です。
シェアの東京事務所は台東区東上野にあります。そして今、この上野界隈は赤ちゃんパンダの誕生でちょっとしたお祝いムードです。私と机を並べているスタッフの山本は上野駅でパンダのシールとクッキーを貰ったとのこと。幸せのおすそ分け、といったところでしょうか。今回は無事に育ってくれることを願っています。


外国人療養支援セミナーの概要

さて、facebookでも速報させていただいた通り、6月3日(土)に新宿区の早稲田奉仕園において、医療従事者向け外国人療養支援セミナー「知っていますか?医療通訳を活用するメリット−医師、病院の経験を通じて−」を行いました。このセミナーは、昨年10月にクラウドファンディングを実施した際、開催を約束していたものです。当日は医師、看護師、助産師、視能訓練士、薬剤師、臨床検査技師、そして、医療通訳の方などさまざまな職種から17名の参加がありました。

今回のセミナーではシェアから副代表の沢田、在日外国人事業担当の山本が外国人医療の概要や既存の通訳制度の成り立ち、医療通訳活用のテクニックなどについて話をしました。また、通訳ユーザー(医師、患者など)と通訳者双方を体験するロールプレイの機会も設けました。

医療者向けセミナー質疑応答

活発だった質疑応答。講師陣は右から沢田、河北総合病院講師、山本


地域病院での外国人対応への取り組み

そして、今回はゲストスピーカーを外部から招くことができました。社会医療法人河北医療財団河北総合病院経営統括部の広報担当者です。同院がある東京都杉並区は2013年にネパール人学校が開校したこともあり、現在ネパール人の集住地域になっています。それに伴って同院でも外国籍の患者が増加する中、この講師や医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)からシェアに医療通訳派遣依頼やケースの相談が寄せられるようになりました。また、母子保健事業の活動候補地を調査していた私達も、講師やMSWから地域の在日外国人の状況やニーズについて教えてもらうなど情報交換の機会が増えていきました。こうしたやりとりから、同院の外国人対応の経験をこのセミナーで参加者に伝えてもらいたいと考えたのです。

当日、講師からは、同院には外国人患者受け入れに対する戸惑いはあったものの、現状を分析して課題を明確にしたこと、目標をたてることで現状とのギャップを埋めるための具体的なアクションに繋げてきたことなど、これまでの対応の経緯の紹介がありました。具体的なアクションの第一歩として英語・ネパール語の受付票の作成、そして、医療通訳を活用したことなどがあげられました。通訳活用には、院内の理解や費用負担の問題などの難しさはあるようです。しかし、初めて訓練を受けた通訳を導入したことによって、それまで親族や知人が通訳をしていたことで家族が患者の状況を正確に理解していなかったことが把握できたなど、通訳導入が治療や療養支援の情報収集に欠かせないことが具体的に語られました。


信念を持った人を支えるシェアでありたい

今回講師のお話から医療機関が地域のニーズを把握し外国人対応の取り組みをしてきた経緯が、参加者の皆さんにもよく伝わったと思います。それと同時に、外国人対応の取り組みを「外国人患者の医療を支える上で必要なこと」として、こつこつと諦めずに前向きな姿勢で臨んできた講師やMSWの熱意に心を動かされた参加者は多かったのではないでしょうか。ゼロから何かを始めるには財源など大切なことがいろいろありますが、まずは信念を持った「人」がいるかどうかが物事を大きく左右すると改めて感じました。
同院や今回の講師のように、こうして地域で外国人対応に孤軍奮闘している病院や医療従事者はいると思います。シェアは情報発信をしながら、ニーズのある病院や医療従事者と繋がり、必要な情報や資源を提供できるようになりたいと考えます。今回のようなセミナーもそうした試みのひとつであり、外国人対応に意欲のある医療従事者が横のつながりを作って自身をエンパワーする一助になればうれしいです。

シェアは今年度後期にも医療従事者向けのセミナーを実施する予定です。次回のセミナーのご案内を楽しみにしていただければと思います。


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在日外国人支援事業担当
廣野 富美子