在日外国人支援事業部 外国人医療相談担当の廣野です。
今年の夏休みは、家族で東北を旅行しました。雨上がりは緑が一段と深みを増す平泉の中尊寺、かさ上げ工事で多くの車両が行き交う南三陸町など、地域のいろいろな表情に触れることができました。


丁寧な対応が求められる、妊娠・出産や子どもに関する相談
シェアでは、週3日(月、水、金)に外国人の医療に関わる相談を電話で受け付けています。全体からすると数はそれほど多いわけではありませんが、より丁寧な対応が求められると感じるのは妊娠、出産を含めた子どもに関する相談です。
寄せられる相談には、超過滞在の妊婦を受け入れてくれる医療機関はないか、児童相談所に保護されている児童に関する会議に言葉が通じないので通訳を派遣してもらえないかなど、さまざまなものがあります。

相談対応の際に心がけていること
このような子どもに関する相談に対応する際、注意を払うようしているのは、その子どもの身分の保障や証明に直結すること、例えば、国籍、在留資格などについてです。
国籍はその国から法的な保護を受けることができる根拠になるものです。また、日本に在留できる期間や在留中に行う活動が定められている在留資格に関しては、在留期間や活動内容によって、国民健康保険や年金制度の加入資格が決まるひとつの要素になるなど、将来に渡っての社会保障を支える上で重要なものです(子どもの場合、教育や福祉のなど、在留資格に関わらず行政が柔軟に対応することが認められている分野もあります)。
ですから、医療機関のソーシャルワーカーや自治体の保健師など子どもに直接関わっている相談者には、相談内容と関連がないように思われたとしても、国籍の有無や在留資格をこの機会にしっかり確認することが大切であることをお伝えします。さらに、もしこれらがなかったとすれば、これからでも取得するにはどうしたらよいか、一緒に考えていきます。

母子手帳(ブログ用)

【母子手帳:出生届出済証明など、大切な情報収集源のひとつ】

事例
少し、具体的に見てみましょう。
例えば、国籍についてですが、婚姻関係にない日本人の父親と外国人の母親の間に子どもが生まれているケースでは、父親が認知をしたかを確認します。認知をすれば、届け出によって子どもは日本国籍を得ることができます。また、父親の存在も明確になるのです。
あるいは、生物学的な父親は外国人ですが、日本人と婚姻関係にある外国人の母親から生まれた子もいます。出生時には嫡出推定で父親の戸籍に入っていたものの、戸籍上の両親は離婚し、戸籍上の父親からの「親子関係不存在」の訴えも認められた場合、子どもは国籍を失います。その場合は、子どもの在留資格を取ることや、母親の国籍国の大使館に出生届などを提出していたか、また、それに伴って子どもの国籍が取ること出来るのかなどについて確認することを提案します。
当事者だけで対応が難しい場合は、専門知識を持つ外国人支援団体を紹介したり、弁護士などの情報を提供します。
もちろん、それぞれに事情がありますので、当事者がどの国の国籍保持を望むか、どこに居住を希望するかなどで、対応は大きく異なります。

不利益のないスタートを目指して
妊娠、出産のケースでは、いずれの国籍を取ることも簡単ではないとか、生まれた時から在留資格がないなど先行きに課題があることも稀ではありません。それでも、無事に生まれたと聞くと、心から安堵し、嬉しい気持ちになります。赤ちゃんのケースに携わるちょっとしたご褒美のように感じます。
人は生まれる場所や親の国籍、在留資格などを選ぶことはできません。これから人生を歩む幼い人達が、国籍や在留資格の違いを根拠にした不利益をできるだけ受けることなく、人生をスタートさせるお手伝いができればと思います。


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在日外国人支援事業担当
廣野 富美子