在日外国人支援事業を担当しています、山本裕子です。
夜型人間の私ですが、春に向かってそろそろ朝型人間に変身できないかな、と考えている今日この頃です。


医療通訳を依頼するまでの“初めの一歩”に不安を感じる医療従事者
シェアは、これまで保健医療従事者などを対象に外国人医療や医療通訳についてのセミナーを開催したり、講師として医療機関等へ伺う機会を経験しています。そのような場面でよく、保健医療従事者から「医療通訳を活用したいが、医療通訳が正しく通訳しているか分からない」、「医療通訳がきちんと通訳しているかどうすれば分かるのか」などの質問を受けることがあります。

こうした質問をされる人の多くは、普段は、家族や友人、知人など、通訳の訓練を受けたことがない“患者本人よりも日本語が話せる人”を通訳として活用している人たちです。通訳の“代わり”を任せられてしまう家族や知人より、訓練された医療通訳の方が質の高い通訳ができることは明白な気がしますが、不思議とこのような発言が聞かれます。
このような質問には、経験を経ないと理解するのは難しいと思われるので、「まずは一度、医療通訳をお願いしてみましょう」とお答えしています。


実は、医療通訳活用の機会が少なかったシェアスタッフ
シェアは、2017年にはネパール人女性と共に開催した日本の母子保健サービスの勉強会や、無料出張健康相談会で実施した母子保健相談などさまざまな場面で、スタッフが外国人と話す際の通訳を当会の医療通訳に担ってもらう機会がありました。
出張健康相談会や医療通訳派遣など普段のシェアの活動では、私たちは調整をする役割であることが多く、外国人の皆さんと通訳を介して直接話すような機会は限られていました。
しかし、昨年は通訳を入れて外国人と話す機会が増えたことで、改めて、訓練された通訳者の能力の高さを実感しました。一方で、通訳の訓練を受けていない人々にも通訳として協力してもらう機会もありました。
これらの機会を通じて、通訳の活用について、私が感じたことを少しお話しします。


訓練を受けたことがない通訳者を介して話してみて感じたこと
 通訳を活用する側は、患者、通訳者が訳す言語が分かりません。そのため、どんな話をしているのか想像しながら会話を見守ることになります。通訳の訓練を受けていない人に通訳をお願いした時、私が話した会話文と比較して、通訳された会話文があまりにも長いと感じたことがありました。
また、訳文を聞いていると、明らかに私の会話に出てきていない日本語の単語が聞こえてきたことがありました。その言語を理解できる別の方がたまたまいたため通訳内容を聞いてみると、通訳者は訳しきれなかった部分を補うため、自身が持っている情報から補足をしていたことが分かりました。
言語が理解できなくても、正しく訳されていないことに気づけるポイントはいろいろあるということを知りました。


訓練を受けた医療通訳者の支援を得て感じた“質”と訓練の大切さ
 訓練された医療通訳の場合、私達が話す会話の区切りに合せて、ぽんぽんと通訳されていきます。私たちの話が長くなった時は、通訳の方から区切りを入れてもらえました。訳された文章の長さも、私たちが話す会話文の長さとかけ離れたものではありません。私のつぶやきや相槌も、タイムリーに訳してくれた時には驚きました。通訳がそこにいるのにいないような、私と外国人とが直に会話しているような感覚を持ちました。そして、訳しづらい内容や、補足が必要な文章の場合は、通訳者は不明点を聞き返したり、「この訳で合っているか」などその都度聞いてきてくれます。

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訓練を受けた通訳のサポートを得て実施したネパール人女性対象の勉強会


通訳を活用する側の会話の癖を知る
私が訓練を受けた通訳を入れて初めて講義を担当した際、私の会話の癖として、主語を省く、文章が長い、文章を明確に区切らないという傾向があることが分かりました。日本語はあいまいな表現を多用する傾向があります。意識して言い切る、はっきりした短文にしていくには、私達も準備やトレーニングが必要です。

医療通訳活用を介したコミュニケーションの機会を増やすことは、保健医療従事者などの活用する側の話し方が、相手に明確に伝わるものになるようスキルアップするチャンスにもなり得ます。是非、自身のコミュニケーションの質を高めるためにも、積極的に医療通訳を活用してみて欲しいと思います。


在日外国人支援事業担当
山本 裕子