「〇〇小学校で〇〇日に学校健診をするので、見に来てください!」
2月の始め、こんなお知らせが、ディリ県教育局から東ティモール事務所に続々と届きました。

東ティモールではまだ、学校で健康診断をする公的な制度はありません。
では、なぜ急に学校健診を始める学校が増えたのでしょうか?
それは、その前の週に、ディリ県内の36校の114人の教員に対して、学校健診の実施方法に関する健診を行ったからです。

【前回の記事へのリンク】


まだ学校健診が行われていない東ティモール

一年前の記事でも書きましたが、東ティモールでは自分の身長や体重を知っている人はあまりいません。
視力検査や歯科健診を受ける機会も限られています。

東ティモールでは、病気になってから初めて病院に行く人が多いのです。しかし、病気になってからでは治療が難しいこともあります。そこで大切なのは、普段から自分の身体の状態を知り、健康的な習慣を身に付けること。そのための手段として学校健診は有効です。そこでシェアは、モデル校でのパイロット実施、そして様々な関係者との協議を重ね、1年以上かけて学校健診の実施手引きを完成させました。


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完成した手引き


2017年12月に、教育省の教員研修機関の講師や郡保健センターのスタッフら39人を対象に、手引きに基づいた研修を実施しました。そして2018年1月には、その研修を受けた講師が、ディリ県内の小中学校教員に対して研修。同時に、完成した手引きを配布しました。このような学校健診に関する活動は公益財団法人日本国際協力財団のご支援で実施しています。

教員対象の学校健診研修
教員対象の研修の目的は、小中学校教員が、自らの学校で学校健診(身長・体重測定、歯科健診、視力検査)を実践するための知識と技能を身に付けることです。午前中は歯や目の健康について講義をし、午後は近くの学校で演習を行いました。個々の学校の教師による、健診の実施計画作成の時間も設けました。


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学校健診用の保健教材の説明をする、教員研修機関講師

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視力検査の練習をする教員


この研修の良かった点は、参加した先生たちの、健診に関する関心がとても高かったことです。特に学校での演習には真剣に取り組んでいました。参加した学校の一つ、サンミゲル中学校の先生は、「健康でないと子ども達が元気に学校に通うことができないので、健診には優先的に取り組みたいと思います」と話していました。


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自分の身長と体重を知らない教員たちは、身長・体重計に興味津々の様子

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身体測定の演習

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歯科健診の演習


一方、困難だったのは、教員研修機関の講師、歯科や眼科の専門家、郡保健センターのスタッフ、県教育局の学校巡回指導員などの多くの関係者を巻き込んでいたため、事前の調整や準備にとても長い時間がかかってしまったことです。また、一日という短い時間の中で必要な知識と技術を身に付けてもらうのは難しかったです。特に、演習の時間に十分な時間が取れなかったのが反省です。


研修の翌週から研修を実践する学校が続々!

たった1日の研修を受けた教員たちが、本当に学校が健診を実践するのか心配していました。
ですので、研修の翌週には早速3校が、そしてその後も他の学校が続々と健診を始めたことにはとても驚きました。これらの学校では、研修を受けた教員が他の教員とも情報を共有して、一緒に健診に取り組んでいました。健診の前には、児童生徒に対して栄養バランス、目、歯の健康の大切さ関してもきちんと説明する先生の姿が見られました。また、郡の保健センターや県保健局のスタッフも学校に来ていて、教員たちをサポートしていました。さらに驚いたのは、この3校のうち1校に後日訪問すると、歯の問題がある児童の保護者が学校に呼び出され、保健センターに行くように教員から指導されていたことです。教員たちのやる気と行動力を実感しました。


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研修の翌週に早速健診を行う小学校

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始めて健診を受ける児童たち


この様に学校が早速健診を実践できているのは、保健と教育セクターの枠を超えたサポート体制が、教員のやる気を後押しできているからだと感じます。また、分かりやすい手引きを作成できたことも、活動の広がりにつながったと思います。今後さらに多くの学校が健診を実施できるよう、シェアは多くの関係者と共に学校をサポートしていきます。東ティモール事務所から、マリナがお届けしました。


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研修参加者たちと



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東ティモール事務所スタッフ マリナ