皆さま、こんにちは!在日外国人支援事業部で外国人医療電話相談を担当しているソーシャルワーカーの廣野です。つい最近、念願かなって、上野動物園に子パンダのシャンシャンを観に行きました。

直前まで木登りをしている様子が遠目に見えていたのですが、いざ指定された観覧時間にパンダ舎に行ってみると、シャンシャンはすやすやお昼寝中・・・。それでも、文句なしの可愛さ!

上野動物園からシェアは徒歩20分位ですので、シャンシャンを観に来られたついでにシェア事務所にお立ち寄りいただくのも歓迎です。


シェアが実施している医療通訳派遣

さて、在日外国人支援事業部では大きく分けて二つの通訳派遣に関わる活動をしています。
年間約200件前後と派遣数で圧倒的に多いのは、東京都からの委託で、保健所の保健師が結核患者の病院や自宅を訪問したり、保健所での服薬支援の際に通訳(支援員)を派遣する事業(「外国人結核患者に対する治療服薬支援員派遣・養成事業」)です。

そして、もうひとつは、外国人医療相談の一環として、医療機関や保健所などからの個別の依頼に対して、依頼内容や緊急性を勘案し、シェアに登録されている医療通訳者を派遣する活動です。後者について、2017年はエイズやがん、小児疾患、母子保健などに関連してのべ38件のケースに医療通訳者の派遣をしました。


通訳派遣の調整役、医療ソーシャルワーカーの声

後者の通訳派遣の場合、依頼主が医療機関側の場合は医療ソーシャルワーカー(以下、ソーシャルワーカー)に通訳派遣の調整役をお願いします。ソーシャルワーカーの方々とは、当日の通訳内容やこれまでの経緯など、通訳を派遣するにあたって必要な情報のやりとりを事前に行います。

そして、派遣終了後は、通訳業務が無事実施できたかどうか、トラブルはなかったかなどを確認するため、フォローアップの連絡をこちらから入れるようにしています。

通常、フォローアップは電話で行いますが、2017年度は日本郵便(株)から年賀寄附金配分助成金をいただき、通訳派遣の調整役を担ったソーシャルワーカーに医療通訳活用の現状などについて聞き取りをさせてもらう機会があり、対面でお話を伺うこともありました。

今日は2017年度の対面での聞き取りを含む、ソーシャルワーカーを中心とする通訳の調整役からの声について少しお話しします。


MSWインタビュー
医療通訳派遣先の医療ソーシャルワーカーさんと直接お話をする機会は貴重です

 
「通訳を入れてお話をしてみて、いかがでしたか?」という私の質問に対して、「助かりました。」というのが多くの調整役の皆さんの第一声です。

そして、それに続き「患者さんの顔がぱぁーっと明るくなったんです!」「通訳さんが入ると、みるみる患者さんの表情が変わりました。あんなに柔らかい表情はこれまで見たことがありません。」「患者さんが笑っているのを初めて見ました。」「言葉が通じてほっとされたのか、患者さんは涙をこぼしていました。これまでずっと緊張していたことに気づきました。」というような言葉を聞くことが多くあります。

また、一度通訳を入れたことによってコミュニケーションの壁を破ることができたのか、「その後通訳がいない場面でも、患者さんが病棟看護師に積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくれるようになりました。」と報告して下さったソーシャルワーカーもいらっしゃいました。

もしかすると、患者の言葉が理解できて安堵した医師や看護師の表情が和らいだ結果、相乗効果で患者の表情も明るくなるのかも知れないな、と考えたりもしました。


人にとって「言葉」とは

私は通訳の派遣調整業務をしていますが、医療現場で通訳を介したやりとりの現場に立ち会うことはありません。ですので、ソーシャルワーカーの丁寧な観察によって患者の表情についての気づきを共有してもらえるのは、とてもありがたいことです。

医療通訳が現場に入ることにより、依頼主である医療機関や保健所が患者に伝えたかったことが伝えられ、患者から聞き取りたかったことが聞き取れるということは重要です。そしてそれ以上に、患者がそれまで理解できていなかったことを自らの「言葉」で質問することができたり、抱えていた不安な気持ちを自らの「言葉」で表現できたことに大きな意味を感じます。

言葉がわからない状態で入院をしているような場合、通訳が入らないままでは、故意ではないにしても言葉を奪われた状態と言えます。「患者さんの顔がぱぁーっと明るくなったんです!」というソーシャルワーカーの言葉は、言葉や母語が、その人がその人らしくあるためにいかに大きな役割を持つか、人権に直結したものであるかということを改めて気づかせてくれます。

医療通訳派遣に携わる者として、心してこの業務に取り組まねばと身の引き締まる思いがしました。


これから

現在、シェアは今後5年間の事業計画策定作業をしている最中です。在留外国人数の増加傾向はしばらく変わることはないと思われます。東京オリンピックに向けてということもあり、音声つきの翻訳アプリや、モバイルの通訳サービスなどいろいろなツールが日々開発され、普及しています。

私達は医療通訳を活用されている現場の声を聞きながら、face to faceの良さが際立つ医療通訳派遣の活動に、シェアがどのように携わっていくかということについて、考えていきます。





hirono

在日外国人支援事業担当
廣野 富美子