ある土曜日の午後、ディリ市の中心部に住む小学校5年生の女の子「アブイ」が家で寝ていました。学校で急にお腹が痛くなり、早退したのです。

20180822-2

アブイに話を聞いてみると、なんと彼女は学校で手を洗わないどころか、トイレも使っていないと話します!なぜならアブイの学校には水が無く、トイレも壊れて使えないから。さらに、アブイの学校では保健の授業も無いそうです。

実はこれ、シェアが作成中の「学校保健推進ムービー」の中での出来事です。でも残念ながら、これは東ティモールでは全く珍しい話ではありません。安定した水の供給があり、十分に機能するトイレが整っているのは、東ティモールの全学校のうち4割程度と言われています。保健が一つの教科として教えられ始めたのも去年です。

20180822-5
一般的な学校のトイレ。水が無くて使えないことも多い。


東ティモール政府と歩んできたシェア
シェアは東ティモール政府が学校保健プログラムに本格的に取り組みだした2007年から、政府と共に学校保健の仕組みづくりを支援してきました。10年以上経った今、保健が独立した教科になったり、教育局による学校モニタリングに保健の内容が盛り込まれたりと、ようやく学校保健が重視されるようになってきました。首都のディリではシェアの支援により教員対象の学校保健研修が行われたり、保健教材が学校に配布されたりと、教員が保健教育をしやすい環境もだいぶ整ってきました。しかし、政府がこの様な活動の持続性を確保し、全国へ普及させるには、学校保健に関する政策の策定、予算の増大などが必要不可欠です。「政府のそんなコミットメントを引き出したい!」という願いを込めて作成しているのが、このムービーです。

このムービーでは、保護者を巻き込み、創意工夫しながら学校環境を整えてきた学校や、保健研修で学んだことを最大限に活かしている学校など、「ぜひ他の学校も見習ってほしい!」という模範的な学校を紹介しています。他にも、学校保健に関わる様々な関係者の仕事ぶりを紹介。

20180822-3
研修で学んだ知識を他の教員と共有する、アイムティン小学校の先生

このムービーのシナリオ作成から撮影、編集までの全てのプロセスを担ってくださったのは、長年日本で報道番組のディレクターを務めた門上淳子さん。「学校保健って具体的には何をするの?」という疑問をスッキリ解消してくれる、分かりやすい内容に仕上げてくださいました。

20180822-4
素晴らしいムービーを作成してくださった門上さん

20180822-1
冒頭のシーンの撮影現場


撮影現場の裏では・・・
撮影現場の裏では・・・
全ての関係者はとても協力的で、撮影はスムーズに進みました。一方、カメラを回すとニワトリが鳴いたり、近所の子どもが泣き始めて何度も撮り直しをしたりと、東ティモールならではのハプニングもありました。また、学校の先生や保護者が子どもたちの健康を願う気持ち、学校での保健活動が地域住民に与える良いインパクトなど、取材して初めて知ったこともあり、嬉しい発見が多かったです。

完成後は教員研修、学校保健全国担当者ワークショップなど様々な場面で上映します。
日本のご支援者の皆様ともYoutubeで共有しますので、楽しみにしていてください!

東ティモール プロジェクト・コーディネーター
秋山真輝