【みんなで学べる学校保健教材ができました】

南半球の東ティモールでは、真夏日が続いています。
これから本格的な雨季が始まりですが、今年はエルニーニョの予想。
なかなか雨も降らずに気温ばかりが上がり、このブログも暑い事務所で汗をかきながら書いています。
シェア東ティモールの学校保健活動も来月12月の終了を控え、活動も佳境を迎えています。
今回のブログでは、10年間にわたる学校保健支援活動の集大成でもある、新しい学校保健教材の完成披露式典についてお伝えします。

●東ティモールの学校教育現場の課題

日本では当たり前にある、子どもたち一人ひとりの教科書。
15歳以下が全人口の4割近くを占める東ティモールでは、教科書の数が行き渡らず、子どもたちは自分の教科書を手にすることができません。
先生が授業で使う視覚教材もほとんどなく、学校ではただ先生が話しているのをじっと聞いたり、ノートに書き写したり、復唱するだけの授業が一般的です。さらに小学校高学年からは公用語として定められているポルトガル語で授業が行われますが、実は日常生活ではほとんど使う機会がありません。
こうした学校教育の現状を見るたびに、もしも自分が東ティモールの小学生だったら、学校での勉強だけではなかなか学習が身につかないだろうなといつも感じます。

そんな中で、せめてシェアが教育省と保健省と連携して広めている学校保健の授業では、子どもたちにとって、もっとわかりやすくて楽しいものにしたい。
興味を持って学び、手洗いの大切さや衛生的な習慣を身につけてほしい。
教えられることをじっと聞くだけでなく、学んだ子どもたち自身が友達や家族に、病気の予防方法や対処を伝えていってほしい。
子どもたち1人1人に教科書を届けることはできないけれど、教室でみんなが学べる保健教育教材を届けたい。
そんなたくさんの思いを込めて作ってきた教材が完成し、ようやく公式に披露する会を9月に開くことができました。

●3年間のプロジェクトで作成した、たくさんの保健教育教材

学童期の子どもに多い病気の予防や治療方法をまとめた紙芝居型フリップチャートをはじめ、爪切りや手洗いの大切さを学ぶお話しや、手に入りやすい食材の写真カードを使って職や栄養について学ぶ栄養ゲームや食品ピラミッド、学校健診で使う視力検査のポスターなどです。すべての教材は、関係機関と一緒に子どもたちにとってわかりやすい表現や文化、習慣なども重視して作りました。また新しく改定された教育指導要領に合わせた内容で、教育省と保健省の承認を受けています。

写真1
【写真1:左からディリ県保健局長、南大使、ディリ県教育局長】


●在東ティモール日本大使も参加してくださいました

完成式典には、教育省や保健省の学校保健担当官をはじめ、現職教員への研修を行う国立研修機関や学校教育のカリキュラムに関わっている担当者や教育省の事務次官など、学校保健や学校教育を担うたくさんの行政官が参加してくれました。今回の完成披露式典では、教材だけでなく新しく学校保健の実際をまとめた学校保健動画も初めて関係者に披露しました。

写真2
【写真2:教育省の学校保健担当官も教材やビデオを紹介。全国の学校に普及させたいと意気込んでいます】


動画に出演している参加者も多かったのですが、自分の映像が出てきたときにはみなそれぞれに嬉しそうでした。他県で学校保健をサポートするNGOや国連の皆さんも参加し、小さい会議室は多くの参加者とたくさんの教材で熱気に包まれるなかで完成披露式典が無事に終わりました。

写真3
【写真3:出張していた仲佐理事は現地語テトゥン語での挨拶にチャレンジ】

写真4
【写真4:学校保健をディリ県でも強く推進していくと語る県保健局長】

すでにこれらの教材の一部は、他のNGOや国連によって他県の小中学校でも配布されることになっています。これまでシェアでは、こうした保健教育教材をコミュニティ対象にも作成し使い方を研修して配布してきました。学校や村で、ぼろぼろになっても大事に使っているシェアのフリップチャートを何度か目にしたことがあります。
これらの新しい教材も、学校で長く活用されることを願っています。

写真5
【写真5:最後にみんなで教材を掲げて写真を撮りました】