学校保健プロジェクトの報告と留学生トークセッションを開催しました!

少し春めいて、雨も増えてきましたね。こんにちは、シェアの海外事業担当の巣内です。
2月23日(土)に東ティモール活動報告会を開催しました。その様子をお伝えします。

秋山さんの話している様子
活動報告している、シェア東ティモールスタッフ秋山


シェアは、独立前の1999年から東ティモールで活動を開始して19年。「学校保健」分野で10年以上に渡り現地の人々と歩んできました。この3年では首都ディリ県で、学校保健を担う教育省スタッフや、各学校の保健教育を担える人材づくりを行い、国としての学校保健モデルづくりを2016〜2018年の3年間行いました。

今回の報告会では、プロジェクト・コーディネーターを3年間務めた秋山の報告と、東ティモール人留学生2名を迎えたトークセッションが実現しました。

【イベント概要】
タイトル:「学校保健×国際協力!」東ティモールの今をお届け!
開催日時:2019年2月23日10:00-11:30
会場:上野区民館


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1.秋山がシェアの活動に参加した理由
秋山は大学時代にスロバキアでジプシーと出会い、差別されながら健康課題に直面する彼らと、人々のために活動する教授の姿から、保健活動に興味を覚えたそうです。ベリーズでの青年海外協力隊を経て、大学院で公衆衛生学を学んだ後に、シェアの活動に参加しました。大学時代の思いを大事にしながら、少しずつ経験や知識を身に着け、着実に国際保健活動のプロフェッショナルとして歩んできた彼女だからこそ、3年間のプロジェクト期間をやり遂げたのだと感じました。


2.なぜ東ティモールで学校保健プロジェクトが必要なのか?
秋山の報告は、学校保健プロジェクトを開始することになった東ティモールの背景からスタート。東ティモールでは、以前は保健の授業がカリキュラムに含まれておらず、教員は研修を受けたことがない中で授業を実施してきました。学校に保健室はなく、養護教諭もおらず、日本では当たり前の学校健診や保健サービスもありません。教室の掃除や校庭の整備も不十分で、水やトイレなどの衛生施設も壊れていて子どもたちが使えないという状況だったそうです。

壊れたトイレ
学校の壊れたトイレ


そこでプロジェクトでは、教員研修により保健の授業の質を高めるだけでなく、教員たちが健康診断や衛生活動を推進できるよう働きかけました。さらに政府による学校保健活動のモニタリングの仕組みを強化するよう働きかけました。

3.包括的に学校保健を促進するアプローチとは?
シェアの取組みは4つです。ゞ軌研修のための手引きや、保健の授業で使う教材の開発、教育省の研修機関が教員研修をできるよう支援、3惺司欸鬚離戰好肇廛薀ティスを他の学校にも共有する、こ惺司欸魍萋阿離皀縫織螢鵐阿魘化する。

学校保健が推進されるためには、政策、教育、保健サービス、衛生環境が必要と言われていますが、プロジェクトではこれらに包括的に取り組みました。

教員研修の様子
教員研修の様子


現地の人が主体的に継続的に学校保健活動を実施できるよう、「人材育成を重視」し、「すでにある国の仕組みを活用」することを心がけたそうです。これは、シェアの活動で大事にしているプライマリヘルスケアの考え方に基づいています。

プロジェクトでは東ティモールの首都、ディリ県にある97校の学校の教員を対象に行いました。

過去の東ティモール学校保健プロジェクトに関するブログを読むにはコチラ▼
>>>過去の東ティモール学校保健プロジェクトブログ<<<


4.教員研修で知識アップ!健康診断や衛生活動を行う学校も倍増!
教員研修では、教育省・保健省の研修機関のスタッフが教員に研修を行うことをサポートしました。学校保健に関するテストの正答率が、研修を通して69%から84%に改善し、保健の授業を行う学校は100%になりました。定期的に健康診断を行う学校は22.5%から48.5%に、児童保健委員会が活動する学校は32.6%から48.5%に改善しました。

研修によって教員の能力が上がり、各学校で学校保健が普及してきていることが数字として表れてきていることに驚きました。さらに工夫を行った学校の事例も紹介されました。研修を受けた教員が、他の教員に学びを共有し、教員全体で健康診断を実施できるようになったそうです。

自分たちで研修の共有を行った学校
自分たちで研修の共有を行った学校



5.シェアの開発した教材やマニュアルが、公式に採用されました!
研修や学校での保健活動のために、シェアでは教育省や保健省と協力し、教材やマニュアルを開発しました。これらは、教育省や保健省の承認を受け、全国で使われる公式な教材として採用されました。東ティモールの学校では、今後、シェアの開発した保健教材が活躍していきます。教材づくりは一から行う必要があり、苦労されたそうですが、東ティモールの子どもたちが、楽しみながら保健教育を受けられるようになり、その甲斐があったといえるのではないでしょうか。

開発した学校保健の手引き
開発した学校保健の手引き


教材だけでなく、これまで教育省が行ってきた学校評価の項目に、シェアの働きかけで「学校保健」も追加されるようになりました。これによって、学校評価を行う巡回指導員が、定期的に学校保健の状況をモニタリングし、指導を行えるようになります。


6.コーディネーターが見たプロジェクト
プロジェクトに3年間 関わってきた秋山は、「最初のうちは政府や学校関係者の〇〇が無いからできないという消極的な姿勢が多かったですが、現地で地道に活動される人々との出会いもあり、諦めずに進んでこられました。学校での活動から政策提言まで幅広いレベルで挑戦でき、とても良い経験となりました」と語っていました。

これまでシェアが積み重ねてきた学校保健活動10年の集大成の3年間となり、プレッシャーもあったと思いますが、秋山が真摯にプロジェクトに取り組んできた様子が伝わってきました。

学校保健研修で先生たちと話す秋山学校保健研修で先生たちと話す秋山


今回の学校保健プロジェクトをまとめ、東ティモールで学校保健を推進するためのムービーも制作しました。こちらからご覧ください▼ 
>>>東ティモールで学校保健を推進するためのムービー<<<


7.東ティモール人「日本を選んだ理由」とは?
今回のイベントでは、日本在住の東ティモール人留学生をお招きし、日本ではなかなか出会えない東ティモール人の声をお聞きしました。お話をしていただいたのは、早稲田大学で学ぶEmilyさんとMiraさんです。

冒頭、「東ティモールを一言で表現すると?」という問いかけに、お二人とも「美しい」「かわいい」といった東ティモールの自然や風景を描写する言葉を挙げられました。山や海に囲まれ、自然豊かな東ティモールに、ぜひ遊びに来てほしいと言っていました。

トークセッションの様子トークセッションの様子


「日本を留学先として選んだ理由」は、Emilyさんは「ハチ公の映画を見て日本に行きたいと思った」、Miraさんは「日本語や日本文化に触れる機会があり、日本になじみがあった」と、お二人とも文化を通して日本の良さを感じられたそうです。日本の文化が東ティモールの方々に愛されていることに、こちらも嬉しくなりました。


8.EmilyさんとMiraさんの夢
最後に、留学経験をどのようにいかしていきたいか、お二人の夢をお聞きしました。Emilyさんは国家行政省から派遣されており、東京と東ティモール首都・ディリの住宅供給の違いを研究されています。「東ティモールでも都市の発展は進んでいますが、住宅供給に課題があり、日本ではどのように政策で対応しているかを学び、東ティモールの都市開発に役立てたい」そうです。

Emilyさんは「帰国したら学校の教員になり、日本人のような勤勉さや時間を守る精神を子どもたちに伝えていきたい」と語っていました。

独立から17年の東ティモール。人口120万人のうち半分は18歳未満の子どもたち。若い力が国を引っぱっていきます。私自身が東ティモール人のお話を聞くのが初めてでしたが、お二人が日本と東ティモールのそれぞれの良さをしっかりと感じながら、将来に向かって勉学に励んでいる姿はとても印象的でした。

東ティモールの風景東ティモールの風景



9.イベント参加者の声
今回、学校保健プロジェクトの報告と、東ティモール人ゲストによるトークセッションという、シェアとしてもこれまでにない新しい試みで、参加者からもご好評いただきました。

「東ティモールの知識が乏しいなか参加したが、内容もわかりやすく非常に勉強になった」

「留学生お2人が、日本で学び、感じたことが東ティモールで活かされると良いですね」

こうしたご意見をいただき、イベントを楽しんでいただけて光栄です。これからも参加者に喜んでいただけるイベントを企画していきます!

今後とも、シェアの応援をよろしくお願いします。


(文責:シェア海外事業担当 巣内)


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