皆さん、こんにちは!在日外国人支援事業部の廣野です。先日、2年前の大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台にもなった静岡県浜松市の龍潭寺(りょうたんじ)を訪ねました。小雨でかえって緑が瑞々しく、美しい庭園も時間をかけてゆっくり眺めることができました。この時期お勧めのスポットです。

さて、ホームページでもお知らせしているとおり、シェアでは週3日、外国人医療に関わる相談を電話で受けています。2018年は過去5年の中で2番目に相談/対応数が多い年となりました。東京都の結核患者支援として通訳を派遣する委託事業を行う中で関わりができた保健師さんからの相談や、都内でネパール人コミュニティを対象にした母子保健活動を行う中での相談が増えていることが背景にあると考えています。今日は、このようにして寄せられている相談について、少しご紹介ができたらと思います。

言葉の障壁
相談を内容別に分類した場合、最も多い相談は「言葉」に関することで、全ケースの半数以上を占めます。具体的な相談内容は医療通訳派遣に関するものが圧倒的多数です。現在、オリンピック対策もあり規模が大きな医療機関では、電話やビデオ、アプリを活用した通訳システムの導入が進んでいます。しかし、内容がセンシティブで機械には頼れないケースなど、対面通訳のニーズは依然高いと考えられます。子供の発達上の問題として捉えられていたものの、シェア通訳を入れたことで、保護者の課題が明らかになり、後の治療方針に影響を与えたケース、DVで肉体的、精神的に傷ついている女性たちの対応に活かされたケース、また、患者がシェア通訳を介して治療方針を理解した上で、自らの生活環境などを勘案し、あえて医療者が提示した治療法を選ばないという判断をしたケースも複数ありました。それぞれのケースで患者さんは自らの意見、感情を表すことができ、それが結果として患者さんや家族のサポート体制構築にもつながります。医療通訳を入れて言葉の障壁を取り除くことは、患者の権利を守ることに直結しています。

20190619廣野ブログ
ただ今、相談対応中

ニーズが伸びる母子保健分野
相談分類として、2番目に多いのは母子保健、中でも特に、妊娠、出産に関わるものです。妊娠した技能実習生が、職場にいることができなくなり逃げてきたと見られるケースは、シェアだけでなく、連携する多くの外国人支援団体に寄せられた相談のひとつでした。また、何らかの理由で中長期の在留資格を持たない妊婦について、自治体が健診補助券を渡さなかったことで費用が払えず健診を受けられていない、難民申請中の両親のもとに生まれた新生児が長期に渡って短期間の在留資格しか認められず健康保険に入れなかった為、緊急時に十分な医療を受けられなかった、などという相談も寄せられました。また、言葉が分からず孤立が懸念される妊婦さんのために、保健センターから母親や両親学級への通訳派遣依頼もあります。新たに入国する人々の年齢層から考えても、今後ますますこの分野の相談は増えることが予想されます。妊産婦や子どもの保健医療アクセスを守るには、地域で外国人住民に直接関わっている保健師さんに、正確な情報や他地域での制度運用、工夫を丁寧に伝えていくことが大切だと感じています。

地域の力
4月1日から新しい外国人労働者の受け入れ制度が始まりました。すでに他の外国人支援団体や人権団体から指摘があるように、多くの課題が指摘される技能実習制度を引き継ぐような形であることは大きな懸念です。一方で、関わりのできた保健師さんから「外国人住民への関わりについて研修をしたいので、相談にのって欲しい。」というご連絡も何件かいただいています。外国人医療の課題について、真正面から取り組もうとしている保健医療従事者の方が地域で増えていることはとても心強いことです。また、言うまでもなく、地域には医療通訳やカウンセラーなどとしての知識や経験を持つ外国人住民が人材として存在し、活躍しています。シェアはこのような地域の力と共に、これからも取組みを続けます。




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在日外国人支援事業担当
廣野 富美子