こんにちは、東ティモール事務所の吉森です。いま、東ティモールの青い海に、保健省のロゴマークと同じ緑色と白の船が浮かんでいます。

東ティモールの海に浮かぶ船

電気や道路が未整備の離島アタウロで、医薬品や冷蔵保存が必要な予防接種ワクチンなどを運ぶ船です。2020年1月に日本から到着し、2月13日に進水式(船が作られて初めて海に浮かべる作業・儀式で、お祝いとともに航海の無事を祈る式典)を行いました。

船の提供について、検討から準備まで2年以上の時間をかけてようやく現地に到着しました。船の選定から港や海の関係省庁との調整など、初めてのことばかりでした。

担当者として奮闘してくれたディリ事務所の「ライムンド」は、シェアで働いて4年目のスタッフです。今回の仕事について、彼にその経験を聞いてみました。

船の業務を担当したライムンド(右)。ディリ港にて。
船の業務を担当したライムンド(右)。ディリ港にて。



Q1. ついに船が到着しましたね。

はい。すべてのプロセスに、本当に長い時間がかかりました。自分の記録では、初めて船のことを調べ始めたのが2018年の9月でした。

到着の間際に、海上輸送中のコンテナがどこにあるのか追跡ができないと日本人スタッフから聞いた時、世界のどこかに行ってしまったのではないか、とても心配でした。

初めて港で船が入ったコンテナを見たときには、あんなに大きいものだとは思っていなくて、とても驚きました。


Q2. 一番大変だったことは何ですか?

一番大変だったのは、船の輸入関税の負担を、保健省にお願いしなければいけなかったことです。正直なところ、日本政府が払ってくれたら楽だったのにと思いました。

これまで輸入に関わったこともなく、関税の手続きや担当部署など全く知らなかったからです。一方で、東ティモール政府が日本から支援してもらうのだから、それくらい負担するべきだと思い、粘り強く交渉しました。

最初は免税で話が進んでいましたが、結局政府が関税を払うことになったり、管轄部署や税率が変わったりと、情報が二転三転したことにも混乱しました。

政府の関税負担を約束した合意書を交わせるまでに時間がかかり、最終的には政府の予算年度が変わり予算が下りるまで時間がかかるなど、ひやひやすることが多かったです。


東ティモールに到着したコンテナ
東ティモールに到着したコンテナ


Q3. この仕事を通じて学んだことは?

いろんな人に助けられて仕事ができたことです。2018年にこの船とヘルスポスト建設の担当を任せられた時に、知らないことばかりだから、どうしようかと不安に思いました。

「自分にもできる」と信じていたのは、シェアというチームがいることがわかっていたからです。いつもわからないことがあったらお互いアイディアを出しあって助け合います。

今回も、行き詰った時には「ここに行ってみたら?」とか「あの人に聞いてみよう」とか一緒に相談しながら進めました。自分自身も、物事が進まなかったときに、あの手この手でアプローチすることを考えました。


Q4. 工夫したことはありますか?

どこか初めての部署に話を情報収集や手続きをしに行ったときには、誰がキーパーソンなのか、どこの政党支持者なのか、知り合いはいないか、などよく観察して作戦を立てました。

それと、いつも書類一式を持ち歩くことを覚えました。会議や交渉や情報収集するときに、船に関連する資料をすべて持っていると、話が進むことが多かったです。


Q5. 進水式も終わりましたね。

2月13日には、保健省の副大臣や日本の臨時大使も出席くださり、ディリの海上警察で進水式を無事に終えられました。「成功した!」と思いました。

シェア日本人スタッフに頼られたことも嬉しかったです。東ティモールが独立したばかりの頃、私はまだ子どもでしたが、当時は多くの外国人が仕事をしていました。

いつか自分も外国人にいろいろ案内しながら仕事をすることにあこがれていました。今回、大きな仕事の担当を任せられて、たくさんの新しい経験ができました。


ライムンドが担当した船はアタウロ島で活動する準備をしています
ライムンドが担当した船はアタウロ島で活動する準備をしています


※本事業は外務省による日本NGO連携無償資金協力の助成の他、皆さまからのご寄附やご支援を受けて実施しています。


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文責:吉森 悠(シェア 東ティモール事務所 現地代表)