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日本の皆さん、こんにちは。私たちは東ティモール事務所のライムンドとアラオです。私たちは事業が開始されてから3年間、船舶に関する活動を担当してきました。船舶がいよいよシェアから保健センターに移譲されることになり、盛大に式が執り行われました。その様子を今回はレポートさせていただきたいと思います。

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移譲式始まります!

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ライムンドが司会をしました


大変だった移譲までの道のり

2020年2月、日本から一隻の船がやってきました。私たちの事業地であるアタウロ島は、電気や道路などのインフラが整っておらず、住民が病気になった際、簡単に医療施設へアクセスすることが難しい現状があります。
私たちが一緒に事業を行っている保健センターは、月に一度、医療者たちが住民と協力し医療施設へのアクセスが難しい村や集落に対し、移動診療を行っています。過去には船舶を利用した移動診療を行っていましたが、船舶の維持管理がうまくいかず、移動診療を中止しなければならない年が長く続きました。船舶の利用は保健センターにとっても運用が難しいもののようでした。
そこで、シェアは船舶1艇の支援と維持管理トレーニングを実施することで、移動診療が長期的に継続して行われることを事業の中で目指しました。

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ディリ港に到着した船

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到着した船を使って、移動診療へ!

事業期間中は、シェアが中心となって船舶の管理を行いました。保健センターが船舶を必要とする活動を実施する際は、3日前には船舶利用のリクエストレターをシェアへ提出(何の目的で、誰が何人乗船し、何時に出発するのかを記載)するという約束でした。しかし、保健センターの上部組織である保健局や保健省からの突然の申し入れがある場合など、急に依頼が来るのが当たり前で、私たちが優先すべき活動もあるため、調整が難しいことがたくさんありました。
船舶利用のリクエストにこたえられない場合は、私たちスタッフがリクエストを言ってきた人と、根気よく話し合いもしました。時には、大雑把に船舶を利用しようとする保健センタースタッフに対して、イライラしてしまうこともあったほどです。
3年間を通して、保健センターや保健省と関係構築をすすめ、維持管理の仕組みづくり・技術向上、予算確保、船頭の育成など移譲のための準備を行い、ついに船を引き渡せる状態にまでなりました。

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移動診療に出かけると、多くの住民が診察の開始を待っています

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移動診療の様子

船舶の移譲のための式典

4月25日、遂に移譲の日がやってきました!
東ティモール保健省大臣、在東ティモール日本国大使館の大使も参加してくださり、盛大に式が執り行われました。
私が一番感動したのは、保健省大臣からの言葉です。オデッテ大臣は「今日、この日に移譲された船舶に対し、私たちは最大の責任感を持って管理していかなければなりません」と関係者全員に対して言っていました。「アタウロは今年一つの県となりましたが、日本の皆さんから支援していただいたこの船舶を守るため、また住民が健康になる活動を行っていくために、私たち皆が継続して協力していく必要があります」と。
また「20年にわたる日本政府からの支援、そして、これまでのシェアの支援に対しても感謝している」とメッセージをいただきました。

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保健大臣からのメッセージ 「一丸となって船の管理を続けていきます!」

日本国大使館の杵淵大使からは、「アタウロ島の住民の健康を守るために、船舶がこれからも長く安全に利用されること、またその際はシェア が作成し、保健省からの承認を得た船舶管理ガイドラインに沿って、正しく維持管理されていくことを希望している」とテトゥン語で挨拶をしてくださいました。
最後には、私たちの祖国、東ティモールの独立20周年と日本と東ティモールの関係が20年を迎えることに対して、お祝いの言葉もいただきました。

式典の中で私が驚いたのは、私たちがこれまでに船舶管理トレーニングを実施してきた船頭に対し、保健省との職員契約が交わされたことです!
杵淵大使も船頭がサインするところを見守ってくださいました。
事業の初期にはシェアの職員として勤務し、事業終了後に保健センターの職員となることが計画されていましたが、この話がうまく進むか不安だったのです。たくさんの人に見守られながら契約書にサインした船頭である彼が、これからも健康を守る船を守っていってくれるだろう、と私は確信しました。

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日本人船舶専門家からの指導を受けている船頭のアグストさん(船頭への船舶維持管理訓練時)

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職員契約を交わす 船頭のアグストさん

アタウロでの説明会

保健省に移譲された船舶はアタウロに渡り、移譲式の翌週には、アタウロで船舶譲渡の説明会が行われました。この目的は、アタウロ保健センターに移譲された船舶を、アタウロ在住の人々が自分たちの健康を守るために利用される船であり、これからはアタウロに住む人々全員で船を守っていく!と認識してもらうためです。

アタウロでの説明会は私、アラオが担当し、3年間の事業の中でシェアが実施し、達成できたことについて報告しました。私が嬉しかったのは、今回の式に参加した村長から、シェアにもっと長い期間事業を実施して欲しいという声を聞けたことです。これまでの事業の中で、大変なこともありました。けれども、自分たちを必要とする声、そして、シェアの良さを認識している人、シェアの事業によって健康になった人がこの島にたくさんいる、と知ることができました。

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アタウロでの説明会では、アラオが司会進行を務めました

また、式の中で、アタウロ保健センター長が、「シェアが作成した船舶管理ガイドラインに従い、定期的に船のメンテナンスを行うなど、船を長期的に利用するために遵守しなければならない事を、私たちも守っていきたい」と発言してくれました。そして、何より、今回の式に参加したすべての人から、「シェア、ありがとう!!」とたくさん言ってもらえたのが何よりも嬉しく、私は誇りに感じました。

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保健センター長、保健局で実施した維持管理会議のときも、
「私たちの責任で今後船を運用していきます」とお話してくれました

船舶とシェアの関係はこれで終わりではなく、これからも運用サポートを行うために続いていきます。船が長く利用され、人々の健康を守っていってくれますように。私たちはこれからも保健センターと共に活動していきます。

これまで私たちの活動、特に船舶の活動を応援してくださっていた皆さん、本当にありがとうございました。そして、これからも応援してくださいね。

アタウロでの私たちの活動はまだまだ続きます!住民の皆さんがまた喜んでくれる、そんな事業を行うために、私たちは頑張ります。

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アタウロ県知事、保健センター長、そして村長、集落長たちと共に。
皆で船を守っていきましょう!




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活動地からの配信を楽しみにして下さい〜!

シェアのスタッフブログページ
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文責:シェア東ティモール事務所 ライムンド・ドミンゴス・グテレス( 左)、
アラオ・シメネス・モラト( 右)

※この事業は、皆さまからのご寄付と、外務省日本NGO連携無償資金協力や民間助成金の資金をいただいて実施しています。
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日本の皆さん、お元気ですか?東ティモール事務所スタッフのロジーニャです。
今年5月20日は、東ティモールが独立してから20周年の記念日です。独立を達成したあの日からもうすぐ20年。このブログを書く機会に、様々なことを振り返ってみました。読んでくださると嬉しいです。

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ロジーニャさん一家(一番右がロジーニャ)


独立までの日々

1999年8月30日の国民投票で「独立」が決定するまで、私たちはインドネシアによる統治時代を過ごしました。国民投票の実施を実現するために多くの人が各地で血を流し、そして亡くなりました。独立から20年が経った現在も遺骨が見つからず、本当の別れを伝えられていない人々もいます。また、独立が決定した直後に起こった独立に反対する民兵団による放火・破壊行為、女性に対するレイプが横行し、癒すことのできない傷を抱えている人もいます。

当時、私は17歳、高校2年生で、私の過ごした村で何が起こっているのかを理解できる年齢でした。学校へは兄妹と一緒に行き、何かあったときには私たちが逃げられるようにと、兄が必ず私たちの前を歩きました。

国際社会が東ティモールの苦しみに気づき、支援を開始してくれるまで長い年月が必要でしたが、2002年5月20日にようやく独立達成の日を迎えることができました。


私の国〜20年の変化

都市部で生活する人々は自国の発展を感じている人もいるでしょう。大きなスーパーが建設され、化粧品や電化製品も、お金を出せば買うことができます。でも、農村部で生活する人々は、独立の恩恵を受けていると感じている人は少ないように思います。村内の道は整備されておらず、清潔な水を蛇口から得る人はほとんどいません。雨水をバケツに溜めたり、川や水源までの悪路を越えて水を汲み、生活用水に使用しています。電気がない生活をしている集落・村もまだまだたくさんあります。

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都市部(ディリ市内) ショッピングモール


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農村部 村の貯水槽まで水を汲みにくる男の子


首都ディリに住む私にとっても、毎日の出勤に使う道路は排水路の整備がされておらず、雨期になると道路の一面が行き場を失った雨水で覆われ、行き来が難しくなります。自分の若かった頃と比較すると、平和な暮らしを手に入れたことは何物にも代え難い幸せなことですが、道路や給排水など生活基盤の整備に関しては、今後の変化に期待しています。

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都市部 雨期になり、冠水している道路


インドネシア統治時代、私の過ごした村にも診療所はありました。助産師はおらず、男性の看護師のみが勤務していたため、母は診療所での出産を拒み、一番下の妹を家で出産しました。出血がひどく、父が助産師を探すのに苦労しました。

現在はその診療所も再建され、東ティモール人の医師、助産師、看護師が勤務しています。村に住む私の妹は以前、家での出産を選択しましたが、その際にも医師が家に訪問し、分娩介助をしてくれたと聞きました。村に住む妊婦さんたちが診療所を利用して無事に子どもが生まれたと耳にすると、20年前との変化を感じ、私は嬉しいです。

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診療所で生まれた赤ちゃん


シェアの活動〜これまでとこれから

私がシェアで働いていることもあり、保健分野の発展は、特に身に染みて感じています。各村に診療所が建設され、医療者が必ず配置される仕組みができています。仕事をする上での管理能力や、患者への対応・治療に関しては未だ改善すべき点がいくつかありますが、東ティモール人の医師、助産師、看護師の数が20年前と比較して格段に増えたことは素晴らしい変化です。

シェアでの私の勤務は2009年、エルメラ県で開始しました。当時、住民の保健衛生に関する知識はほとんどなかったと言ってよいと思います。子どもたちは食べ物のゴミをその場で捨て、トイレも至るところでしていたので、寄生虫に感染したり、下痢に罹る子たちが多くいました。

シェアが村の中での保健活動を開始し、20年前と比較して、住民の病気を予防する力がついてきたと感じています。私の家のある集落でも、家庭内にゴミを燃やす箇所をつくり、その場所のみでゴミを燃やしています。そのほかにも、食事の前には手を洗う、1日に2回は水浴びをする、1日に摂取するご飯は栄養バランスよく食べることなど、健康になるために必要な基礎的な知識を住民が得て、それを実践する家庭が増えています。

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小学校での「手洗いについて」の啓発活動


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住民へ保健促進活動を行う保健ボランティアへの指導


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小学校での「下痢について」の保健教育


実際に私が変化を目撃することができたのは、アタウロで家庭訪問をしながら調査をしたときのことです。私たちが学校保健事業の中で伝えた、誰でも簡単につくれる手洗い場 "ティッピータップ″ を家庭でもつくり、実際に使用している様子を見ることができました。その家庭の母親が、「子どもが学校で作り方を学び、手洗いが大切だと私たちに伝えてくれた」と語ってくれました。

13年間のシェアでの仕事に私は誇りを持っています。シェアは住民を想い、彼らの生活を健康にするため、様々な方法でアプローチをしています。シェアスタッフの一員として、今後も「すべての人に健康を!」をモットーにしていきたいです。

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調査中に見つけた、家庭につくられた簡易手洗い場



これからの東ティモール〜私の願い

先月4月19日、大統領決選投票が行われました。ノーベル平和賞の受賞者でもあり、元大統領でもあるラモス・ホルタ氏が当選しました。東ティモールに生きるすべての人が、生活基盤を整え、平和で安心した暮らしを手に入れられる、そんな政治を行って欲しいと切に願っています。

日本の皆さんのこれまでの支援に心から感謝し、私は、あの苦しみを乗り越えた一人の東ティモール人として今ある平和を守り、そして、自国の発展のために、できることから少しずつ行っていきたいです。
新型コロナウイルス感染症が収まったら、私の愛する東ティモールに是非一度足を運んでください。



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文責:フレリア

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こんにちは、シェアスタッフのフレリアです。
東ティモールは新型コロナウイルス感染症の症例数が減少傾向にあります。
日本はいかがでしょうか?

3月25日には入国制限が解除されました。
いつか是非東ティモールに遊びに来てください!

さて、今月はディリ県メティナロ郡ベサヘ集落に建設した診療所のその後についてお伝えします。
ベサヘ診療所はシェアの活動の一環として建設され、2019年10月に完成しました。

スライド1診察を待つ母親たちに健康教育を行うフレリア


看護師は妊産婦健診をしない?!
診療所は、建設の完了したのちメティナロ保健センターの管轄となりました。
保健センター長は一人の看護師を診療所に派遣しました。

看護師の名前はオクタビオさん。彼は、診療所完成から2021年までの間、月曜日〜金曜日の8:30〜12:00までを診療所で勤務していました。
保健センターの人材不足もあり、毎日午後には保健センターに戻って診療のサポートを行っていました。

診療所の一般的な業務は、診察、血圧測定、軽い傷の処置、薬の処方、分娩、産前・産後健診、予防接種、保健教育などです。

ところが、オクタビオさんは、配属されて間もない頃、看護師も担う予防接種や妊産婦健診の業務を「これは助産師がする仕事だ」と言って避けていました。
この言葉を聞いたとき、私は同じ看護師として、とてもショックを受けました。

スライド2血圧測定を行うオクタビオさん(左)

保健センターでさえも予防接種や妊産婦健診は、助産師がするべき業務と捉えていました。
そのため、今までやっていなかったことを「業務の一つだからやってください」と言われても、出来るようになるわけがありません。
シェアは、少しずつでも変化してもらえれば良いなと思い、サポートをすることにしました。


保健センターの助産師と共に
まずはオクタビオさんとシェアで小さな会議を開きました。
オクタビオさんに、「現状についてどう思っているか?」、また、「どのような技術を持っているか?」の確認から始めました。
話し合いを重ねていく内に、オクタビオさんは予防接種と妊産婦健診を行うことに同意してくれ、サポートを開始しました。

シェアからのサポートだけではなく、保健センターから母子保健プログラム責任者のキテリアさん助産師のサンドラさん協力してもらいました。
彼女らからオクタビオさんへ、注射の打ち方、予防接種後の記録の書き方、ワクチンの管理方法、健診の際の注意点、母子手帳の書き方などの指導を行ってもらいました。

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助産師サンドラさんから予防接種の管理方法について指導を受けているオクタビオさん


シェア週に2回オクタビオさんを訪問し、困った点はないか、指導後のオクタビオさんの様子をフォローアップし、解決策の話し合いなどを行いました。

1年間のサポートでオクタビオさんのスキルはみるみる上達し、2020年の後半には予防接種も、妊産婦健診もできる看護師となりました。

診療活動だけでなく、施設の維持管理も積極的に行い、ペンキ塗り替え、手洗いバケツの交換などを保健センター長と協力して行っていました。
一人で診療所を切り盛りするのは大変なことですが、責任感を持って対応している様子が印象的でした。

スライド3妊産婦健診を行えるようになったオクタビオさん!


2年間の診療所勤務を終えたオクタビオさん〜診療所のいま

2021年10月、ベサヘ診療所には医師1名、看護師1名、助産師1名、公衆衛生担当スタッフ1名の計4名が新しく配属されることになりました。
オクタビオさんも約2年間の診療所勤務を終え、保健センター勤務に戻ることになりました。
新任の職員もオクタビオさんのように意識を持って仕事に取り組み始めています。


勤務場所は変わりましたが、シェアとオクタビオさんとの繋がりは今も続いています。
オクタビオさんは毎月実施されている移動診療(SISCa)において、子どもへの予防接種を実施しています。


また、現在もベサヘ診療所の調整員として活躍しています。
診療所で何か問題を見つけた際(電気配線の故障や雨漏り、物品の不足など)は、オクタビオさんが責任者となって問題解決を行っています。

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移動診療(SISCa)で子どもへの予防接種を行うオクタビオさん!


診療所が建設され、人材不足や医療者のサービス提供能力の不足などいろいろな問題がありましたが、一つずつ解決し、ここまで来ています。
住民が安心してサービスを受けられるように、私たちは地域の医療者と共にこれからも歩みを続けます。

感想がありましたら是非コメントをくださると嬉しいです(笑)。
またお会いしましょう〜!


文責:フレリア

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皆さん、こんにちは!お元気でお過ごしですか?
東ティモール現地スタッフのオクトです。

ロシアのウクライナ侵攻は、東ティモールでもニュースとなっており、私たちも心を痛めております。毎日Facebookでニュースをチェックし、祈りを捧げています。

さて、今回は東ティモール独自の保健医療サービス「SISCa」についてレポートさせていただきます!

東ティモール独自の保健医療サービス「SISCa」とは?
皆さん、「SISCa」の読み方は分かりますか?
以前のブログでも、何度か名前が出てきているのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、「シスカ」と読みます。

SISCaは、東ティモールの保健省が2008年に開始した「住民の、住民による、住民のための」統合保健サービスです。
テトゥン語は「Servisu Integrado de Saude Comunitaria」と言い、日本語では移動診療による「包括的地域保健サービス」を意味します。
東ティモール独立後、限られた保健資源を活用するため、医療施設から遠い村々には、移動診療の形で保健医療サービスが届けられる仕組みを政府が作りました。

スライド4保健ボランティアによる健康促進活動の様子


僻地に医療サービスを届けるために
医療アクセスがよくない僻地では、月に1度、各郡にある保健センターや村にある診療所から、医療者を派遣し、保健・医療サービスの提供を行います。特に僻地では病院も家の近くになく、公共交通機関もないため、住民が行きやすい場所で、住民に寄り添ったサービスをを提供することが必要です。

SISCaは、SISCaポストと呼ばれる決まった場所で開催されます。その場所は、村長や集落長と保健センターのSISCaの責任者が話し合って決めます。学校のグラウンドや目立つ家の前、村の集会所、影ができる大きな木の下など、広く住民にわかりやすい場所が登録されています。
2016年時点で、全国で469ヶ所が登録されており、シェアが活動するメティナロ郡アタウロ郡では、それぞれ3ヶ所ずつ登録されています。

スライド1SISCaポストでの保健・医療サービスの様子

SISCaを語る上で忘れてはいけないのが、SISCaポストごとに5人ずつ配置されている「保健ボランティア」の存在です。
保健ボランティアは、保健教育者として、住民たちに情報提供や、病気に罹った時の搬送手配の手伝いを行っています。医療アクセスのよくない地域の住民たちに、病気の説明や予防法・対処法などを伝え、とても頼りになる存在です。


SISCaで提供されるサービスとは?
SISCaでは、医療者からの診察だけが行われているわけではありません。
6つの机(Meja(メジャ))が設置され、Mejaごとに異なったサービスが行われます。

Meja 1:登録
 SISCaに何人の住民が来たかなどを把握するため、まず登録を行います。
 名前、どこの集落から来たかなど個人情報を訪ね、保健ボランティアが記載します。

Meja 2:栄養
 栄養失調の子どもや妊婦がいないかを確認するため、体重・身長・上腕の測定を測って記載します。栄養失調と判断された場合はMeja 5で診察と指導を行います。
 身長の測定も推奨されていますが、器材が不足しているため、体重のみの測定を行っている場合がほとんどです。

Meja 3:妊産婦・乳児検診
 Meja 2で記載された測定の結果について母親に伝え、子どもの健康状態についてを尋ねます。妊婦の健康状態の確認も行います。異常が見つかった場合はMeja 5で診察と指導を行います。

Meja 4:保健衛生・環境
 手の洗い方、爪の切り方、家の周りの環境の整え方の指導を行います。マラリアや寄生虫に感染している子どもを発見した場合、このMejaでの指導となります。

Meja 5:診察
 医療者による診察を行います。予防接種、薬の配布なども行われます。

Meja 6: 健康促進活動
 保健ボランティアによる、住民の健康・保健意識の向上を促す情報の提供を行います。
村の中での病気の流行状況や、住民からのリクエストを基に情報のトピックを、住民に一番近い保健ボランティアが選択します。具体的には、感染症、栄養失調、デング熱、寄生虫などの予防方法や、症状が出た時の受診の方法などを説明しています。
 紙芝居や映像、栄養ゲームなど、シェアが開発した視覚的に分かりやすい教材を利用しています。

いかがでしたか?!住民に寄り添ったサービスですよね。僕が考えるSISCaの良いところは、医療機関から遠い住民も見捨てずに行われるサービスであること、そして医療者と村長、保健ボランティアが一緒に住民の健康を考えて、実施されているということです。
SISCaでは共に活動することで、連帯感が生まれ、保健ボランティアにも使命感が生まれると思います。

スライド2Meja 2での上腕測定の様子


課題多きSISCaの現状
このように理想的な姿のあるSISCaですが、課題もあります。それは、SISCaが定期的に実施されておらず上手く機能していない地域もあるということです。

SISCaの実施には、事前の複雑な調整が必要となります。派遣される医師や看護師の日程調整、医薬品の準備、村との連絡や住民への周知、移動のための車や燃料の確保などです。この調整が上手くいかなければ開催中止となってしまうこともあります。

また、コロナの影響も受けました。保健医療従事者がコロナ対応で忙しかったり、住民を集める活動が制限されたことで、SISCaポストでの保健・医療サービスを実施することが出来ませんでした。

また昨今、東ティモールでも医療施設の整備や交通インフラが進んできました。このことにより、政府は保健医療サービス全体の中のSISCaの優先度を下げつつあります。
しかし、シェアの活動する僻地地域では医療アクセスへの壁大きく、今後も定期的なSISCaの実施が求められています。


スライド3Meja 6での保健ボランティアによる栄養ゲームを使った健康促進活動の様子


SISCaとシェアのサポート
シェアは2019年からアタウロ郡とメティナロ郡で実施されているSISCaの支援を行っています。具体的には、保健・医療サービスへ向かう車両の提供、健康促進活動を行う保健ボランティアのトレーニング医療者へのサポート(予防接種記録の取り方)などです。

先月2月にメティナロ郡で開催されたSISCaに同行してきました。コロナの影響で約1年ぶりの再開ということもあり、ほとんどの地域では、ものすごく多くの人が集まっていました。

いくつかのSISCaをまわるなかで残念に思ったのが、場所によっては、医療者と村長、保健ボランティアの間で情報伝達が十分に行われておらず、SISCa当日に住民があまり参加していなかったところもあったということです。
また、シェアの研修を受けた保健ボランティアが住民に健康教育をする機会も作られていない状況もありました。保健センターの新任のSISCa担当スタッフが、保健ボランティアとの関係性が作れていなかったことが原因でした。

もう1つの事業地であるアタウロでは、保健ボランティアがイニシアティブを持ちSISCa担当スタッフと積極的に連絡を取っています。今後、メティナロでは関係性つくりのお手伝いをし、将来的にシェアがいなくても彼らだけで連携を取り、住民に対して保健ボランティアが健康教育を実践できるよう支援していきたいと思います。


SISCaのさらなる発展と保健ボランティアの活躍を願って
SISCaの今後の発展のためには、二つの重要な要素があると思います。
一つ目は、準備段階から村長や保健ボランティアなど実施関係者に集まってもらい会議を実施することです。

二つ目は、SISCaでの活動が行われた後に、関係者が集まってプログラムの評価を行うことです。それぞれが感じた問題点などを話し合い、一緒に解決することでより良いサービスになると考えます。

言うのは簡単ですが、実行に移すことが非常に難しい今日この頃です…。

スライド5オクト(黒いTシャツ)と保健ボランティア

保健ボランティアの中には住民のことを思い、「村の中で活躍したい」とモチベーションを持って活動を行っている人が多くいます。
こうした、保健ボランティアがさらに活躍できるよう、僕も、シェアも頑張ります。

まずは、出来ることから。早速、保健ボランティアに、日々の活動に対しての想いや、医療者に対しての想いなどを聞いてみようと思います。

日本の皆さん、これからも応援をお願いします。


文責:オクト

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皆さん、こんにちは!お元気ですか?
東ティモール事務所のフレリアです。

2022年は、コロナ前の生活に戻れることを願っています。
さて、昨年、2021年は東ティモールでもコロナの影響を大いに受けることとなりました。
シェアが活動するアタウロ郡とメティナロ郡では、定期的に行われていた県保健局の「モニタリング活動」が2021年の1月〜10月は実施できませんでした。

そんな「モニタリング活動」ですが、2021年11月に再開しました。
今回は、アタウロ郡とメティナロ郡での久しぶりの「モニタリング活動」の様子をご紹介いたします。


東ティモールにおける保健施設の構成
2022.2ブログ図シェアの現在の事業では、ディリ県以下で活動中です。


保健局のモニタリング活動とは

ディリ県保健局は年4回保健施設(保健センターや診療所)訪問し「モニタリング活動」を実施します。この活動は、保健施設で働くスタッフの業務を管理する為に欠かせない活動です。

保健施設の実態業務の実施状況、技術など観察し、課題の確認改善に向けたアドバイスを行います。
「保健スタッフは住民に、どのように関わっているのか?」、「保健局に提出するデータは正しく登録されているのか?」など、保健局のスタッフが実際に足を運び直接話しながら確認します。

シェアも、コロナ前から「モニタリング活動」に同行し、保健局スタッフと同様、課題の確認改善に向けたアドバイスを行っています。

スライド1医療従事者たちとフレリア(左から2番目)


乳幼児の予防接種のモニタリング活動を実施
今回の「モニタリング活動」はテーマを持って実施されました。保健局の予防接種責任者と話し合い、出産前健診と子どもの予防接種の登録、レポートの書き方を重点的に注意してもらうことになりました。また、記載方法に自信のない医療従事者には、モニタリング活動中にスタッフから指導を行うようお願いしました。

当日は、保健施設に保管されている記録の確認や、ワクチンの使用期限や使用頻度の確認、施設が管轄する地区が入った地図の有無などの確認が行われました。また、妊婦記録とワクチン使用記録が壁に貼られているかの確認も行われました。


〜今回のモニタリング活動で確認を行った記録〜
.錺チン冷蔵庫温度管理表
▶冷蔵庫の状態と中に保管しているワクチンの状態が確認できる。
▶ワクチンを置く冷蔵庫の温度をチェックする。
▶1日2回の温度記載が必要。(朝のワクチン取り出し時と午後のワクチン戻し時)

⇒祝廟楴鐃閉愁哀薀
▶毎月の目標接種数と達成率が確認できる。
▶定期的に接種に来ていない子どもの数が確認できる。
▶途中で接種をやめてしまった子どもの数が確認できる。
▶一度も接種に来ていない子どもの数が確認できる。

M祝廟楴鏥録
▶予防接種を受けた日付、両親の名前、子どもの名前と住所、予防接種の種類が確認できる。
▶施設ごとに保管し、アウトリーチ活動に出るときに持参する。

ぅ錺チン未接種児の記録
▶途中で接種を辞めてしまった子どもと両親の名前、住所、接種しているワクチンの記録が確認できる。

ゥ錺チン在庫表
▶ワクチンの在庫量や在庫切れが確認できる。

スライド3予防接種進捗グラフ


キテリアさん(助産師)のケース

今回、診療所の「モニタリング活動」に同席した、メティナロ郡保健センターの助産師で、母子保健プログラム責任者でもあるキテリアさんにお話を伺うことが出来ました。彼女は今までの現状を、正直に私たちに話してくれました。

「予防接種の責任者として、一人で仕事を抱えこんでしまっていました。他の助産師への指導をしていなかったが為に、自分の仕事が増え、やらなきゃいけないことが終わっていませんでした。」

今回、ワクチン在庫表の記録が出来ておらず、ワクチンの不足の発生期限切れワクチンの発見がありました。また、予防接種進捗グラフの記入の仕方を、責任者であるキテリアさん自身が、あまり理解していないことも分かりました。

スライド6記録の確認をするキテリアさん(左)とフレリア

彼女は、これまでの事態を反省し、保健局スタッフからの指導に真摯に耳を傾けていました。
今後、責任者として彼女がさらに良い仕事をしてくれるよう期待しています。

実際、この出来事により、キテリアさんの仕事に変化も見られました。彼女の指導により、数名の助産師が仕事を覚えてくれました。また、キテリアさん自身も、他の助産師に分かりやすい記録シートを作成し、定期的に記入をするように促しています。

二度と同じような過ちを繰り返さないように、「他の助産師さんを集めて会議を行い、情報の共有と責任の割り振りを行いたい。」とも言っていました。

他の施設では、「モニタリング活動」が来ると聞いて、慌てて記録を整理している医療従事者の姿も見受けられました。彼女の正直で真摯な対応は、東ティモールの未来に繋がると信じています。

スライド2保健局スタッフが予防接種記録を確認する様子

モニタリング活動を終えて
▶保健局スタッフのコメント
「モニタリング活動」を行った全ての保健施設に、施設のスタッフによる「モニタリング活動」の事後評価を行うように要請しました。そうすることで、それぞれの仕事を振り返ることが出来、仕事の一部スタッフへの集中を解消し、全スタッフ満遍なく仕事をできるようになります。今後の保健施設の仕事がうまく進んでいくことを期待します。

▶フレリアのコメント
シェアは2020年に行われた保健局による「モニタリング活動」にも同行しました。その際は、保健局スタッフの役割がクリアになっておらず、「モニタリング活動」も全般的な事柄の確認のみで、その場での指導も行われませんでした。

今回は準備をしっかり行い、「モニタリング活動」の目的を明確にしたため、前回とは比べ物にはならない程、スムーズに「モニタリング活動」を実施することが出来ました。今後も、目的を明確にして「確認」を行い、それに対する「アドバイス」を必ず行うことが重要だと感じました。

今回、「モニタリング活動」に同行し、保健局スタッフが保健施設に直接見に行き、「医療従事者が日々どのように仕事を行っているか?」また、「どんな問題に直面しているのか?」を知ることは、非常に有意義だと感じました。

スライド5保健局スタッフと保健センター局長、医療従事者がモニタリング活動の事後評価を行う様子

今後も保健局スタッフによるモニタリングが行われ、東ティモールの未来のために、医療従事者たちが日々の業務に意欲的に取り組んでくれることを願っています。

「私が何に嬉しさを感じ、この記事を書いたか。」
皆さんに少しでも理解してもらえると嬉しいです。

以上で今回の報告は終わりです。ここまで読んでくださってありがとうございました!
また次回、別の記事でお会いしましょう!


文責:シェア東ティモール事務所スタッフ フレリア・ファティマ・ピント

※この事業は、皆さまからのご寄付と、外務省日本NGO連携無償資金協力や民間助成金の資金をいただいて実施しています。
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