こんにちは!
シェアで働き始めて、5年目を迎える在日外国人支援事業部の横川です。

結核支援員の登録制度

在日外国人支援事業部では、東京都外国人結核患者に対する治療・服薬支援員(通訳)の派遣を行っています。東京に住んでいる外国人の方が結核にかかると、保健師から結核の治療を継続・完了するために様々な説明をします。その際に、言葉の問題から通訳が必要だと保健師が判断した場合に、保健所の依頼を受けて東京都から支援員の派遣依頼がシェアにきます。最初に支援員として登録するためには、1年に1度行われる試験に通らないとなれません。その後は1年ずつの登録となり、更新の時期は3月としています。
 

支援員としての卒業

 まさに、今月は登録の更新する時期です。登録更新をするためには、こちら側の条件もありますが、支援員自身が更新を希望しない場合もあります。更新をしない理由としては、海外勤務が決まる、自国に戻られる、支援員として活動する時間の余裕がなくなったなど様々です。今まで登録して下さって方が、色々な理由はあるにしろ、シェアとの関係が一旦終わるのは、非常に寂しく感じます。私の中で今までの記憶がよみがえり、「初めて派遣に行った時はこうだったな」「報告書は日本語で書くので、大変だったな」「こんな相談受けたな」とその方々の顔が浮かびます。


ディパックさん
ネパール料理屋にて「応援してます」


次のステージに進む支援員

 今年度の登録更新を辞退された1人は、ネパール語の通訳として活躍していた方です。彼は、自分のお店を開いたので忙しくなり「今年度をもって支援員を辞退したい」と聞き、最後に面談として会いに行きました。現在、彼はお店のオーナーとして、毎日ホールを仕切って、一生懸命働いています。その日は雨の日にもかかわらず、半分以上の客席が埋まっていましたが、彼の悩みは目下「もう少しお客さんが増えること」だそうです。そして彼は最後に「仕事が落ち着いたら、また、通訳として困っている人の助けになりたい」と話してくれました。


ディパックさんのお店の料理
バターカレーと野菜のカレー


選択した道

支援員として登録して下さったいる方々には、当然ですがそれぞれの人生があります。それぞれの分岐点で登録を継続するかどうするかを悩んでいる方も多くいます。私たちは、その時の気持ちに寄り添うことしかできませんが、支援員が選択した道が自分自身で、「これで良かった」と思えるように、心から願っています。





在日外国人支援事業部
横川 峰子



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9年ぶりにアメリカに行き、人気のグルメバーガーを食べ歩き、幸せを感じて帰国したら、太ってしまった、在日外国人支援事業部の横川です。


タワンの活動

 タワンは、2006年に健康に関する問題を抱えた在日タイ人を支援するために、タイ人ボランティアによって結成されたグループです。今年で活動期間は12年目に入りました。活動は主に4つあり、1.電話による健康相談(タイ語)、2.知識/情報の普及活動(主にHIV/AIDS)、3.地域での無料健康相談会開催、4.通訳 です。


タワン活動振り返りワークショップ
 
2月18日にタワンメンバーと共に、丸1日を費やし活動評価を行いました。今までなかなか、タワンの活動を振り返り、評価をする機会がありませんでした。話し合いは、工藤さんの協力のもと、過去12年間の相談電話の件数、在日タイ人のHIV/AIDS患者のデータ、在日外国人の健康保険加入の割合、タイや日本の社会的な背景をもとに、振り返りました。

現在のタワンの主なメンバーは4人で、12年間活動を継続してきたので、メンバーが帰国などをして減ってしまいました。また、メンバーの年齢が上がったり、タワン以外のタイ人支援の活動が増え、忙しくなったため、タワンの活動をどのような形で継続していくかが問題でした。さらに、タワンが結成された当初は、在日タイ人のHIV/AIDSに関する相談が多くあり、HIV/AIDSに関する活動を中心に行ってきました。

しかし、12年も活動を続けていると、健康問題のニーズが段々と違う方向になってきているとメンバーが感じており、今後の活動の方向性も大きな課題でした。そこで、今後の活動の方向性を決めるべく話し合いを持ちました。


タワン評価表 評価時に使用した表(過去12年間の様々なデータを表にしています。)


活動の成果

 また、今回は活動を振り返りながらタワンメンバーに達成感を持ってもらうという目的がありました。12年間の活動を通して、タワンメンバーが何を学び、成長を遂げたのかを自覚してもらい、今後の活動につなげていきたい思いがありました。話し合いの中で、タワンメンバーから下記のような発言が聞かれました。

「最初はただの主婦で、タワンメンバーとして、在日タイ人の相談に乗っていけるのか心配だった。だけど、在日タイ人を助けてあげてと言われて、ここまで頑張ってこれた。」

「在日タイ人という当事者の立場だから、相談者を通して昔の大変だった自分を見た。今度はその人たちを助けたいと思った。」

「考えることや人に教えることによって、知識や経験が自分の中に吸収されていく。」
「人に教えることは、人から教わっていて、自分が成長している。」


IMG_0405 タワンメンバー、工藤さんと横川で話し合いをしている様子


人に教えることで、自分が学ぶ

 最初は無力だと思っていたタワンメンバーが、活動を通し、人を支えることによって感謝され、自分に自信や誇りを持つことができたようです。それが、活動を続けていくモチベーションや活動自体の継続につながったのだと考えられます。

さらに、タワンは、活動を支えてくれ、協力して下さった方がいたから、今までの活動があったと思っています。タワンは人を支え、人から支えられ、成長してきたことが、今回の振り返りから明らかになりました。
 
私自身も、タワンメンバーや、皆さんに支えられて、今後とも成長していきたいです。




在日外国人支援事業部
横川 峰子









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在日外国人支援事業を担当しています、山本裕子です。
夜型人間の私ですが、春に向かってそろそろ朝型人間に変身できないかな、と考えている今日この頃です。


医療通訳を依頼するまでの“初めの一歩”に不安を感じる医療従事者
シェアは、これまで保健医療従事者などを対象に外国人医療や医療通訳についてのセミナーを開催したり、講師として医療機関等へ伺う機会を経験しています。そのような場面でよく、保健医療従事者から「医療通訳を活用したいが、医療通訳が正しく通訳しているか分からない」、「医療通訳がきちんと通訳しているかどうすれば分かるのか」などの質問を受けることがあります。

こうした質問をされる人の多くは、普段は、家族や友人、知人など、通訳の訓練を受けたことがない“患者本人よりも日本語が話せる人”を通訳として活用している人たちです。通訳の“代わり”を任せられてしまう家族や知人より、訓練された医療通訳の方が質の高い通訳ができることは明白な気がしますが、不思議とこのような発言が聞かれます。
このような質問には、経験を経ないと理解するのは難しいと思われるので、「まずは一度、医療通訳をお願いしてみましょう」とお答えしています。


実は、医療通訳活用の機会が少なかったシェアスタッフ
シェアは、2017年にはネパール人女性と共に開催した日本の母子保健サービスの勉強会や、無料出張健康相談会で実施した母子保健相談などさまざまな場面で、スタッフが外国人と話す際の通訳を当会の医療通訳に担ってもらう機会がありました。
出張健康相談会や医療通訳派遣など普段のシェアの活動では、私たちは調整をする役割であることが多く、外国人の皆さんと通訳を介して直接話すような機会は限られていました。
しかし、昨年は通訳を入れて外国人と話す機会が増えたことで、改めて、訓練された通訳者の能力の高さを実感しました。一方で、通訳の訓練を受けていない人々にも通訳として協力してもらう機会もありました。
これらの機会を通じて、通訳の活用について、私が感じたことを少しお話しします。


訓練を受けたことがない通訳者を介して話してみて感じたこと
 通訳を活用する側は、患者、通訳者が訳す言語が分かりません。そのため、どんな話をしているのか想像しながら会話を見守ることになります。通訳の訓練を受けていない人に通訳をお願いした時、私が話した会話文と比較して、通訳された会話文があまりにも長いと感じたことがありました。
また、訳文を聞いていると、明らかに私の会話に出てきていない日本語の単語が聞こえてきたことがありました。その言語を理解できる別の方がたまたまいたため通訳内容を聞いてみると、通訳者は訳しきれなかった部分を補うため、自身が持っている情報から補足をしていたことが分かりました。
言語が理解できなくても、正しく訳されていないことに気づけるポイントはいろいろあるということを知りました。


訓練を受けた医療通訳者の支援を得て感じた“質”と訓練の大切さ
 訓練された医療通訳の場合、私達が話す会話の区切りに合せて、ぽんぽんと通訳されていきます。私たちの話が長くなった時は、通訳の方から区切りを入れてもらえました。訳された文章の長さも、私たちが話す会話文の長さとかけ離れたものではありません。私のつぶやきや相槌も、タイムリーに訳してくれた時には驚きました。通訳がそこにいるのにいないような、私と外国人とが直に会話しているような感覚を持ちました。そして、訳しづらい内容や、補足が必要な文章の場合は、通訳者は不明点を聞き返したり、「この訳で合っているか」などその都度聞いてきてくれます。

2018-2-9山本ブログ用 pic

訓練を受けた通訳のサポートを得て実施したネパール人女性対象の勉強会


通訳を活用する側の会話の癖を知る
私が訓練を受けた通訳を入れて初めて講義を担当した際、私の会話の癖として、主語を省く、文章が長い、文章を明確に区切らないという傾向があることが分かりました。日本語はあいまいな表現を多用する傾向があります。意識して言い切る、はっきりした短文にしていくには、私達も準備やトレーニングが必要です。

医療通訳活用を介したコミュニケーションの機会を増やすことは、保健医療従事者などの活用する側の話し方が、相手に明確に伝わるものになるようスキルアップするチャンスにもなり得ます。是非、自身のコミュニケーションの質を高めるためにも、積極的に医療通訳を活用してみて欲しいと思います。


在日外国人支援事業担当
山本 裕子




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寒い夜に猫2匹と寝るのが習慣になりつつある、在日外国人支援事業部の横川です。


技能実習生の立場
 11月1日(水)にシェアで、「★技能実習制度」とういうテーマの勉強会をNGO労組国際共同フォーラムとの協働で行いました。皆さん、新聞などで「技能実習生」という言葉を目にする機会が増えているのではないでしょうか。私たち在日外国人支援事業部も、外国人医療電話相談や東京都の外国人結核患者への通訳派遣を行う中で、相談者や患者の立場が「技能実習生」であることを、ここ1,2年でよく耳にします。


患者さんの思いを裏付ける根拠とは
 ある時、「患者(技能実習生)さんが結核になったからという理由で、国に帰るように言われているが、患者さんは帰りたくないと思っている」という話を耳にしました。シェアとしては、結核と診断をうけた患者(技能実習生)さんは、日本できちんと治療を完了できることを願って支援しています。しかし、病気を理由に契約期間途中で帰国させられてしまう状況に対して、どのような根拠をもってして、日本で治療継続する権利を主張できるのか判断つかない状態でした。自分の知識不足が患者さんの治療を中断させてしまうかも知れないと思い、技能実習生の権利保障と制度の見直しを求める活動を行っている「外国人研修生権利ネットワーク」とういう団体があることを知り、早速、電話をかけてみました。


病気を治す権利と仕事を継続する権利
 相談した電話口で「技能実習生も労働者の一人です。労働者として、働き続ける権利や病気を治す権利は誰にでもあります。」という言葉にホッとしました。ホッとしたのもつかの間、自分が正しい情報を知らないがゆえに、今までにもサポートできた人を見過ごしてしまったのではと不安になりました。勉強をして、自分の置かれている立場で何ができるのかを考えなくてはと思い、シェアの勉強会を開くことを思い立ちました。講師には、電話で相談にのって下さった、外国人研修生権利ネットワークのメンバーでもあり、全統一労働組合の佐々木さんをお招きしました。

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勉強会の様子

白熱する思い
 参加者はシェアのスタッフやインターン、NGO労組、外国人支援でシェアと関係のある医師などが参加し15名ほどの会となりました。佐々木さんのお話は、技能実習制度の仕組み、概要、制度的な問題、ケース紹介など多岐にわたりました。佐々木さんの話が衝撃を受ける内容で考えさせられることが多く、参加者と質疑応答は白熱したものとなり、予定時間が30分もオーバーしました。

共に考え、共に行動する
 私がその場にいて感じたことは、参加者の皆さんがそれぞれの置かれた立場で何ができるのかを模索しているように思えました。1人で出来ることは小さいかも知れませんが、それぞれの立場でするべきことを努力し、周りの共通する思いを持っている方々とつながっていくことで、「技能実習生」における問題もすっきり解決はできなくとも、前進できることがあるのではと考えさせられました。
来年度も皆さんのお力を借りて、共に考え、共に頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

★「技能実習制度」は技能移転を目的とし、途上国の外国人に対し、期間を区切って実習生として労働者を受け入れる制度です。国際貢献の建前に対し、割安な労働確保ではないかという批判があり、11月から新制度が始まったところです。




在日外国人支援事業部
横川 峰子


シェアでは冬の募金キャンペーンを行っております。
この冬も、どうかあたたかいご支援をよろしくお願いします。

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在日外国人支援事業部で外国人医療相談の担当をしている廣野です。シェアの事務所がある台東区の上野動物園で生まれた赤ちゃんパンダ香香(シャンシャン)は、無事に成長して来月公開とのこと。ぜひ観に行きたいなぁと思っています。

セミナー開催の背景と目的
さて、9月末から当会ホームページやfacebookでも告知させていただいた通り、11月4日(土)に、台東区立ふれあい環境館ひまわりにおいて、シェア・セミナー「医療通訳にできる20のこと~医療従事者にとって医療通訳とは何か?~」を開催しました。当日は看護師、保健師、医師などの医療従事者を始め、医療通訳も多く、約60名の参加者で会場は満席となりました。

このセミナー開催の背景には、留学生や技能実習生の増加に伴い、外国人の受診機会がますます増えることが見込まれる中、医療現場でインフォームドコンセントを得るために、訓練された医療通訳の存在が不可欠であるという認識は未だ十分に行き渡っていないという現実があります。一方で、医療従事者が医療通訳の必要性を認識して医療通訳を手配したいと考えても、地域によって通訳確保が制度面、財政面でも十分に整備されていないという実態もあります。

そこで、シェアではまずは医療従事者の皆さんに医療通訳を活用する意義、メリットをお伝えし、医療現場で通訳活用の機会が創出される一助になること、そして、それがひいては医療通訳制度整備の充実に繋がることを目指し、医療通訳活用をテーマとしたセミナーを開催することにしました。

医療通訳にできる20のこと
今回は当会副代表で医師の沢田貴志、公益法人結核予防会総合健診推進センター呼吸器科医師高柳喜代子さん、当会医療通訳(ネパール語、ヒンディー語)のマラ・スミタ・マンジャリさんを講師として迎えました。沢田からは外国人診療に関わる課題や背景、言葉の問題の現状、通訳活用の技術などについて話しました。そして、高柳さんからは自身の外国人の結核治療において医療通訳を活用されている立場から、医療通訳が医療チームの一員として果たしている役割などについて、マラ・スミタ・マンジャリさんからは医療通訳としての経験から、医療通訳が入ることによってもたらされる患者さんの変化や、文化的な解釈の違いなどの話がありました。

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【ユーモアと示唆に富んだマラ・スミタ・マンジャリさんのお話に聴き入る参加者】


そして、それぞれのお話の中から、医療現場に通訳者が入ることの意義やメリットをとりまとめ、以下の通り、このセミナーにおける「医療通訳にできる20のこと」としました。20番目を「あなたにとって」でブランクとしたのは、参加者が講師の話の中から自分の視点で「医療通訳にできること」を見つけたり、医療従事者がこれから医療通訳と共に働く中で、新たな「医療通訳にできること」を見出すであろうという思いを込めてのことです。

20のこと


医療通訳の大変さを知ったロールプレイ
参加者は講義を聴くだけでなく、ペア(患者/医師役1名、通訳役1名)になって、がん治療を題材にした医師と患者のやりとりの台本をもとに、通訳の仕事を少しだけ体験できるロールプレイをしました。このロールプレイでは医師役が日本語で話した内容を、通訳役もそのままメモを取るなどして、日本語で話します。日本語話者にとっては、「日本語→日本語」ですから、それほど難しくないように思われるかもしれません。しかし、実際に取り組んでみると、その予想は覆ります。「耳で聞き取った日本語を、正確に日本語に訳すのがこんなに難しいとは!(ましてや外国語に訳すのであれば・・・)」「集中力が続かない。」「医療従事者が一息に長文で話すと、日本語であっても訳すのが大変だ。」などの声が聞かれ、医療通訳が現場で求められる集中力、知識と訓練などを伺い知ることができます。一方で、医療通訳を介して話す医療従事者にとっては、使う用語、話すスピードや文章の長さなど、どのようなことに気をつけながら医療通訳を活用すればよいのか、通訳の立場から考えることができたと思います。

おわりに
参加者から回収したアンケート結果をみると、医療従事者の方からは「医療通訳について理解を深めることができてよかった」、医療通訳者からは「医療通訳について医療従事者に知ってもらうことができてよかった」というものが多かったように思います。つまり、医療従事者と医療通訳が相互に理解を深める機会が普段あまりない、ということなのではと感じました。こうした参加者の声に、これからシェアがどのように関わっていけるのか、これからも考えて行きたいと思います。
最後に、今回のセミナーは2016年に多くの皆さまからお寄せいただいたクラウドファンドを活用して開催することが出来ました。ご支援下さった方々に深く感謝を申し上げます。





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在日外国人支援事業担当
廣野 富美子
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