こんにちは。おいしいコーヒーが大好きで、休日に娘と一緒にカフェめぐりにはまっている、在日外国人支援担当の横川です。おすすめのカフェをご紹介しますので、いつでもお声をかけて下さい。

さて、今回は結核における通訳の必要性についてお話したいと思います。

新登録結核患者における外国出生数及びその割合いの増加
 東京都において、平成28年新登録結核患者のうち外国出生数の割合は13.2%となっています。全国平均である7.6%と比較すると、約2倍です。さらに、東京都において、平成23年の新登録結核患者における外国出生数の割合は6.4%(全国平均4.1%)だったのに対し、5年で倍近く増加していることになります(下記グラフ参照)。
ブログ
(出典:東京都結核予防推進プラン2018)

外国人結核患者に対する治療・服薬支援員の派遣数の増加
 シェアは、東京都からの委託事業として、外国人結核患者に対する治療・服薬支援員(医療通訳)の派遣・育成事業を行っています。この事業の目的は、結核に罹患した外国人出生者の言葉の壁や心理的不安を軽減し、治療を促進、服薬中断を防止することです。上記に記したように、東京都における新登録結核患者における外国出生数の割合が、過去5年で倍近く増加していること、さらに、平成23年の通訳派遣数は147件だったのに対し、平成28年の通訳件数は228件となり、過去5年で通訳派遣数は1.5倍に増加していることからも、今後の通訳派遣事業の必要性がご理解いただけるかと思います。

治療・服薬支援員研修実施
 この事業では通訳派遣と共に医療通訳の育成事業にも力を注いでおり、1月17日に医療通訳に対してのフォローアップ研修を行いました。現在、医療通訳は、16言語49名が登録をしています。研修では、結核の最新治療情報や外国生まれの結核患者の課題と対策などを勉強し、知識向上に役立てました。また、通訳からは、日々、疑問に思っていた結核に関する沢山の質問が出たため、講師からその一つ一つに丁寧な説明がありました。医療通訳は、派遣された時に自分のベストが尽くせるように、結核の勉強をしたり、通訳技術を磨いたりと努力を惜しみません。そのような姿にいつも頭が下がる思いです。



IMG_20190117_192908グループワークをしながら、結核に対する疑問を皆で出し合っている様子。

通訳派遣の意義
 統計的に見ても通訳派遣の必要性はわかると思いますが、結核の治療完了を促していくために通訳の存在が欠かせません。結核の治療は最短6ヶ月の服薬とその後のフォロー期間も含めると2年半かかります。これは、とても長い治療期間です。そのため、結核の治療をする意義や服薬の必要性を十分に患者さんが理解していないと、長い期間を乗り切ることが非常に難しくなります。薬の副作用が出た時、薬が変更になる時、退院した時などに、母国語での説明が治療を継続する鍵となります。また、通訳が入ることで、患者さんがいつもより多くのことを話してくれたり、笑顔を見せてくれることもあります。今後も通訳と共に、患者さんの笑顔が見られるような支援を目指し努力していきたいと思います。




在日外国人支援事業部
横川 峰子
このエントリーをはてなブックマークに追加
在日外国人支援事業を担当しています、山本裕子です。
久しぶりにブログ登場です。テレビ情報なので効果が本当にあるか分かりませんが、最近は、悪玉コレステロールを減らすために、トマトをなるべく毎日食べるようにしています!

さて、本日は、10月21日に開催した「母子保健のためのネパール語通訳基礎研修」で気づいたことについてご報告したいと思います。


通訳の訓練を受けたことがない同国人が“通訳代わり”となっている実情

シェアと一緒に活動しているネパール人女性ボランティアのうち、通訳として活躍できるよう日々努力している人がいます。彼女は、知人やコミュニティから相談を受けて、まだ通訳として訓練を受けたことがない段階から、妊婦健診への同行通訳や、大変なときには病院から帝王切開の際の同席による通訳まで求められたりしてきました。当然全てボランティアです。“通訳代わり”は、通常通訳の訓練を受けていない人たちですので、誤訳が起きていてもこの人たちの責任ではないのですが、無謀な通訳を求められていると感じたときは、“通訳代わり”の皆さんの身を案じてしまいます。

彼女たちがそうせざるを得ない背景として、外国人妊婦が日本語を話せない場合、多くの病院は“通訳代わり”として妻よりも日本語ができる夫や友人・知人などを、妊婦自らが確保して健診の際に“毎回”連れて来られないと出産を病院に受けてもらえない、という切実な事情があります。夫が一回だけ同席できない状況が起きたことで病院はその後出産受入を断った、というケースもありました。

また、東京都内の多くの保健センターは、母子保健分野で通訳を活用できる環境が整っていません。医療現場ほどの切実さが“保健”の現場では感じられないからだと2015年にいくつかの保健センターからお話をお聞きした際に把握したのですが、その後母子保健分野での通訳派遣依頼におけるやりとりを通して感じた、現場の保健師さん達の本音は、通訳が活用できる環境があればどれだけ助かるか!ということです。中には、まず通訳に来てもらうための予算を獲得するところから奮闘し、結局理解を得られず困っている保健師さんもいらっしゃいました。

IMG_0499


保健や医療の通訳の基礎について説明する講師の森田さん


母子保健のためのネパール語通訳基礎研修を開催

このような状況を少しでも改善していくために、医療通訳まではできなくても保健センターが実施している赤ちゃん訪問や乳幼児健診などの、医療用語や複雑さが少ない母子保健の場面での通訳ができる人たちを育てたいという思いで、「母子保健のためのネパール語通訳基礎研修」を計画しました。東京都内で当会が活動でつながりのある地域のネパール人コミュニティを中心に広報し、5名(ネパール人3名、日本人2名)が参加してくれました。日本人のネパール語通訳も増えていけばうれしいと思っていましたので、ネパールの青年海外協力隊OGが参加してくれ、有難いと思いました。

IMG_0505


通訳練習のロールプレイを終えての質疑応答の様子



実は母子保健分野の通訳は一般医療通訳よりも難しかった!


研修では、まず、日本の母子保健サービスについて簡単に説明をしながら、どのような場面で通訳が必要とされているのか説明をしました。そのあと、保健や医療の場面での通訳の基礎について、シェアの医療通訳であり全国医療通訳者協会(NAMI)代表理事の森田直美さんが講師として、ワークを交えながら講義を行ないました。そして、妊婦健診や赤ちゃん訪問における通訳場面をシナリオにして、通訳を実際にやってみるロールプレイを行ないました。

そのロールプレイを通して、通訳する上での疑問がいろいろ出てきました。“陣痛”をネパール語で伝える際に直訳できる言葉はあるのですが、陣痛はどのような痛みなのか、おなかが引っ張られるような痛みなのか、収縮するような痛みなのか、膨らむような痛みなのか、などという議論になりました。また、お腹が「張る」は、ネパール語にはそのまま訳せる言葉がないということで、お腹が張るとは引っ張られる感じなのか、どんな感じなのかについてもみんなで確認しあいました。その他、子宮底長とは、など母子保健分野独特の専門用語があることにも改めて気づかされました。それを助産師や保健師がそのまま使ってしまっている現状がありそうです。臨月、おしるし、腹帯、などなど日本独特の伝統的な表現もあります。母子保健分野が、医療現場での通訳より難しくないと勝手に思い込んでいた私としては、“あれあれ、母子保健分野の通訳って実は難しい!”と気づくことができました。その話を講師にしたら、「風邪などの一般医療の通訳よりも母子分野の通訳は難しい」と教えてくださり、医療通訳と同等のスキルが求められ、さらに母子保健分野独特の用語への対応が求められることを学びました。

1月には、参加してくださった方々がステップアップできるように新たな研修を企画しています。今回の学びを活かして、より良い研修ができるよう準備していきたいと思います。



在日外国人支援事業担当
山本 裕子


このエントリーをはてなブックマークに追加
こんにちは!家の猫と一緒に寝ると気持ちよい季節になりポカポカしている、在日外国人事業担当の横川です。

無料健康相談会
 去る、9月17日(祝)に外国人のための無料健康相談会を開催しました。今回は、昨年の健康相談会の内容に加え、パパ・ママ対象の沐浴と栄養講習会を新たに取り入れました。沐浴講習会は2回実施し、総勢13名(6家族)が参加して下さり、栄養講習会も同じく2回行い、沐浴講習会に参加して下さった皆さんが出席しました。参加者はほとんどがネパールの方々でしたが、ベトナムの方も1名いらっしゃいました。

沐浴講習を行うに至った背景
 在日外国人支援事業部は3年前より母子保健の活動を行ってきています。ネパール人妊産婦の自宅に訪問し、妊娠中・産後における不安や相談にのったり、行政のサービスがきちんと受けられるようにサポートをしています。その中で、「両親学級で沐浴について学びたいけど、言葉がわからない」「ネパールには日本のような沐浴の習慣がない」との声が多く聞かれています。最初は行政や病院で行う沐浴指導の場に、通訳を派遣したいと考えたのですが、なかなか難しい状況でした。そこで、健康相談会の中で通訳をつけて沐浴講習を実施しようと考えつきました。


IMG_7594
沐浴講習の実施風景

参加者の声
 通訳を通して言葉がわかる状況下で沐浴や栄養の講習会を行うと、言葉に対する心配がなくなり参加者から多くの質問が出ます。「赤ちゃんの顔にできる湿疹は大丈夫ですか。」「おへその消毒はいつまですればよいのか。」「離乳食は何から始めたらいいのですか。」「卵は食べさせて良いですか。」など。赤ちゃんに対する親の思いは、国境を越え同じのようです。


IMG_7618
栄養講習の様子

行政との連携
 さらに、今回の健康相談会は昔から支えてくれている多くの健康相談会ボランティアに加え、相談会を開催した地域の保健センターの方々の協力を頂き開催しました。母子相談に相談員として参加して頂いたり、沐浴指導のサポートを行って頂きました。保健センターの方からは「同じ言語の方だけで沐浴指導を行うのは良いですね。」と感想を頂き今後、自治体が行う両親学級などに、言語別の両親学級が誕生したら嬉しい限りです。

初めての試みを通して
日本語を話せない外国人妊婦に様々な問題が起きています。妊婦健診時に通訳が毎回同席できないため、転院や帰国を余儀なくされたり、言葉の問題で母親学級や両親学級などのクラスに参加できない、入院時の時期や方法がわからない、などといったことが出現しています。問題は山積みで何から解決していけば良いのかと途方に暮れる日々ですが、彼女たちが少しでも安全で安心して出産や育児ができる状況を作れるように、今回は最初の一歩として沐浴と栄養の講習会を開催しました。外国人の母親にとって良い環境は、シェアだけではとても作り出せず、多くの方の協力とくに自治体の協力は地域で暮らしていく外国人の母子のためには必要不可欠な存在で、今回、自治体と連携できたことは非常に嬉しい一歩となりました。これからも、皆さんと一緒に考えながら少しでも外国人母子にとってより良い環境を作れるように努力していきたいと思います。





在日外国人支援事業部
横川 峰子
このエントリーをはてなブックマークに追加
時代の要請に応えて誕生した「教科書」
 2017年、文部科学省高等教育局医学教育課より、看護学生・医学生・歯学生の教育モデル・コア・カリキュラムが改定され、多様なニーズに対応できる医療職の養成が学修目標に挙げられました。国際社会における医療の現状と課題を理解し、実践するための基礎的素養を身に付ける、患者の文化的背景を尊重し、地域医療の中での国際化を把握し、価値観の多様性を尊重した医療の実践に配慮することができるというものです。本書は、この教育カリキュラムの学修目標を実現するための「教科書」として誕生しました。


李先生の本写真 (2)
 『在日外国人の健康支援と医療通訳 ―誰一人取り残さないために』 
 編著 李節子 杏林書院 ¥2,500(税別) 
 副代表の沢田貴志、スタッフの山本裕子も執筆しています


「Leave no one behind:誰一人取り残さない」と「在日外国人の健康支援」
 2015年9月25日、第70回国連総会で「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」・「17の持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました(2016年1月1日発効)。私たちの地球・惑星の未来を真剣に考え、理念を共有したことは、人類の英知であり、画期的な「歴史」といえます。この人類の憲章の根底に流れる理念は、“Leave no one behind”です。
 日本の保健医療福祉制度は、世界に誇れるすばらしいものです。しかし、「在日外国人」の健康支援には、まだ多くの課題が残されています。そこで、本書では、「Leave no one behind:誰一人取り残さない」の視点から、在日外国人の包括的な健康支援にスポットを当て、構成しました。これまで、長年、在日外国人の健康支援を実践してきた経験豊かな全国の専門家の方々に、グットプラックテイス事例を展開・よりよい実践例を提示していただきました。「命を守る」その取り組みの内容には、心を打つものがあります。SHAREのメンバーにも、重要な章を担当していただきました、まさしく、「Health for ALLのために」です。

在日外国人に関する保健師助産師看護師国家試験問題解説―問題を解く「カギ」
 日本の国際化が進む中、看護専門職(保健師、助産師、看護師)の国家試験にも、在日外国人の健康問題をテーマに関する問がよく出題されるようになりました。国家試験で問われているのは、「看護の基本」となるものです。看護の対象が「外国人」であっても、看護専門職の本来業務、倫理的責務はかわりません。対象者に必要とされる看護を実践するには、どうすればいいのか、基本的な理解が問われているだけです。本書では、これまで、実際に出された国家試験問題を紹介し、その問題を解くための「カギ」を解説しました。看護専門職国家試験対応テキストとなっています。

 非人間化が進み、殺伐とする時代、混沌とした社会では、「医療人の本来業務と倫理的責務」が、これまで以上に、価値を帯びていきます。医療人としての、原点に立ち戻り、人間の命を救うためには、何ができるのか、何が求められているのか、何を変えることができるのか、是非、一緒に考えていきましょう。
本書がその一助となれば幸いです。

李節子顔写真
シェア理事
長崎県立大学大学院人間健康科学研究科教授
李節子




このエントリーをはてなブックマークに追加
皆さま、こんにちは。在日外国人支援事業部で外国人医療相談の担当をしている廣野です。
西日本豪雨により被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

シェアは「移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」(http://migrants.jp/)に団体会員として関わっています。そして、6月9日(土)、10日(日)に、札幌市の北星学園大学で開催された「移住連ワークショップ2018 in 札幌 私達がつくる移民政策」に私が参加しましたので、ご報告します。

「医療・福祉・社会保障」分科会への参加
ワークショップ1日目は「排外主義を克服するために〜体験的アジア交流論〜」と題した植村隆さん(元朝日新聞記者・韓国カトリック大学客員教授)の特別講演に引き続き、参加者が「技能実習」、「移住女性・貧困」、「入管・難民・収容」等各関心分野に分かれての分科会が開催されました。私は昨年に引き続き、「医療・福祉・社会保障」分科会に参加をしました。参加者は9名と小規模だったものの、外国人支援団体や労働組合のスタッフ、医師、医療通訳、福祉関係者、そしてマスコミの方と、バラエティに富んだメンバーが顔を揃えました。

分科会での学び
分科会では、2017年11月、2018年3月に行われた移住連の「省庁交渉」(「省庁交渉」:移住連が在日外国人の支援現場における現状を関係各省庁に対して伝え、法制度改善等に向けて提案や情報の公開請求を分野別に行う場)の報告がなされました。取り上げられた事項としては、医療通訳費用負担に関する厚生労働省の通知をめぐる解釈や、公的な医療保険加入が難しい外国人の自立支援医療の適用について、などがありました。また、省庁交渉とは別に、国籍/在留資格が不安定な子どもの児童手当の適用をめぐる審査請求に関する報告などもありました。外国人住民のニーズに対する公的なサービス提供の適用や制約の実態に対し、法的根拠やその解釈、正当性をめぐる議論について正確に理解することはとても重要です。また、支援に携わるにあたっては、例えば「この人は在留資格がないので、支援が限られてしまうかも知れない」というようなバイアスを捨て、まず「この人にとって何が優先されるべきことなのか」という意識を明確に持つことが大切だということを改めて学びました。

移住連分科会
分科会のようす


政策提言に向けて
2日目は、国連のSGDs(持続可能な開発目標)などの国際的な動きも確認しつつ、2019年に移住連が発表を目指す政策提言の策定を念頭に、移民社会を支えるために必要なコンセプトを参加者全員がワークショップ形式で出していきました。また、国内については、6月に閣議決定された外国人労働者受け入れの拡大方針を含む「骨太の方針」に関する情報の共有がありました。政策提言の策定に向かっては、「骨太の方針」を含めた多くの課題に対して、労働、保健医療、母子、法的支援など専門性が異なる団体等が連携して、より有効な提言を創り出していくことが重要だと考えます。また、移住者など当事者の声の反映が十分になされるプロセスが必要になると思いました。

全国ワークショップを振り返って
全国から集まった移住者や移住者に関わる人たちと言葉を交わし、情報を交換する機会を得ることができたこの2日間は、私にとって貴重な時間となりました。また、政策提言を念頭に自分が大切だと考えていることを言語化するという作業も、自分がシェアでの活動を通じて得た価値観の再認識に繋がりました。この2日間に得た情報と参加者からもらったエネルギーを糧に、外国人医療相談に寄せられるさまざまな課題に向き合って参ります。

来年は、シェアの事務所がある東京で6月1日、2日の日程で移住連の「全国フォーラム」は開催されます。近隣県の方はぜひご注目ください。




hirono

在日外国人支援事業担当
廣野 富美子

このエントリーをはてなブックマークに追加