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こんにちは。在日外国人支援事業部の山本裕子です。5月から、当事業部のスタッフにもうひとりの“山本さん(山本貴子)”が加わったため、“裕子さん”と呼ばれる機会が増えてきた今日この頃です。シェアで働き始めた十数年前も同様の理由で呼ばれていたため、“裕子さん”と声をかけていただくと、その頃を思い出し、新鮮な気持ちになります。


女性普及員との別れと新たな出会い

さて、8月の半ばに、これまで約4年半にわたり、女性普及員(female health promoter 保健ボランティア)としてネパール人妊婦やお母さんたちの健康のために活動してくれたザヌカさんがネパールに帰国しました。当会の機関誌「ボン・パルタージュ」の最新号(168号)に、ザヌカさんのこれまでの活動への想いを掲載しましたので、すでに読んでくださった方もいるかもしれません。まだまだ日本で専門性を活かしながら、シェアの活動も続けていくことを望んでくれていたので、大変残念です。コロナ禍になってから直接会えることなくお別れとなってしまいましたが、将来、ネパールへ行き、直接会いたいなと思っています。

そんな中、うれしい出会いもありました。9月5日に新たな女性普及員が加わりました。もう一人の女性普及員、ススマさんの紹介です。この日は、初めて新しい女性普及員に参加してもらい、リモートでのミーティングと妊婦訪問を行いました。

ザヌカ様ボンパルタージュ写真  サイズ調整
8月に帰国した、女性普及員のザヌカさん



新メンバーと共に行ったリモート妊婦訪問

いつものように、女性普及員が、フリップチャートを活用しながら母子保健サービスや必要な手続きについて説明をしました。そして、困っていることなどいろいろなお話を伺いました。お話を聞いた限りでは、妊婦よりも日本語ができる夫の支援を得て、妊婦健診にも通えており、特に大きな問題はない様子でした。しかし、妊婦歯科健診受診票をもらっているのに、それは使わず自費で健診を受けてしまっているなど、情報不足による影響も見受けられました。

産後は基本的には夫婦2人だけでの子育てとなるため、産後自宅での沐浴の支援を受けられると聞いたがどうなのか、現在23週で9埖僚鼎増えたのが気になっている(医師から今後体重が増えすぎないように指導されている)、本に下腹部を温めるように書いてあったけど必要か、などについて質問を受けました。

居住区の保健センターで日本語で開催されている母親学級に、自分より日本語ができる夫と共に申し込めたら参加しようと思う、と発言するなど、ある程度自力での情報収集ができる人だと感じましたが、今後も見守っていこうと思います。

0905妊婦訪問_ 編集済み
女性普及員が母子保健サービスについて説明している様子


0905-1ぼかし済み
妊婦からの質問に答えながら笑顔で話している様子



訪問活動を終えて

新しい女性普及員は、今回の訪問活動を通じて、自分自身が妊娠・出産し、子育てをしていた、昔の経験を思い出したそうです。この日が初めての参加でしたが、すでに女性普及員の活動に大変興味を持ってくれていて、今後も積極的にネパール人のお母さんたちのサポートに加わってくれそうです。
シェアとしては、1日も早く、先輩女性普及員のように、妊産婦へスムーズに母子保健サービスの説明ができるよう、今後、研修を企画していく予定です。

※この活動は、立正佼成会一食平和基金の助成を受けて行っています。






在日外国人支援事業担当
山本 裕子

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こんにちは、シェアの共同代表の仲佐です。
シェアでは昨年11月から、東京都の委託を受けて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の軽症者等宿泊療養施設に医師を派遣して新型コロナ対策に協力しており、国際保健NGOとして重要な仕事と考えています。一時、軽症者数は減りましたが、オリンピックを迎えた現在、緊急事態宣言中にもかかわらず、人々の外出自粛がされてないことも重なり、次第にその数が再び増加しています。



新型コロナウイルス感染症の流行状況
日本における新型コロナの流行状況は、世界と同じ動きをしており、様々な変異株が現れ、その感染力が高いため、流行が収まりません。7月現在、インド変異株(デルタ株)の流行により、アジアでの流行も再拡大しています。世界中で予防接種が進められてはいますが、ワクチン供給の不均衡や変異株の流行、感染対策の規制緩和などにより、感染者数は再増加傾向となっています。

日本のCOVID-19流行

陽性者数(厚労省)国内の新型コロナウイルス感染症陽性者数の推移

・厚生労働省. 「国内の発生状況など」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html, (参照2021-07-28)


世界のCOVID-19流行

陽性者数・死亡者数(WHO)世界の新型コロナウイルス感染症陽性者数及び死亡者数の推移

・WHO. 「Weekly epidemiological update on COVID-19 -20 July 2021」.
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---20-july-2021, (参照 2021-07-28)


ワクチン接種の状況
現時点では、世界でも、日本でも、多くの人がワクチン接種を受けることが、流行終結への一番の近道だと考えられます。

日本の住民基本台帳(住基)に登録されている外国人住民にも、ワクチン接種を受ける権利はあり、日本人と同様に接種券が送られています。7月末までに希望する高齢者への接種を終了し、その後、基礎疾患(持病)を持つ方、一般の方への接種を進め、希望するすべての対象者への接種を本年10月から11月にかけて終えることを目指しています。

接種予約に関して、郵送された書類のわかりにくさやネット予約の複雑さなどにより、多くの高齢者が予約を取るのに苦労したと報道されましたが、日本語が不自由な外国人の方々にとっても、予約を取るのは大変です。また、「予診票(予防接種の問診票)」の記入も、外国人の方々にとって大きなハードルになっています。厚生労働省のホームページには、いくつかの言語に翻訳された予診票が掲載されているのですが、この翻訳を見ながら、日本語の予診票に記入しなくてはならないからです。

さらに、厚生労働省の見解としては、非正規滞在の外国人の方々も基本的にはワクチン接種の対象とする方針としていますが、現時点では、住民登録のない3か月以下の在留資格の方や仮放免以外の非正規滞在の方へのワクチン接種は進んでいません。


世界のワクチン接種状況

世界のワクチン接種回数(NHK)世界のワクチン接種回数(100人あたり)

・NHK特設サイト新型コロナウイルス. 「世界のワクチン接種状況」.
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/world_progress/, (参照2021-07-28)


想像以上に簡単に感染する新型コロナウイルス
新型コロナウイルス感染の特徴の一つが、無症状患者や症状が出る2日前から、人に感染するということです。
昨年の流行第一波中の2020年3月〜5月に発生した無症状患者および発症前陽性者からの感染報告によると、当時3密を避ければ感染しないといわれていましたが、実際には、3密のうちどれかが守られなかったことで感染が起こっていたことがわかります。

無症状患者および発症前陽性者からの感染事例の分析

無症状患者および前発症期陽性者からの感染事例「日本における無症候性陽性者および前発症期の陽性者との接触による新型コロナウイルス感染事例の分析」より

・田中英夫ほか. 「日本における無症候性陽性者および前発症期の陽性者との接触による新型コロナウイルス感染事例の分析」. 『日本公衆衛生雑誌』. J-STAGE早期公開, doi:10.11236/jph.20-145


現在の変異株は、従来のウイルスより、その感染力が2倍近くのものもあり、従来よりも簡単に感染する可能性があります。無症状患者および発症前の陽性者からも感染することから、感染者を避けることは難しく、誰からでも感染する可能性があると考えなければなりません。実際、東京都では新規感染者の60%程度が、感染経路がわからないのが現状です。


今後の新型コロナウイルス感染
ワクチンの接種率が高い国では、新規感染者数は減少しており、ワクチンの効果が明確になってきています。今後もワクチン接種が進むにつれ、世界の流行、日本の流行も収まると考えられます。

しかしながら、ファイザー、モデルナのワクチン有効率が90%以上、アストラゼネカのワクチン有効率が70%以上あるのに比べ、多くの低所得国で実施されているシノバック、シノファームのワクチン有効率は50%程度と考えられており、流行が完全に収まるには時間がかかる可能性があります。

また、多くの変異株が出ている中で、ワクチン抵抗株がうまれてくる可能性もあり、予断を許さない状況です。


仲佐保
シェア共同代表
仲佐 保

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こんにちは。在日外国人支援事業部の吉田です。関東も本格的な雨のシーズンを迎えました。湿度が高い中、マスクをつけて過ごされる時間も多いと思いますが、体調に気をつけてお過ごしくださいね。

さて、在日外国人支援事業部では、5月に、ネパール人女性普及員(female health promoter 保健ボランティア)と一緒に、昨年度の活動を振り返り、今後の計画について話し合いました。


今年も妊産婦訪問を続けます
昨年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、対面での活動は制限されましたが、リモートによる妊産婦訪問を行うことができました。妊産婦訪問では、ネパール人のお母さん達に、母子保健サービスについての大切な情報を届けるだけではなく、コロナ禍で気軽に人に会うことができなくなってしまったお母さん達に、母国語でおしゃべりする憩いの時間も届けることができました。女性普及員も訪問を重ねて、活動の手応えを感じているようでした。今年も活動の柱として、妊産婦訪問を続けることになりました。

栄養の正しい知識を広めたい
昨年、勉強会で栄養について学んだ女性普及員は、さっそくその知識を妊産婦訪問に活かしてきました。その中で、妊娠前から葉酸を摂取することが望ましいと知っているネパール人女性が非常に少ないことを実感し、葉酸摂取の必要性を多くのネパール人に知らせたいという意見が出ました。そこで、今年はFacebookを使い、どうして葉酸摂取が必要なのか、どのくらいの量を目安に摂取すればよいのか、どんな食品に含まれているのかなどを、ネパール語で発信することになりました。

また、栄養について、女性普及員自身も誤解していたことや知らなかったことが多くあったようで、勉強会後、自分達の食生活にも変化があったそうです。妊娠中だけ食事に気をつければよいわけではないと気づき、もっと若い世代にも栄養・食事の大切さを知ってもらいたいと考え、今年度はネパール人学校の生徒向けに栄養セミナーを開催してみたいというアイデアも出ました。


ミーティングの様子昨年を振り返り、栄養の話に熱が入りました


妊娠・出産・子育てについてもっと勉強したい
女性普及員から「お母さん達にしっかりと必要な情報を伝えるために、もっと妊娠・出産・子育てについて勉強したい」と言う声があがりました。妊産婦訪問で実際にお母さん達と話をしてみて、自分達もまだまだ勉強しなければならないことがたくさんあると感じているようです。女性普及員からの「母子手帳の内容を理解したい」「子どもの成長・発達の目安を知りたい」というリクエストに応え、今年も勉強会を開催することになりました。


ネパール人コミュニティと日本社会の架け橋に
子どもを産み、育てる時に、たくさんのサポートがあるに越したことはありません。日本でも様々なサポートが用意されるようになってきました。しかし、サポートがあることを知らなかったり、知っていてもどうやって利用するのかがわからなかったりして、サポートにアクセスできない在日外国人のお母さん達がたくさんいます。

女性普及員は、ネパール人のお母さん達が必要な情報やサポートにたどり着けるように、地道に活動を続けています。また、言葉が通じない中、文化も慣習も違う異国の地で、妊娠・出産・子育てをしているお母さん達にとって、自分たちのことを気にかけ、見守ってくれる女性普及員の存在は、大きなよりどころになっていると感じます。



ミーティング後の笑顔今年の計画が無事に出来上がって、みんなほっとした笑顔になりました


女性普及員も、この活動を通して、日本での生活に充実感を覚えているようです。自信をつけ、より輝いていく女性普及員と共に活動できるのは、シェアにとっても光栄なことです。
ネパール人のお母さん達が安心して妊娠・出産・子育てができるように、女性普及員の挑戦はこれからも続きます!



yoshida

在日外国人支援事業担当
吉田 美穂

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こんにちは。最近、数年前の海外旅行の番組を観ながら、海外が恋しくなり、現地に行けない分、語学に興味が出てきた、在日外国人支援事業部の松尾です。

母子保健分野の課題の一つ 〜医療通訳のニーズ〜

シェアで働きだして1年半。気づいたことの一つが母子保健分野の医療通訳の必要性です。

「夫の通訳を介して説明した時は、いつも笑顔で“大丈夫”とだけ話す外国人妊産婦さんを見て、特に問題はないだろうと思っていたけれど、医療通訳を交えて話すと、質問をしたり、わからなくて困っていると伝えてくれたり、初めて本音で話してくれたのよ。日本語でうまく伝えられないから”大丈夫”と言っているだけで、実際は困っていることも多いと気づいたわ。」
という保健師さんの話。

「在宅医療が必要な外国人のお子さんとそのご両親への支援を検討しているものの、両親が状況をどう理解し、今後どうしていきたいと考えているのかわからず、困っています。」
という保健医療従事者からの相談。

医療が必要な場面に比べ、保健の分野は、一見大きな問題はなさそうに見えるためか、医療通訳を活用する環境がなかなか整っていない現状があります。

しかし実際には、言葉の問題で、外国人妊産婦には必要な情報が届きにくく(夫や友人の通訳時には、彼らの理解度や価値観に左右された限られた情報しか伝わっていないことも多い)、子どもの予防接種などの母子保健サービスにアクセスできないでいる状況があったり、保健医療従事者が、対象者の状況がわからず、適切な支援ができずに困っていたりと、母子保健分野には幅広い通訳ニーズがあることを実感しました。


ニーズを踏まえて、新しい事業の開始 〜医療通訳の積極的活用から、支援体制構築へ〜

このような背景から、シェアでは今年4月から、赤い羽根福祉基金の支援を受け、「外国人母子の健康を守る切れ目ない支援体制構築事業」を開始しました。

この事業では、母子保健分野で医療通訳を安心して活用できる環境が整い、外国人妊産婦自身が、必要な情報を得て母子保健サービスにアクセスでき、日本で安心して出産や子育てが行えるように、また、保健医療従事者が、外国人妊産婦の状況を理解し、ニーズに添った支援が行いやすくなるように、母子保健分野での医療通訳の積極的な活用をすすめていきます。


チラシシェア母子保健通訳相談のご案内 チラシ


また医療通訳の活用を通して、保健医療従事者の、外国人母子を取り巻く状況や文化的背景等への理解が深まり、困りごとや課題等の認識が進んでいくよう、一緒に取り組んでいきます。

その他、対象地域の外国人母子支援に携わる機関で、インタビュー調査を行ったり、外国人妊婦向けの母親学級等も行っていく予定です。

主な活動対象地域は、これまで活動を続けてきた杉並区と、その周辺3区(新宿区、中野区、豊島区)で、医療通訳の相談は、その他の地域へも対応していきます。

そして、これらの活動を通して明らかになった、外国人母子の実態や課題、ニーズをまとめ、4区の関係者と共有し、連携しながら、母子保健分野の医療通訳を含む支援体制構築に向けたネットワークづくりを目指していきたいと考えています。


妊婦訪問女性普及員と通訳者と一緒に妊産婦訪問を行った時の様子


この写真のように、保健医療従事者が妊産婦訪問を行う時も、医療通訳者が同行し、ニーズに添った支援をしやすい環境が整うよう、そして外国人母子が日本で安心して暮らせるように。
詳しくはまたご報告していきます!


matsuo

在日外国人支援事業担当
松尾 沙織


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シェアの会員総会が先月終わりました。事業部としても、改めて2020年の活動を振り返る良い機会になりました。

今日は、その中でも特に、会員の皆様をはじめ、立正佼成会平和基金、ぷれいす東京、WE21厚木の皆さまなどからのご支援を受けて行った「外国人医療電話相談」について、お話したいと思います。

昨年は新型コロナウイルス感染症拡大による勤務体制を始めとした課題により、相談対応も限定的なものとならざるを得ない時期があり、ケース数は140件と昨年の8割程度に留まりました。その一方、対応数(相談者と電話などで直接やりとりをした回数、通訳や他機関との調整は除く)は430回と昨年の9割以上あり、1件あたりの対応数はかえって増えたことがわかっています。



新型コロナウイルス感染症拡大の影響

これまでも折に触れご報告してきましたが、2020年に寄せられた相談の大きな特徴は、4月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたものが多かったことです。

母子保健分野では、帰国便が飛ばず日本で妊婦健診、そして出産まで視野にいれなくてはならなくなったが、どこに行けばよいのかわからない、夫の仕事先でのシフトが減り、出産や健診費用が賄えない、出産後の手伝いに来日する予定だった家族がロックダウンで来られなくなり、忙しい夫の手も借りられず、気持ちが不安定になっている、などというものでした。これらのケースでは地域の保健師と妊産婦を繋ぎ、併せて通訳を派遣するなどして、なんとか無事に出産に繋げることを目標に支援したり、地域で見守り体制を作ってもらうなどしました。

また、自国で薬を調達している慢性疾患の患者には、この間、物流がとまってしまったり、帰国ができずに、手元の薬がなくなってしまうという事態もおきました。通常は地域の病院の医療ソーシャルワーカーに相談し、地元で治療と処方が受けられるよう手配をしますが、HIVなど疾患によっては、会社の健保組合に健康状態を知られたくない、病院に行く時は会社の通訳がついてくるので、プライバシーが守られるかどうかわからず、偏見や解雇を恐れて、病院へは行けないという訴えもありました。

また、親族を訪問中の高齢者が、帰国便を待っているうちに体調を崩し、手術まで必要になったケースもありました。短期滞在者だと健康保険の加入対象ではないため、日本に居住する家族も払えないような高額な医療費が発生し、家族が重い治療費負担と患者の命の間でジレンマを抱える状況もありました。



日本社会から見えにくかった課題の顕在化

実は、こうした状況は新型コロナウイルス感染症流行以前も存在していました。
例えば、言葉の問題で病院に出産を拒まれ、他の病院を探さざるを得なくなった、あるいは帰国を強いられた、非正規雇用で経済的に不安定な状況であった、地域の子育て支援の情報が得られなかった、また、HIV陽性者への差別、偏見や、職場が雇用する通訳者の中立性などの課題です。

また、この間、帰国ができず貧困に陥る技能実習生についてや、妊娠、出産にかかわって適切な支援が得られない外国人女性の深刻な状況も、いくつか報道されたことは記憶に新しいことと思います。

こうした課題は、もとからあった問題がコロナ禍でさらに深刻さを増し、多くの人の目に触れることで、社会問題としてようやく認識されるようになったと言うこともできます。



母と子どもの保健課題への通訳導入

母子保健の通訳依頼にも応じる中、先天性の疾患や障害を持っている乳幼児の対応に関わる機会も年々増えています。

病院の医療者や保健師は、保護者が子どもの障害をどう受け止めているかや予後、そして、これから続く介護や支援策としての訪問看護や各種助成制度の活用への理解など、多くのことを確認したり、情報提供したいと考えています。多くが、手術の説明や、退院を控えたタイミングでの今後の療養支援についてなど、重要な場面での通訳依頼になっています。
通訳を導入すると、保護者からは「これまで通訳代わりの友人を通じて理解していたことと違った。聞けて良かった。」などの反応があるようです。

先天性疾患や障害をもっている乳幼児のケースの場合、保健医療機関は長期に関わることになりますが、初期段階で通訳を入れて正確な情報のやりとりをして、適切な支援を受けられるようにすることが、子どものみならず、家族全体にとって大切だと感じています。



対面通訳と遠隔通訳

シェアの強力な支援ツールであった通訳も大きく様変わりしました。
これまでシェアは、現場の経験も踏まえて、通訳は対面で行うことが、患者と医療従事者双方の相互理解に最も繋がると考えてきました。しかし、コロナ禍において、対面での通訳を行うことは、感染予防の観点から一部を除き控えざるを得ない状態が続いています。

対策として、iPhoneを保健所や病院に貸出し、zoomなどを活用した遠隔通訳を代替として行っています。シェアスタッフもzoomのホストとして、通訳現場を垣間見る機会が増え、経験を重ねるうちに、遠隔通訳時の段取り、通訳場面でのiPhoneを置くべき場所など、対面時とはまた違うノウハウがわかってきました。また、さまざまな方法での通訳経験が豊富な方を講師に、遠隔通訳についての研修を行い、通訳者が遠隔通訳をスムーズに行えるよう支援をしてきました。

シェアに登録する医療通訳者は対面での通訳経験が豊富なことから、その経験が下地になり、遠隔での通訳にも比較的スムーズに入ってもらえていると考えています。



DSC_0861長年外国人医療電話相談に対応してきた廣野


まとめにかえて

今年も保健医療従事者を中心に、さまざまなご相談が寄せられました。どの相談者からも感じるのは、「患者さんのために、自分に何ができるのか知りたい。」という強い思いです。相談者の方々は、通訳の導入支援を通じて患者と直にコミュニケーションが取れると、互いの信頼関係も深まるようで、外国人患者への対応にさらに積極的になられる姿勢も感じます。

今、保健医療従事者の方々はコロナ対応でも多忙を極める中、なんとか母子保健などの分野でも必要なサービスを提供するため、苦慮されています。シェアは、外国人の保健医療分野で保健医療職の方々を支えられるよう、共に学ぶ過程を大切にしながら、活動を深めていきたいと思います。


hirono

在日外国人支援事業担当(3月まで)
廣野 富美子

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