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今月に入ってから持ち家相談が相次いだ。そこで強く感じた事を書いてみたいと思う。

ブログを読まれた上で来店されている事も当然影響しているが、お客様は「持ち家と賃貸で金銭的な差は大きくない、問題はリスクだ」という事を良く理解している。そしてリスクがある事を十分承知した上で、そのリスクに耐えられるか?という部分をシビアに見極めようと相談に来ている。

■「慎重派」に購入の相談をする理由。
お客様が過去の記事を読み、自分が持ち家推奨派でない事は承知の上で、それでもあえて来店される理由は「買えないなら買えないとハッキリ言ってくれそうだから」だと、相談に来られた方は必ずといって良いほど口にする。実際にはほとんどの方は100%買えないという状況ではない。そこまでひどければ本人も気付く。買えるかどうかグレーゾーンだから相談に来るわけで、当方としてもグレーゾーンである以上、グレーですよ、としかいえない。

住宅ローンは借りる事が出来ても返せるかどうかが最大の問題だ。そのときに白に近いグレーなのか、黒に近いグレーなのか、つまりどのようなリスクがあってそのリスクはどれ位大きいのか小さいのか、という部分は言えるし、生活や各種環境を改善する事によって白に近づける事は出来る。それでもリスクは消えないので、将来こんな事が起きるかもしれない、こんな事が出来なくなるかもしれない、とリスクを列挙する。脅しているようで楽しくは無いが、これをやらないと相談に来てもらった意味が無い。

買いたいと考えている以上、予算を多少オーバーしても出来れば買えるようなプランを考えてあげたい。となると、プライベートにズカズカと踏み込むようなアドバイスをせざるを得なくなる。結果的に相談に来られたご夫婦は親友にも親族にもした事がないような相談を当店でする事になる(最大で8時間もかけたときにはさすがに申し訳ないと思ったが、お客様もそれだけ真剣という事だ)。

■損得よりリスクは常識になりつつある。

相談を受けていて感じるのは、損得より資金繰り(払えるかどうか)というのはもはやスタンダードになりつつあるという事だ。以前書いた「持ち家は資産か?」で沢山反響を頂いた理由も、斬新な事を書いたからでは無く「最終的な損得以前に資金繰り=リスクの方が重要」となんとなく多くの人が気付いていた事を書いたからだろう。

いまだに持ち家と賃貸の支払い総額を比較して持ち家の方がお得ですよ、などというリスクを無視したいい加減なアドバイスをしているFPや不動産業者を散見するが、多くの客が冷ややかな目で見ている事に気付くべきだろう。家賃がもったいない、に至ってはほとんど冗談のレベルだ。

■売り手の都合を優先させる不動産の営業マン。
同じくほぼ全てのお客様が仰っていたのは、不動産屋は甘い話・甘い試算しかしないという事だ。マンションのチラシに載っている変動金利・35年ローンを組んでも良いような人が一体世の中にどれだけいるのか。毎月の返済額が一番安く見えるだけの非現実的な試算を載せている事がかえってマイナスに働く事が分からないのかと不思議でしょうがない。

多くの人は人生で最も高額な買い物をしようというときに不安に陥る。そこで本当に買っても大丈夫なのか?と情報・知識を集める。人生が掛かっているので皆必死だ。その過程で変動金利には金利上昇リスクがある事に多くの人が気付く。自動計算でシミュレーションが出来るサイトもウェブ上には多数あるので、色々と計算をして無理だなとすぐに気付く。結果的に実際には買えない見込み客が大量に来るだけで申し込みもせずに終わるだろう。現場がいくら接客を頑張っても無駄骨に終わる。

買っても大丈夫だろうか、と不安を持っている人に甘い話をしてもかえって不安になるだけだ。恋愛相談をしているのではないのだから、客が求めているのは背中を押してもらう事ではなく厳しくチェックしてもらう事だ。

■「リスク」を話せない不動産業者。
当店に来られるお客様は概して収入面や資産面で恵まれた方が多い。そういう方でも不安を感じているのだから、平均的な収入の方であればなおさらだ。お客様を何も知らない素人と舐めている限り、不動産業者が信用される事は無い。客の要望を受け止めた上で無理な予算は無理だとハッキリ伝える、グレーならばリスクをしっかり説明した上で購入の判断をしてもらう。そんな当たり前の事を不動産屋がやらない限り、自分の仕事はなくならないだろう。

不動産の新築マンションの集客は下見に行けば商品券をプレゼントとかハーゲンダッツの引換券をプレゼントとか、随分子供だましな手段を使っている。そういうもので集めた見込み客に意味はあるのだろうか? 無駄なコストをかける位ならその分もう1人営業マンを準備しておくとか、返済のシミュレーション相談にとことん付き合うとか、もっと意味のある部分に営業コストにつかうべきでは無いのか。これでは成約率を無視して、とにかく見込み客を集めて数打ちゃ当たる方式でやっているようにしか見えない。

住宅の購入を検討されている方には以下の記事が参考にして欲しい。
■小学生でも分かる住宅ローンの計算方法 
■持ち家の予算はチキンレースか?
■住宅購入における予算の決め方 その1 その2
■繰り上げ返済は本当にお得なのか? 前編 後編
■9割も売れ残る新築マンション ~空室率40%の時代に備えて~

買うかどうか迷っている方には、持ち家と賃貸の比較に関する以下4つの一連の記事が参考になる。
■持ち家は資産か? 持ち家に関する二つの幻想
■そろそろ決着をつけたい「持ち家と賃貸はどちらが得か?」というくだらない論争
■「持ち家は資産だ!」という反論が来た(謝罪も有り)
■リスクとの付き合い方 持ち家議論へ頂いた反響への回答

次回は不動産業を他業種と比較してみたい。

続きを書きました!→「持ち家と賃貸はどっちが得か?」とか「家賃を払うのはもったいない」とかいまだに言ってる不動産業者やファイナンシャルプランナーは、相当ヤバイ その2

中嶋よしふみ
シェアーズカフェ・店長 ファイナンシャルプランナー
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著者プロフィール


シェアーズカフェ店長 ファイナンシャルプランナー
中嶋よしふみ。現在、37歳(FPとしては多分若手)。

2011年4月にファイナンシャルプランナーのお店・シェアーズカフェを開業。

2012年2月に開設した「シェアーズカフェのブログ」は5ヶ月で月間アクセス14万件を突破。2013年は総アクセス500万件超(配信先も含む)、ヤフーのトップニュースに4回掲載される。ファイナンシャルプランナーとしてブログのアクセス数はダントツの日本一を誇る。

2014年は住宅金融支援機構(フラット35)でセミナーを2回行う他、日本FP協会・長野支部にてFP向けセミナー(継続教育研修)に登壇。

現在、シェアーズカフェのブログのほか、日経DUAL、ブロゴス、ヤフーニュース個人、ハフィントンポスト等で執筆中。

その他、日経新聞でコメントが掲載されるなど、多数の媒体で情報発信を行う。

対面では新婚カップルやファミリー世帯向けにプライベートレッスン・セミナー・相談等のサービスを行う。生命保険の販売や住宅ローンの仲介等を一切行わず、FP本来のスタイルで営業を行っている。

プライベートレッスンでは、お客様ごとに最適化したレッスンと適切なアドバイスを組み合わせて高度なコンサルティングを提供中。他に無い独自のサービスがお客様の支持を得ている。

現在は専門家が書き手として多数参加するウェブメディア、シェアーズカフェ・オンラインを編集長として運営するほか、ブログ執筆による集客の経験とノウハウを生かして士業・企業向けにウェブコンサルティングも提供する。

お金よりも料理が好きなFP。パティシエも兼任。

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