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カテゴリー  住宅 

先日、持ち家をテーマに「持ち家は資産か?」から始まる4つの一連の原稿をアゴラで書かせて頂いた。細かいテクニカルな話は家を買おうと思っている人にしか興味が無いと思うので、今回も考え方について書いてみたい。


「いくらまでなら買えるか?」
家の予算を決める時、こういった考え方は一般的だ。実際に質問を受ける事もあるし、具体的な予算を簡単に計算する目安もある。毎月の返済額・金利・返済期間で計算すれば、住宅ローンをいくら借りられるか簡単に分かる。これに頭金を足せば予算上限も割り出せる。実際には「持ち家は資産か?」でも書いたように、購入にはリスクがあるので、それも考慮しないといけない。結果として、良い家に住みたい、でもローンで破綻するのは困る、だから買える範囲の予算がいくらなのか知りたい、という考えに行き着く。この考え方はごく自然な流れだと思うが、果たして正しいのか。

家計管理ではリスクがある事を前提に考えるべきだ、という事を4つの記事の結論として書いた。これを住宅購入に当てはめるならば、あなたは○円までなら買える、と自信満々に伝える事は、10年後の日経平均は○円です、と断言するくらいに無茶な事だろう。

その時に浮かんだのが、チキンレースだ。崖に向かって車を走らせて、相手より崖に近いところで止まったら勝ち、という危険な勝負だ。早く止まりすぎても負け、もちろん崖に落ちても死んでしまうので負けだ。このギリギリで止まると勝ち、という発想は持ち家の予算の考え方に近い。

どうせ買うなら良い家を、でも破綻はしたくない、だから可能な範囲で良い家を買いたい……。

やはりこの考えは危険だといわざるを得ない。そこを計算するのがファイナンシャルプランナーだろうと言われそうだが、将来の収入と支出は予想出来ない部分も多い。1年や2年ならまだしも、返済の終わる数十年先まで予想するのは無理だと考える方が妥当だ(実際にはキャッシュフロー表というものを作成するが、あくまで参考程度だ)。

それならば、チキンと言われようとかなり早い段階でブレーキを踏む=予算は相当に抑え目にしても良いのではないか、というのが自分の考えだ。細かな計算は省くが、夫婦二人とも収入がパート・アルバイトのレベルになっても問題なく払えるのが「チキンレベルの予算」の目安だろう。もちろん、収入は能力・経験・資格・現在の年齢などによって随分変わるので、一概に言えない部分は非常に大きい。チキンレベルの予算は一律ではない。

経済評論家の山崎元さんは「収入の2/3で生活をして残りを将来のために貯蓄・運用しておけば老後は安心、かつ生活レベルを下げずに済むのではないか」という提案をしている。中々シンプルで分かりやすい提案だと思うが、これを住宅ローンの返済に当てはめてみたい。収入に占めるローン返済額の割合を返済負担率と言うが、目安として20~25%程度なら問題ないと言われる(これはこれで異論はあるが借り入れ時の審査でも使われているので目安にはなる)。この数字を収入が2/3として計算すると、20~25%の負担だったものが30~37.5%とかなり重い負担となる。別の言い方をすれば贅沢な予算だ。2/3という数字もあくまで目安だが、今の収入の○%までならローンの返済は大丈夫、という計算方法よりはよっぽどリスク耐性の強い考え方だろう。

幸い、家の予算を考える時に一緒に崖に向かって走る対戦相手は居ない。が、同じ給料を貰う会社の同僚が4000万円のマンションを買っているのに、自分が2000万円のマンションでは釈然としない部分もあると思う。こんなアドバイスをしたら「同僚は4000万円のマンションを買っているのに、なんで自分の予算は2000万円なんですか?どういう計算をしてるんですか?」と文句を言われかねない。

しかし、老後に「もうちょっと良い家を買えたかもね」と多少後悔しつつも手元に現金が沢山ある状態は、決して悪い選択では無いと思うがどうだろうか。ローンで破綻する事ともっと良い家を買えたのにと後悔する状態は、そもそも比較するようなものではない。どちらが良いかは本人が決める事だが、買える範囲で良い家を買う事だけが予算の決め方ではない事は覚えておいて損は無いだろう。

「買える範囲で良い家を買いたい」という無意識の願望は思った以上に危険だ。家計管理に関わらず「無意識を意識する事」がリスク管理のスタートだと覚えておきたい。

*住宅の予算で考慮すべき点はリスク以外にも沢山あるが、今回の話には関係の無い部分なので割愛した。


買うかどうか迷っている方には、持ち家と賃貸の比較に関する以下4つの一連の記事が参考になる。
●持ち家は資産か? 持ち家に関する二つの幻想
●そろそろ決着をつけたい「持ち家と賃貸はどちらが得か?」というくだらない論争
●「持ち家は資産だ!」という反論が来た(謝罪も有り)
●リスクとの付き合い方 持ち家議論へ頂いた反響への回答

住宅の購入を検討されている方には以下の記を参考にして下さい。
●小学生でも分かる住宅ローンの計算方法 
●持ち家の予算はチキンレースか?
●住宅購入における予算の決め方 その1 その2
●繰り上げ返済は本当にお得なのか? 前編 後編
●「持ち家と賃貸はどっちが得か?」とか「家賃を払うのはもったいない」とかいまだに言ってる不動産業者やファイナンシャルプランナーは、相当ヤバイ その1  その2
●9割も売れ残る新築マンション ~空室率40%の時代に備えて~

※自身の状況に合わせたアドバイスを希望される場合、レッスンや相談を受けて頂ければ、購入の予算や無理なく返済が可能な範囲をアドバイスする、住宅購入の予算診断も行っています。住宅購入セミナーも定期的に実施中です。

中嶋よしふみ
シェアーズカフェ・店長
ファイナンシャルプランナー
シェアーズカフェのブログ
ツイッターアカウント @valuefp (ブログ更新は不定期なのでツイッターで告知します)

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●マネーリテラシーの本を書きました。 ●住宅購入の本を書きました。



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著者プロフィール


シェアーズカフェ店長 ファイナンシャルプランナー
中嶋よしふみ。現在、37歳(FPとしては多分若手)。

2011年4月にファイナンシャルプランナーのお店・シェアーズカフェを開業。

2012年2月に開設した「シェアーズカフェのブログ」は5ヶ月で月間アクセス14万件を突破。2013年は総アクセス500万件超(配信先も含む)、ヤフーのトップニュースに4回掲載される。ファイナンシャルプランナーとしてブログのアクセス数はダントツの日本一を誇る。

2014年は住宅金融支援機構(フラット35)でセミナーを2回行う他、日本FP協会・長野支部にてFP向けセミナー(継続教育研修)に登壇。

現在、シェアーズカフェのブログのほか、日経DUAL、ブロゴス、ヤフーニュース個人、ハフィントンポスト等で執筆中。

その他、日経新聞でコメントが掲載されるなど、多数の媒体で情報発信を行う。

対面では新婚カップルやファミリー世帯向けにプライベートレッスン・セミナー・相談等のサービスを行う。生命保険の販売や住宅ローンの仲介等を一切行わず、FP本来のスタイルで営業を行っている。

プライベートレッスンでは、お客様ごとに最適化したレッスンと適切なアドバイスを組み合わせて高度なコンサルティングを提供中。他に無い独自のサービスがお客様の支持を得ている。

現在は専門家が書き手として多数参加するウェブメディア、シェアーズカフェ・オンラインを編集長として運営するほか、ブログ執筆による集客の経験とノウハウを生かして士業・企業向けにウェブコンサルティングも提供する。

お金よりも料理が好きなFP。パティシエも兼任。

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