5440735

女性がどのように働くか。

これは家計でも国でも、大きな問題となる。家計では女性がどれ位稼ぐかが、生活の安定度に大きく影響する。FPが書く本は例外なく女性が働く事を推奨する。これは当然のことで、一人で稼ぐより二人で稼ぐ方が安定度は高いからだ。

一般的には女性が自身の収入を、税金や社会保険料(年金や健康保険)が発生しない103万~130万円未満で抑えることは珍しくないが、専業主婦向けの優遇策は国の財政を考えれば10年もすれば全て消えている可能性がある(年金の3号被保険者や配偶者控除は散々廃止の議論がなされている)。こういった事情も女性が働いた方が良い理由だ。

■女性差別のしっぺ返しが少子化だ。
ただ、働いた方が良いですよというアドバイスは非常にやりにくい。そんなことは本人には分かりきっているし、子持ちの女性が職を探して働く事が楽で無いと知っているからだ。

フォーリンアフェアの記事には以下のようにある。
低い出生率は、先進世界の福祉国家体制だけでなく、国の存続そのものを脅かすことになる・・・男女間の差別解消に真剣に取り組まず、女性のための適切な社会サービスの提供に熱心でなかったイタリアや日本のような国は出生率を上昇させられずにいる。これに対して、GDP(国内総生産)の約4%程度を、子育ての支援プログラムにあてているフランスやスウェーデンは出生率の低下を覆すことに何とか成功している。出産奨励プログラムには大きなコストがかかるし、伝統的な家族の価値を支持する人々の怒りを買う恐れもある。だが、低出生率の罠にはまってしまえば、これまでとは不気味なまでに異なる人口減少という未知の時代へと足を踏み入れることになる。
ベビー・ギャップ 出生率を向上させる方法はあるのか フォーリン・アフェアーズ・リポート 2012年5月号
記事にあるとおり、残念ながら日本は国を挙げて女性差別をしているようにしか見えない。厚生労働省・平成 21年度雇用均等基本調査によれば、女性管理職の割合は全体の8%で、職位が上がる程割合は下がる。部長に至っては3.1%だ。M字カーブと呼ばれる、出産・育児によって就業率が著しく下がる傾向も顕著だ。

かつて「ヤバい経済学」という本が統計データだけで相撲の八百長を暴いた事があったが、このデータを見れば分析するまでも無く女性差別がいかに酷いかわかるだろう。先日もある大手企業が子持ち女性が働きやすい環境を整えていて効果を上げている、という記事を読んで、ひっくり返りそうになった。管理職女性が急増した、とあるからどれくらいかと思ったら2%から3%に増えたという。割合で見れば1.5倍だが、全体では誤差の範囲だ。

■ゲームが成り立っていない女性の雇用。
池田信夫氏は、市場経済は弱肉強食ではなく、高度な管理が必要とされるシステムだと指摘する。市場経済を弱肉強食だと批判する多くの人が誤解している点はここだろう。これはサッカーと同じで、試合が成立するにはルール・ルールを守らせる審判・ルールを守る選手がそろって初めてゲームは成り立つ。しかし、女性の雇用(特に子持ち女性)に関してはゲームが成立していない。

女性が働く環境に関しては、明らかにもっと「管理」が必要だ。具体的にはクオータ制(管理職・役員に一定の女性割当の義務付けるルール)など、労働環境において強制的にでも女性差別を減らす政策だ。

本来、市場経済に過剰な国の関与はいらないというのが正しい考えだが、女性差別によって生まれる非効率は「市場の失敗」だ。

■市場の失敗について。
女性の働きにくさは、公害のように取引の当事者がコストを負担しない形で問題が発生している。つまり多くの企業が既婚男性に過酷な働き方を要求する事によって、女性に家庭での大きな負担が発生する、それにも関わらず女性が働く際には男性と同様な働き方を求められる、という状況だ。

既婚女性や子持ち女性が面接を受ける時には「子供が生まれたらどうするの?」とか「子供が風邪を引いたらどうするのか?」と必ず聞かれる。既婚男性や子持ち男性はそんなことを聞かれないにもかかわらずだ。

日本型雇用は専業主婦に支えられた男性が150%の状態で戦う事が前提のやり方だ。夫と子供(場合によっては親の介護まで加わる)を支えながら70%とか60%しか力を発揮できない女性が150%の男性と互角に戦えというほうが無理だ。150%で戦うことを強要される男性にも苦しい状況であることは間違いない。

この問題を解決するには、上に書いたクオータ制のような施策以外にも、サービス残業の問題や労働市場の非効率性など、解決すべき問題は沢山あるが、特に必要な事が市場経済の促進だ。

■資本主義は女性差別を助長している?
以前、資本主義は女性差別を助長していると指摘した、ジェンダーを専門とする社会学者の発言が話題になったが、これは間違いだろう。上で引用した記事の通り、女性差別をすると経済は悪化する。

女性管理職の割合が1割しか居ないという事は、社員の数が男女半々ならば、本来昇進すべきでない無能な男性が4割以上も管理職についていて、昇進すべき有能な女性が4割以上も昇進していないという事なのだから、企業活動にとってプラスになるわけもない。したがって、企業や政治家に向かって批判をするならば「あなた方は資本主義を信奉しているなら企業や国の成長にマイナスとなる女性差別を即刻やめるべきだ」と指摘するのが正しい批判のはずだ。

こちらの記事は以下の一連のシリーズになっているの参考にされたい。

日本の不景気は女性差別が原因だ その1
日本の不景気は女性差別が原因だ その2
日本の不景気は女性差別が原因だ その3
日本の不景気は女性差別が原因だ その4
日本の不景気は女性差別が原因だ その5
 
 中嶋よしふみ
シェアーズカフェ・店長 ファイナンシャルプランナー
●シェアーズカフェのブログ
●ツイッターアカウント @valuefp  フェイスブックはこちら ブログの更新情報はSNSで告知しています。フォロー・友達申請も歓迎します^^。

※レッスン・セミナーのご予約・お問い合わせはHPからお願いします。
※レッスン・セミナーのご案内はこちら


●マネーリテラシーの本を書きました。 ●住宅購入の本を書きました。




シェアーズカフェからのお知らせ
 ■シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、お金に関するレッスンを提供しています。中嶋が直接指導します。
 ■シェアーズカフェが士業・企業・専門家向けのウェブ・コンサルティングを行います。


著者プロフィール


シェアーズカフェ店長 ファイナンシャルプランナー
中嶋よしふみ。現在、34歳(FPとしては多分若手)。

2011年4月にファイナンシャルプランナーのお店・シェアーズカフェを開業。

2012年2月に開設した「シェアーズカフェのブログ」は5ヶ月で月間アクセス14万件を突破。2013年は総アクセス500万件超(配信先も含む)、ヤフーのトップニュースに4回掲載される。ファイナンシャルプランナーとしてブログのアクセス数はダントツの日本一を誇る。

2013年4月にはアゴラ研究所主催の連続金融セミナーに登壇。山崎元氏、ライフネット生命現会長・出口治明氏、元マネックスユニバーシティ代表取締役・内藤忍氏など、金融業界を代表するメンバーと共にセミナー講師として参加(担当は住宅購入)。

2014年は住宅金融支援機構(フラット35)でセミナーを2回行う他、日本FP協会・長野支部にてFP向けセミナー(継続教育研修)に登壇。

現在、シェアーズカフェのブログのほか、日経マネー、日経DUAL、言論プラットフォーム・アゴラ、ブロゴス、ヤフーニュース個人、ハフィントンポスト等で執筆中。老舗情報サイト・オールアバウトでは住宅カテゴリでガイドを務める。

その他、日経新聞でコメントが掲載されるなど、多数の媒体で情報発信を行う。

対面では新婚カップルやファミリー世帯向けにプライベートレッスン・セミナー・相談等のサービスを行う。生命保険の販売や住宅ローンの仲介等を一切行わず、FP本来のスタイルで営業を行っている。

プライベートレッスンでは、お客様ごとに最適化したレッスンと適切なアドバイスを組み合わせて高度なコンサルティングを提供中。他に無い独自のサービスがお客様の支持を得ている。

現在は専門家が書き手として多数参加するウェブメディア、シェアーズカフェ・オンラインを編集長として運営するほか、ブログ執筆による集客の経験とノウハウを生かして士業・企業向けにウェブコンサルティングも提供する。

お金よりも料理が好きなFP。パティシエも兼任。

メディア掲載・取材協力の詳細はこちら。

※レッスン・セミナー・相談は全て中嶋が直接対応します。ご予約・お問い合わせはシェアーズカフェの公式HPからお願い致します。


このページのトップヘ