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以前「持ち家は資産か?」から始まる一連の記事で多数のアクセスを頂いたおかげか、自分は持ち家反対派と思われてしまっているようだ。しかし、一連の記事で言いたかった事は持ち家が有利だという誤解を元に無理して買うのは止めましょう、というごく常識的な話だ。損得とは関係なく、家が欲しい人は買える範囲で好きに買えば良い。

予算の考え方に関しては、その後「持ち家の予算はチキンレースか?」でも書いたが、こちらも具体論までは踏み込まなかったので、今回はより具体的な議論をしたい。

■予算を決める三つのポイント。
まず、基準となるのは本人やパートナーの収入であることは間違いない。収入に対する住宅ローンの返済割合は一般的に20~30%程度が目安になるといわれる。これは借り入れの際の目安にも使われ、例えば収入の4割を返済にまわすような形で住宅ローンを組むことは出来ない。

住宅ローンの返済額は、以下の3つの要素で決まる。

借入額・返済期間・金利

借入額に関しては説明するまでも無いが、返済期間は長くするほど毎月の返済額は減るが、利息負担は増える。逆に返済期間を短くすれば利息負担を減らせる代わりに毎月の返済額は増える。

金利は変動金利と固定金利の2種類がある。固定金利は返済が終わるまで金利は変わらない。変動金利は半年ごとに適用される金利が変わるが返済額自体は5年に1回変わる。返済額が同じでも金利が上下すれば返済額に占める利息の割合が上下する。当初は固定金利でその後は変動金利に切り替わる固定金利選択型もある。

現在は超低金利の状態だが、だからといって購入が有利というわけではない。他にも住宅版エコポイントや住宅ローン減税に加えて消費税の増税も控えているため、今がチャンス!とあおる向きもあるが全て勘違いだ。買う事が有利な状況であれば買い手が増えて不動産価格が上がるからだ。これに関しては細かい説明は避けるが、家電エコポイント制度が終わってどれだけ液晶テレビの価格が下がったか考えれば分かるだろう。以前の議論と同じになってしまうので繰り返さないが、あくまで損得ではなく支払いが出来るかどうかが問題だ。

なお、利息の計算方法に関しては以下の記事を参考にされたい。
小学生でも分かる住宅ローンの計算方法

■予算の決め方は?
さて、では早速予算の決め方に話を移したい。

賃貸から持ち家に移行するときは、負担する費用が増える事は珍しく無いだろう。持ち家を勧める本や雑誌記事には、毎月の賃料と持ち家を買うための積立額の合計額が購入後に毎月の返済にまわす事が出来る額だと説明している場合がある。これは相当に無茶なプランだろう。家を買うために貯金をしていたお金は、その後は子育て資金や老後資金にあてるべきで、全て返済に回すようなプランは確実に破綻コースだ。

ここで有る程度目安になるのが先にあげた返済比率だ。一般的に20~30%が目安になると書いたが、控えめに見積もって20~25%程度に抑えておくべきだ。これは割合だけでなく、金額も関わる。年収300万円の30%と1000万円の30%では随分意味合いが異なる。

ここでは仮に年収600万円として考えてみよう。年収600万円で返済比率が20%ならば、年間120万円、1ヶ月あたり10万円となる。実際にはここに管理費と修繕積立金が2.3万円程度、あとは固定資産税も加わる。仮に合計額を4万円とすると年間で48万円となり、これを不動産関連費用として加算すると、収入に占める住宅関連支出は28%まで上がる。ローン返済額だけで30%は危険だと説明した意味が分かるだろう。一軒家であっても将来の修繕に備えて同じ程度は積み立てておくべきだ。

■実際の計算方法は?
借入額の計算は返済早見表があれば簡単だ。ウェブで検索すればいくらでも出てくると思うが、「年収100万円当たりの借り入れ可能額」という早見表では金利と借入期間から年収100万円当たりいくら借りられるかが簡単に分かる。600万円ならばそれに6をかければ良い。

あるいは、毎月の返済額から借り入れ可能額が分かる早見表もある。毎月10万円、金利3%、返済期間30年、など条件を決めれば簡単に借り入れ可能額が分かる。

ウェブ上では返済額のシミュレーションを自動で計算してくれる便利なサイトもあるが、これらの早見表の良い所は、借入期間を5年延ばすと借入額はどれ位増やせるか? 毎月の返済額を2万円増やすと予算はどれ位増やせるか? といった数字が一目でわかる事だ。

これで借入可能額は簡単に分かる。あとは貯金や親からの援助を頭金に加算すれば予算は簡単に計算できる。

買うかどうか迷っている方には、持ち家と賃貸の比較に関する以下4つの一連の記事が参考になる。
●持ち家は資産か? 持ち家に関する二つの幻想
●そろそろ決着をつけたい「持ち家と賃貸はどちらが得か?」というくだらない論争
●「持ち家は資産だ!」という反論が来た(謝罪も有り)
●リスクとの付き合い方 持ち家議論へ頂いた反響への回答

住宅の購入を検討されている方には以下の記を参考にして下さい。
●小学生でも分かる住宅ローンの計算方法 
●持ち家の予算はチキンレースか?
●住宅購入における予算の決め方 その1 その2
●繰り上げ返済は本当にお得なのか? 前編 後編
●「持ち家と賃貸はどっちが得か?」とか「家賃を払うのはもったいない」とかいまだに言ってる不動産業者やファイナンシャルプランナーは、相当ヤバイ その1  その2
●9割も売れ残る新築マンション ~空室率40%の時代に備えて~

さて、これで計算に必要な知識とツールはそろったが、ただ計算するだけでは何の意味もない。ではどれ位が妥当な予算なのか次回から考えてみたい。

中嶋よしふみ
シェアーズカフェ・店長
ファイナンシャルプランナー
シェアーズカフェのブログ
ツイッターアカウント @valuefp (ブログ更新は不定期なのでツイッターで告知します)

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●マネーリテラシーの本を書きました。 ●住宅購入の本を書きました。




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著者プロフィール


シェアーズカフェ店長 ファイナンシャルプランナー
中嶋よしふみ。現在、34歳(FPとしては多分若手)。

2011年4月にファイナンシャルプランナーのお店・シェアーズカフェを開業。

2012年2月に開設した「シェアーズカフェのブログ」は5ヶ月で月間アクセス14万件を突破。2013年は総アクセス500万件超(配信先も含む)、ヤフーのトップニュースに4回掲載される。ファイナンシャルプランナーとしてブログのアクセス数はダントツの日本一を誇る。

2013年4月にはアゴラ研究所主催の連続金融セミナーに登壇。山崎元氏、ライフネット生命現会長・出口治明氏、元マネックスユニバーシティ代表取締役・内藤忍氏など、金融業界を代表するメンバーと共にセミナー講師として参加(担当は住宅購入)。

2014年は住宅金融支援機構(フラット35)でセミナーを2回行う他、日本FP協会・長野支部にてFP向けセミナー(継続教育研修)に登壇。

現在、シェアーズカフェのブログのほか、日経マネー、日経DUAL、言論プラットフォーム・アゴラ、ブロゴス、ヤフーニュース個人、ハフィントンポスト等で執筆中。老舗情報サイト・オールアバウトでは住宅カテゴリでガイドを務める。

その他、日経新聞でコメントが掲載されるなど、多数の媒体で情報発信を行う。

対面では新婚カップルやファミリー世帯向けにプライベートレッスン・セミナー・相談等のサービスを行う。生命保険の販売や住宅ローンの仲介等を一切行わず、FP本来のスタイルで営業を行っている。

プライベートレッスンでは、お客様ごとに最適化したレッスンと適切なアドバイスを組み合わせて高度なコンサルティングを提供中。他に無い独自のサービスがお客様の支持を得ている。

現在は専門家が書き手として多数参加するウェブメディア、シェアーズカフェ・オンラインを編集長として運営するほか、ブログ執筆による集客の経験とノウハウを生かして士業・企業向けにウェブコンサルティングも提供する。

お金よりも料理が好きなFP。パティシエも兼任。

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