カンヌ映画祭の批評家週間に出品されるや絶賛!
 脚本賞など4部門を制覇した内田けんじ監督作品。
 これだけ話題になっている映画だったのにも関わらず、恥ずかしながら完全にノーマークでした。評判が良いようなので仕事帰りになんとなく観に行ったらこれが滅法面白い!
 運命を感じる映画とまではいかないまでも観ておいて絶対に損の無い映画であることには間違いありません。

 半年前に頑張ってマンションを買った途端、彼女に婚約解消&失踪されてしまった宮田(中村靖日)。仕事から帰って一人寂しく過す宮田の下へ一本の電話が掛かってくる。
 それは古くからの友人であり探偵をしている神田(山中聡)からのもので、宮田の婚約者であったあゆみ(板谷由夏)に関する情報を掴んだという連絡だった。
 まだ彼女に対して未練のある宮田は急いで神田との待ち合わせの場所であるレストランへ向かう。
 評判どおり脚本が凄く面白い。
 映画の作りはタランティーノ監督の『パルプ・フィクション』と同じような感じ。つまり時間軸を過去と未来入れ替えたりしながら別々の登場人物が同時間に本人の気がつかないところで関係を持っていたりする姿を映し出す。そんな構成になっている映画です。

 時間軸を入れ替えるなど複雑な構成の映画なので観ている途中で判らなくなるのではないかと不安に思う方もいるかもしれません。しかし、そんなことは心配御無用なところがこの脚本の凄いところ。
 細かい複線が後の笑いに上手に繋がったりしているなど脚本も映画の見せ方も本当に面白いと舌を巻きました。
 
 ホノボノとした雰囲気で話は進んでいくのですが、途中でヤクザが絡んできます。それこそ『パルプ・フィクション』のような血生臭い場面が展開されるんじゃないかと思っていたのですが、ヤクザの親分・浅井を演じる山下規介が飄々としていて最初から最後までコミカルな演技を貫き通す。
 「ヤクザは簡単に人を殺すと思っているだろうけど実際人を殺すと死体処理やら何やらで意外にお金がかかってくる。だから本当に殺す価値のある奴なんてそうはいない。しかしヤクザの面子を潰した奴は別だ!」なんてことを優しい口調でヤクザの親分が恫喝する場面があります。
 この人を殺す価値のあるものに変えてしまうほどに守らなければならない「ヤクザの面子」というのがこれまた凄い!僕は「ヤクザの世界も意外に大変なんだなぁ〜」と思わずブブブッと噴いてしまいました。

 人が死んだり血が流れたりすることは一切無い映画です。

 こんな感じで全編ニコニコと笑いっぱなしの映画。
 ほんの一日の出来事を描いているだけなんですが、主人公の宮田の周りではヤクザが絡んだり大金が動いたりと目まぐるしく動いている。しかし当の本人はそんなことに全く気がついていない。
 世界は自分の知らないところで動いている。
 主人公なのに周りで起きている事件には最初から最後まで一切関わらず、どこか一人別世界で暮らしているような宮田を見て「早くこっちの世界に帰って来い」と呼びかける友人の神田。
 それを「いやだよ」と断る宮田。

 でも帰ってこなくって良いんじゃないかなって気がしました。

 それにしても宮田を演じている中村靖日って『恋は五・七・五!』でライバル校のスポコン俳句部部長を演じていたあの人だったんだ。全然気がつかなかったよ。

 ★★★★☆
 
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Story
2005年カンヌ国際映画祭批評家週間で4賞を受賞し話題を集めた、新鋭・内田けんじ監督による異色コメディ。どこにでもいる平凡なサラリーマンが体験する一夜の物語が、彼を取り巻く複数の人物の視点からパラレルに描(詳細こちら