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『涙そうそう』 古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた
 いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ
 晴れ渡る日も 雨の日も
 浮かぶあの笑顔 想い出遠くあせても
 おもかげ探して よみがえる日は 涙そうそう〜♪

 実はこの曲、意外と好きです。何となくフトした瞬間にこの曲のメロディーが頭に浮かんでくることがあります。
 ご存知のように国民的大ヒット曲(この曲を最初にラジオで流したのは名古屋のCBCラジオだ・・・なんてあるラジオ番組で言ってましたが、真偽のほどは定かではありません)なので、おそらく多くの人は一度くらいは耳にした事があるのではないでしょうか?紅白歌合戦なんかでも流れていたはずだし・・・いや、紅白は見て無いからよく知らんのだけど。

 ということで森山直子作詞の曲を夏川りみがカバーして作った大ヒット曲『涙そうそう』にインスパイアされて作られたのが今回の映画です。
 勿論、舞台は沖縄。だから沖縄を代表するおばあ、平良とみが最後に出てきて、おいしい所を全部掻っ攫っていきます。そういった意味では実に沖縄らしい映画だと言えるとは思いますが・・・難点も砂浜に有る砂の数ほど多い作品でした。
 いつか自分の居酒屋を持つ夢を抱いてバイトに明け暮れる洋太郎(妻夫木聡)の元に連絡が入る。それは高校進学が決定した妹のカオル(長澤まさみ)からで、高校に通うために兄と共に一緒に暮らすといった内容だった。
 カオルを港まで迎えに行き共同生活を始めた二人だったが・・・。

 僕は映画の日にこの映画を観に行きました。
 実は『永遠の法』をネタとして観るべきか、それとも手堅くこの映画を押さえておくべきかで随分と悩んでしまったのです。でも、時間の都合を考えて最終的にこの映画を選択してしまいました。大好きな麻生久美子も出ているし。
 「でもこの程度の出来だったら『永遠の法』を笑いながら鑑賞した方が良かったのかもしれないな」というのが今の正直な気持ちでしょうか。
 
 「涙そうそう」とは沖縄弁で「涙がぽろぽろこぼれ落ちる」といった意。
 という事で劇場には明らかに泣く事を目当てに来たと思われるお客さんが老若男女を問わず数多く詰め掛けておりました。立見が出るほどの盛況です。
 勿論この映画自体そういった客層を狙って作っていると思われるのでマーケティングとしては正しかったのかもしれない。実際、結構ヒットしているみたいだし。

 でも、この映画って本当に泣ける映画か?
 心から感動して泣いているんじゃなくって単に泣かされているだけなのではないかなって気がするのですけど・・・そんな僕の涙腺は涙そうそうどころか一滴の涙すら零れ落ちることはありませんでした。
 だって話があまりに安直すぎるでしょ。そのせいか気持ちが映画に全然入っていけなかったのです。

 明らかに観客を泣かすために作っている映画なので、素直にストーリーを追って見れば涙は流れるのかもしれません。でも、一歩引いて客観的にこの映画を観た場合、泣かせどころをあざとく盛り込みすぎている気がする。そしてそこが鼻に付く。
 ですから根性がひねくれた僕なんかは「こんな映画で泣かされてたまるか!」と逆に頑張ったりしたわけです。

 オチを完全にバラしてしまいますが、妹のために散々体を張って頑張り続けた兄貴は結局病気に倒れて死んでしまいます。こういった展開はある程度予測が出来ましたが、「これって本当に兄を殺してしまう必要性は有ったのかな?」と強く疑問に思うのです。

 大学進学により妹の長澤まさみが一人暮らしを開始するため兄と一緒に暮らしていた家を出て行くシーンがありますが、ここで兄に向って「今までどうもありがとうございました」と頭を深々と下げます。
 ここで僕としては映画が終わって欲しかった。

 お互いが兄妹という関係を超えた感情を持ちつつもそれを胸に仕舞い込んで(ちょっとここで引っ掛かる点はあるのですが・・・詳細は後ほど)、お互いが別々の道を歩んでいく。
 それでも胸に仕舞い込んだ感情の重さに耐え切れず、思わず涙がとめどなく流れ始める。そして「涙そうそう」のテーマ曲がかかり・・・って流れで映画が終われば、細かい不満は有っても僕は気持ち良く劇場を後に出来たと思うのです。
 別れは別れですが、これだとお互いにとって前向きな別れ方である気がするから。それにこの先二人の兄妹がどんな人生を歩んでいくのか思いをめぐらせる余韻もタップリ残したままエンドクレジットを眺める事が出来たでしょうし。

 ところが、この後の展開が蛇足に次ぐ蛇足の連続!蛇に足どころか羽まで付けてしまったような感じがして辟易してしまったのです。。
 明らかに作り手が「ここで泣いてください、次はここで泣いて下さい」と観客を泣かせスポットへと誘導しようとしているのが丸分かりなんです。兄貴死んだ、そして「涙そうそう」の曲が流れた。はい、ここで泣いてここでも泣きなさい!・・・そんな感じの流れとなっていくわけです。
 涙の観光バスツアーと申しますか・・・もう、映画を観ている内に次第に腹が立ってきて死んでも泣くもんかと意固地になってしまいました。
 だってこれじゃあ映画の余韻も何もあったもんじゃない。解答は作り手により全部用意されちゃっているのですから!もうちょっとどうにかならんかったの?

 それに致命的な演出が一つあるのです。
 それは先にも書いた大学進出をキッカケに妹が家を出て行くシーンなんですが、別れ際に兄に対して妹が「愛してる」なんて言葉を吐いてしまうのです。
 この映画のミソは血の繋がり自体は無いので別に恋心を抱いても問題は無い関係にも関わらず、あくまで二人は兄と妹という関係なので「好き」という素直な気持ちを口に出すことが出来ない。そんなもどかしさにあるんじゃないの?
 こういった感情は二人の間に流れている雰囲気などでお互いの兄弟愛を超えた恋愛感情を表現するだけに留めておくべきであって、それをそのまま台詞で出してしまっては興ざめも甚だしい。そもそも「愛している」って言葉自体、兄弟関係である二人の間では禁句なんだから。
 ラジオじゃないんだからいちいち全部口に出して台詞言わせる必要なんか無いんだよ。二人の関係くらいスクリーン観ていればよほど鈍感な人じゃない限り誰だって分かるのだから。

 それに長澤まさみ自身は悪くないのですが、あの妹の存在が時々鬱陶しく思えてくる事が有りました。たかだが泡盛を一口呑んだ程度で「気持ち悪い〜」と居酒屋で大騒ぎするシーンがありましたが、これには流石にムカッと来たね。
 僕がにーにーなら「酒を大切に呑めないような奴が居酒屋に来るんじゃねぇ!」と説教だな、間違いなく。
 妹が天真爛漫なキャラクターではなく、単に鬱陶しいだけのキャラクターに見えてしまうのもいけないんじゃないかな。

 映画の見せ方を変えればもっと面白くなったような気がするのに・・・残念だ。

 この映画で涙が止まらないときは鼻を摘まめば良いとされています。
 でも不感症の僕は演出のあまりの臭さに思わず鼻をつまんでしまったのです。ところが劇場にはすすり泣く声が鳴り響く。そういった人たちから見れば素直にこの映画を楽しむことが出来ない僕のような人間は鼻つまみ者なのでしょう。

 オチが付いたところで、お後がよろしいようで。

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