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『虹の女神』 この映画が公開される一週間前くらいの事だったでしょうか。僕はある夢を見ました。その夢の内容とは上野樹里と屋台で横並びになって一緒に酒を呑んでいるといったものだったのです。

 実は僕が見る夢の中に知っている人が出てくることは滅多にありません。
 だってつい最近見た夢の内容というのも僕が気がつけば昔住んでいた東京は南阿佐ヶ谷にあるすずらん商店街をトボトボと歩いているといったもの。すると昔よく食べに出かけた中華屋さんが目の前に現れて「懐かしいな」と思うわけですが、フト横を見ると何故か地下街が出来ている。「以前はこんな地下街、なかったよな」と思いつつそこをトボトボと歩いていくとその先には何故か見世物小屋があるのです。
 僕はそこで500円の木戸銭を払って全裸の女性のダンスを鑑賞し、そしてビールを一杯奢ってもらったところで目が覚めた。

 このように僕が見る夢は何処か非現実的で知人等が一切出てこないものが多いのですが、この映画が上映される前に見た夢はごくごくシンプル。ただ、上野樹里と一緒に酒を呑んでいるだけ。
 目覚めた直後は「あれは一体なんだったのだろう?」と頭に疑問符が沢山浮かびましたが、妙にリアルな夢だったのです・・・ってこんな夢を観るなんてバカですね。

 まぁ、ドーでも良い話は置いておきまして、『虹の女神 Rainbow Song』です。
 映像関連の会社で働く岸田(市原隼人)はニュースを観て驚く事になる。それは米国で起きた旅客機墜落のニュースだったのだが、その事故に巻き込まれて大学時代の親友だったあおい(上野樹里)が死んだ事が報道されていたからだった・・・。

 この映画の全ては蒼井優が放つ最後の一言に集約されると思います。
「バカだなぁ〜、お姉ちゃんも岸田さんも・・・」

 この映画を見た人は誰もがきっとこのような感想を抱くのではないでしょうか?でもこのバカなところが苦しかったり、痛かったり、そして何となく分かる気がするのです。だってこのような関係に陥る事って意外と多くないですか?
 こんなところで同意を求めても仕方が無いことですが、お互いの相性は抜群で良好な関係をずっと築き続けてきたにも関わらず、恋愛関係とはならない。平行線の関係を保ったままダラダラと時間だけが経過していく。
 仲も良いしお互いに確固たる信頼関係が築き上げられているにも関わらず、双方が胸に秘めているはずの「好き」という素直な感情を言葉にした途端に今まで築き上げてきた関係自体が壊れてしまうような気がして口に出せない。
 そんな友情以上、恋愛未満の関係。
 この映画ではこのようなとても不器用な関係が描かれているように僕は思えました。

 思った事をなんでもハッキリと口に出来る人から見ればこの映画は「うじうじとしてカッタルイ映画」の一言で片付けられてしまえるような映画なのかもしれません。でもツボにはまる人にはとことんツボにはまる映画でもあると思うのです。
 かく言う僕もこの映画を見ていて他人事と思えない部分や既視感に捕らわれてしまう部分があったりして・・・。
 そのような関係に陥ってしまうのが市原隼人と僕の夢に何故か現れた上野樹里。二人ともなかなかの好演でしたが、特に上野樹里は輝いていました。彼女の存在感があってこそこの映画が成立しているといっても過言では無いでしょう。

 この映画は章仕立てになっていまして、第1章でいきなり上野樹里演じるあおいが飛行機事故により死んでしまった事が明らかとなります。
 ここで「登場人物を殺して泣かせようとするいつものパターンか?」なんて少し構えてしまったのですが、この映画ではまずあおいの死だけを明らかにして、そこから生きていた頃に彼女が抱いていた心の揺れや映画研究部所属だった頃に撮った自主制作映画の全貌を少しづつ明らかにしていく。
 それによって最終章での蒼井優の最後の台詞に見事に繋がっていき、そして痛切に胸に迫ってくるといった構成になっているのです。
 不覚にもこの映画を観て泣いてしまいました。別に泣ける映画が良い映画というわけではないですが、主人公に素直に感情移入できたせいか映画を観ているうちに自然と涙がこぼれ落ちてきたのです。
 あおいが生前に見せていたにも関わらず当時は気がつく事がなかった輝きが乱反射し、時を経てようやく虹という形になって心に届いてくるような感じといえば良いのかな?

 確かに「ここはなぁ〜・・・」って残念に思う部分がない事もありません。
 取材のために出かけたお見合いのパーティーで岸田は相田翔子演じる女性と知り合いますが、ここの展開はもっと省略してしまっても良かったような気がする。意味もなく冗長に思えたのです。
 普通あの携帯電話を使った告白を見てしまったら好意を持つどころか「こいつはイカれてる!」と警戒しそうなものですが・・・それにいくらなんでも相田翔子が26歳に見えるという時点で岸田君は眼科に行った方が良いような気もするのです。
 なんか話の進め方に無理がありすぎた。ここを入念に描くくらいならあおいがストーカーだと嫌っていた岸田と仲良くなっていくところをもっと深く丁寧に描いた方が良かったのではないでしょうか?

 それでも製作に名を連ねる岩井俊二のせいなのか逆光を使った登場人物を暖色系の光で暖かく包み込むような映像も素晴らしく、不満はあっても決して嫌いにはなれない映画に仕上がっていました。
 「バカだねぇ〜」と傍からはそのように見えたとしても、本人達はそれぞれが自分なりに一生懸命でバカさ加減には気づいていない。でもそんなバカなところがいとおしくもあり悲しい映画だったりもするのです。

 上野樹里はこの脚本を読んだ際に「何で自分の事がかかれているの?」と思ったらしいですが、そのせいもあってかすごく自然で本気で良かった。あ〜あ、上野樹里と酒を一緒に呑んでみたいなぁ〜。
 本気でそう思わせるほど魅力的だったと思います。

 ★★★★☆

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