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『リトル・ミス・サンシャイン』 いよいよ2006年も終わり(ってこの文章を書いている時点でもう2007年ですが)!
 という事でアッという間に終わってしまった2006年の映画納めとしてチョイスした作品がこの『リトル・ミス・サンシャイン』です。

 映画自体は2006年の最後を飾るのに相応しい作品でしたが、上映中何度も映写トラブルに巻き込まれました。画面は真っ暗になるは、音声は途切れるはと過去に類を見ないほどの最悪の上映環境。
 トラブル発生後に一度映写機を止め、少し巻き戻してから再上映してくれるのならば話は分からないでもない。しかし映写機を止める事もせず、画面が黒かったり音声が飛んだ状態のまま上映を続行するものですから客席で「本当にこれで金取るつもり?」と呆れ返ってしまいました。
 無論、上映終了後には再入場券が配られていたけれど・・・上映終了後に平身低頭で謝るだけでなく、ちょっと映画館側は対応を考えるべきじゃないかな。映写トラブル自体は仕方が無い。でも、映画自体よりもタイムスケジュールを重視するようなこの行動は本当に映画を好きな人が取る対応とはとても思えませんでした。

 このことを映画館の従業員に直接伝えはしなかった(だってチキンだし)けど・・・とりあえず名古屋にあるゴールド劇場(敢えて名指ししてやる!)の対応に喝だ喝!2006年最後の大喝だっ!

 流石に2006年の〆めがこんな調子では胸糞悪くて新年が迎えられないと思い、そこで次の回に続けて同じ映画を観ることにしました。
 一日に同じ映画を二回連続で観るなんて生まれて初めての経験だと思いますが、傑作は何度観ても楽しめるものなんですね。
 何度繰り返して観ても笑って、泣いて、感動して・・・と嫌な事をすっかり忘れて素直に楽しんでしまいました。
 「リトル・ミス・サンシャイン」コンテストへの繰り上げ参加が決定した娘のオリーブ(アビゲイル・プレスリン)。
 ミスコンに彼女を参加させるため、「負け組」を真っ向から否定する父親のリチャード(グレッグ・キニア)、家族を何とか束ねようとする母親シェリル(トニ・コレット)、航空学校に入学するまでは沈黙の誓いを立てている兄ドウェーン(ポール・ダノ)、ゲイで失恋により自殺未遂をした伯父のフランク(スティーヴ・カレル)、そしてヘロイン吸引を続けるグランパ(アラン・アーキン)の6名は黄色いオンボロワゴンに乗ってカリフォルニアにある会場を目指す。

 ストーリー自体は全然複雑ではなく、ある一家がオンボロワゴンでミスコン会場を目指す。たったそれだけの話です。
 でもこの道中で様々なトラブルが一家を待ち受けているのです。時にワゴンが故障し、時に家族間に諍いが起こり、そして家族それぞれが弱さを見せる。
 最初は関係が上手くいっていなかった家族に様々なトラブルが降りかかりますが、それでもオンボロワゴンに全員が乗り込む。そして目的地を目指して車を走らせるのです。

 良くあるロードムービーだとは思いますが、見せ方が本当に上手。
 このワゴンはエンジンの調子が悪いので、車をしばらく押して助走を付けた後でないとエンジンがかかりません。ですから家族全員で車を押した後に順番に一人一人が走り出した車に乗り込むという描写が何度か見られますが、最初は車を動かすだけの目的しかなかったこの行動が映画のラストでは大きな感動を生みます。
 いつの間にかこの家族全員で車を押して車に乗り込むといった一連の行動が本来の目的とは全然異なる意味合いを持った行動へと変わっているのです。

 またこの映画の台詞に「勝ち組」と「負け組」というキーワードが出てきます。
 最近新聞や雑誌を読んでいると良く見かける言葉ですが、文字通り考えれば勝負に勝った者が「勝ち組」でその反対が「負け組」って事になります。
 そういった意味で捉えればこの映画に出てくる登場人物は全員「負け組」って事になるでしょう。ドウェーンが「お前ら全員負け組みじゃないか!」と絶叫するシーンがありますが、本当にその通りだと思います。全員勝負に負けてますから。

 しかし、「負け組は嫌」と泣き出したオリーブにグランパが「負け組みとは負けることが怖くて何も行動を起こさない連中のことだ」と優しく諭します。このグランパが言った意味で考えるとこの映画に出てくる登場人物は全員「勝ち組」とまでは言わないまでも少なくとも負けてはいないと思うのです。

 リチャードは本を出版しようと頑張ったけど無理だった。シェリルは家族を束ねようとしたけど困難を極めた。ドウェーンは航空学校へ入学するまで無言の誓いを立てるもののある理由で航空学校に入学すら出来ない事が判明した。フランクはプルースト研究に励んでいたが、後塵に全てを持っていかれてしまった。
 そしてオリーブとグランパは共にミスコン優勝を目指したが・・・やっぱりダメだった(何故ダメだったかは観てのお楽しみ♪)。
 彼らは皆それぞれの目標に向って努力はしているのです。ただ、残念ながら結果が付いてこなかっただけで。

 目標と結果の間には当然過程が生じます。ある目標が有って、良いにしろ悪いにしろ結果を導き出すためには当然ある一定の過程を経ないと結果にまで辿り着けませんよね?僕はこの過程が意外と重要だと思うのです。
 目標のために努力したけどダメだった。でもその努力した期間というのは結果が出なかったから全てが無駄かというとそんなことは決して無いと思います。次に起こすアクションに繋がっていく事だって当然ありうるのですから。

 この家族は努力はしたものの何も形に残る結果は出せなかったかもしれない。
 でも結果が出るまでの過程で今まで気づかなかった何かに目覚めたかのような印象は強く受けました。ですからオンボロワゴンに乗り込むための一連の動作だって最初と最後では全く違った意味で受け止められたのだと思います。

 東京国際映画祭で三冠制覇ってことでも話題になっているようですが、これは是非是非観て欲しい一本です。
 きっとホンワリとした優しい暖かさに多くの人が包まれる事でしょう。

 ★★★★★

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