2006年の総決算、映画大陸映画賞の発表です!

 今年観た映画はリバイバル上映作品も含めて123本!
 上半期ベストを組んだ際に「120本を目指す」と書いたはずなのでとりあえず目標は達成できた事になります。自分におめでとう!

 新聞記事にも掲載されていましたが2006年は久方ぶりに邦画の興行収入が洋画のそれを上回るそうです。それに併せてって訳では有りませんが、僕が今年観た映画の内訳は邦画63本、洋画47本、亜細亜映画13本。ですから映画館で観る映画の半分は邦画だったってことになりますね。結構日本映画産業に貢献しているのかも。

 でも邦画が復調を始めてきたのはなにも今年が初めてって訳ではなく、数年前からその兆しはありました。若い監督の映画で面白い作品がチョクチョク出始めていましたし。今の状況はそれがやっと実を結びつつあるって状況なのかもしれません。
 相変わらず傑作と駄作の落差は激しいですけど・・・それでも今は邦画が一番面白いと思いますよ。この勢いで行けばおそらく来年も邦画の割合が約半分を占めると思いますが、「邦画なんて見ないよ」なんていう方も当ブログにお付き合いをしていただければ嬉しいです。

 あまり前口上が長くなってもいけないので早速2006年映画大陸映画賞の発表といきますか!
・2006年助演女優賞

『フラガール』
 蒼井優 『フラガール』

 今年は女優陣の頑張りが目立ったのかこの部門はかなり迷いました。
 しかし、決め手はラストで見せたあの感動的なダンス!『花とアリス』の紙コップバレエに次ぐ素晴らしさを持った情熱的なフラダンスの衝撃を考えるとやっぱりこの人しかいないかなと。
 
 ということで最優秀助演女優賞は『フラガール』の蒼井優に決定!

 因みにその他のノミネートは『犬神家の一族』の富司純子、『ハチミツとクローバー』の関めぐみ、『シムソンズ』の高橋真唯、『青春★金属バット』の坂井真紀、『デスノート the Last name』の戸田恵梨香でした。

 単にあんたの好みを並べただけだろうと言われそうだけど・・・そんなこと無いよ。多分。


・2006年助演男優賞

『ゆれる』
 香川照之 『ゆれる』

 この部門に関しては迷い一切なし!
 もうこの人しかいないでしょう。『ゆれる』で卑屈で何処か影のある兄を演じた香川照之です。ラストカットでウッスラと見せた笑顔はモナリザの微笑み以上に謎めいていました。逆に言うとあの笑顔が無ければそれほど衝撃を受ける映画でも無かったかもしれません。

 ってことで今年の最優秀助演男優賞は『ゆれる』の香川照之に決定!

 因みにその他のノミネートは『神の左手悪魔の右手』の田口トモロヲ、『リトル・ミス・サンシャイン』のアラン・アーキン、『プロデューサーズ』のウィル・フェレル、『タイヨウのうた』の岸谷五郎って感じでした。 


・2006年主演女優賞

『虹の女神』
 上野樹里 『虹の女神 Rainbow Song』

 主演女優賞は上野樹里にするか宮崎あおいにするかで本当に迷いました。
 二人とも今年は主演作が数多く公開されましたし甲乙付けがたかったので。
 しかし『虹の女神』の上野樹里は本当に演技をしている感じがなかった。実際に会った事が無いのでどんな人かは知りませんが、それでも何となくありのままの姿でスクリーンに登場していたような感じが凄く良かった気がします。
 あおいスマイルも捨てがたいけど・・・今年は・・・。

 ってことで今年の最優秀主演女優賞は『虹の女神』の上野樹里に決定!
 
 因みに他にノミネートしていたのが『好きだ、』の宮崎あおい、『紀子の食卓』の吹石一恵、『ベロニカは死ぬことにした』の真木よう子、『Strange Circus 奇妙なサーカス』の宮崎ますみって感じでした。
 
 えっ、ここもあんたの好みが大分入っているだろうって?
 そんなことは無いと思うけど・・・。


・2006年主演男優賞

『スネーク・フライト』
 サミュエル・L・ジャクソン 『スネーク・フライト』

 この映画の主演は蛇って事になるのかもしれませんが、諸事情(どうしても香川照之に助演男優賞をあげたかったから)により主演男優賞とさせていただきました。
 他のハリウッドスターなら確実に断るであろう作品に喜々として出演し、作品の格を底上げした上、アメリカで大ヒットに導いた功績は大きい!
 あのB級映画好きの間で今後語り継がれていくであろう伝説的名台詞を熱くシャウトできるのは世界広しと言えどもこの方だけでしょう。

 ってことで今年の最優秀主演男優賞は『スネーク・フライト』のサミュエル・L・ジャクソンに決定!
 
 因みにその他のノミネートは『ラジニカーント★チャンドラムキ 踊る!アメリカ帰りのゴーストバスター』のラジニ様、『トム・ヤム・クン!』のトニー・ジャー、『ブロークン・フラワーズ』のビル・マーレイ、『明日の記憶』の渡辺謙って感じでした。

 「えっ、ラジニ?」って思ったそこのあなた!
 僕にとってのスーパースターはラジニ様ただ一人なので新作が上映されれば確実にラジニ様はノミネートされるのです!文句ある?


・2006年監督賞

『ゆれる』
 西川美和 『ゆれる』

 舞台挨拶で拝見した際に、本当にあの小さな体の何処にこのような映画を作るパワーが隠されているのかと不思議に思いました。
 夢を元にこの映画を作り上げたという事ですけど・・・次に見る夢はどんな夢でそこからどのような映画が生まれてくるのでしょうか?その期待も込めて。

 ってことで今年の最優秀監督賞は『ゆれる』の西川美和に決定!

 因みにその他のノミネートは『好きだ、』の石川寛、『スネーク・フライト』のデビッド・エリス、『ホステル』のイーライ・ロス、『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリスって感じでした。


・2006年リバイバル映画賞

『盲獣』
 『盲獣』

 これは凄かったですね。東京で観たのですが、電車賃くらいは元が取れるほどの衝撃がありました。
 出だしこそ乱歩の小説と同じような感じで始りますが、盲獣のアトリエで行なわれる行為が次第に原作以上に過激なものへと変貌していく。
 盲獣の提唱する触覚芸術の行き着く先とは一体・・・。
 
 これは乱歩ファンなら是が非でも観て欲しい作品です。
 原作を破壊はしているもの、乱歩の世界観は見事に再現!
 本当に見事な脚色だ。

 ってことで今年のリバイバル映画賞は『盲獣』に決定!




・2006年カックン映画大賞

 「映画大陸映画賞」におけるラジー賞のような位置づけの部門ですが、別に僕が大嫌いな映画を挙げたランキングではありません。
 心底つまらなかった映画をここで吊るし上げても仕方が無いので。
 吊る仕上げより褒め殺し!
 ってことでここでは映画を観る前の期待値と実際に観た映画の内容との間に落差があまりに激しく「なんだかなぁ〜」って思った映画を順番に5作品取り上げてみました。


『永遠の法』
 第5位 『永遠の法』
 
 何となく観てしまった幸福の科学映画。
 もっと真面目な内容かなと思っていたらこれがトンデモ映画だった!
 地獄で襲い掛かってくるヒトラー率いる象怪獣ビヒモスを迎え撃つのは霊界ロボット・エンゼルX!
 まさかこの映画がロボットものの映画だったとは・・・まさに霊界イリュージョン!丹波哲郎も死んだら驚いた!

 色んな意味で凄い映画だと思いますが、入信だけは丁重にお断りせていただきます。





『神の左手悪魔の右手』
 第4位 『神の左手悪魔の右手』

 楳図かずお先生の同名の漫画を映画化。
 凄惨なスプラッター映画を期待していたらこれもなんか違った映画でしたね。
 別につまらない映画ではないのですが、兎に角この映画で印象に残る事と言えば田口トモロヲの怪演だけ。
 トモロヲさんの、トモロヲさんによる、トモロヲさんのための映画!
 トモロヲさんのファンは狂喜!それ以外のファンはガッカリ。
 そんな映画に仕上がっています。

 僕はトモロヲさんのファンだから好きだけど・・・。



『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』
 第3位 『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』

 そういえば何故か舞台挨拶観に行っちゃったんだよねぇ〜。
 映画の中身よりもあのファンの妙な一体感、妙なグルーブ感に圧倒されました。
 正直、本気で怖かった。

 映画は竹内力が良かったと思いますが、それだけ。
 アクションはヘナチョコ。啖呵を切っても迫力なし。
 それよりも松浦亜弥の制服姿に無理がある点がいただけない。

 年齢的にかなり無理をしているような気が・・・えっ、本当にまだ20歳なの?嘘だぁ〜。




『プロミス』
 第2位 『プロミス』

 ある意味、韓流ブームに止めを刺したのがこの映画ではないかと思ってる。
 チャン・ドンゴンが高速ハイハイで崖を疾走する姿を見て「ヨン様だ、ぺ様だ」と騒ぎ立てていたおばさま方もきっと目が覚めたのでは?

 真田広之の好演が虚しく印象に残るあまりに不可思議でヘンテコな映画でした。





『レディ・イン・ザ・ウォーター』 第1位 『レディ・イン・ザ・ウォーター』

 これは凄かったね。フォークボールのような落差があった。
 そんなシャマランの断末魔が聞こえたかのような一本!

 『シックス・センス』で喝采を浴びたシャマランもここ最近は「一発屋」だと揶揄される事が多かった。起死回生を狙って書いた脚本がこんな印度人も呆れてビックリな代物では・・・もう再浮上不可能か?

 でも僕はシャマランを支持する。
 きっと次は『サイン』のような大傑作を引っさげて復活するに違いない!

 カム・バック・シャマラン!
 それを祈願して、最優秀カックン映画大賞は『レディ・イン・ザ・ウォーター』に決定!
 いらない?そりゃ、そうだわな。でも差し上げます!


・2006年最優秀作品賞

 恒例のベスト10です。
 対象作品は僕が2006年に映画館で観た123本の映画からリバイバル上映されたものを除いた作品となっております。
 ただ、毎回感想文の最後に掲載している星取り評価は度外視してベスト10を組んでいるので評価が逆転しているところもあるかと思いますが、あまり気にしないで下さい。
 では、早速いきましょう!

『スネーク・フライト』
 第10位 『スネーク・フライト』

 毎年、僕が組むベスト10の10位は今年最高に良かったB級映画・バカ映画に差し上げる事に決めております。
 数あるB級・バカ映画の中から『日本以外全部沈没』を押さえてランキングしたのがこの映画!

 サミュエルと毒ヘビが飛行機の中でデスマッチ!
 この分かりやすい構図をアイデア満載でとても上手く見せていたと思います。

 あのサミュエル先生の映画史に残る伝説的台詞もビシッと決まったぜ!
 ハリウッド映画の底力を見せ付けられた気がします。




『水の花』
 第9位 『水の花』

 ちょっと意外な作品もランクインさせてみました。
 おそらくそれほど多くの人が観ているわけではなさそうなので「機会があれば見てくださいな」って意味も込めて。

 木下雄介監督のデビュー作です。
 親に見捨てられた子供の孤独感がヒリヒリと感じられるものの雨が降る庭で小野ひまわりが踊るシーンで少し気持ちが癒される。
 しかし、ストーリー自体はかなり重いとは思います。
 それでもこの映画から考えるべきことは色々と有るんじゃないかな。


『好きだ、』
 第8位 『好きだ、』

 『ギミーヘブン』『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』『初恋』『ただ、君を愛してる』『海でのはなし。』と主演作が相次いで公開された宮崎あおい枠から選出した一本。

 今年封切られたあおい主演作品の中ではこれが一番好きかな。
 長回しが多いので眠くなってしまうかもしれないけれど、男と女の間に流れている空気を上手く切り取っている作品だと思います。

 勿論、一撃必殺のあおいスマイルも炸裂だっ!



『時をかける少女』
 第7位 『時をかける少女』

 今年観たアニメ映画(と言ってもこれと『永遠の法』『パプリカ』くらいだけど)の中で最も印象に残った作品。

 何処がどう好きとはうまく言えないのですが、物凄く爽やかな印象が残る映画でした。それでいて映画館から一歩外に出ると思いっきり駆け出したくなる衝動に駆られてしまって・・・っと僕の中で失われたはずの青い春がこの映画によって少し呼び起こされたような気がしました。





『ユナイテッド93』
 第6位 『ユナイテッド93』

 この映画については「ユナイテッド93便の乗客を英雄視しすぎ」といった意見もあるようですね。
 でも、実際にテロの手によってユナイテッド93便の乗客は全滅したことは事実です。あの飛行機に偶然乗り合わせた乗客は一体何を思っていたのか?
 そんないつ自分の身に降りかかるか分からない恐怖を身を持って体験できる映画。

 ラストの暗転から来る言い知れない絶望感。
 これは一度体験しておくべきだと思います。



『虹の女神』
 第5位 『虹の女神 Rainbow Song』

 岩井俊二初プロデュース作品。
 別にだからと言うわけではないですが、好きなんですよね。
 
 うまく気持ちが伝えられないもどかしさ。観る人によってはじれったくて仕方が無いかもしれませんが、僕はこの手の話は大好き!
 ラストで全編流される自主映画もなかなか効果的で良いです。
 今のところ上野樹里の最高傑作なのではないでしょうか?



『ホステル』
 第4位 『ホステル』

 2006年絶好調だったスプラッター映画枠から選出しました!
 『ハイテンション』『テキサス・チェーンソー・ビギニング』など他にも面白い映画はあったのですが、底知れない恐ろしさと言った意味ではこれかなと。

 天国から地獄に突き落とされたときの絶望感!
 これも凄まじいのですが、それ以上にこの映画に出てくるような組織がもしかしたら実在するかもしれないと考えるととことん怖い!
 ただの拷問映画と思うなかれ!心臓の弱い人以外は必見です。

 因みに名古屋では1月13日から公開決定!
 リピートしようかな。


『ゆれる』
 第3位 『ゆれる』

 これは多くの人がベストに挙げているんじゃないかなと思います。
 
 兄弟という切っても切れない縁だからこそ生まれる嫉妬・羨望。
 そういった愛憎が渦巻き、観客の心を大きく揺らしていく。
 ラストは色々と意見が分かれると思いますが、あの香川照之が見せる笑顔の本当の意味とは一体なんだったのでしょうね?

 あと、舞台挨拶で観た西川美和監督は可愛かったのも高ポイント。


『リトル・ミス・サンシャイン』
 第2位 『リトル・ミス・サンシャイン』

 2006年最後に観た映画が締め切りギリギリでランクイン!
 もうこの映画は本当に好き!
 よく考えたらこういったオンボロワゴン映画って僕はとことん弱いんですよね。
 何年か前に観た『バンド・ワゴン』って映画も凄く好きだったし。

 ストーリー自体に目新しさは無いかもしれないけれど、映画を観終わるときっと暖かい気分になる事でしょう。
 ほっこりとした映画。



 そして2006年の最優秀作品賞は・・・。


『トム・ヤム・クン!』
 第1位 『トム・ヤム・クン!』

 同じタイ映画なら『七人のマッハ!!!!!!!』も凄かったけど、こちらは更にそれを超越!
 人間技とは思えないアクションの連続にはただただ驚くばかり!
 「撮影中に人がマジで死んでいるんじゃないの?」と思う事もありましたが、そんなところがタイ映画=ガチであることを証明しているのでは?

 ジャッキーらしき人物(そっくりさん)とトニー・ジャーが空港で出会うシーンが用意されている事を考えるとジャッキーのアクション魂をジャーさんが継承した記念すべき作品であるとも言えるのではないでしょうか?

 やはりタイのアクション映画は辛口だった。

 ということで最優秀作品賞は『トム・ヤム・クン!』に決定!



 ここで2006年の映画大陸映画賞を総括してみると、

 最優秀助演男優賞:香川照之 『ゆれる』
 最優秀助演女優賞:蒼井優 『フラガール』
 最優秀主演男優賞:サミュエル・L・ジャクソン 『スネーク・フライト』
 最優秀主演女優賞:上野樹里 『虹の女神』
 最優秀監督賞:西川美和 『ゆれる』
 最優秀リバイバル映画賞:『盲獣』
 最優秀カックン映画賞:『レディ・イン・ザ・ウォーター』
 最優秀作品賞:『トム・ヤム・クン!』


 という結果になりました。
 ベスト10も意外とバランスが良いのではないでしょうか?
 邦画が10本のうち半分を占めておりますが、アクションあり、拷問映画あり、社会派映画あり、ラブストーリーあり、ヘビ映画あり・・・と様々なジャンルから映画を選ぶ事が出来て良かったかなと。
 
 2007年はどのような映画に出会うことが出来るのでしょうか?
 という事でこれにてお開きにしたいと思います。
 長々と失礼しました。


↓少しでも心に響くものがあるようでしたらクリックを↓
人気blogランキングへ