VHS2


 VHSのビデオテープ。最近、全く見かけなくなりました。
 昔はレンタルビデオと呼んでいたものも、今やレンタルDVDに・・・と、どこかで書いたような文章で初めてみましたが、VHSのビデオテープと言えば、僕の中ではビデオ図書館が印象深い。
 20代前半の頃に同じバイト先の友人から存在を教えてもらいました。確か円頓寺商店街の近くに在ったはず。初めて訪れた際には横に成人映画専門の映画館が併設されているせいもあってか、何処か一般の人には立ち寄りがたい雰囲気がひしひしと伝わってくる。実際、僕も店内に入るのに躊躇しました。

 それでも勇気を出して古びた建物に入ってみると、あるはあるはマニアックな映画のビデオテープが!
 僕はここで生まれて初めて日活ロマンポルノ作品のピンクのパッケージで埋め尽くされた棚を目撃するのです。マニアックなホラー映画もズラリと揃っているなどパッケージを眺めているだけでも楽しくって、アッという間に時間が経ってしまう。ただ、先ほども書いたように建物自体は古く、お世辞にも綺麗な場所とは言えません。長居すると何だか体が痒くなってきて・・・というのも良き思いで。
 聞くところによると業界では有名な場所らしく、映画評論家が映画評を書くために資料を求めて訪れたりもするのだとか。ただ貸し出しの制限が厳しく、僕の記憶が正しければ1回でも延滞すると会員剥奪だったはず。家から離れていた事もあり、その厳しいルールを守れる自信もなく、結局一度も利用する事はありませんでした。それでも当時の僕にとって宝の山のようにも思えたビデオテープの数々は今いずこ。
 まだ営業しているのかな?

 ってことで、ホラーオムニバス作品の続編『V/H/S ネクストレベル』です。

 『V/H/S シンドローム』の続編。という事で、ルールは前作同様にファウンドフッテージの手法を使って短編ホラーを製作する事。後はどうぞご自由にといった緩い縛りとなっております。
 正直僕は前作の『V/H/S シンドローム』をあまり面白いとは思わなかったので、「今回の映画、大丈夫かな?」と心配する部分が無かったと言えば嘘になります。ところが、全ては杞憂に終わる。
 うん、面白い!新しい境地に達している!これぞまさに「ネクストレベル」!

 って事で、一本ずつ簡単に紹介していこうと思います。

 『TAPE49』 (アダム・ウィンガード監督)
 この映画における狂言回し的存在の一本。前作で言えば『TAPE56』に位置づけされる作品であり、このパートを担当するのも前作同様にアダム・ウィンガード監督。
 若者がとある家に潜入し、そこに積み上げられた怪しげなVHSテープを再生していくと・・・って話なのですが、まぁ、このパートだけを観て「面白い!」という代物ではありません。
 因みにこのパートが一番面白くない点も前作同様。まぁ、これから紹介す4つの異世界へと誘う「地獄の門」的存在な訳ですから、逆にこのパートが一番際立っていてはダメなのかもしれません。

 『PHASE I CLINICAL TRAILS』 (アダム・ウィンガード監督)
 ヘルマンは事故で左目を失ってしまう。彼は視覚野に人工器官を付ける手術を受けるのだが、無料で治療を受ける代償としてその目には録画チップが埋め込まれる。彼は自宅に帰るのだが、数々のこの世ならざる怪現象を目撃。この目に埋め込まれた録画チップのせいだと疑い始め・・・。
 目の手術を受けた途端、異界の映像が視野に飛び込むことになる。人が寝ているかのような膨らみを持つベッド、血まみれの男性、そして見ず知らずの少女。それは存在するのか、しないのか・・・とジワジワと心理的に迫ってくる映像になっていれば良かったと思うのですが、直接的な映像でゴリ押し。
 正直、あまり面白いとは思わなかったですね。これで未だアダム・ウィンガード監督作品は、本シリーズにおいて連敗街道まっしぐら。新作『サプライズ』を凄く楽しみにしているけど・・・心配になってきた。

 『A RIDE IN THE PARK』 ( 、グレッグ・ヘイル監督)
 POV映画ブームの先駆けとも言える『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』。その監督が『V/H/S』シリーズに殴り込み!そして、見事に一等賞!本作品の中で僕はこれが一番面白かった。
 やはりこのご両人はファウンドフッテージの手法を得意としているのか?実は、『ブレア〜』自体は怖いとも何とも思わなかったけれど・・・。
 近所の公園で自転車を走らせていたマイク。彼は突如森の中から現われた女性に助けを求められる。彼女が逃げてきた先を見ると、何やら蠢く異様な集団が。マイクは彼女の手を引き、助けようとした途端、襲い掛かられてしまう・・・。
 有りそうで無かったゾンビ視点のPOV作品。アイデアとしてはなかなか面白いですよね。
 ゾンビになって人肉を欲する衝動を抑えられなくなったマイクの行動は時に恐ろしく、時にバカバカしい。良識がまだ残っているのか人肉ではなく皮財布を食べようとするショットなど、恐ろしさだけでなく、根底はユーモアで溢れているような気がしました。ラストの熊の人形を拾って・・・って描写も好き。ゾンビになってしまったけれど、わずかに残った人間性を捨てられないマイクの悲哀が十分に伝わってくる一本。
 実に面白い!

 『SAFE HAVEN』 (ティモ・ジャイアント、ギャレス・エヴァンス監督)
 期待の新作『ザ・レイド GOKUDO』の公開が控えるギャレス・エヴァンス監督が、本シリーズに参戦!
 しかも内容がガイアナ人民寺院集団自殺事件やヘヴンズ・ゲート事件のようなカルト教団の集団自殺をモチーフにした作品となれば、半端な破壊力ではないはず。ただしシラットなる格闘技術を使って、謎のカルト教団を殲滅するようなアクション大作には仕上がっていませんので、あしからず。
 「天国の門」という名の宗教団体を取材する事になった一向。彼らは教団施設を訪れる。そこには教祖を筆頭にした独自の社会が築き上げられていた。教祖へのインタビューを続ける取材班。すると教祖は「時間だ」と言い出す。そして惨劇が訪れる・・・・。
 実にパワフルな作品。取材中に教団の集団自殺に巻き込まれてしまった取材班。当然、ネタとしては面白いので「どんどんカメラを回せ!」って事になりそうなのですが、それを許さない異様さが際立つ。銃でこめかみを撃ち抜くなど集団自殺が次々と発生するのですが、死の後に訪れる復活。死んだはずの信徒は、何故かゾンビのようになって蘇えるのです。そして邪悪なものの誕生。
 おそらく興味本位で取材を敢行した一向に降りかかる災難の連続。その行く末にある思わずクスっと笑ってしまうようなオチ。観る者を一切退屈させない、まさに疾風怒濤の一撃!
 『ザ・レイド』のようなアクション映画ではないけれど、観る者に有無を言わさず捩じ伏せるような勢いは本作においても健在。一見の価値あり!

 『SLUMBER PARTY ALIEN ABDUCTION』 (ジェイソン・アイズナー監督)
 これはきっとM.ナイト・シャマラン先生の大傑作『サイン』への挑戦状に違いない!
 なぜなら水中を泳ぐ宇宙人が登場するからだ!
 『サイン』では水の惑星・地球に攻め込んできたくせに水が弱点という頭の悪いエイリアンが金属バットで殴られていました。でも今回のエイリアンは一味もふた味も違う!そんな金属バットにビビッている様なエイリアンじゃありません。だって、こっちは普通に泳げるし!
 確かに手振れが酷すぎて画面上で何が起きているのか非常に解りづらいなど欠点はある映画です。でも親の留守を良い事に騒いでいたガキンチョどもを宇宙人がお仕置きという設定は決して嫌いじゃないし、『サイン』同様にバリバリのグレイ型宇宙人が姿を見せるという点も素敵だと思う。
 地球侵略という大騒動が、とある家庭の一軒家というミニマムな環境で沸き起こるという点も気に入りました。賛否はあるけれど、矢追純一のUFOスペシャルに燃えた経験を持つメンズにとっては、たまらない一本であると思います。

 以上、5本が収録されています。
 1作目を観た時にはどうなる事かと思ったけれど、今回の作品はきっと多くのホラー映画ファンにとっては満足のいく出来だと思います。今、勢いのあるPOVホラー映画を観たい人には、まさにうってつけの映画でしょう。さらに言えばDVDではなく、ビデオデッキでこの映画を観ると趣が増すように思いますが・・・そういった売り方はしていないのかな?

 ★★★★☆

 2014 #28

 ↓少しでも心に響くものがあるようでしたらクリックを↓
 人気blogランキングへ