Holymountain


 名古屋駅からJRに乗って10分20分行ったところに刈谷駅が有ります。デンソーの本社があるなど自動車産業の集積地でもあるわけですが、そこに刈谷日劇という映画館がある。今まで刈谷に行く事なぞ無かったので完全にノーマークでしたが、ここが愛知県では数少ない名画座だったのです!
 劇場は2つあり、一つは昔で言う二番館(上映が終了した新作を上映している映画館)。そしてもう一つのスクリーンでは二本立て上映で過去作が流されています。しかも入場料も800円!
 基本的にフィルム上映ではなくDVD上映となっていますが、それでも映画館で過去の名作や怪作を拝める環境というのは、僕にとってはとても貴重!愛知には東京のシネマヴェーラやラピュタ阿佐ヶ谷のような映画館はありませんから!いいな、東京は映画を観る環境が整っていて・・・でも刈谷日劇ならきっと面白い事をやってくれそうな気もするのです。

 何はともあれ、初めて刈谷日劇に乗り込んできました。だって上映作品が『ホーリー・マウンテン』と『エル・トポ』の二本立てですよ!頭がおかしくなるほど濃すぎるラインナップだっ!

 ってことで、まずはアレハンドロ・ホドロフスキー監督作品『ホーリー・マウンテン』です。

 この映画を観るのは今回が初めてですが、久々に変な映画を観た!
 何だか分からないが、残酷で、下品で、おっぱい満載!インパクト絶大映像の洪水にただただ呆然。しかし、その感覚が今までにない体験であり、次第に心地よく感じてくるのが不思議だったりもします。

 オープニングから正直、よく分からない。女性が異空間で男に裸にされ、剃髪されるシーンが用意されています。そのバックに流れているのが、どうも日本のお経?良く聴き取れはしないが、「〜し給う」などと所々で聴き取れ、もしかして監督は仏教徒ではないかと思ったりもする。
 確かに尼寺に入る時にこの世との未練を絶つために髪の毛を剃るという事は『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』でも描かれているので、周知の事実。でもオープニングから何の説明も無くこの描写ですから、「これから何を描くの?」と観ている僕としては口をただアングリさせるだけ。

 そうかと思うと、次のシーンでは主人公らしい明らかにキリストをモデルにした男の登場です。その男の掌からは一本の花が咲き、それを小人が抜く。そして彼は十字架に貼り付けにされ、そして多くの子どもから石を投げつけられる。これら一連の描写が一体何を意味しているのか解からない描写が続く。でもスクリーンからは、何故か目が離せない。
 その後もこのキリストのような男は、「カメレオンとカエルのサーカス」と題した最後にそれらの動物を木端微塵に吹き飛ばす残酷劇に登壇したり、「キリスト、大安売り」と書かれた店の男に散々酒を呑まされ、泥酔。その間に石膏で型を取られ、文字通り彼の体をモチーフにしたキリスト像が量産された場に出くわしたりする。そうかと思うと、街ですれ違った肌を露出した女性集団の一人に見初められ、彼女は彼の後をチンパンジーと共に追い続けるのです。
 解からない、意味がさっっパリ解からない。それでも彼は最終的に黄金を生み出す巨大なモノリス状の建物へと導かれ、そこで冒頭に登場した女性の髪を剃っていた男と出会います。

 ここからが第二幕。ここで黄金を求めたキリスト風の男。「されば与えん」とモノリスの男は黄金を生み出す方法を伝授する。それは何と黄金から黄金を生み出す方法だった・・・って、伝わりにくかったかもしれませんが、「黄金」というとSM小説の世界なんかでは「ウンコ」を意味する言葉なんですよ。つまり糞から金を作る。そして人々はそれを有難がる。何だか皮肉が効いてきました。
 ただここから説教臭い話になっていくのかと思いきや、そうはならない。モノリスの男は選ばれし聖者を集め、聖なる山に登る事によって永遠の命を手にしようと言います。そしてこの選ばれし者の紹介が長々と続くわけですが、それがまた頭がおかしいか、変人ばかり。
 ある部分を上手く触ると発情する謎の機械・その名もラブマシーンの開発者には、きっとモーニング娘のメンバーも仰け反るでしょう。他にも男性1000人の睾丸を切り取ったムキムキホモ、日頃は大道芸人として子供を喜ばせ、その裏では子供に対して某国との戦争に備えて洗脳教育を施している女・・・こんな連中が一堂に介し、全てを捨てて聖なる山を目指すのです。

 彼らのゆく手には様々な苦難が待ち受けています。婆さんにチ〇コを切られ、鶏の死骸と共に逆さ吊りなんてまだ甘い!何匹ものタランチュラが体中(顔も!)を這い回るなんてダチョウ倶楽部も敬遠するであろうガンバルマンな描写にウゲッ!顔面がお爺さんにも関わらず何故か垂れ乳な女(?)による母乳シャワー攻撃に遭う『極道大恐怖劇場 牛頭』を超越した描写に思わず顔を歪める!・・・と、兎に角、エログロ満載な旅が続く。そして聖なる山で待ち受ける衝撃的なクライマックス!これって、まさか『シ〇リア超〇急』?
 
 ストーリーに意味が有るのか無いのか、常人である僕には皆目分からないし、皆目理解できない。でも地獄絵図のように続く血みどろで下品な映像の洪水にはただただ圧倒され、打ちのめされるのみ。映画にちゃんんとした整合性を求める人には絶対無理な作品でしょうが、僕は意外と好きですね。
 だってこの映画、全てのカルト映画の原点の様な作品ですから!

 何だか凄すぎるぞ、この映画!17,8年映画を観続けてきたにも関わらず、まだまだ知らない世界があるものだと痛感した次第であります。この混沌とした聖なる山、一度登ってみたらいかがでしょうか?

 そして貴重な経験を提供してくれた刈谷日劇に感謝!!
 ラインナップによってはまたお邪魔する事になるでしょう!

 ★★★★☆

 2015 #30 刈谷日劇2にて鑑賞

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