soredake


 全編bloodthirsty butchersの奏でる爆音が劇場を引き裂く傑作!!

 ・・・と、したり顔で書きたいところなんですが、実はこの映画を観るまでbloodthirsty butchersというバンドの存在すら知りませんでした。という事で、困った時にはWikipedia。
 そこで調べてみると、バンド名の由来はアンディ・ミリガン監督のカルト映画『血に飢えた断髪魔 美女がゾクゾク人肉パイに』の原題にあるとの記載が。となるとこちらのフィールドの話と言いたいところですが、恥ずかしながらアンディ・ミリガン監督の名前すら知らなかったことを告白せざるを得ません。
 そこでまた調べると、日本でこの監督の映画が紹介されたのはスプラッター映画ブームの終焉期。その頃に「ハーシェル・ゴードンン・ルイスに続く最後の大物」として紹介されたそうです。ただ『血に飢えた断髪魔』を含め、作品の内容自体は酷いものが多いらしい。日本ではVHSのテープでリリースされた作品のようですけど、DVD化はほとんどされてないようで。名前を憶えていれば、観ることにします。
 あれっ?なんか本作とは全然関係のない方向に話が進んで行ってしまった。閑話休題。

 ってことで、石井岳龍監督作品『ソレダケ That's it』です。

 戸籍を奪われ、この世に存在しないものとして生きてきた大黒砂真男(染谷将太)。彼はコインロッカーから調達屋の恵比寿(渋川清彦)が持つハードディスクを盗み出す。そこには多くの戸籍データが収録されており、高値で取引出来る物だった・・・。

 尖がった映画を久々に観た気がします。また、合わせて最初に書いておくとすれば、この映画は絶対に映画館で観るべき。映画館の爆音上映で観てこそ映える作品であり、おそらく自宅のDVDで「近所に迷惑だから」と音量もそれほど上げずに観たのでは、きっとその良さが伝わらない映画だとも思うのです。
 ですから、前提として本作を観るなら映画館で!そうでないなら観なくて良し。
 初めにそのように書いておこうと思います。

 「尖がった映画を観た」と先ほど書きましたが、いや本当にこれが何の知識も無く観ると「1980年代の映画?」と勘違いしてしまうほどに良い意味で時代に合っていない。オープニングの疾走感溢れるチェイスシーンから何処か塚本晋也監督作品『鉄男』を彷彿とさせますし、無軌道で勢いだけで突っ走ってしまう展開は『狂い咲きサンダーロード』を思い出させる。兎に角、荒々しく、刺々しい。
 こんな映画を撮る事が出来る石井岳龍(改名前は石井聰亙!)監督。流石『狂い咲きサンダーロード』や『爆裂都市』を撮った監督だと感嘆せざるを得ませんし、この平成の世にて昭和の香り立つ作品を世に放ったパワー!「こじんまりと俺は纏まらないぜ!」という迸るロッケンロール魂!
 いやぁ〜、これぞまさにハートにズキュンな作品って事ですよ!

 役者陣も良い!特に染谷将太!今までの作品で一番良かったと思う。
 あのこの世のすべてを憎むような目つき!体に触れると指が切れてしまいそうなほどの危険な存在感!ああいった男の色気を放てる役者が存在する事を本当に嬉しく思います。
 その相手役を務めた水野絵梨奈も(上手い下手は別にして)悪くないと思います。この殺気だった作品の中で彼女の肩から腕の辺りにかけてのプニプニ感は、ある意味で癒し!一服の清涼剤であると評したい。

 壮絶な拷問描写あり、爆音あり、アニメーションを使ったバカ銃撃戦あり・・・と、まぁ、ストーリーは横に置いておいて、真っ直ぐに観る者のハートを突き刺そうとする勢いは感じられます。あんまり長々と語る必要のない映画だと思いますので、興味がある人は何度も言いますが映画館で観て下さい!
 あのブルース・リーの名言「考えるな!感じろ!」の精神で望めば、きっと楽しめる作品なのではないでしょうか?

 ★★★★

 2015 #38 センチュリーシネマ1にて鑑賞

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