なんと7年ぶりに旅に出ました。
目的地は伊勢
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なぜ伊勢なのか
日本の代表的聖域であるというのはもちろんですが
実は亡き父の作品をめぐる思い出もありまして
それの今の姿を46年ぶりに確かめたかったのです
なにぶん子供のことなの、でなぜそこに設置されたのかの詳細ははっきりしませんが
徴古館の敷地内で行われた除幕式に参加し
内宮さんの御垣内でお参りさせていただいたことはよく覚えています。
その後二見浦や鳥羽も関係者の方に案内いただきとてもいい思い出です。
そんなことも含めてのほぼ半世紀ぶり(!)のお伊勢参り。
諸般の事情で日帰りではありますが
赴くことに意義があると準備にも熱がはいります。
ネットで諸々検索できる時代ではありますが
ここはやはり図書館でしょう!
というわけでガイドブックというよりちょっと専門的な数冊を借り、にわか知識を詰め込みます
一般的に言われる「お伊勢さん」は内宮。
しかし伊勢には内宮のほかに外宮、別宮、遙宮とすべて合わせると125社もあります
この125社すべてが「神宮」なんですね
伊勢という土地がもはや神の領域です。
内宮さんだけをお参りするのは「片参り」といって本来はタブーです
そして
外宮から内宮へが基本。ショートカットでお参りするのならこちらですね
もっと踏み込みたいのであれば、外宮内宮以外の宮を回ります。
せっかく46年ぶりに訪れるのなら出来る限り正規のルートに近いお参りをしたい。
しかし!日帰り。。。
近鉄の車窓が旅情気分をかきたてます
移動は往復8時間超え、現地滞在は頑張っても6時間というタイトスケジュール
が、可能な限り回れるよう細かく計画を練ります。
一宮目に訪れるべき二見浦はどうしても無理
思い出もあったので足を運びたかったのですが
今回はあきらめます。
訪れるべきお宮も実はまわる順番があるので効率がいいとは言えませんが
出来る限り決まりを守ってみたい。
バスで回るのが本来ですが日帰りともなるとバスの乗り継ぎがタイムロス
ペーパードライバーの私はレンタサイクルを選択です
私の自転車は6番ちゃんです
外宮と内宮はとても距離がありしかも伊勢は起伏が多のですが
日ごろ自転車を極めている私には問題なし(たぶん・・)
五時過ぎのホーム
夏日ではありましたが天候も問題なく「新横浜6:11発のぞみ」駆け足弾丸旅出発です
名古屋まではあっという間
そこから近鉄て宇治山田までですが特急の時間条件も良くなく、急行で約2時間
名古屋からが遠いですー
特急でも20分しか変わりません
宇治山田構内の観光案内所で自転車を借り
まずは北回りで徴古館経由参拝、神宮会館です
徴古館には貴重な資料もたくさんあり
神宮美術館も本来ならゆっくりと観覧したいところですが
今回は我慢
これが父の作品。奥に徴古館が見えます
神宮美術館の枝垂桜
一宮目のお参りは倭姫宮、徴古館敷地内にお宮があります
伊勢に神宮を創建し様々な祭事や運営を確立させた要の姫
「倭姫宮」
人の多い内宮とは違いひっそりとした佇まいは
お宮だけではなく鳥居前の空気からしてシンとした美しさがあります
伊勢独特の社を久々に目にした時、ありがたい感動があふれました。
その後内宮方面へ自転車を走らせ「月読宮」へ進みます。
こちらは
天照大御神の弟神である月読尊、月読尊荒御霊
伊弉諾尊(月読尊の父神)、伊弉ミ尊(月読尊の母)のお宮
四人の神様がお祀りしてある独特のお宮ですね。当然お参りの順番も決まっています
こちらも木々に囲まれたシンプルな御社で夏日でありながらも空気が澄んでいます
社殿作りの御宮が四つも並んでいると圧巻です
「月読宮」
ここでポイント:荒御霊というのはその神の行動的な荒々しい側面をおまつりしてあるところ
メインの正宮は和御霊はその神の穏やかな側面をお祭りしてあるところです。
お参り時には正宮の後に必ず荒御霊をお参りします
月読宮を出てしばらく行くと「猿田彦神社」が。
素戔嗚尊に地上界を案内した猿田彦神は
物事を良い方向へ導いてくださる「道開きの神様」
「神宮」には基本おみくじがありませんが
こちらにはあります。(引きました)
「猿田彦神社」
猿田彦神社は「神宮」ではないので社殿作りの社ではありません
社内には方位石などいくつもご利益スポットがあり
社殿の後ろには御神田もありました
「方位石」望みによって文字を順番にさわると
願いがかなうそうです。
社後方の「御神田」ちゃんとお祀りしてあります
内宮お参り後に向かわれるかたが多いようですが
導きの神ですので内宮参り前に訪れ内宮さんに導びいていただく流れがいいそうです
その後神宮会館でご朱印帳を求め、いよいよ外宮へ向かいます
方向としては戻る感じですが南側の別ルートをいきます
「外宮」の入り口、こちらは一の鳥居ではありません
外宮はやはり規模が違い参拝者の数もおおい。伊勢のメインどころですものね
こちらは豊受大御神。天照大御神の食事をつかさどる神です
大きな木製鳥居をくぐりまずは正宮へ向かいます。
玉砂利参道の両脇は大きな杉の木の林で
中には新緑をたたえた種類の違う樹も
手水社、とても清々しい趣です
こちらが二の鳥居
おおきく迂回しながら進むと二の鳥居が見えてきます
鳥居をくぐるごとに神域に近づいている思いです
右側の神楽殿をながめながら進んでいくと
外宮の正宮が見えてきます
今までのお宮とは違い大きな板垣でかこまれている御宮
撮影できるのは第三の鳥居の前までです
広さと大きさのせいだけではない圧倒的な佇まい
威圧感とはちがうのですが大きな存在に圧倒されます
「外宮」の正宮
内宮も同様ですが、正宮ではお願い事は禁止です
私はもともと参拝で願い事はしないほういなので違和感はありません
大きな御宮の前で白い絹の「みどはり」の奥をじっと眺めると
伊勢に来たんだなあと改めて感じさせられます
正宮をあとにして荒御霊「多賀宮」へ
その途中に「三つ石」とよばれる注連縄で結界がはられた祓い所があります
手をかざすとパワーを感じるとかで皆さんかざしてらっしゃいますが
結界がはられているというのは神聖な場所だから
御宮同様にお参りさせていただくのが正しいようですよ
「三つ石」
「三つ石」を過ぎ小さな橋をわたりいくつのも石段を上がっていくと
「多賀宮」につきます。
「亀石」と呼ばれる橋、カメですね
この御社のみならず外宮内宮の社の隣には
同様の広さの土地が注連縄でお祀りされています
20年に一度の遷宮でこの土地にまた同様の社を建てるのですね
「多賀宮」
隣に遷宮のための土地がありますね
「風宮」
その後「土宮」「風宮」さんにお参りさせていただき
しみじみ鳥居を一つずつくぐり下界へ帰省します。
外宮の御厩。神馬のいる時間は決まっています
そしてまた朝と同じルートを通り(約6km)内宮を目指します。
要するにグルッと大きく伊勢の主要なエリアを二回まわるのですね。一周9km
一度通った道なのであっという間です。
広い内宮エリアではどこに駐輪させていいのか少しタイムロス。
さてやっとやっと内宮です。
宇治橋からの山にも桜が
懐かしいこの風景。
いやーそれにしても人が多い!!です!平日なんですがねえ
昔はこんな人手ではなかったような
手水社にも瑞々しい苔が
しかも入社時期も重なってか50人は居るであろうリクルートスーツの団体が二組
似たようなスーツを身に着けているのに皆バラバラの印象でしたよ
「やれといわれたからやっている」感満載
毎年の決まりなのでしょうが、団体でお参りする意味を考えます
宇治橋を渡ると神苑が
様々な人が足を運ぶ神宮
神様は神様ですから全て御見通しなのでしょうが
強く感じたのは訪れる意志を持った人にお参りの意味があるのだなということ
当たり前のことのようですけど。
松の小さな子供がいましたよ
ご利益ってお参りすることによって自分で作っていくことなのだなと
お参りしたことで気づく(気づかされる)事があり
それによって自分自身が開眼しないといい方向には行きませんよね
神様が何もないところからすごいものを渡してくれるわけではないですね
そんなことも思いながら正宮へ向かいます
手水者でお浄めをして五十鈴川へ向かいます。
せっかくですからきれいな水に手を浸しましょう
五十鈴川
昔は鯉が居たような。今は小さな魚がちらほらと見られます。
不思議なことに伊勢の桜は関東よりちょっと遅いみたい
川をながめていたらサワッと風が吹き
それはそれは見事な花吹雪が!
山桜の小さな白い花びらがキラキラ舞って本当に綺麗でした。
正宮の前に「滝祭神」にお参りします。
こちらは五十鈴川の守り神ですが、お参りに来たことを正宮につないでくださいます。
五十鈴川までは空が開け広々と明るいのですが
滝祭神から正宮に向かうと両側が大きな杉林になり荘厳な雰囲気になってきます。
正宮へ続く参道
このスケール感は外宮とはまた違ったものですね
うっそうという感じではなく上に伸びている感じ。空が遠く高いところに見えます。
「内宮」正宮
そして左手、高い石段の上に正宮が見えます。
外宮は広い印象、内宮は高い印象です
こちらは階段下までしか撮影できません
間口は外宮の方が広く、内宮正宮はもう少しタイトです。
階段上の警備の方が参拝者を誘導します
厳かな雰囲気というよりも気のいいオッチャンがサクサク仕事をしている感じでした
しかし!その彼が何回たしなめてもスマホで撮影しようとする男性が!
いったい何をしたいんだろうこの人は。
大勢の人間があつまるところにはいろいろな人がいます。
車いす利用の方や、杖を利用される方も勿論のこと
「二礼二拍手ってなに?」という彼女に「こんなんじゃねーの?」という彼氏、ほほえましいです。
見事な杉ですが、触られすぎてツルツルに。樹に触れるのはひかえたいですね
次に荒御霊「荒祭宮」へ向かいます。
こちらは正宮と違いお願い事ができます
できるだけ世俗的なことは避けた方がとのことですが
神宮にお参りすると個人的なレベルの願い事に考えが及ばなくなります
スケールが大きすぎて。
「荒祭宮」
神宮では特に「自分が他人にできること、他人に思いをはせる」といいそうですよ
それが巡り巡っていつか自分に返ってくるかもしれません。
「四至神」内宮を守る神です。ひっそりした佇まいでみなさん通り過ぎます
「荒祭宮」と下り「風日祈宮」へむかいます
この宮にお参りするため鳥居に挟まれた橋を渡ります
五十鈴川御手洗より木々に囲まれているため
この時期、新緑に包まれながら渡る感覚です
「風日祈宮」への橋から
静かな風がそよぎます。木々で薄暗い参道をいくと「風日祈宮」
とても静かな印象の御宮です
「風日祈宮」
同じ道を通り橋へ向かうと向こうに神楽殿が見えてきます
静かな場所から人のいるところに戻ってきた感です
奥に神楽殿が見えます
御池が桜で染まります
お札やお守りをこちらでいただき
今回は宇治橋に戻ります。
内宮は右側通行。宇治橋からの眺めも域と帰りは違います
神域の山に国旗が掲げられています
五十鈴川行きと帰りでは景色が全く違う!
振り返り改めて眺めることをおすすめします。
復路の五十鈴川
後ろ髪をひかれつつ渡りきると右手に「おはらい町」
にぎやかな門前町に立ち寄りたいところですが今回は無理
お土産はこちらで「おはらい町」
いそいで戻らないとなりません
日ごろ鍛えている健脚で駅に戻ると、まだ30分はある!
そして16時前!(お宮参りは16時までがいいですよ。16時以降はあちらの世界が変わります)
「月夜見宮」へ向かいます
外宮の別宮「月夜見宮」自転車なので細い道を通り
鳥居の前に駐輪できます(禁止の所も有)
こじんまりとした静かな御宮
神宮の御宮で共通なのはとても凛として清々しいこと。
「月夜見宮」
シンプルな佇まいが迷いやわだかまりを寄せ付けない雰囲気です。
この美しい御宮の横に驚くほどの大木が。
大楠
この命も御宮を守っているのでしょう。力強さが伝わります。
さて大急ぎで宇治山田に戻り一日お世話になった自転車を返却しないと。
キーを返したのが電車出発の10分前!
朝六時に食事してからこの日一日気が付けばなんと飲まず食わず
そういう意味で伊勢にお金をおとしませんでした。。
でも目的は達成できたと思います「ゆっくり」も「のんびり」も出来なかったけれど
ぎゅうぎゅうに詰まったこの一日で心はとても満たされました。
きれいな空気にたくさんふれて改まった気持ちにさせていただきました
お参りの意味とはそういうことなのでしょう。
久しぶりに心行くまで特別な空間に身を置けて「なんか大丈夫」な気持ちになりました
帰りの新幹線で一日分の水分補給をし、おにぎりを食べながら日帰りっていいな
でも次回は人の少ない早朝参拝がしたいなあと思ったのでした。
しっかりぎっしりお参りされたようで、文面からもパワーがこぼれている気がします。
以前、御歳神社の宮司さんに聞いたのですが、神様へのお願いっていうのは意思表明だと。
「私、これこれこういうことします!」「こうなりたいです!」っていう意思表明を神様にすることで、自分が動き出すのを見守ってもらう。動いているのを見ててもらうのが「お願い」なんだそう。
でも、やっぱりお願いするくらいだから困難なことが多くて、しょぼんと気持ちが沈みそうになってくる。そんな時は神様の元に行って初志を思い出す。すると神様が「よっしゃ、また頑張る力を与えたろ」って元気をチャージしてくれる。
それが参拝の姿じゃないかなって。
今回のしづさんの記事を読んで、ほんまそうやなぁって気がしました。
いつか、ゆっくりのんびりお参りもできるといいですね。
もちろんもう少し足を伸ばしていただいて、唐招提寺さんお薬師さんへのお参りもお待ちしております^^
元気をチャージしたしづさんが、たくさんのお客様に元気を与えてる。。。巡り巡る不思議に感謝です。