映画感想「シンデレラマン」
【評価】★★★★
【感動】★★★★★
【暴力】★★★★
【 夢 】★★★★
【エロ】
【笑い】★★
ひさしぶりに試写会に行ってきました。
いえね、最近、仕事が忙しくて、試写会に行ってないのよ。
というより、応募しても当たんない。
というわけで、久しぶりに当たった「シンデレラマン」。
開映前にチラシを見たら、「家族の幸せだけを願っていたら、いつの間にか”アメリカの希望”になっていた…これは、そんな父親の物語です」なんてユルユルなこと書いてあるじゃない。
あー、なんかどうせまーたユルユルな映画なのかな、と思っちゃいましたよ。
だって、題名が「シンデレラマン」だぜ。
ガラスの靴をはいた「マン」=男ですよ。
んなの見たかないね。(じゃあ、試写会に来るなって?(苦笑))

そもそも、「家族」だとか「愛」だとか、んなのはアメリカ映画なんかにみんな求めちゃいないんですよ。
アメリカの映画で必要なのは、「おセクス」と「バイオレンス」だべよ、とかって思っていました。
観る前から「ケッ」って斜にかまえていたんですけど…。
いえね、感動してしまいました。
頬に、なんか暖かい水を感じましたもん。
ぬぐってもぬぐっても、とめどなく溢れてきましたよ。
「あれ?これって、ひょっとして、涙?なみだ?NAMIDA?」って狼狽えてしまいました。
会場でも、試写が終わったときに拍手がありましたからね。

いえね、俺って人非人じゃないですか。
荒れた生活を送ってるじゃないですか。
だから、人間としての正常な感情というか、そういうのを根本的に欠いているわけよ。
だけどね、今日のこの「シンデレラマン」を見て、涙して、
「俺ってひょっとしてやり直せるかも」とかって思っちゃいました。
ホント、明日から交差点で荷物抱えたお婆さんとか、負ぶってあげよっかなー、って思っちゃったよ。


舞台は大恐慌時代のアメリカ。
失業率の上昇、不景気で満足に食べるものもありません。
そんな中、ボクサーであるジム・ブラドックは、勝てない試合でも次々とこなさなければなりません。
KOはされないものの、だらけた試合ばかりでした。
彼は日々の生活のため、勝てない試合でも出て、ギャラを稼ぐ必要があったのです。
ですが、ボクシングのギャラだけで食えるはずもなく、やがて試合にも声がかからなくなります。
職を求めますが、不況の中、安定した職などみつかりません。
肉体労働などをしながら、その日その日をしのいでいきますが、子供が三人に妻を養えるわけもありません。
妻は、自分の実家などに子供を預けることを提案しますが、ブラドックは「家族は離ればなれになるべきでない」という信念を曲げません。
ますます貧乏になるブラドック一家。
そんな困窮を極めている時に、かつてのマネージャーから、ボクシングの試合が持ちこまれます。
相手は、新鋭の強豪。要は「かませ犬」としての試合でした。
家族のため、少しでも金を稼ぐために、その試合を引き受けます。
満足に食事もとれなかったブラドックでしたが、なんとその試合で神懸かり的な逆転KOで勝利します。
「まだまだやれるかも?」と思ったブラドックは、次も試合をやってみると、なんと勝利。
さらに勝利を重ねて、いよいよ世界チャンプとのタイトルマッチにたどりつきます。
ですが、その世界チャンプが、なんと二人も試合で殺したことがあるという、マッドな感じのヤツなんですわ。
「老いぼれめ、ぶっ殺しちゃるわ、グヘヘへ」って、亀田兄弟もビビるんじゃねえの?ってくらい迫力のあるヤツなんですよ。
そんな相手との対戦に、妻は動揺します。「やめて、あなた!殺されちゃうわ!」。
けれど、男ブラドックは「家族のために戦う」と、敢然と戦いに挑みます。
果たしてブラドックの運命は…

ってな話。
でもさ、あらすじ書いててすごく感じたんだけど、
なんか、こういうふうに書いていくと、結末がすんげえ簡単に予想できるよな。
うん、俺も「あー、どうせこうなるんだろうなぁ」って思いながら見ていた。
だってさ、これでブラドックが1Rで失禁KOとかされちゃったら、お話にならないじゃないですか。
妻が「リングで失禁するような男なんてキライ!」って、ブラドックに見切りをつけて、
世界チャンプの愛人になったりしたら、目もあてられないじゃない。

だから、きっとみなさんの予想通りの結果になるんですよ。
すべては予定調和なんだけど、だけどね、感動しちゃうのよ、ホント。
展開が容易に予想できるのに、きちんと感動できるって、これはやはりすぐれた映画ですよ。

やはり、役者の演技もすぐれていますし、何よりもボクシングシーンがすごく迫力がありますね。
わざとカメラをブラしたりして、臨場感を高めたりすることはもちろん、
フラッシュを多用して視点をさまざまに切り替え、多角的な視点でボクシングシーンが楽しめるように工夫しています。
また、音もすごくリアルで、劇場でしか体験できないような効果音が印象的でした。

「シンデレラマン」というのは、いわば現代の「おとぎ話」ですよ、という意味でつけられた題名だろうと思います。
実際に、映画の中ではアメリカンドリームを象徴する男として、主人公を「シンデレラマン」と言っていたりするんですが、
ですけど、ちょっと題名としては「?」ですね。
あるいは、この「シンデレラマン」というのは、アメリカ人には解るような、解る人には解る、みたいな題名なのかもしれません。
でも、俺には何が何だかちょっとわかんないですね。
映画の題としても、インパクトに欠けると思うんだけど、どうなんだろうな。


でもさ、ぶっちゃけたところ、この主人公も、最初から頑張ればよかったんじゃないの?という気がしないでもないですね。
んな、途中から頑張って世界をめざすくらいなら、最初からバリバリやればよかったような…。
あとね、亀田兄弟ばりの世界チャンプなんだけど、あまりにもブラドックを舐めすぎ。馬鹿にしすぎ。
いくらなんでも、試合中にあんなに遊んでたら、そりゃ…と思ってしまいました。
また、主人公も、すんごい殴られまくりなんですけど、試合後とか全然顔が腫れないんですよ。
男前のまま。そこいらへんは演出上の配慮なんだろうけど、あれだけ殴られて全然顔が腫れないって、ちと不自然だなぁ。

まあ、そういう点はご愛嬌として、でも、すごく良い映画でした。
ひょっとしたら、この秋一番の映画かもしれません。