読書感想「プリズム」
プリズム

【評価】★★★★
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貫井徳郎の本です。
小学校の女教師・山浦先生が殺されます。高いところに置いてあったアンティーク時計で殴られたようです。
現場には睡眠薬入りのチョコレート。
そのチョコレートは、南条先生という男性教師がホワイトデーのお返しで贈ったものでした。
さらに、窓が破られており、物取りの可能性もあります。
その犯人をつきとめるため、第一章では小学生の小宮山という男の子をはじめとして、山名(美少女)などの女の子たちが犯人を推理します。
小学生とはいえ、なかなかの情報収集能力と分析力です。
結論は、南条先生と付き合っていた桜井先生が犯人ということになります。
と、そこで次の第二章になります。
その第二章では、今度は桜井先生の視点から物語はすすみます。
小学生たちは桜井先生を「犯人」として推理していましたが、その推理ははずれており、なんと桜井先生は無実。
むしろ、犯人は誰なのかを探っていきます。
いろいろと山浦先生の交友関係を探る桜井先生。
山浦先生が昔付き合っており、事件当夜も会っていたという井筒という医師が怪しいとにらみます。
桜井先生は、いろいろと推理をめぐらし、井筒が犯人ではないかと結論づけます。
と、そこで次の第三章。
第三章では、その疑われた井筒が視点人物となります。
桜井先生の推理ははずれており、井筒は犯人ではありません。
井筒は、昔山浦先生と付き合っていたのですが、山浦先生のあまりに奔放な性格に嫌気がさし、別れました。
井筒は独自に捜査を開始。すると、山浦先生が今現在不倫していることを突き止めます。
不倫相手は、なんと小宮山という医者でした。
さらに探っていくと、小宮山がやはり犯人だろうという結論にいたります。
で、第四章。なんと、ここでは先の井筒により犯人とされた小宮山が視点人物になります。
当然、小宮山は犯人ではありません。
犯人を独自に捜査する小宮山。
すると、結論として自分の息子が犯人ということに。
とまあ、ここでジ・エンドなんですが、第一章で小宮山の息子は視点人物になっており、犯人ではありえません。
つまりは、この小説のどの章の主人公たちは、それぞれ犯人ではないのですが、犯人であるとそれぞれ疑われている存在でもあるのです。

小宮山の息子(一章)→桜井先生(二章)→井筒(三章)→小宮山(四章)

といくのですが、最後にはやはり一章に戻るような構成になっています。
こんなふうに、登場人物によって提示された推理が、後に続く人物によって否定され、新たな推理を提示する、それも後に続く人物によって否定され、新たな推理が生まれ、後に続く人物によって否定され、新たな推理を…
という展開は、この本の解説に書いてあったんですが、どうやらアントニイ・バークリー「毒入りチョコレート事件」(創元推理文庫)が元ネタらしいです。
貫井徳郎はそれをかなり意識しているだろう、と解説では書かれています。
確かに、「チョコレート」は重要な小道具ですし、そうなのかもしれません。
僕は元ネタの「毒入りチョコレート事件」は読んだことないんですけど、どうなんでしょうね。
一つの事象でも、様々な角度から見ると、また違った事象に見えてくる。
光の屈折で、様々な貌をみせる、その様々な貌を描こうとした、まさに「プリズム」な展開の小説です。

僕としては、これはかなり実験的な小説だと思いました。
というのも、結局は犯人は誰なのか明らかではないからです。
すくなくとも、小宮山の息子、桜井先生、井筒、小宮山、というラインは消えますね。
まさか、変質者だった、とか、事故死だった、みたいなオチだったら、暴動がおきますけど、
誰なんでしょうね、犯人。
僕としては、小宮山の妻という線が考えられるんじゃないかと。
山浦先生と不倫していた小宮山ですが、その不倫に気付いていた妻が、殺す、ということは、動機としてはありうるかなぁ。
ただ、これは動機から推測したに過ぎないですけどね。
個人的には、山名という美少女小学生萌え、なので、やっぱりこいつが犯人。
いやー、こいつはお仕置きとして、いろいろとイタズラとかしてみたい。
山名タン、ハアハア、ですわ。
って、冗談です。(苦笑)


ところで、この小説で殺された山浦先生なんですけど、結構純情そうな顔をして、男性関係が派手というか、なんというか、そういう先生なんですよ。
というより父兄と不倫ですからねぇ。
いやー、僕もこういう先生に教わりたかったですね。
もちろん、勉強以外のことを特に重点的に。
しかも、一見純情派っぽいカマトト女教師・山浦先生の魅力に、南条先生も思わずチョコレートを送りつけていますし。
この南条先生、睡眠薬入りのジュースを生徒に飲ませてイタズラをしようとしていたりして、おもいっきりロリコン教師なんですわ。
というより、やっぱり山名タンにきちんとイタズラとかして欲しかった。
どうせイタズラすんなら、やっぱ美少女の山名タンを狙うだろー。こいつも見る目ないなぁ。
あれですね、この舞台となった小学校、不倫淫乱教師はいるわ、ロリコン教師はいるわ、なんというか桃色小学校じゃないですか。
まあ、今は教師の不祥事なんて日常茶飯事だけど、いくらなんでもこんな小学校はないだろうと思うんだけどね。
南条だって、睡眠薬ジュースイタズラ事件がばれたら一発で懲戒免職ですわ。
事件が公にならなかったにせよ、公立だったら、養護福祉系にとばされますよ。
あと、刑事役の人が、すごくカッコイイみたいなんですが、刑事役の描写をそんなに凝った意味がよくわかりませんでした。
普通の刑事でもいいんじゃないの?
まさか、こいつが犯人ってことはないよな?

ちょっといろいろありえない設定でしたが、でも、実験としては大成功でしょう。

一つ一つの場面や展開などに、細かく区切られていたのが読みやすかったです。
また、展開もスピーディだし、心理描写も難がなかったです。
読みやすく、面白い小説です。
でも、「一人の犯人じゃなきゃイヤ!」という人にはお勧めできませんね。
とりあえず、犯人がわからないんだけど、でも、ミステリー、みたいな感じです。
これは、賛否がわかれるだろうなぁ。


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