読書感想「震度0」
震度0震度0
著者:横山 秀夫
販売元:朝日新聞社
発売日:2005-07-15
おすすめ度:3.5
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【評価】★★
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定評のある横山秀夫なんですけどねー。
あんまり面白くなかったです。
登場人物が警察の幹部なんですが、その妻なんかも出てくるんですよ。
みんな近所の幹部公舎に住んでいるため、妻たちには近所づきあいもあって、
ダンナとのからみで対立していたり、コビを売ったり、幹部と不倫してたり、などなどの人間関係が複雑なんですよ。
一応、最初の頁には、ダンナたち県警主要幹部の表がついているんですけど、
どうせなら妻たちとの相関図を書いて欲しかったですね。
また、警察幹部の複雑な組織がよくわかんないんですよね。
刑事部長がどうしたとか、警備課がどうとか、総務課がどうだとか、監査がどうだとか、
よほどの警察マニアじゃないと、その部署がどんな権限があって、どんな仕事をするのか、把握しづらいと思うんですけど…。


県警幹部の人事異動が固まりつつある時期に、
その要となる不破警務課長が失踪。
ちょうど、不破失踪の時期に、神戸の震災がおこります。
ですが、そんな神戸の震災なんてそっちのけで、N県警は不破失踪をめぐって大揺れ。
キャリア組の椎野本部長と冬木警務部長は、不破の失踪をめぐり、対立。
準キャリアや、地元ノンキャリの県警幹部、は、不破の失踪をめぐって、いろいろと暗躍。
さながら「白い巨塔」ばりの、醜い派閥抗争をおっぱじめます。
不破の失踪は、不倫である、とか、
あるいは不破が署長時代に手がけた選挙違反が裏にあるのだ、などなど、
さまざまな情報があがってきます。
果たして、不破の行方は?
椎野vs冬木の派閥抗争の行方は?


一応、オチがあるのですが、ゆるーい感じですねー。
こんなオチって、ありかいな。
捜査のプロである警官が、そろいもそろって大切なところを見逃すって、どんだけ無能なんでしょうか。
灯台もと暗し的な話ですけど、そんなバカな、としか言いようがありません。
捜査の基本がわかってないですよ。
この小説の登場人物たちは、とりあえず警察学校に入り直した方が良いとおもいます。(笑)
この小説のオープニングは、椎野が夢を見た場面から始まるんです。
どうせなら「夢オチ」にして欲しかったです。それなら笑えましたね。


この本のテーマ的なものとしては、「組織の非情さ」なんでしょうけど、
そんなことは「今さら…」という感じもします。
テーマとして古いように感じました。
組織を運営して給料もらっているんだし、その給料は我々の血税なんですから、
この程度で「組織は非情だ」と言われても困りますよ。
そんなに嫌なら辞めればいいだけの話です。


それぞれ各登場人物の思惑が絡み合うというところが、この小説の読みどころだと思うんですが、
もう一ひねりして欲しかったですね。
震災もいまいち物語に生かされてないような気もしました。
「とりあえず、世間では震災があったことだし…
むむっ?組織の動揺=震災みたいなもの=「震度0」でどうよ!」
みたいな秋元康的安直さを感じましたね。流行を取り入れりゃいいってもんじゃないでしょうよ。
ある意味、「イラク撤兵死傷者0」でもよかったわけで、震災である必然性をさほど感じないんですよねぇ。

そもそも、僕は出勤の時に電車の中で読むとか、休み時間に読むとか、細切れで読んでいくタイプなので、
こんなふうに、各登場人物の思惑が絡み合う、という話だと、ところどころぶつ切りになってしまい、あまり楽しめないのかもしれません。
まあこれは、横山さんの責任ではなく、僕の読書スタイルの問題なんですけど、
この小説は、そうした読書スタイルからか、あまり面白く感じませんでした。
ひょっとしたら、ずっと時間をかけて読んでいけば、面白いのかもしれませんけどね。

たまーに、ハズレを出してしまうんですが(「出口のない海」とかね)、
横山秀夫さんの本は、クオリティーが高く、ハズレがない、という印象でした。
しかし、この作品はちょっとハズレでした。


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