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読書感想「ニューヨーク地下共和国 下」
ニューヨーク地下共和国(下)ニューヨーク地下共和国(下)
著者:梁 石日
販売元:講談社
発売日:2006-09-08
おすすめ度:5.0
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【評価】★★★
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下巻では、自由の女神爆破事件がおこり、またデモ隊が警官隊と大々的に衝突したり、
さらにラジコン飛行機によって白い粉がばらまかれる事件がおこります。
これらの事件に、「ニューヨーク地下共和国」と名乗る団体が犯行声明をだしていまして、
政府当局は、ゼムたち市民グループが「ニューヨーク地下共和国」と関係しているのではないかと疑っています。
しかし、ガチでゼムたちはそんな組織とは関わりがないんですね。

一方で、ゼムはロシアから亡命してきた富豪ウラディミールの奥さんのソーニャと恋仲になり、
ギシアンで楽しんでいたりします。
どうも「ニューヨーク地下共和国」は、アフガンからの帰還兵たちから組織されていて、
さらにはソ連時代の核兵器がニューヨークの地下に眠っていたりして、
どうも「ニューヨーク地下共和国」は核兵器を手に入れているのでは?
というような話になって、当局は懸命に追いかけるのですが、
うまくシッポを捕まえることができない…というような話ですね。

フォスター政権は、PMFという戦争請負業と結託していたりしまして、
国の権限を委譲し、規制緩和をし、
民間でできることは民間で…という流れが、やがて戦争も民間でやってくれぃ、という、
「小さい政府」の行き着く先を見たような話が展開されています。
アフガンでも、アフガン側の戦争指導をPMFがやっていて、さらにアメリカ軍もPMFに戦争を委託していたりして、
もうPMF同士で殺し合ってんじゃん、みたいな話でね。
そうした現在の戦争の産業化が的確に描かれています。

とりあえず、911以降のアメリカがどーなっちゃったのか、ということがよく描かれている小説です。

また、ゼムは全世界に親戚がいるという混血なんですけど、
こいつがスーパーマンじゃないんですね。
か弱い一市民でしかないし、
主人公らしくもないところが、個人的には良かったです。
ソーニャとの色恋で悩んだりしていて、人間くさいんですよね。
そうした主人公らしくないところが良かったです。

在日の作家さんって、金城一紀なんかは典型だけど、
やたらと「圧倒的な主人公」を描きたがるじゃないですか。
完全無欠なスーパーマン(しかもだいたい在日朝鮮人)が、
悪い日本人をボコる、というパターンが多いんで、今回もゼムがそんな感じに描かれるのかな、と思っていたのですが、なかなか面白い主人公の描き方をしていましたね。


スケールだけは無駄に大きな話なんですが、
ただ、アメリカの愚痴を言っているだけという印象も受けました。
また、話自体も次から次へと新ネタが出てくるんですが、
投げっぱなしジャーマンみたいな感じで、物語自体は解決しないんですよね。
そこいらへんが、小説としてはどーなのか、と思いました。
「ニューヨーク地下共和国」かて、結局は正体がよくわからんでしたし、
ゼム自体も、一体コイツは何だったんだか、よくわからんし…。

ただ、アメリカ自体は、ネオコンによって、とても病んでいるということはよくわかったんですが、
こないだのリーマンショックやオバマ当選、さらにビッグ3の身売り騒動で、今後はどうなるのか、よくわからんですからね。
まあ、膿を出し切って、新しく生まれ変わるのか、あるいはネオコン街道驀進するのか、
今、我々は歴史の端境期にいるんだなぁってことをあらためて感じさせてくれた小説でした。



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