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読書感想「笑う警官」
笑う警官 (ハルキ文庫)笑う警官 (ハルキ文庫)
著者:佐々木 譲
販売元:角川春樹事務所
発売日:2007-05
おすすめ度:3.5
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【評価】★★★★
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佐々木譲さんの北海道警を舞台にした小説です。

札幌市内のアパートで、婦人警官の水村朝美巡査が殺されていた。
容疑者として、交際相手の津久井巡査部長が浮かび上がり、津久井の手配と射殺命令が出る。
かつて津久井と囮捜査で組んだことのある佐伯警部補は、本部のこの決定に疑問を感じる。
というのも、津久井は警察の不正を議会で証言する予定だったのだ。
本部はこの事件にかこつけて、津久井を殺し、自身の組織の不正を湮滅したいのではないのか?
佐伯は仲間たちと独自に捜査を開始。
やがて、驚愕の事実が明らかになってくる…!

とりあえず、次から次へと展開していくので、おもしろかったですね。
北海道警が、マスコミなどから不正を糾弾されているなかで、
それを議会で「うたう」津久井への批判とともに、
「組織を良くしたい」「正しいことがおこなわれるべきだ」という佐伯の想いなどが交差しています。

ところで、この小説を読んでいると、さかんに「うたう」という言葉が出てきています。
要するにすべてをゲロってしまう、自白してしまうことを「うたう」としているんですね。
この「うたう」という言葉は何度も出てきていて、この物語の要諦と言えます。
「あいつ、明日、うたうんだって?」
「そういう噂ですね」
「本部じゃ、津久井が道議会に取り引きを言い出したんだって話をしているぞ。水村殺しから目をそらすために、道議会に証人で出ると言い出したのかもしれないと。公判になったら、冤罪を主張する気なんだと」
その見方は、現実とは時系列が逆だ。しかし現場の捜査官たちには、よく納得できる話なのかもしれない。「うたう」という振る舞いは、警察官にとってはそれほどまでに、心理的障壁の大きいことなのだ。よっぽどのことがないと、障壁を踏み越えることはできないと、多くの警官が信じている。たとえば殺人事件との取り引きのようなことでもない限りは、と。(342?)

「馬鹿な!」佐伯は思わず吐き捨てる口調となった。「無実の罪で始末される津久井はどうなるんです?」
「うたう警官は、無実と言えるか?組織を売るんだぞ。道警だけじゃない。警察機構全体を敵に回すんだぞ」(395?)

全般的に「うたう」という言葉が多いんですよね。最後のシメでも、
植村は、弁解じみた口調で言った。
「うたうことだけは、許せないんだ」(431?)

とか出てきますからね。
やはり「うたう」というのがポイントなわけですよ。
だから、この小説の題名は「うたう警官」しかありえないと思うんだけどね。
ところが、「あとがき」では、これはもとは「うたう警官」だったけど、「笑う警官」に変えたらしいんですね。
「笑う警官」というと、有名な外国の小説もあるし、正直、よくないと思うんだよなぁ。わけわからんじゃない。
「うたう警官」は、この小説を読んだ人なら、だれもが納得する題名ですよ。
納得できないという人は、もう文学的センスがないです。断言できます。
だって、これだけ「うたう」というキーワードがでてきているんだし。

まあ、とりあえず、藪をつついて蛇を出した、というような感じで、
水村事件を追っていったら、思いがけない「大物」が釣れました、という展開です。
その「大物」が、はたしてちゃんと自首するのか、
また津久井が、無事に議会に到着できるのか、というところがスリリングな小説でした。

なかなか楽しめた小説でした。



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