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読書感想「往復書簡」
往復書簡
往復書簡
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【評価】★★★★
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湊かなえさんの本です。手紙を往復することによって、そこから物語が立ち上がる、という趣の本です。
「十年後の卒業文集」「二十年後の宿題」「十五年後の補習」の3編がおさめられています。

「十年後の卒業文集」では、浩一と静香が結婚することになって、その結婚式に出席した悦子とあずみの書簡の往来です。
高校の時に、同じ放送部だった浩一は、千秋と付き合っていたはず…ところがどうして静香と?
という疑問から、どうやら千秋は怪我して、その事故から浩一と別れたらしい、その原因はいったい…?

「二十年後の宿題」は、大場敦史が、かつての担任の竹沢先生から、昔の教え子6人と会うよう依頼される。どうやら、竹沢先生がその6人を気にかけていたのは、昔、その中の1人が溺れ、それを助けようとした先生の旦那が死んでしまった事故があったかららしい。ところが、その事故を気に病む子供たちが、大人になるまで事故を引きずることに…。大場が面会していった教え子たちから、さまざまなことが明らかに…。

「十五年後の補習」は、付き合っている万里子と純一。ところが、純一は国際ボランティア隊に入り、遠い海外の僻地にいる。ろくに電気もない。遠距離恋愛のやりとりですが、だんだんと昔の事件を思い出しはじめる万里子…。

それぞれ、ちゃんとどんでん返しがあって、面白いです。展開の妙といいますかね。
また、書簡体だからこその面白さといいますか、
書簡という「やりとり」によって、真実が浮かびあがってくる、というところが面白いですね。

でも、ちょっと気になったことが。
というのも、書簡にしてはやたら詳しいといいますか、
夏目漱石「こころ」ばりの不自然さがないわけではない。
夏目漱石「こころ」の書簡って、原稿用紙にするとえらい分量で、列車の中じゃ読めないだとかツッコミがされていますけど、
この小説の書簡も、それと同じような野暮なツッコミをしたくなるところがないわけではない。
まあ、これは書簡によって、「告白」するというスタイルがあるわけで、それを踏襲しているからなんでしょうけど。
やはり「書簡体」というのは、一つの技法なんだよなー、ということがよくわかりますね。そしてそれは、書簡では人間が「本心」を「告白」するという暗黙の了解があって、それではじめて成立するようなところがあるんだと思います。
そうした、書簡体の長所と短所をよく知った上で書かれた小説、という印象を強く受けました。

ただ、この小説の登場人物たちは、みなリア充といいますか、
特に「十五年後の補習」って、ラブラブですので、殺意を覚えますなぁ。というか、わざわざ書簡なんかじゃなくて、スカイプだとかで話せよ。(笑)
とか思わないではないですが、そんな野暮を言ったら、「書簡」である意義はないんですけどね。

ところで、リア充がむかつく「十五年後の補習」ですけど、なんか最後の方の書き方だと、警察がわざわざ僻地まで逮捕に来たという雰囲気だったんですが、どうなんでしょうか。めんどくさがりでいいかげんな日本の警察が、そんな昔の事件(しかも、犯人の恋人の曖昧な記憶)をもとに再捜査するんかいな、と思わないではなかったです。



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