読書感想「いじめ論の大罪 なぜ同じ過ちを繰り返すのか?」


【評価】★★★★
人気ブログランキングバーナーにほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
諏訪哲二さんの本です。三部にわかれていて、一部が「いじめ議論はなぜ不毛なのか?」、二部が「学校内外の「ちから関係」を読み解く」、三部が「主要ないじめ論を検証する」です。
一部は、「学校は教師がコントロールしている、と考えるのはやめたほうがいい」というような内容、
二部は、教育の力関係で、学校にいかに力がないか、ということ、
三部は、尾木ママ、橋下市長、宮台真司、内藤朝雄、などなどの著名人の発言にツッコミをいれたり、
ベストセラーの本『教室の悪魔』(山脇由貴子)、『友だち地獄』(土井隆義)などの書評でした。

諏訪さんの考え方は、基本的にいつもぶれないんですよね。
この人の本には、いつも「近代」論が書いてありまして、子どもが変化している、だから教育も変化する、その変化についていけてない教育、というパターンの論述です。
この本では、学校は勉強だけを教えているのではなく、生活習慣や社会の規範を教える側面が強いわけで、
「いじめ」というのは、ある程度はやむをえない、というか、根絶できないものだ、ということが語られています。
「いじめ」の教育的な意義を積極的に見出していく、というスタンスは、なかなか新鮮でした。
むしろ、いじめくらいでダメになるやつは、社会に出てもダメなんだから、という感じの論調でしたね。
というか、なんでも「いじめ」にしちゃうという、受け手の軟弱さが問題といいますか。
確かに、いじめをバネにして努力できるか、いじめに負けてしまうのか、それは大きいと思いました。
諏訪先生の、教師時代のエピソードなども織り交ぜながら書かれているので、納得できますね。
学校は、我々が考えているほど、そんなに権力がないし、強制力はない。
教師も、実はそんなに権力や影響力はないし、強制力もない。そんな権限もない。
じゃあ、どうするの、という話になるんですが、そこいらへんは曖昧でしたね。
というか、そんなん簡単に解決できたら、解決できるわって話でして、諏訪先生にそれを求めるのは酷ではあります。

単純に「いじめ」=悪、とはしないところが、賛否が別れるでしょうが、
なかなか面白い「いじめ論」でした。



人気ブログランキングバーナーにほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村