読書感想「オレ様化する子どもたち」


【評価】★★★★
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諏訪哲二さんの本です。この人の本は、冒頭部で筆者の主張、中間以降は、教育学者を具体的にあげてその主張を潰していく、というスタイルですね。
この本も第一部「「新しい子ども」の誕生」、第二部「教育論者の子ども観を検証する」、終章「なぜ子どもは変貌し、いかに大人は対処すべきか」の三部構成で、
第一部が、諏訪さんの主張、第二部は、宮台真司、和田秀樹、上野千鶴子、尾木直樹、村上龍、水谷修の教育論をバッサリ、最後にまとめ、という構成でした。

個人的に面白かったのは、教育が「贈与」の関係ではなく、「等価交換」の関係に置き換わった、という諏訪さんの主張でした。
この本の白眉は、教育の変質を贈与の関係でとらえているところです。
「贈与」っていうのは、見返りを求めるものではなく、いわば無償の愛をそそいでおこなわれるもので、教育も本質的にそういう性格のものなのだ、というわけです。
でも、「贈与」したら「お返し」くれや、という、「等価交換」すなわち「商品交換」に教育をとらえ直しているのが、最近の教育に対するとらえ方なわけです。
よく、「教育はサービス業」とか言ったりする人がいますけど、それなんて「お金の対価として教育をサービスとして提供してもらう」という考え方なわけです。でも、教育って、「お金を払ったから、これだけのことしてくれや」というのとは、本質的に違いますよね。お金を払ったから偏差値があがるわけじゃないし、お金を払ったから有名校に合格するわけじゃない。お金を払うってのは、努力をショートカットするためだけど、勉強にショートカットなんてないわけでね。
この、教育が「商品交換」のノリでおこなわれるようになったところが、もう既に大きな過ちなわけですよ。
生徒はラーニングマシンじゃないし、勉強だけで社会は成り立っているわけではなく、生活習慣や社会習慣に馴染んでいるかどうかも教育をしていくうえで大切な要素なわけですよ。
最後に、諏訪さんは次のように述べています。
その普通教育においてまず重視されるべきであるのは、「個性化」よりも「社会化」である。まず市民(的な「個」)形成にポイントをしぼるべきである。これは何も日本独特の集団主義的発想からそう言っているのではない。事実、アメリカの指導的な社会学者(プラグマチスト)であるローティも「社会化が個性化の前に来る」ことを原則として、普通教育では基礎的な知識や社会規範を身につけ、そのあとの高等教育で「個性化」をめざすべきとの二重の構造を提唱している。「個」が自立するまえに「個」を超える「普遍的なるもの」に出会う必要があるし、そういう「普遍的なるもの」によって「個」が一度断念させられなければ、「個」は自立しようがない。俗に「個性」を大事にしないと「個性」が潰されてしまうと危惧する人が日本には多いが、市民形成(「社会化」)のプロセスで潰されてしまうような「個性」は潰されるべきである。そういうレベルの「個性」を潰すために、「社会化」はなされるのである。「社会化」されているあいだになくなってしまうようなものは、「個性」ではない。まさに、「個性」が「個性」でありうるために「社会化」が必要なのである。「個性」は育てられたり教育されるものではない。(231蓮

いやぁ、なんというか、諏訪さんマッチョだなぁ、という気がした文章でした。
なんか、諏訪さんの文章って、マッチョなんですよねぇ。いや、もちろん、良い意味でですよ。
ちゃんとした人の文章っていうんでしょうか。
あと、諏訪さんも、私生活では双子の子どもがいたりして、大変だなというエピソード(161蓮砲でてきたりします。

とりあえず、教育にたずさわる人は、読んでおく価値のある本だと思いました。



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