読書感想「ホワット・ア・うーまんめいど ある映像作家の自伝」


【評価】★★
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「海賊とよばれた男」の出光佐三に興味がありまして、それ関連の本を読もうと調べてたら、娘さんの出光真子さんの本がひっかかってきました。
近所の図書館で手に入ったので、読んでみました。
ほかにも、「ホワイトエレファント」という本があるようですが、そいつはちょっと図書館にはなかったですねー。

出光佐三の娘として生まれ、反対されながら大学に入り、やがて渡米し、芸術家のサム・フランシスと結婚、出産、育児をしつつ、映像表現にのめりこみ、やがてアーティストとしての忙しい日々を送る…という半生が語られていました。
思っていたほど、出光佐三のことは書いていない印象ではありますが、
基本的に、作者はフェミニストといいますか、女性解放系のスタンスですので、
家庭で父親が精神的心理的支柱となっていることへの息苦しさを語り、
また、子育てしつつの創作活動の大変さ、というのが語られている感じでした。
今みたいにYoutubeがあるわけでもなし、またデジタル編集ができるわけでもなし、
フィルムを使って映像を撮る時代ですから、相当に苦労したんだろうな、というのがよくわかりました。
また、アメリカでは、レディーファーストの国だから、女性は自由かと思いきや、
実は女性が家庭に入ると、ほとんど夫の奴隷というか、家政婦みたいになってしまい、夫に支配されるという不自由さがあり、
それは日米ともにかわならない、ということがわかりました。
なんだ、アメリカもたいして変わらないやん。
そういう意味では、この本は勉強になりました。

ただ、この本を読む限り、出光真子さんの活動といいますか、作品を観てきた人じゃないと、
たぶん、あんまりおもしろくないだろうな、とは思いました。
かくかくしかじかの事情があり、それによって『なんとかかんとか』という自分の作品ができて、その作品にはしかじかの思いを込めていた、的な話の進め方が多く、
あまり出光真子さんの作品を観たことがない人としたら、「その『なんとかかんとか』という作品を観たことないしなぁ」と思ってしまうでしょう。
つか、Youtubeで「出光真子」で探しても、この人の作品がまったく出てこないので、
「映像作家として有名だ、すごいんだ」と言われても、いまいちぴんとこないところです。
そんなにすごくて、すばらしい作品なら、著作権侵害上等と、みんなアップロードすると思うんだけどなぁ。

また、家事育児で時間をとられて、創作に時間を割けない、という苦悩が描かれていて、
最初は、「ああ、大変なんだな」「苦労してんな」と思えて、共感できていたのですが、
それが何度も出てくるので、「えーかげんにせいよ」と思っちゃいました。
よく「忙しくて、良い作品ができない」なんて言う人がいますけど、
じゃあ、忙しさを完璧に取り除いたら、んじゃあ、完璧に良い作品ができるんだな?
とか意地悪言いたくなっちゃいますねぇ。
忙しくても、それは言い訳にならないですし。
むしろ、プロなら、どんなに忙しくても、結果を残すわけで、
結果を残すからプロであるわけで、だからこそ、ますます忙しくなっちゃうんでしょうけど、
でも、忙しさもコミで、それで結果残せるのがプロなんだよなぁ。
「忙しい」というのは、そらみんな忙しいわけですからねぇ。

出光佐三さんの家族の話も、ちょこちょこ出てくるのですが、
153〜154呂痢愛人の話は、ちょっとびっくりしました。
もう家族に公然と愛人がいて、妻も了承してる感じなんでしょうか。
うーむ、エスタブリッシュメントの人たちの生活にはついていけんな。

この本の出光真子さんは、いろいろと批判もしましたが、
文章がとても素直に書いている感じがして、好感が持てました。
正直な人なんだな、と思いました。
ゴーストライターが書いている雰囲気はゼロでした。たぶん、本当に自分が書いているんでしょう。
なかなかおもしろい本でした。
ただ、できたら、出光真子さんに、Youtubeあたりにご自身の作品をアップロードしてほしいです。
もう作品の著作権料で儲けるとか、そういうことはしないでいい立場なのでしょうから、ぜひ、作品を広く世に広めて欲しいです。
すぐれた作品なら、ちゃんと評価されますって。



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