読書感想「虚構の城」
高杉良経済小説全集 (1)
高杉 良
角川書店
1997-02-01


【評価】★★★
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高杉良さんの処女作です。「海賊とよばれた男」の出光佐三をモデルにした小説ということで、読んでみました。
作中の「大和鉱油」は「出光」で、「大和総造」は出光佐三でしょうね。
主人公の田崎は、公害防止の装置を開発した技術者だったが、ひょんなことから会社内の組合結成の話に巻きこまれ、左遷されてしまう。
左遷先で、石油業界の裏側などを垣間見つつ、引き抜きの話がくる…みたいな話でした。
私生活で妻とうまくいかず、知り合った女と恋仲になって、離婚危機だとか、そういうサイドストーリーを巧みにもりこんで、話はすすんでいきます。

それにしても、この本を読む限り、出光佐三さんって、事業の鬼という感じがします。
といっても、この本では、出光佐三はほぼ神格化されていて、むしろ主人公はそれに多少の未練があったりするので、
実際の出光佐三さんって人は、相当な人といいますか、立派な人だったのでしょう。
ただ、この本を読む限り、出光の成功の鍵は、支店の独立採算制、借金経営、などあげられつつも、
苛酷な労務管理、というのがあげられています。
なんというか、良い面も悪い面も「古き日本の企業」という感じです。
この小説では、出だしで出光佐三が出てくるだけで、あとは、組織の人間ばかりですが、
その組織の人間が、かなり問題がある感じがしました。

出光さんは、毀誉褒貶がはげしい人ですが、この本は、出光さんの闇を見事に描いています。
「海賊とよばれた男」とあわせて読むと面白いかもしれません。
やっぱり、実業界には聖人はおらず、やなぁ。



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