読書感想「狼の牙を折れ 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部」


【評価】★★★
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門田隆将さんのノンフィクションです。
いわゆる東アジア反日武装戦線「狼」の、三菱重工爆破事件と、そこから逮捕にいたるまでを、
公安警察の側から描いています。
三菱重工爆破事件は1974年ですから、よど号ハイジャック事件は1970年、連合赤軍のあさま山荘事件は1972年、その後ってことですね。
この本を読んで、二つの映画を思い出しました。
原田眞人の「突入せよ!あさま山荘事件」と、若松孝二の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」です。
連合赤軍を逮捕する側からの視点(突入せよ!)と、逮捕される連合赤軍からの視点(実録)という、二つの対称的な映画です。
この本は、公安警察の側から描いていますから、完全に原田さんの映画のような視点、ということになります。
事実、犯人のことについては、さらっと描かれてはいますが、犯人に同情的な筆致はありません。
門田さんは、あとがきに、「私は本書で、日本国中が「反権力」という熱に浮かされ、秩序を破壊することが若者の特権とされ、最も大切な「人命」さえ蔑ろにされたあの時代に、必死で闘った人々の姿を描かせてもらった」(377蓮砲判颪れており、
もっぱら犯人側の視点で、犯人に同情的に描かれることに違和感を感じているんだな、ということがわかります。

まあ、そういう門田さんの思いとは裏腹に、
この本は、なかなか勉強になるんですよ。
反権力闘争、ゲバルト闘争のよい教科書になる。
というのも、公安警察の手法といいますか、考え方といいますか、アプローチのしかたがわかるといいますか、
とても面白かったですねー。
左翼はいくつか爆弾教本を作っているんですが、その爆弾教本では、証拠隠滅の視点が抜けていて、
爆弾を爆破させるのはいいですが、その後に証拠隠滅をする工夫が必要だとか、
事件初動のあたりで、かなりの組織がウォッチされていて、その動向から、犯人グループのあたりをつけられるとか、
犯行声明から、思想を読みとられ、思想を読みとられるということは、そこから所属をたぐられ、所属から芋づる式に露見してしまうとか、
尾行をどうやるか、どういうふうにされると尾行がしづらいのか、などなど、
かなり「対公安」のヒントがあるように感じました。
また、公安といえど人の子といいますか、限界はあるわけで、その「隙」をつくことも可能なわけですよ。
泳がされて、組織が一網打尽、いや、組織を炙り出すために、泳がして、芋づる式に一網打尽、という手が公安のやり口なんですから、
逆をついて、相互連絡をしない「組織」をつくればいいような気もしました。
といっても、相互連絡がない「組織」というのは、口で言うのは簡単ですが、なかなか難しいですね。
メールなんかも盗聴するだろうし、手紙もだめ、無線もだめ、なわけだからなぁ。
ネットの掲示板なんかもってのほかだな。
反日武装戦線も、やはり泳がされて芋づる式に一網打尽になっちゃうわけなんですが、
逆に言えば、仲間同士の相互連絡をしない、すなわち共犯を悟らせない方法がないものか、それさえクリアできればいい、という気もします。
いわば部隊ごとに独立採算制にするといいますか、独立した部隊が、それぞれで武装闘争するわけですよ。
また、反日武装戦線とか、連赤は、後継者を作るべきだったんですよねー。
ドイツ赤軍みたく、後継者が勝手に武装闘争しちゃうとか、
創設者も「俺たちも下の世代を把握してないんすよ」というノリがあればなぁ。
また、長期間の同時多発ですよね。警察に休み暇を与えないわけよ。
オウムかて、地下鉄サリン、警視庁長官狙撃と、単発単発なんすよね。
単発だから、警察も対応しやすいし、人員を割きやすい。
だから、連日、一ヶ月は連発すべきなんですよ。
たとえば、だ。反原発デモかて、東電前だけ、とか、そういうのはダメな。
もうね、福島第一で爆弾テロおこしーの、第二でおこしーの、もんじゅでおこしーの、大間でおこしーの、上関でおこしーの、全国の原発でばんばんやったらええわけでね。
ついでに、なぜか沖縄の米軍基地で爆破事件おきーの、本土の米軍基地でも爆破テロおきーの、
さらに、警察庁でも爆破テロ、警察庁の要人殺害、誘拐事件連発といけばいいわけでね。
連日、原発やら米軍基地やら、警察庁やらでがんがんテロおこすと、警察かて人数割けんわな。
そこで、議員宿舎テロと、アメリカ大使館テロ、各地のアメリカ領事館テロ、と矢継ぎ早にいくわけですね。
たたみかけなあかん。
そういう展開のダイナミックさがないと、暴力革命ってのは、不可能だわなぁ…
なーんてことを、この本を読みながら思ってました。
いえね、こんなあほなことやったらあきまへんで。絶対にそんなことは許されない。あかん。
でもさ、それくらいのスケールじゃないと、国家とは戦えないんじゃないかなぁ、なんて思いました。
とりあえず、反権力ゲバルト闘争を考えている人は、必読の本です。
いやぁ、爆弾教本の『栄養分析表』とか『腹腹時計』とか、読んでみたいなぁ。(読まねーけど)



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