第1~5回あらすじ
現在(2000年1月)、CATVチャンネルNECOにて大島渚監督の「アジアの曙」の放映が始まっている。これは昭和39年にTBSで放送された連続ドラマ(一時間番組)で、おそらく12回ほどの放送になるだろう。今月中は第一回から三回までをまとめて三時間づつ、何度かくりかえして放送しているから、まだ間に合うことができる。
これは小説の「亜細亜の曙」のドラマではなく、昭和37年に「文藝春秋」に連載し、また単行本としても出版された「実録・アジアの曙」のほうが原作となっている。これは山中峯太郎自身が中国の第二革命に身を投じた実録談を記した自伝であり、当然その主人公は本郷義昭ではなくて彼自身である。ただしドラマの中では「中山峯太郎」となっているのはご愛嬌だ。
主演の「中山峯太郎」役は御木本伸介。最近はわき役で活躍しているらしく、インターネットで探してみると、Gメンや鬼平犯科帳に登場している。他には佐藤慶(李烈鈞)、加藤嘉(孫文)、戸浦六宏(周育賢)、井戸川少佐(有島一郎)などが出演しており、またナレーションは加藤武である。今原作本をパラパラと読み返してみると、てっきりドラマ化のためのオリジナル・キャラクターだと思い込んでいた、李烈鈞の妹令鈴がちゃんと登場していてびっくりした。もっとも原作ではテレビほど頻繁には登場しないが、やはり重要な役ではある。
ただし原作では山中峯太郎の縁談を持ち込んだのは、なんと近衛歩兵第三連隊の先輩である東条英機(もちろんのちの総理大臣)だったが、ドラマの中山峯太郎の仲人は井戸川少佐である。やはりA級戦犯が登場しては具合がわるかろうし、それに中山の奥さん役は大島渚監督の妻、小山明子なのだから仕方があるまい。