ネットオークションでおもしろいものを落札しました。
もっとも峯太郎研究協会員でもちょっと手を出すのを躊躇するかもしれないぐらいのものですが、幸い非常に安かったので思いきって買ってしまいました。
それは峯太郎宛に献呈された『仏教聖典』です。御存じのように大正時代には峯太郎は数多くの宗教書を書き、独自の宗教観をひろめようとしていました。また戦後になって再び混乱の時代に何か光明をもたらさねばならない、と考えたのでしょうか、何冊かの宗教書を復刊しています。
今回入手した『仏教聖典』は友松円諦編、真理運動本部、一九四八年十月一日第三刷(第一刷は同年九月一九日)で、内容はキリスト教の聖書に比類する仏教のバイブルを書かんとしたものです。この友松円諦(一八九五~一九七三)は真理運動を提唱した僧侶で、かずかずの仏教関係の著作があります。そして彼が守っていたのが秋葉原にある神田寺であり、献辞に「神田寺」とあるのは、そのせいだとおもわれます。
どこをどう数奇な運命を辿ってきたのかは解りませんが、一度は峯太郎の手にとられた本が、今私の手元にあるというのは不思議な気持ちがします。