島田裕巳official blog

文筆家・宗教学者の島田裕巳の仕事や情報についてお知らせします。

2005年05月

能と歌舞伎による「道成寺」

NHK教育で放送された三響会の公演を見ました。三響会は、能と歌舞伎の囃子方亀井=田中3兄弟によるもの。この公演は、一度に放送されるのではなく、分割されて放送されています。

「道成寺」は、前シテが菊之助で後シテが梅若晋也。ただ、歌舞伎と能とはいえ、基本は能でした。菊之助がすごいと思えたのは、面をかぶっていないにもかかわらず、その顔が面のように見えたこと。やはり顔の美しさはこの人ならではのものでしょう。

歌舞伎の女形にとって、「道成寺」は特別な作品です。昔、歌右衛門と梅幸が歌舞伎座と新橋演舞場に分かれて、同じ月に「娘道成寺」を踊ったというのは、渡辺保氏の本で読んだことがありますが、やはり「道成寺」を踊ってどういう評価をえることができるのかで、女形の真価が決まってくるものでしょう。続きを読む

6月27日「小樽問答・再論」で講師を

6月27日(月)午後1時半から6時 新宿常円寺地階ホールで、日蓮宗の東京西部教化センターによる特別公開講座「小樽問答・再論」が開かれます。当日の録音テープをダイジェストで聞いたあと、私と丸山照雄氏が講演をし、最後に福神研究所の上杉清文氏をまじえてパネルディスカッションをすることになっています。参加費は500円で、資料代を含みます。参加者には事前に資料が送られるようですので、0426-22-4338 ファックス0426-27-7227までお問い合わせください。

歌舞伎座7月興行をめぐって

3ヶ月にわたる中村勘三郎襲名の歌舞伎座での興行も、今日で千秋楽を迎えたようです。3ヶ月にわたる襲名興行というのは、当代の團十郎について二度目ということになるようですが、ずいぶんと長く、またいろいろなことがあったものです。

興行的には、3月から5月まで中村屋の興行となったため、例年5月に行われている「團菊祭」が今年はなくなってしまいました。成田屋の贔屓としては大きな出来事にもなりますが、その代わりに、1月の新橋演舞場は、ミニ團菊祭の様相を呈することになりました。そして、7月には、菊五郎劇団による「NINAGAWA十二夜」が上演されることになりました。続きを読む

『ランティエ』7月号に

角川春樹事務所が出している『ランテイエ』7月号の「一推し! 夏の宿」の特集に、私の推薦した温泉旅館が出ています。取材は編集部で、私が行ったわけではありませんが、何を推薦したか、興味ある方はのぞいてみてください。

この雑誌、角川さんが、けっこうハードな感じで出てくる珍しい雑誌です。そう言えば、昔、『宝島30』に角川さんのことを書いたことがありました。それから、10年くらい経ったでしょうか。時代は変わったのに、変わっていないものがある。『ランティエ』のページをめくると、そんな感覚がしてきます。

次世代DVDの規格統一について

次世代DVDの規格統一に動き出したはずなのに、それが決裂したというニュースが伝えられました。たしかに、規格が統一されないまま、ブルーレイとHD−DVDの製品が両方市場に出たとしたら、消費者は混乱し、普及の妨げになることでしょう。ただ、規格統一に動き出して、すぐに頓挫したというのは、いったいどういう事情があるのでしょうか。

その点も不可解ですが、そもそも、次世代DVDは必要なものなのでしょうか。私も、HDDのついたDVDレコーダーを最近購入し、便利に使ってはいますが、実はDVDに録画したことはほとんどありません。それはもちろん試しにやってみましたが、少なくとも今のところ、DVDのコレクションを作ってはいませんし、これからもそういう方向にいくようには思えません。続きを読む

さらに野田版について

昨日書きましたことについて、kabukistさんからコメントをいただきましたので、もう少し。kabukistさんは、「鼠小僧」の映画を見られて、あまり面白くなかったようですが、「研辰」の方が面白いのはたしかでしょうね。「鼠小僧」は野田版として二番煎じという感じがどうしてもしてしまいます。

中村屋の新しい試みは、けっこう実際の舞台を見ているつもりです。コクーン歌舞伎も中村座も見ました。あるいは納涼歌舞伎で水谷龍二さんの脚本のものも見ています。そうしたなかで、野田版が一番、歌舞伎としての新しさを感じさせてくれたことも事実です。だからこそ、「研辰」の最後の部分、とてもおしいと思うのです。なぜ最後に辰次が死ななければならないのか。元の「研辰」は実際には見ていませんが、あらすじを読むと、やはり殺されてしまうようです。その点を踏襲しているのかもしれませんが、野田版の展開だと、普通なら、辰次は命への執着を見せ、その惨めさに敵討ちをする側がそれをあきらめるということになってしかるべきなのではないでしょうか。続きを読む

野田版への疑問

朝日新聞夕刊に、今月の歌舞伎座の劇評が出ています。驚くのは、その評のなかに、ドゥルーズ=ガタリの「欲望する機械」についての言及がされている点です。別に私もフランス現代思想に明るいわけではありませんが、一応そういう言葉があることは知っています。でも、ほとんどの歌舞伎ファンには、それがいったいなんなのか、聞いたこともないのではないでしょうか。新聞の歌舞伎評で、ポスト構造主義のことが語られたのは、おそらくはじめてのことではないでしょうか。

はっきりいって、こうした劇評は間違っていると思います。ただそれは、劇評家の責任であるとともに、野田版のなかに潜む問題点でもあります。私は、「研辰」の初演の舞台を初日に見て、大いに感動し、その感動を『こころの科学』の連載に書いたこともありますが、ただこの演目が再演され、それを見ることで、果たしてこうしたものが歌舞伎として繰り返し上演されることに正直疑問を持つようになったのです。

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主婦のランチ講

今、昼食をとりに、デニーズに行ってきましたが、禁煙席は、主婦たちで一杯でした。最近、たまにファミレスにいくと、ランチのとき、それぞれのテーブルが主婦の一団で占められているのを見かけます。前にはそれほど多くはなかったように思いますが、どうでしょうか。毎日集まっているのでしょうか。

子どもが手が離れ、しかもパートに出る必要のない専業主婦が集っているのかどうかわかりませんが、一種の講なのかもしれません。新しい共同性として考えてみると面白いことかもしれないですね。

前日に引き続いて

前日の萬屋の結婚問題について、妊娠が判明する時期は今相当に早くなっているという指摘をいただきました。その点については、私も認識しているのですが、なぜ前日のことを書いたか、そこを説明しておきたいと思います。

話は脱線事故のことにさかのぼりますが、事故が起こった日に、事故車両がオーバーランしていたという情報が流されました。その時点ではオーバーした距離は8メートルと伝えられていました。ところが、同時に、オーバーしたとき、車両が猛スピードで戻ったという情報も伝えられていました。それを聞いて、私はどうやって8メートルの距離を猛スピードで電車が後戻りできるのだろうと疑問に思ったわけです。案の定、オーバーした距離がはるかに大きかったことが明らかにされたわけですが、矛盾した二つの情報をそのまま流してしまうメディアの現状にかなりの疑問を抱いたわけです。続きを読む

中村獅童の結婚をめぐって

中村獅童丈と竹内結子さんの結婚が決まったようです。別に私が関心をもつようなことではないのですが、獅童丈のインタビューのために報道陣が歌舞伎座のなかに入っていくのを見た数少ない人間として、ちょっと疑問に思っていることを。

会見では、竹内さんは妊娠されていて、もうすぐ3ヶ月になるところとか言っていました。それを獅童丈が知ったのは、1ヶ月前とか。となると、妊娠1ヶ月台で、判明したことになります。理論的にはその段階で判明することがあるのかもしれませんが、少し早すぎないでしょうか。しかも、獅童丈の母親にそれが伝えられたとか。何か話の流れにおかしなところはないでしょうか。

妊娠を旦那の母親に伝え、それが格別何の問題も起こさなかったということは、もうひとつ、二人がすでに結婚しているに限りなく近い、つまりは少なくとも同居しているということなのではないでしょうか。結婚届を出していたとしてもおかしくはないように思えます。レポーターの人たちは、何の不自然さも感じていないのでしょうか。そこが不思議です。

勘三郎襲名披露興行は

勘三郎襲名披露興行も歌舞伎座最後の月を迎えました。今月の成田屋は、海老蔵のみ出演です。

最初の「車引」、私は本格的に歌舞伎をみはじめたとき、これを最初に見たせいもあり、大好きな演目ですが、海老蔵の松王丸の立派なこと。とくに、中村屋の二人が、体も顔も小さいので、余計に海老蔵の大きさが目立ちます。印象では、松王丸は梅王丸の倍ほどもあるように感じられました。車引は荒事の典型ですから、まさに成田屋のものですが、それにしても力の入れ具合、見栄の決まり方、これほど力強く、美しい松王丸、今の歌舞伎界では海老蔵に尽きるのではないでしょうか。続きを読む

やっぱり歌舞伎座の前にはテレビクルーが

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私の書いた書評が

早川紀代秀・川村邦光『私にとってオウムとは何だったのか』(ポプラ社)について私の書いた書評が、神戸新聞朝刊2005年05月01日号と河北新報朝刊2005年04月24日号に掲載されています。

『読売新聞』の読書欄で

『読売新聞』5月8日付朝刊読書欄で、『不安を生きる』が紹介されています。

能「身延」、狂言「宗論」について

今回、福神研のメンバー、鈴木祐弘師が解説される横浜能楽堂での「宗論」と「身延」の公演に行ってきました。鈴木師のお話では、日蓮の登場する謡曲には、ほかに「現在七面」と「鵜飼」があるとのことでしたが、今回の「身延は」はほとんど上演されることのない珍しいものだったようです。

「身延」の前に、浄土僧と法華僧の争いを題材にした狂言の「宗論」が演じられました。歌舞伎では、「連獅子」の間狂言として演じられることが多いものですが、狂言として見たのは、はじめてか、あるいは相当昔に一度見たかもしれないという程度です。改めて狂言を見て、歌舞伎のものよりかなり違うのだということを認識しました。歌舞伎では、二人の僧侶がほとんど同じ役割を果たしていますが、狂言では浄土僧が法華僧に対して宗論を仕掛け、やり込めようとする構成になっているのですね。たしかに、こうしたほうが、狂言としての面白さが出てくるように思います。あるいは歌舞伎でも、狂言に近づけたほうがいいかもしれません。

「身延」は、身延で説法をしている日蓮のもとに、実は亡霊である里女があらわれ、法華経による功徳によって成仏させてもらうことを願うものですが、全体にまったく劇的な部分がありませんし、里女が舞うときにも、ほとんど動きがないというシンプルで、静かな曲になっています。どうもこういう作品は、演じる側も大変なようで、そのままやったら退屈以外の何者でもないものをいかに見られるようにするかで苦労があったようです。里女にしても、本来は老女で杖をついて出てくるので、さらに動きが少ないとか。終わったあと、シテの中森寛太さんがその苦労を語っていましたが、ほとんど演じられない理由もそこにあるようです。

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『寺門興隆』に

『寺門興隆』5月号に「創価学会とは何か」の19回目、「教団拡大にスポーツ選手も広告塔なのか」が掲載されました。前回の連載の続編という感じです。

なお、この同じ号には、記者がオウムの元幹部で、死刑判決が確定した岡崎一明死刑囚に東京拘置所で面会した興味深いレポートが掲載されています。知りませんでしたが、岡崎死刑囚は禅宗に帰依するようになっていたのですね。その信仰について表明したものを読むと、ひどく痛々しいものを感じてしまいます。信仰というものから離れられないというところに、あるいは彼が事件にかかわらざるを得なかった根本的な原因があるのかもしれません。

中国の実情が

原さんのチャイニーズ・ライフでは、内側から見た中国社会の状況が、反日デモとのかかわりでうまく説明されています。ぜひ参考にしてみてください。

朝日新聞読書欄で

朝日新聞5月1日付読書欄「文庫。・新書」のコーナーで


不安を生きる
が紹介されています。

醍醐寺薪歌舞伎

70d08756.JPGなかなか手に入れることの難しいチケットでしたが、ある方のご好意で無事入手することができ、28日見に行ってきました。團十郎が白血病に倒れたのは、去年の5月のことで、そのとき團十郎は「勧進帳」の弁慶を勤めていました。同じ舞台に團十郎と海老蔵とが揃うのは、江戸時代以来のことということで、海老蔵襲名とともに大きな話題になったものでした。

その弁慶の役を途中でおりなければならなかったのですから、團十郎にとって大いに心残りだったことでしょう。今回の「口上」では、そうした気持ちが本人の口から語られていました。海老蔵にしても、團十郎を相手にしてこその富樫であったはずです。それ以来一年、襲名という大きな坂をほぼ上り終えた段階で、どう團十郎の弁慶と拮抗できるのか、大いなる腕試しの気持ちもあったことでしょう。

その点で、「勧進帳」ゆかりの醍醐寺での舞台はまさに格好のものとなったといえるでしょう。「勧進帳」が屋外で演じられたのははじめてのこと、たしかに屋外ゆえにマイクを使わなければならないという問題はあるにしても、いつもの「勧進帳」とはだいぶ趣の違うものになったことはたしかです。

あるいは、一番大きな違いは、引き幕の有無だったかもしれません。通常なら引き幕によって、弁慶と富樫は最後の別れをするのですが、幕無しにそれがどう演じられるのか、私は大いに注目しながら見ていました。当然、富樫はどこかで引っ込まなければなりません。どこへ、どうやって引っ込むのか。実際に醍醐寺で演じられたものは、今までの「勧進帳」以上に富樫の思いを表現した引っ込みになったのではないでしょうか。それだけでも大いなる成果だったように思います。

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Profile
1953年東京生まれ
宗教学を専門とする
文筆業・
東京大学先端科学技術センター客員研究員
中央大学法学部兼任講師
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原稿、講演、取材などの依頼はこちらのメール(shimahiro8@yahoo.co.jp)にお願いします。

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