最近ではスーパーなどで珍しいキノコを見かけるようになってきました。店に並ぶ種類が多くなってきたという事です。栽培方法も原発被害の影響から、原木が入手困難になるなどの理由から、原木栽培からおがくずなどを使った菌床栽培も増えてきたようです。食の安全面の意識の向上から、以前は外国に頼っていた生産から国内生産がはじめられた種類のキノコも出てきました。今までは輸入品のアラゲキクラゲは販売名をキクラゲとして売られていましたが、アラゲキクラゲと表示して主に熊本県で栽培が始まったようです。乾燥品を戻して使うよりも生の方が美味しくいただけるキノコですが、まだ食べ方としては限られていて浸透していないようです。キクラゲ類には毒のない種類が多く優れた食菌です。アラゲキクラゲは南方系のキノコで、通例キクラゲといわれているものとは本来少し違っています。キクラゲの方がプヨプヨとした弾力のあるキノコです。実はキノコのほとんど90%以上には何らかの毒成分を含んでいて生食は避けた方が良い食材になっています。生で食べられるキノコではカンゾウタケ、キクラゲが知られています。薬としても使われているアガリスクも毒性を含み、副作用はあります。アガリスクにも種類があり、本来いわれている薬効のあるものは、ブラジル産のアガリスクのアガリスクブラゼイムリルだけです。そのことから例えると中国産のアガリスクに効果があるのかどうか分かりません。誰もが食べているシイタケにも毒成分があり、シイタケはホルムアルデヒドを微量に含んでいます。シイタケを生で食べる人はいないので問題がないことは言うまでもありません。今まで食菌だったスギヒラタケで死者が出たことから、キノコに対する安全が厳しくなって、今まで食べていた、食べられていたキノコから弱毒が見つかったものは毒キノコの仲間に入ってしまったものも数種類あります。先のスギヒラタケを初め、アミガサタケ、クリタケ、アンズタケ、シロハツ、キノボリイグチ、狭義のナラタケなどがあります。クリタケなどは現在でも食べられています。またアンズタケはヨーロッパでは人気の優れた食菌で現在でも食べられています。日本ではアンズタケは総称になっているので、似た毒成分を含む種類のものを食べている可能性もあります。また日本産のアンズタケの匂いは弱いといわれています。同じ種類でも食べて具合の悪くなる人とならない人がいるなどから、注意するキノコとして扱われる種類も多いです。アラゲキクラゲの他に新しく出てきたキノコにホクトのシモフリヒラタケがあります。このキノコは普通では不可能な外国産ヒラタケと日本産ヒラタケの掛け合わせでできた新しいキノコで、壊れにくく(傘などが丈夫になって痛みにくくなっています)味が良くなっています。ダントツに薬効成分が期待されるハタケシメジも販売が始まりました。味も良いそうです。失敗してしまったのがムラサキシメジで、発生させることはできるのですが発生の本数が少なく流通させるに至らないという事のようです。
キノコのメリットとしては、食物繊維が多く、抗酸化性作用があり、抗腫瘍性と免疫力が上がるなど優れた効果があることです。1般に良くしられていることは、キノコはビタミンDを多く含んでいる食材という認識だと思います。日本人に現在でも足りない成分にカルシウムがありますが、ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける作用があるので、骨粗しょう症の予防に役立てることができるといえます。種類によるメリットとして例を挙げてみます。                          
★シイタケ。シイタケに含まれるエリゴステロールは紫外線に当たるとビタミンDに変わるプロビタミンとして働くために、天日に干してから使うと良いとされています。干すことでうまみ成分のグアニル酸も10倍も増えるとされています。干す場合30分後から効果が出てきて、30分~2時間干すと良いようです。直射日光によって腐らせたら意味合いが違ってしまうので、その加減は必要になってきますね。シイタケの薬効としては抗腫瘍性と免疫力をあげる効果があります。
★タモギタケ。糖尿病に良いようです。血糖値を下げる効果があるようです。タモギタケには抗酸化物質のエルゴチオネインがどのキノコよりもずば抜けて多く含まれていて、活性酸素の除去、DNA損傷の抑制過酸化脂質の生成の抑制作用があるようです。βグルカンもアガリスクやシイタケの3~4倍あるようです。
★エノキタケ。エノキタケには抗がん作用があるといわれています。エノキタケの山地の長野県では非常に多くのエノキタケが食べられているようです。そのためかガンになる人が少ない県としても知られています。
★マイタケ。マイタケも抗がん作用が高いとされています。
このようにキノコに多く含まれる食物繊維を取ることで糖尿病、高脂血症、心筋梗塞、高血圧、便秘などの改善が期待できて、さらにダイエットの効果もあることから優れた食材であることには間違いないようです。
キノコ雑学として、現在では野生に菌が逃げ出して、在来種のシイタケに混ざって栽培品のシイタケ発生していたり、同じく栽培品のヒマラヤヒラタケを見ることがあるようです。在来種のシイタケは少なくなっているそうです。野生種が栽培されているキノコでは栽培品と野生種で姿が違うものが多くあります。エノキタケは野菜では黒褐色~褐色が多く、柄の部分が黒く傘も大きなキノコで、同じものとは思えない姿です。ヤナギマツタケも野生種は柄が太く、傘が大きなものになります。1方、大佐のない種類にはマイタケ、シイタケがあります。シイタケの在来種では傘の白いささくれ部分が目立つことが特徴になります。逃げ出した栽培品ではないもの(目立たない)もあるようです。
キノコに興味が出てきたら、野外のキノコを観察するのも面白いものになりますよ。