●狂犬病 別名は恐水症、恐水病と呼ばれます。水を恐れることから付いている名前ですが、実際には感覚器を刺激する風や音にも反応してしまいます。 狂犬病は動物からうつる病気で最も有名な病気の1つです。特にイヌからうつる病気としてあまりに有名です。狂犬病(ラブドウイルス感染症)はラブドウイルス科の狂犬病ウイルスが原因で発症します。このウイルスはほとんどの温血動物に感染します。人に感染した場合の致死率は高く、ほぼ100%死んでしまいます。日本では狂犬病は駆逐されていて発症の危険性はありませんが、外国から輸入された犬にウイルスが混ざっていて、狂犬病による死亡例が国内で発生しています。海外では日本と違い、現在でも恐ろしい病気の1つになっています。海外でイヌにかまれたり、ネコにかまれたり、引搔かれたりすると、とんでもないことになりかねません。傷口を舐められても感染するので、感染力は強いようです。狂犬病が発症していない日本と違うことを覚えておかないといけません。イヌ、ネコ、コウモリからうつることが多いようです。狂犬病の発生地はアジアが特に多く、全世界では3万〜5万人の人が狂犬病で命を落としている大変危険な病気になります。ヨーロッパでは野生動物に広く蔓延しているようです。狂犬病にかかって奇跡的に助かった人は、狂犬病ワクチンを受けていたか、発病前に適正な治療を受けた人のみでした。海外に行くときは狂犬病の危険のある国かどうかも調べると良いかも知れません。症状は強い不安感、1時的な錯乱、水を見ると頸部の筋肉が痙攣する(冷たい風や音でも痙攣する)高熱、運動失調、全身の痙攣、麻痺。その後、呼吸器障害の症状が現れて死亡します。
●エキノコックス症 エキノコックス属条虫の幼虫似よる疾患で、単包条虫と多包条虫の2種類がイヌ、キツネなどの動物に感染して、それが人にうつり発症します。人には飲み水や手や食品、食器似付着したものが体内に入り発症します。北海道のキタキツネのエキノコックス症が有名です。北海道では野生のキタキツネの他、放し飼いのイヌなども感染してしまうので、注意が必要です。本州でもエキノコックス症が確認され始めています。北海道からの動物の移動が原因で起こっているようです。エキノコックス症はひどくなると死亡率が90%にもなる怖い病気です。感染後5〜10年は症状が出ません(成人では通常で10年症状が現れません)その後症状が現れてきます。北海道野山野などで、綺麗な湧水があっても、その地域に感染している動物がいたら、水を介して感染してしまうことも考えられます。十分な注意が必要になります。現在危険視されている動物を介する感染症です。条虫が大きくなると肝機能が悪化していきます。初期では不快感などの不定症状です。悪化すると肝機能不全を起こします。治療法は外科的手術で摘出します。初期の段階での手術が有効です。
●トキソプラズマ症 イヌやネコ、特にネコから移ることが多い病気です。トキソプラズマ症はトキソプラズマ・ゴンディという原虫が原因で猫からうつることが多い病気になっています。トキソプラズマはタキゾイト、シスト、オーシストと呼ばれる3つの形態をとります。ネコに感染してから、糞に含まれている人に感染する感染型になった菌を排出するようになります。この感染する菌の型になったものをオーシストと呼んでいます。オーシストが感染力を発揮するのが排便されて2〰3日経った頃からなので、予防として排便されたものはこまめに撤去するのが良い方法になります。妊婦に感染するとトキソプラズマ原虫が胎児に影響を及ぼして、流産や死産を起こす原因になってしまいます。日本国内では10%の人が感染しているといわれています。
●Q熱 Q熱リケッチアのコクシエラ・バーネッティが原因で起こる病気です。家畜に多い病気ですが、ペットとして飼われているイヌ、ネコからもうつります。ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコの体内に存在していて、動物に感染しても症状は出ません。感染する方は畜産業、獣医など家畜に関わる人に多い病気です。Q熱は人にのみ症状が現れます。風邪に似た症状が出ますが自然治癒してしまいます。成人ですと症状が現れないようです。Q熱の感染力は非常に強く、数個の菌があれば感染してしまうそうです。症状はインフルエンザに似ていて、38〜40度の高熱を出します。潜伏期は2〜4週間です。50%が急性のQ熱を発症します。そのうち20%が肺炎、肝炎の症状を表します。慢性のQ熱に移行する確率は5%で症状は心内膜炎似なります。Q熱は通例1〜2週間で改善して免疫を獲得します。最悪の場合の死亡は1〜2%になります。
●パスツレラ症 パスツレラ菌による感染症で、4種類のパスツレラ菌属が引き起こす感染症になっています。イヌ、ネコからうつります。引搔かれたり、噛みつかれたり、餌の口移し、空気感染によって感染します。症状は肺炎、敗血症、リンパ節腫、骨髄炎。症状は30分〜2日で現れます。噛まれたり引搔かれたりした場所が腫れたり化膿する皮膚症状や呼吸器症状が現れます。引っかかれた部位は激痛、発赤、腫脹のあと蜂窩織炎を起こすことがあるようです。免疫不全を伴っている場合は重症化して、呼吸器系の疾患、骨髄炎、敗血症、髄膜炎などを起こします。治療法は抗生物質の投薬になるようです。オアスツレラ菌はウサギに最も多く感染する病気ですが、人にうつることは無いようです。ただし、鼻汁や目やになどを触ったらきちんと洗い流した方が良いと思います。感染のリスクがない訳ではありません。
●ねこひっかき病 バルトネラ菌が原因で起こります。バルトネラ菌(バルトネラ・ヘンセレ)はネコの口の中に生息している菌で、ネコに噛まれたり、引搔かれたりすることで感染します。免疫力の落ちている時に感染するリクがあります。日本のネコの9〜15%が感染しているといわれています。バルトネラ菌を持ったノミがイヌやネコの血を吸ってイヌやネコに感染します。人に感染した場合、数日から2週間の潜伏期の後、膿疱、発熱、疼痛、リンパ節の腫脹が数週間から数か月続きます。軽傷の場合は自然治癒していきます。
●犬猫回虫症(トキソカラ症) 人がイヌやネコに寄生する回虫の卵を吸い込むことで、回虫が人体に入ってしまう病気。幼虫は人体内で成虫になることが出来ませんが、幼虫は人体内を移動してしまうので、内臓や眼球などに侵入してしまうことが大きな問題になってしまいます。この行動は幼虫移行症と呼ばれ、侵入した臓器により様々な症状を引き起こしてしまいます。確実な治療法が存在しないという問題点があります。手洗い等の予防に徹するしかありません。
●皮膚糸状菌症 真菌による皮膚疾患です。ミクロスポーラム属とトリコフィートン属によって引き起こされます。円形(同心円状)に毛が抜けてしまいます。広がりかたも同心円状で輪癬(リングワーム)または白癬と呼ばれています。このイヌやネコの皮膚病が直接接触で人にうつってしまう感染症になります。症状は皮膚炎や発疹を起こします。原因となるイヌやネコに症状のない場合もあります。人に感染した場合、白っぽい円形、不整形の輪型ができたり、水泡を発症したり痒みを伴います。皮膚科で対応していただけます。
●オオム病 オオム病クラミジアが原因で起こる病気です。インコ、ブンチョウなどの鳥からうつります。インコ類の70%にオオム病クラミジアがいて糞中に存在しています。菌は乾燥した糞や鳥の唾液中にいます。輸入される鳥の50パーセントが保菌しているそうです。鳥の糞をこまめに片づけることと、口移しでの餌あげはやめた方が無難です。感染のリスクが発生してしまいます。
●クリプトコッカス症(別名クリプトコックス症)とネコエイズ。 鳥類が運ぶ真菌症になります。クリプトカッカス・ネオフォルマンスの鳥から人への感染はありません。鳥はクリプトコッカス症にならないことが分りました。クリプトコッカス症になりやすい動物はネコで、ネコエイズ、猫白血病にかかり免疫力が落ちて感染することが知られています。ネコ(動物)から人に感染することはありません。病原体にはクリプトコッカス・ネオフォルマンスとクリプトコッカス・ガッテイがありますが、人に感染する場合は前者がほとんどのようです。ネコエイズは人には感染しません。人のエイズもネコにうつることはありません。野外の野良猫にはネコエイズの菌を持っているネコがいるので、室内飼いにすることで飼いネコを感染のリスクから遠ざけることができます。
他にも感染症は沢山ありますが、ペットの衛生管理と遊んだあとの手洗いなどの習慣と注意で、感染のリスクを減らすことが出来ますが、これら感染症の知識は持っていた方が良いと思います。もしもネコなどの動物に引搔かれたり、噛みつかれたら放置しないで、流水で良く洗って消毒するようにしたら良いと思います。運悪く、もしも心当たりの症状が出た場合や感染の可能性がある場合には、病院に行くことも必要になってくると思います。人間にもペットのためにも動物の病気を知ることは、身近になったペットと暮らすうえで必要な要素になってくると思います。