March 20, 2009

当ブログ閉店のご挨拶と移転のご案内

まだドイツ在住中の2006年春、芝シーズン開幕と共に独自ドメインを取ってドイツ競馬サイトを立ち上げ、そこから数ヶ月遅れてこの"Galopp in der Bundesrepublik"をスタートした。このブログは飽くまでドイツ競馬、広げても競馬ネタからは外れない範囲に限定して書こうと、最初からその方針を固めていた。ニッチでも専門性の高いブログにしてみようと思ったからだ。

しかし結局自分なりの文体が定まらず、ニュース性としても、コラムとしての独自性にも中途半端にしかならなくて、大抵なんだか面白くないなぁという気分のままアップすることになってしまっていた。それでも現場の空気を感じつつ書くことには、読み手に対してそれなりに希少価値のような意義を見出してもらえるのではないだろうかという気分で、少なくとも芝シーズン中はそこそこに書いてきたつもりだ。しかし昨年2月に帰国してからは、やはりライブ感覚が出せない分益々つまらなくなり、恐れていたとおり私自身のモチベーションがどんどん低下してきてしまった。正直なところ伝えたいニュースやテーマがあったにも拘らず、結局何も書けぬまま放置するということになってしまったわけだ。

そのようなわけで、今までどおりのスタイルではこのブログの続行は不可能と見極め、これをもってラストエントリーとすることにしました。これまでこんな調子でありながら時々覗きに来てくださっていた皆さん、どうもありがとうございました。これまで辛うじて何か書いてこれたのも、こんなニッチなブログにもブクマしてエントリーが上がる度に訊ねてきてくれた方々のお陰です。期待外ればかりで誠に申し訳ございませんでしたが、ホント感謝しております。

さて、しかしながらドイツ競馬について時には語れる場はどこかに確保しておきたい。そこでShibaShuji.comのドメイン管理元をドイツのサーバーから日本のさくらさんに移管したことを機に、ブログもShibaShuji.comのサブドメインで新設することにしました。以下のURLになります。

http://blog.shibashuji.com/

新規先ではテーマを競馬だけに限定せず、写真やその他趣味、時事その他ニュースへの雑感なども書きたいと思った時に気ままに書いていく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。



November 17, 2008

出オチ、ネタ写真 in エ女杯

前日ネカフェに泊り、雨中始発で乗り込んだ淀ですが、骨折り損で終わるんじゃないかと思いましたよ、ホント…。豊さん、いくら今年は目立たないからって、出オチに遠隔操作なんつぅネタに走るのは勘弁して欲しいですわ…orz。まあ怪我は大したことなくて何よりです。

そんなわけで、サイトのほうではうpしにくいネタ画像をこちらに。

■豊さん出オチ(思いっ切りトリミングしてるので画質はご容赦あれ)
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■壮絶な叩き合い?
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■豊さんがいなくても私は勝てる!(by ポルトフィーノ)
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ドイツ馬フェアブリーズに関しては、まあ実力的なものだけでなく、どうしても日本のペースへの不慣れっていうのが出てしまうのだろうなと。それでも躊躇せず前でレースをしたヘルフェンバインは、それなりに悔いのない思いなんじゃないかな。遅咲きのベテランで、シュタルケやスボリッチに比べたら国外経験が乏しいし、馬以上に不安があったのだけど、彼なりにやれるだけのことはやれたと思う。

フェアブリーズの返し馬写真は上手く撮れたので、ドイツのゾルゲ君に送った。火曜日のSport-Weltに使ってもらえることを期待したい。

その他まともな(笑)写真は追ってサイトにあげます。

October 08, 2008

It's Gino、軽傷のためJC断念

凱旋門賞3着同着となったドイツ馬It's Ginoは、レース前からJC参戦を表明していたのだけど、レース後に軽傷を負っていることが分かり(詳細は不明)、今期のレースは断念することになりました。う〜む、残念…。

またヴォヴチェンコ調教師は、3着同着について再審査を請求。判定写真をよく見ると「10cmは出てんじゃねぇか!」つーことです。

アベイユドロンシャン賞のカンパイに関するスボリッチ騎手(Overdose騎乗)のインタビュー

カンパイとなったアベイユドロンシャン賞について、最後まで走りきって1着入線してしまったOverdoseに騎乗していたスボリッチ騎手がインタビューに答えた記事が、GaloppOnline.deにあがってました。というわけで即興訳。

プロの翻訳家じゃないっすからある程度意訳しちゃってますけど、文脈は間違っていませんので、関心ある方はご参考にどうぞ。

GaloppOnline.de - Jockey Talk mit A. Suborics

GaloppOnline.de(GO): あなたの目から見て、あのカンパイはどのようなものでしたか?

A.スボリッチ(A.S.): 私はいいスタートを切り、100mでもう1馬身くらい前へ出ていた。(コースの)右側にいたスターター助手が赤旗を揚げて、彼が一度動いたのを横目に確認できていたが、旗はじっと固定したままだった。それゆえ何度も内、外を振り返り、目に映る騎手たちを確認したが、みな普通に騎乗していた。加えて、本来ならカンパイの際に点る警告ランプも点いていなかった。

400m過ぎたところで改めて2度振り返ってみたが、自分の周りの騎手たちはやはり普通に乗っていた。1000mレースではこの時点でもうレースが成り立ってしまっている。


GO: あなたが赤い旗を目にしたとき、止めようとは考えなかったのですか?

A.S.: もちろんほんの一瞬は困惑するものだ。でも他のシグナルが点灯していなかったし、自分の周りの騎手もレースを続けていたので、(赤旗が揚がったのは)変だと思った。それにもし先頭を切っている馬を止めて、それが勘違いだったら、国の恥(正確には「国のまぬけ」)だと言われるだろう。

裁決委員も、最後までレースをしてしまった騎手を一切咎めていなかった。全ての機器がきちんと作動したのではなかったことは明らかだ。でなければ、私はペナルティを喰らっていたはずだ。こういうレースで二つもこんな技術的事故が起ることを考えるなんて、本当に不幸な場合でしか語ることはできないよ[うまく訳せねぇ…orz]。一つゲートが開かなかったこと、そしてカンパイのシグナルが点かなかったことね。


GO: このレースが無効だということにいつ気付きましたか?

A.S.: 馬を止め、周りの馬が疎らにしかいないと気付いたとき、これはなんかおかしいと思った。最悪の気分だったよ。とりわけ馬がまさに最高のレースをしただけに。

GO: OberdoseはMarchand D’Orに勝ってたと思いますか?

A.S.: それを言ったり、あれはきっとこうなってたとか語るのは無意味でしょ。でも、きっと素晴らしい叩き合いにはなっていたと思う。Overdoseが1000mを54秒5で走破したことを忘れないで欲しい。これは私が何度も振り返ったりしながら乗ったようなレースでもあるんだ。無効になったレースといえども、Overdoseは世界にその力を示したし、一緒に走ってしまった馬たちは負かした。加えて、Overdoseは楽に56秒を切れると思ってた私の評価を証明してくれた。

GO: Overdoseを再レースで走らせるべきだとは思いましたか?

A.S.: いや、全く考えていない。Overdoseはレースを普通に、完全に走りきってしまったことを忘れてはいけない。もしもう一度走らせてしまい、いい走りをしなかったら、「一体なにやってんだ。」とみな言うだろう。再出走させなかったのは絶対的に正しいよ。

GO: このレースはあなたのキャリアにとって苦いものとして残りますか?

A.S.: そうだと言えるね。凱旋門賞デイのG1で勝つのは騎手にとっては夢の一つだ。これは誰も補うことはできないよ。たとえ後日何かいいことがあったり、Overdoseがまた勝ったとしても、昨日のことを私たちに補うことは誰にも出来ない[ここの訳は自信ないけど、言いたいことは間違ってないはずです]。本当に辛いよ。

GO: 他の騎手たちには、このカンパイやOverdoseのレースについても何か反応はありましたか?

A.S.: Overdoseの走りについては、他の騎手はみなポジティヴに受け止めていた。レースを途中で止めたフランスの騎手たちも、みな止めるべきかどうか確信がなかったそうだ。警告ランプが点灯しなかったのにはフランス人たちも困惑していた。Overdoseについては、ポジティヴな声と認識だけだ。

GO: 個人的には、この馬の成績をどう評価してますか?

A.S.: バーデンバーデンのゴールデネパイチェから、Overdoseは更に力をつけたと思う。この距離のレースでこんなに速い馬には乗ったことがないよ。

GO: Overdoseのその後のプランについては知ってますか?あなたは続けて騎乗する予定ですか?

A.S.: Overdoseは香港スプリントの招待に招待されている。10月17日までに出走するか決めないといけない。まず健康状態やレース後の回復具合がテーマだ。私が続けて騎乗する計画にもなっている。オーナーは(今回のレースについて)私を責めていないし、競馬場の技術的ミスが原因と見ている。


October 06, 2008

凱旋門賞

Zarkavaは桁違いでしたね。ヴェルメイユでも最後方から大外をとんでもない脚で差し切っていたが、今回は内に閉じ込められそうになりながら、うまく外へ持ち出して開いた瞬間、一気に前へ抜け出した。これはスミヨンの腕とZarkavaの脚に脱帽と言わざるを得ないでしょう。

メイショウサムソンはZarkavaのちょうど前辺りにいたと思ったけど、直線での攻防に全く交じることができませんでしたね。Zarkavaや2着Youmzainの瞬発力に付いていかれたかは分からないけど、もう少し見せ場は作れなかったかなぁという思いはある。やっぱり一叩きした調整も必要だったのかどうか。

それにしても、ドイツ視点となりますと、いやぁIt's Gino、あわや勝つんじゃないかと思いましたよ。マジ興奮しました。イタリア語のネットライブ中継を見るという、なんだかへんてこなとこから観戦してたのですが、イタリア語実況でも「イッツジーノ!イッツジーノーッ!」とか連呼してるし、実は差して抜けてきたのがZarkavaだとは、最初は全く気付いてませんでした。つーか、眼中になし。ラスト50mも、せめてSoldier of Fortuneを抑え切って2着は死守だ!と思っていたら、何だお前はYoumzain!でもドイツ馬で凱旋門賞3着はTiger Hill以来の好成績でしょ。大殊勲です。

この馬は2歳秋のデビュー戦で、人気薄ながら後のダービー2着馬Dickensを抑えて完勝し、当時所属していたオストマン厩舎では、表向きのダービー候補1番手Oriental Tigerに対し、隠し玉的な期待を持たれていた1頭だった。しかし故障のため3歳シーズンを棒に振り、人々の記憶から忘れ去られた頃にヴォヴチェンコ厩舎から復帰。下級戦から慎重にレースを選んで順に勝ち上がり、今年春のバーデン企業大賞(G2)で無敗のまま重賞ウィナーへと登りつめた。その後ハンザ賞、ドイツ賞、バーデン大賞では重馬場にやられて2着、3着に甘んじていたが、雨が降ってもロンシャンの馬場はドイツの馬場よりしっかりしていたのだろう。この苦労馬には、本当によくやったと褒めてやりたい。ヴォヴチェンコは既にジャパンカップ挑戦を表明しているし、府中で会えるのが今から楽しみだ。

もっとも今回の凱旋門賞で私の心の単勝馬券馬はSchiaparelliだったのだけど、事実上の逃げ馬としてペースを作っていたのは良かったのだが、休み明け2戦目はまだ本調子ではなかったということなのかな。但しまだ馬体としてはフレッシュな状態だろうし、昨年も明け2戦は取りこぼしていた。だから次、ブリーダーズカップ・ターフに行って、3年前のSchiroccoの再現をするのだ!

Kamsinは、10万ユーロの追加登録料を払ったにも拘らず、全く見せ場がありませんでした。バーデン大賞でAdlerflug相手に勝っちゃったので、つい欲を出しちゃったのでしょうけど、まだ本当の強さみたいのを感じられませんでしたからねぇ。本格化は来年と期待してます。

凱旋門賞以外では、なんとオペラ賞でLady Marianが勝利!バルトロマイのおっさん、先週オイローパ賞を制したBaila Meに続き、G1連覇!映像は見てないのだけど、とにかくドイツ馬快挙だ!よくやった!

(追記)
アベイユドロンシャン賞の結果がどのサイトを見ても出ていないのでおかしいなと思っていたら、カンパイだったのか。しかもみんな最後までレースをしてしまった様子。そして1番にゴールを駆け抜けたのが、あのハンガリーの星Overdoseだったらしい。結局最終レースとして再走となるが、Overdoseは出走取消。う〜ん、悔しいねぇ。フランスギャロ、G1でこういうのは勘弁してくれ。

August 19, 2008

癖馬開花

数少ない読者のみなさん、お久しぶりです。もう殆ど気まぐれでしか更新しなくなってしまいましたが、しかし胸のすくようなレースを見た後は、やはり何か書きたくなってしまうものです。

8月17日ケルン
ラインラント杯(G1, 2400m)

まだYouTubeではあがってないので後日貼り付けますが、昨晩ネット中継で見ていて、Oriental Tigerのあまりにも痛快な逃走劇に笑いが止まらない思いでした。

先月キングジョージでDuke of Marmaladeとのマッチレースを演じたPapal Bullの参戦で、主催者ケルン競馬場としては願ったり叶ったり。まあこの馬が接戦を演じたというだけで、今年のキングジョージの質はどうよ?とは、先日ご相席賜った国際競馬ヲタの集いの皆様も口々にしていたところではあるが、ちょっとでも話題性が欲しいジリ貧ドイツ競馬としては関係ない話で。対抗はダービー馬Kamsinで、6頭という少頭数の割には、興行的に十分魅力ある面子が揃った形だ。実際競馬場の来客数と場内売上は昨年を上回り、全国的に激減している場外売上をフォローするのはさすがに厳しかったが、主催者としては十分納得すべき盛況さだったと思う。

もっともレースが始まってみれば、Oriental Tigerの独壇場である。バーデン春開催のバーデン企業大賞(G2)で、いつもの悪い引っ掛かり癖が出て惨敗してから一旦休ませたのが吉と出た。春先2戦で見せた逃走劇の見事な再現である。鞍上ヘリアーにしてみれば計算しつくした自信のペース配分であったと思うが、普段の欧州競馬の常識からすれば明らかに無謀なハイペースだ。しかしこの馬は、春初戦の不良馬場でもゲーリンク賞の良馬場でもこの勢い衰えぬまま、ゴールまでまんまと逃げ切っているのである。Papal Bullのムーアが知らなかったのは致し方ないとしても、シュタルケ他のドイツの騎手たちがこの馬を易々と行かせてしまったのは明らかに失策だろう。もっとも先行できるのはKamsinくらいで、この馬自身ハイペースでレースをしたことなどないのだから、シュタルケとしては無理な賭けは出来なかったのだろうが、あまりに後手後手のレースであった。

とはいえ、KamsinやPapal Bullがあのペースに付いていったとして、最後まで喰らいつけたかどうかは甚だ疑わしい。結局のところ気性の悪さゆえにこれまで大きな結果を残せずにいたが、Oriental Tigerの潜在能力は元々極めて高かったと考えてよい。何といっても3歳時には、同期Schiaparelli、Prince Flori、Saddexらと対等に渡り合ってきたのだから。

Kamsinは、Papal Bullと同じようなレース運びで、最後に伸びてそのPapal Bullを押さえた2着。Papal BullはOriental Tigerの作った展開にやられたとはいっても、実力上位ならKamsinは捉えておかなければならなかったはずだ。そしてこの馬なりに最後に伸びているのを見れば、KamsinのGAGはこのキングジョージ2着馬を基準に、かなり高くついていい筈だ。ダービー後のGAGが98Kgだったのだから、普通に考えてこれより高くなるだろう。そうすると、レース前の段階で97kgだったOriental Tigerは、更にそれを上回ると思われる。ドイツ賞で不良馬場を大いに活かしてQuijano(99.5kg)を7馬身差に破ったAdlerflugが100.5kgをもらっているのだから、同じくKamsin、Papal Bullを7馬身差に破ったOriental Tigerも、一気に100kg台に乗せることになるだろう。

Oriental Tigerの馬主サイドは、「凱旋門賞が目標だ。」と語っている。春のバーデンでの失敗から左回りは走らせないと当時オストマン師は語っていたので、恐らくバーデン大賞は回避するだろう。とすると、王道のフォア賞でもう一叩きするか、凱旋門賞へ直行ということになる。多分馬の気性を考えて、後者の選択でじっくり仕上げて大舞台に臨むのではないだろうか。凱旋門賞はもともと3歳馬に有利ではあるが、今のところチャンピオンディスタンスで抜けた印象の馬はいないし、古馬も然り。とすれば、このとんでもない癖馬も、結構勝負になるかもしれない。

July 06, 2008

やはりダービーだけは書かないとね

引越しをした。ただ、ドイツから帰国以来の実家居候状態からようやく脱出したはいいが、如何せん自前の家具というものが一切なかったので、ホームセンターで買った組立家具を週末の度にせっせと組み立てていて、宝塚記念も結局何一つ検討することなく、横目で眺めているだけで終わってしまった。もっとも、あの触れそうなほどそばに感じていた馬たちとの距離が、日本の競馬場にはないだろうという諦観が、今一つ私の心を日本競馬に本気にさせてくれないのも確かだ。いや、元々はタマモクロスとオグリキャップで競馬にのめり込んだクチである。秋競馬までには日本競馬にも復帰したいと思っている。

同時に、ドイツ競馬へのモチベーションも維持し続けたいわけで、とにかく毎週日曜日の夜にはネット中継でレースを見ている。これはまた、現在私にとって唯一のドイツ語ヒアリングの機会ともなっている。最早日本の競馬場よりも遥か遠くになってしまったGaloppsportであるが、このドイツ語ヒアリングという別の要素が、相変わらず私をドイツ競馬に繋いでくれている面はある。GaloppOnline.deを毎日チェックするのも然りで、先日実家住所(新居から徒歩15分。年金生活者の親とはこれくらいの距離がちょうどいい)に届いた季刊誌"Vollblut"202号にも、普段の生活からはすっかり消え失せたドイツ語への読欲を駆り立てられる。もっとも近年のVollblutは写真が賑やかなだけで内容が薄く、それゆえにサラサラと読み易い利点もあるけど、70年代くらいまではとにかくテキスト中心で、非常に読み応えがあった。それらバックナンバーのコピー群やその他書籍が、帰国後保管しておいたレンタル倉庫からようやく蔵出しされ、天井までのつっぱり本棚の大半を埋めてくれたことで、積読で満足してしまう私にとって、新居はなかなか気持ちの良い景色となっている。まだ大半がナマで見てきた馬たちが走っているし、少なくとも今シーズンはドイツ競馬へのモチベーションが崩れることはないだろう。

とはいえ、引越しその他を理由にブログはすっかり放置してしまった。今後もマメに更新できる保証は微塵もないが、しかし自分のペースで書けるときに書いていきたいと思っている。ただ一応そんな状態ではあっても、やはりダービーだけはスルーするわけにはいかないだろう。

昨年2歳戦が終了した段階で、ダービーを語れる馬はLiang Kayくらいであり、むしろ本命は年明けデビュー馬と予想していたが、結局大物感のある馬は現れず、ギニーを使ってからダービー路線に乗り換えたLiang Kayがウニオンを制して、あっさりポールポジションを奪った。

6月15日ケルン
オッペンハイム・ウニオン・レネン(G2)2200m


これまでのレースでも、グッと首を低くしてスパートをかける走法に父Dai Jinの面影を感じていたが、このレースでは殆どオーバーラップするほど酷似してきた。Dai Jinは、騎手が押そうが叩こうが、道中は全く気合を入れずトコトコ最後方を付いていき、直線の残り半分だけ本気を出して全馬ぶち抜くという、なんとも人を食ったような馬だった。私はそのふてぶてしさが非常に好きで、是非その図々しい態度で凱旋門賞でも一穴開けてもらいたいと願っていたのだが、レース中に屈腱炎を発症し、そのまま引退となってしまった。そんな父が初年度からこんな息子を送り出してきたことは、素直に嬉しい。鞍上ヘリアーにとっても、年齢等を考えてダービーを狙える最後のチャンスになるかもしれない。私個人的には、素直にLiang Kayを応援することにする。

その他ウニオン組だと、Akiemが不気味だ。後方から直線で内を突こうしながら、なかなか追い出せなかったにも拘らず、僅かなスパートで3着にまで突っ込んでいる。鞍上モンジルの直線での位置取りの下手さは、まあお約束のようなものなのだが、追わせれば一流という彼そのまんまのレースで、ダービーではレース巧者のスボリッチに手が代わり、本番ではそつなく仕掛けてくるだろう。バーデンで未勝利を勝ったときの2着Carnival Runが、その後ドレスデンのトライアルを勝っており(しかしダービー登録がなく、追加登録もしなかったので不参加)、Akiemのレベルの高さは裏打ちされている。

ミュンヘンでのトライアルも、私にとっては馴染みのある馬の産駒が制してきた。Walzerkoeniginの初仔Walzertraumだ。

6月8日ミュンヘン
バヴァリアン・クラシック(G3)2000m


母Walzerkoeniginは、3歳時に2000m路線で牡馬相手にフランクフルトのユーロカップ(G2)を制し、その後アメリカに渡りフラワーボウル・インヴィテイショナルS(G1)で2着に入った名牝だ。ナマで見たのは不可解な惨敗をした1000ギニーの時くらいなのだが、やはりそのような母の仔ということでデビュー戦から注目はしていた。しかし最初は仕上がり不足のせいか、良いところなく6着。そして次を首差で制して未勝利を脱出し、迎えたこのバヴァリアン・クラシックでダービーへの切符を手に入れた。レース自体は超のつくスローで、ダービートライアルとしてはあまり参考になる内容ではない。しかしWalzertraumはとにかく一戦毎に力を付けている感じであり、シュレンダーハーン陣営もデットーリを鞍上に迎え、ダービー2連覇へ向けて必勝態勢を整えている。

一方このレースでダントツの1番人気だったKamsinは、自ら作った超スローペースの罠に自ら陥り、3馬身半離された4着。フランクフルトのG3の時にも思ったのだが、この馬にはどうも切れがない。しかしスタミナはそれなりにありそうなので、淀みないペースでの消耗戦の方が合っているかもしれない。多頭数の本番はトライアルよりは確実に速い流れになるだろうし、金曜の晩に雨が降ったことで土曜日は馬場4.6の稍重となり、本番もパンパンの良ということはなさそうだ。ただでさえスタミナを強要されるダービーである。この馬にも逆転の目がないわけではないだろう。

その他、今年は3頭の外国馬が参戦してきた。第1次出走登録を2歳時の5月末から7月中旬にずらしたことで登録頭数が激減(特に国外からの登録は07年66頭に対し、08年は14頭)した分、直前の追加登録を賞金の約10%の5万ユーロで可能としたことで、英仏の王道に乗りそびれた馬が、ドイツで箔を付けようと乗り込んできた形になった。主催者側も、放っておいても減少傾向にある第1時登録の登録料を当てにするより、追加登録料で補填した方が賞金を確保しやすいと考えたのかもしれない。ただやって来た馬たちのレベルには、クエスチョンマークを付けざるをえない。馬番2番のTop Lockは準重賞勝ち後、アスコットのG2で3着になってきた馬だ。これで勝たれてはダービー以前に、ウニオンの格が落ちる。King of Romeも英ダービーで歯が立たなかったため、準重賞にレベルを落として3着の馬。ファーブル預りのウルマン馬Soumについては、そもそもバリバリのシュレンダーハーン血統だし、まああまり外国馬って感じじゃないのだけど、まだキャリアがなくあまりに未知数過ぎて、これで勝つようなら一気にスターダムへ駆け上がる逸材のような気がするが、でも実際にはまだまだ力足りずに終わるってパターンじゃないだろうか。

のんびり書いているうちに、発走まで24時間を切った。今年は現場のターフに立てない寂しさはあるが、変わらずワクワクした気分でもって明日の午前0時25分を迎えたいと思う。

そうそう、これを書いている間に、土曜のメイン、ロットー・ハンブルク・トロフィー(G3、1200m)を観戦した。ハンガリーのニューヒーローOverdoseが、ドイツのベテランスプリンターたちを押さえて、初重賞を制した。これで9戦無敗である。今回はさすがに9馬身差とはいかなかったが、古馬相手にしっかり押さえ切った勝利であった。ただ馬がまだ幼い感じで、今後更に上を目指すためには、もっと身の入る調教を積ませてあげたい気がする。ハンガリーのトレーニング環境がどんなものかは分からないけど、いずれシャンティイ辺りへの移籍も考えていいんじゃないかと思った次第。

May 26, 2008

遅れてきた無敗の大器 It's Gino−バーデン企業大賞(G2)速報

「審議の対象は君だろ」と、スタンド前へ引き上げてきた池添君のはしゃぎぐ姿に、ちょっとハラハラしてたのだけど、案の定、検量室から出てきたら、すっかり真顔になってましたね。狭いところに飛び込んでいった度胸は認めるが、それだけ大胆なことしたんだから、審議中の態度にはもう少し慎重さが必要でしたな。

つい今し方、ネット中継でバーデン企業大賞(G2)を見まして、あまりに興奮したので、一先ず速報。

5月25日バーデンバーデン
バーデン企業大賞(G2)2200m



2番人気のIt's Ginoが、無敗で初重賞制覇。しかも2着のEgertonが得意のバーデン2200mで繰り出した会心の走り(*追記:4コーナーでLord Hillが外に膨れるあおりを喰らってましたな)を抑えての勝利であり、その価値は高い。この馬は、2歳のデビュー戦で快勝し注目を浴びていたにも拘らず、3歳を故障で完全に棒に振り、昨年も慎重に使われてきたため、5歳にして漸くこれが7戦目。隠れた大器が、今まさに表舞台に躍り出たのである。

この馬については、多分詳しい続報が出てくると思うので、後日改めて紹介することになると思う。

尚、1番人気のOriental Tigerは、昨年までの気の悪い彼に戻ってしまったようで、ハイペースで飛ばしまくり、直線でバテてしまった。左回りの難も多少あるかもしれない。ここを快勝すればサンクルー大賞あたりを狙ってもらいたかったのに、一旦建て直しが必要かもしれない。

AdlerflugとSommertagのシュレンダーハーン馬は、馬場が硬過ぎるということで、当日朝に回避。欧州競馬ではよくあることです。

昨年8月19日にブレーメンの別定戦を勝ったときのIt's Gino(右)
itsgino


May 20, 2008

サボった分は、とにかくようつべ貼って埋め合わせ

すみませんが、ちょくちょくやって来る長文執筆倦怠期中です。レースはしっかり見てるし、面白いレースはかなりあるんだけどねぇ…。

遅ればせながら、ようつべまとめ貼りで埋め合わせということで。

5月12日ケルン
メール・ミュルヘンス・レネン(独2000ギニー)(G2)1600m



チャップマンの実況だと「メール・ミューレンス・レネン」ですねぇ。"Mülhens"は、語の作りとしては"Mül"と"hens"に分かれるので、「ミュル」と「ヘンス」に分けて発音すべきだ、と一応ドイツ人学生(結構真面目な奴です、はい)に教わったのですけどね。ここでは取り合えず「メール・ミュルヘンス・レネン」と書いときますが、どちらを使うかは、各自判断ということで。

緩いペースで、最後にヨーイドンのレース。それでもPrecious Boyのダイナミックな走りは、ギニー馬として十分の内容。よく考えてみたら、Big Shuffle産駒ばかりの独マイル界であるにも拘らず、このレースは産駒初勝利となった。Liang Kayには距離延長後に期待したいが、父Dai Jinほどの不気味さを感じさせないのがちょっと不満。

5月12日ケルン
シュヴァルツゴルト・レネン(G3)1600m



流離うレース名は、今年から重賞になった1000ギニートライアルの看板に。本番の方が名無しの1000ギニーになっちゃったのだから、元に戻してあげてもいい気もするが。実際面子も本番さながらに揃ったし。

内容としてもメール・ミュルヘンスより濃かった。Peace Royalは、惨敗したとはいえ、昨年マルセル・ブサック賞(仏G1)へ挑戦させただけのことはある。今年は牝馬路線の番組が大幅改編されたので、独1000ギニーとコローネーションSを順次挑戦というのが難しいが、まずは独1000ギニーできっちり結果を残してもらいたい。もっともLove Academyにも、一叩き後の上積みは間違いなくある。こっちの最終目標はディアナだろうけど、独1000ギニーでPeace Royalを逆転できる可能性があるのは、やはりヴィンターケーニギン馬であるこの馬だけだと思う。

5月17日バーデンバーデン
ベナツェット・レネン(G3)1200m



今年の独スプリント戦線は、Lucky Strike(10歳)が引っ張り続けた時代の終焉という演出で、幕が上がった。しかしAgl.II馬のAbbadjinnがその後継者として名乗りを挙げた、というには明らかに時期尚早。まずは混沌の次章を待てと。

5月18日バーデンバーデン
ランソン・カップ(L)1200m

だが、その混沌を打ち破るかもしれない光が、翌日早くも輝いた。しかもそれは、ドイツより更に東、ハンガリーからやって来た。Overdose。故郷と隣国オーストリアで6戦6勝、そのどれもが大差の圧勝劇で、その実力は本物かどうか、レース前から注目が集まっていたのだが、短距離戦であるにも拘らず、直線だけで9馬身差をつけて、見事ドイツの3歳馬たちを蹴散らしたのである。もっともこれだけ強いと、ドイツは所詮通り道で、フランスの重賞取りに挑戦することになるだろう。

5月18日バーデンバーデン
バーデナー・マイレ(G3)1600m



古馬のマイル重賞。真打となるべき2頭が、休み明け初戦からきっちり仕上がりの良さをアピールした格好となった。この2頭は、次走早速国外重賞へ挑戦してもいいだろう。唯一の3歳馬で、ギニー登録のなかった注目の上がり馬Black outは、ミュンヘンに移籍した環境の変化にどれだけ影響されたか、というところを考えてしまうが、既に冬のノイスから大きな休養は取ってないし、Mharadono同様、これから暑い時期は、しばらく休ませて、その後の成長に期待してみてもいいかもしれない。にしても、4歳勢は情けなさ過ぎる。

5月18日ローマ
共和国大統領賞(伊G1)2000m



Axxosが作った緩いペースのせいで、直線抜群の手応えで抜け出したPressingを捕えるのに苦労したものの、最後にきっちり差し切ったのはSaddexの格の違いと言っていいだろう。ガネー賞から更に縮めた2000mを使ってきたので、次の目標がよく見えないのだけど、多分また凱旋門賞を目標に、英仏の2000〜2400mG1を使っていくのだと思う。Shrekはイタリアの乾いた馬場が合うはずなのだけど、今回はAxxosにくっついて前に行き過ぎたのがいけなかったか。かなり期待外れの内容だった。

May 06, 2008

ダービー戦線黄色信号?

5月4日(日)フランクフルト
バンクハウス・メッツラー春季賞(G3)2000m



メールミュルヘンス(独2000ギニー)を外し、ドイツ・ダービーを目指す3歳牡馬が競う最初の重賞戦。といっても、今年は僅か5頭立てで、一本被りのKamsin以外は注目に値する馬がいないという、実に寂しいレースになってしまった。こうなるとKamsinがどれだけのパフォーマンスで勝つか、という点が見所となるはずだったが、正直に言ってあまり質の良いレースにはならなかった。Kamsinが作り出したペースは、見るからにスロー。ならば3月に未勝利戦を勝ったときのように、直線で後続を突き放す強烈な脚を披露してもらいたかったが、食い下がる2番手のLancettoを最後まで振り切れず、着差は僅か1¼馬身。とても胸を張れる内容ではない。次走は6月15日ケルンのウニオン・レネン(G2)を予定しているが、もう一回りの成長が必要だ。

この日のフランクフルトでは、寧ろ同じ2000mの3歳未勝利戦の方がタイムも内容も良かった。メンバーがメインに比べて更に劣るのは差し引いても、勝ったArmanは3番手から直線に入ると一気に抜け出し、その切れ味はKamsinよりは遥かに印象に残った。父Landoに母父Big Shuffleではスタミナにやや疑問符が付くが、少なくとも良馬場の2000mなら今後も期待は持てそうである。

この日はもう一つ、ダービーを目指すステップレースが行われている。

5月4日(日)ミュールハイム
ミュールハイム・アン・デア・ルール貯蓄銀行大賞(L)2200m

例年は「ダービー・トライアル」の名で施行されているレースであるが、そう名乗るにはさすがに時期が早過ぎるということだろうか。

こちらのメンバーは、フランクフルトに比べて更に質が落ちる。しかも人気馬がそろって敗退し、最低人気のDuellantが一度差されたAkiemを差し返し、追い込んできたLittle Fighterを押さえ切る波乱。もちろん内容としては、勝ったDuellantを高く評価してよい。だが、如何せん父がDashing Bladeということで、2400mとなると距離が難しいのではという思いは否めない。この馬はこの馬なりのベスト条件で頑張ってもらいたいが、ダービー候補としては割り引かざるを得ない。

残念ながら、飽くまで「ダービー」を意識する限りでは、この日は物足りない内容になってしまった。この他にも、今期これまで本格的な強さを感じさせる牡馬は出てきていない。もちろんLiang Kayがメールミュルヘンス後に本格参戦してくれば、また様相も変わってくるであろう。しかし今のところ、全体レベルとしては、黄色信号が点っている。

他にも欧州各国レースについて触れたいとこですが、疲れたので、映像貼り付けて個人的感想一言のみで。

5月4日(日)ニューマーケット
英1000ギニー(G1)1600m



父ディヴァインライトの現役時代はドイツにいたせいで、特に感慨はないのだけど、単純にこの強さには興奮した。

5月3日(土)ニューマーケット
英2000ギニー(G1)1600m



昨年のデューハーストSを生で見て、写真もドイツの競馬雑誌に掲載してもらったものだから、かな〜り贔屓目に応援してたのだけど、New Approach、惜しかったなぁ。でも、一番強いレースをしたのは、やはりこの馬だった。

5月4日(日)ニューマーケット
ジョッキー・クラブS(G2)2400m



ファーブル厩舎のウルマン所有Monsun産駒は、5歳で本格化というのが一つの規定になりそうな気配。

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