May 2007

May 28, 2007

志高き少女たちに心から祝福を!

ネット配信で日本ダービーを見た。先に結果を見てしまっていたのだが、直線で突き抜けるウォッカの姿には痺れるほどの感動を覚えた。これで終わる必要は全くない。一昨年ドイツのG1戦線で古牡馬たちを力で捻じ伏せたGonbardaの活躍に痺れていたが、それと同じように歴史に名を残す最強牝馬を演じてくれ。今年の凱旋門賞はスルーするつもりでいたのだけど、出てくるなら見に行くよ。

更にもう1頭忘れてはいけない。4週間の間に欧州主要3国英仏愛の1000ギニー全てに挑戦したFinsceal Beo。仏ギニーこそ惜しくも頭差敗れたが、そこで躊躇せず愛ギニーにも挑み優勝した陣営の強い意志と高い志に賛辞を送らずにはいられない。これで更にコロネーションSまで出走したら、そのタフさに脱帽せざるをえないが、そこは飽くまでギニーに割り切り、一息入れて古牡馬相手のマイル戦線で旋風を巻き起こしてもらいたい。

ともあれ、志高き偉大な少女たちに心からの祝福を!

May 21, 2007

日本馬、ドイツ馬がよくやった日曜日です

まずはシャドウゲイト&カッチー、シンガポール航空国際C優勝おめでとう。先団の馬たちにとってはかなり厳しいペースだったと思うが、早目から攻撃的に仕掛けて制したレースっぷりには御見それしました。2着のコスモバルクも最後にもう一伸びして2着を死守。日本馬の素晴らしい1・2フィニッシュでしたね。シンガポールまで観戦に行った日本競馬オタクのドイツ人ハネスからも早速喜びのSMSが届く。シンガポールでもドイツの携帯が使えんだなぁ。

フランスではウルマン男爵の愛馬Manduroがイスパーン賞を制し、念願のG1タイトルを手に入れた。5頭立てでG1としては格落ちする相手ばかりだったので、云わばプレゼントされたような勝利だが、少なくとも力の違いはまざまざと見せつけており、別に恥じる必要はない。次走はロイヤルアスコットのプリンスオブウェールズS(G1・10F)かクイーンアンS(G1・8F)となる模様。どちらが適しているか微妙だが、プリンスオブウェールズSにはDylan Thomasが出てきそうだし、こちらの方が荷が重いかも。もちろんマイルはマイルで楽じゃないだろうが、取り合えずG1には欠かせない役者にはなれそうだ。

イタリアダービー(G1)ではShrekが惜しくも2着。かなりのスローテンポで逃げたRob's Loveが直線に入っても粘り続け、3、4番手から仕掛けたShrekはなかなか捕らえ切れずにいたら、外を直線一気に追い込んできた人気薄のAwelmardukに半馬身交わされてしまった。内のRob's Loveを最終的には捕らえていただけに、勝負には勝ってレースは落としてしまった感じだ。最も強いレースをしたのはShrekであり、2着という結果は至極残念。単純に考えれば次はドイツダービーということになるのだが、前にも書いたとおりこの馬はハンブルク向きではない。ヴェーラー厩舎には他にも独ダービー候補はいるし、Shrekは思い切ってイタリアを主戦場にし、次は6月17日のミラノ大賞(G1)が宜しいのではないかと思います。

5月20日バーデンバーデン
Grosser Mercedes-Benz-Preis(G2)

さてドイツ。春のバーデン開催締め括りのベンツ賞は、見応えあるレースで昨年のバーデン大賞馬Prince Floriが制した。

逃げ馬として定着してきたDonaldsonの機先を制しハナを奪ったのはSchiaparelli。今年緒戦のゲーリンク賞で見せ場なく後方に消えた昨年のダービー馬は、思い切って新たな作戦に出た。ペースはダラダラするほどではないがスローに抑えられ、2番手にDonaldson、3番手にEgartonが続き、Prince Floriはそれらを見る形で4番手。昨年の覇者で復活を賭けるArcadioはスタートで出遅れ最後方から。

3、4コーナー中間からEgartonが勝負に出てSchiaparelliに並び、直線に入ると同時に先頭へ。馬群は馬場の荒れた内を避けて一斉に外へ向かうが、Donaldsonのスボリッチは馬場の真ん中を選んで内回りの利を活かす。そしてPrince FloriはEgertonの更に外を回り埒ギリギリを追い上げてきた。その脚色は明らかに他を上回っていたが、Egertonがちょうど横に並んだところで外によれたため、外埒との間に挟まれそうになり、一瞬止まったかに見えた。しかしそこから再度伸び脚を繰り出し交わし去ったのはこの馬らしい勝負根性だ。着差こそ半馬身だが、中身としては完勝である。Egertonは改めてこの馬らしい安定感を示し、3着には逃げて粘ったSchiaparelli。うまくインを突いたDonaldsonを抑えたところを見ると、Schiaparelliはこの馬なりに復活への手応えを掴んできたということだろうか。Arcadioは最後方から直線でそれなりに伸びてきたが、勝負に絡むには至らず、出遅れに泣いたと同時に、力の衰えもはっきり示してしまった感じだ。

今日のメンバーは順当だと次回ハンブルクのハンザ賞(G2)でまた顔を合わせるのだが、勝ったPrince Floriはこのレースに登録していない。更に上を狙ってサンクルー大賞(G1)に挑戦するのだ。左回り巧者のこの馬にはハンザ賞より間違いなく向いている。ガネー賞でDylan Thomas相手に完敗したEgertonを物差しにすると決して楽なレースにはならないだろうが、Prince Floriは一走毎に確実に力を付けてきており、そして勝負根性なら誰にも負けない強いハートを持っている。6月24日は私もパリに行き、その偉大なる瞬間に立ち会う予定だ。

May 18, 2007

ざざっとバーデン古馬重賞&ドルトムント3歳準重賞

春のバーデン開催も既に半分が終わった。余裕があれば最終日のベンツ賞(Gr.II)くらい本当は行きたいのだが、その後ダービーまでにあちこち遠征を予定しているので、今開催はネット観戦で我慢。取り合えず前半戦の重賞を簡単に振り返ってみよう。

5月12日バーデンバーデン
Betty Barclay - Rennen Wettchance des Tages Gr.III

ドイツ唯一の長距離重賞。昨年の勝ち馬Bussoniが道中5、6番手から直線に入ると同時に先頭へ立ち、後続寄せ付けない貫禄勝ち。今年は既にケルンのGrand Prix Aufgalopp(Gr.III)とゲーリンク賞(Gr.II)で3着2着とレベルの高い馬相手に好走しており、昨年より明らかに自力アップしている。今年の古馬戦線では結構楽しませてくれそうだ。またこのレースでやはり気になったのはチェコの英雄Darsalam。一昨年ラインラント杯(Gr.I)を勝ったあとバーデン大賞を目指しながら怪我で長期休養に入っており、一度は種牡馬登録もされていたらしい。一昨年の脂の乗り切ったような強さは陰を潜めたが、それでもよく粘っての4着であり、この馬の気概を感じられたのは嬉しかった。

5月13日バーデンバーデン
Badener Meile Gr.III

古馬マイル重賞緒戦は、英国からの遠征馬Banknoteが、逃げ粘るAspectusとの競り合いを制し優勝。このレベルの遠征馬にやられているようでは、今年の独マイル戦線はかなりお寂しい。頼みのLateralが先日調教中の故障で引退となり、3歳からの新星に期待するしかないのか。でも2000ギニーが大味だっただけに何とも言えない。迷いのAspectusはブリンカーを付けて逃げ粘ったことで、このままマイル路線に留まるか、改めて2000m路線に打って出るか。本当なら昨年のウニオンの再現を見たいところなのだけど、まずは次走で変化が現れるか確かめたいところ。

5月17日バーデンバーデン
US - LANDBANKING - CUP (ex 36. Benazet-Rennen) Gr.III

スプリント重賞緒戦は、古豪Lucky Strike(9歳)が久々の重賞制覇。Donatello(6歳)の追い込みを抑え、逃げ粘る6歳のShinko's Best(6歳)を振り切り、例によって外埒一杯を力強く先頭で駆け抜ける勝利であった。絶頂期だった2年前に比べれば力の衰えは否めないが、まだまだレースにおける闘争心は萎えていない。上記の2、3着も晩成タイプで頑張っており、短距離路線は中年パワーが尚も健在ということか。重馬場で出走回避してしまったElectric Beat(4歳)や今後Molly Max(3歳)あたりがしっかり絡んでくれば、スプリントも十分面白くなるはずだ。

さて、古馬戦線中心のバーデン開催には行かなかったものの、裏のドルトムントで重要な3歳準重賞が行われたので、こちらには脚を伸ばしてきた。

5月17日ドルトムント
Grosser Preis der Sparkasse Dortmund Listed

02年ダービー馬Next Desertの全弟Next Styleが人気を集め、更にレットゲン牧場のダービー馬候補Antek、ウルマン氏期待の高馬Persian Storm、そして好調ヴェーラー厩舎からConillonと、かなりレベルの高いメンバーが揃った。レースは意外にもNext Style先頭に立ち馬群を引っ張り、鞍上スボリッチは道中上手にスローに落とした。このところズビはこの手が多い。本当はもっと強気のペースで高いレベルを演出してもらいたかったが、このままNext Styleがあっさり勝ってしまうかと思ったら、直線で突き抜けることができず、最後は脚があがってしまった感じで4着。この馬、兄ほど長い距離が持たないのかもしれない。
このスローを活かして末脚を発揮したのはConillon。エンジンが点火すると鋭い切れ味でNext Styleを抜き去り、Antekが外から追い込み並びかけると、もう一伸びして押さえ込んだ。前走はAgl.IIIで古馬と走り後方から届かずの2着で物足りなさを残したが、これでしっかりダービー候補に名乗りを挙げた。多分ウニオンを使ってダービー本番となるだろう。
2着のAntekは最後方から猛烈に追い込み抜き去るかに見えたが、Conillonに並んだところで止まってしまった。後からビデオをよく見ると、Conillonに向かってよれてしまったために伸びが止まってしまったようだ。パドックでもかなり気の悪いところを見せていたし、多分実力よりも気性に影響された乗り辛さゆえに勝ちを逃したように思える。次はウニオンではなく、ドレスデンのダービートライアルで確勝を期して本番を狙うような気がする。気性改善は一朝夜にはいかないだろうから、騎手の腕が試されることになるだろう。今回は久しぶりにドイツにやってきたモンジルだったが、契約どおりならこの日バーデンにいたデフリースが乗ることになるだろう。

うむ、ぼちぼちダービー候補が絞られはじめ、面白くなってきた。

May 07, 2007

不完全燃焼の一日

一言で言って、酷い一日だった。馬券も散々だったが、落馬、故障、逸走等々、レースもまともといえるものが殆どなく、撮影も結局不完全燃焼。

5月6日
Mehl - Mülhens - Rennen - German 2000 Guineas / Gruppe II

まずはメインの独2000ギニーMehl-Mülhens-Rennenから片付けよう。

明確な本命を欠き、やや混沌とした様相を呈する中、シュレンダーハーン牧場のAvisoが逸走するかの如く直線で外に大きく膨れながらも、ラストの猛烈な末脚でMolly Maxを鼻差差し切って勝利。今年から牧場専属調教師としてデビューしたJ.ヒルシュベルガーは、僅か17戦目にしてクラシックを手に入れた。

レースは英国からの遠征馬Majuroが淀みないペースを作り、直線に入るまでは締まった展開だったといえる。しかしそのMajuroが直線入口でカーブを上手に曲がり切れず、その煽りでGlobal DreamとAvisoが外に振られる不利。Global Dreamの方は実質ここで終わってしまった。人気薄のSmokejumperが一瞬抜け出す見せ場を見せるが、最内を2歳チャンピオンのMolly Maxが突き、これで勝負が決まったかと思われた。しかし一旦不利を受け、更に自ら大外に膨れてレースが終わったかに見えたAvisoが、ラスト150mで矢を放つように伸びて、ゴールの瞬間にMolly Maxを捕らえたのである。

このように振り返るとAvisoがとんでもないような馬に思えるが、しかしむしろ強いレースを見せたのはMolly Maxの方で、最後はギリギリ距離が持たずに止まってしまった感じだ。Molly Maxは取り合えずクラシックを狙って1600mを使ってみたわけだが、今後は平坦馬場のスプリントに向かうほうがよいだろう。Avisoは確かにある程度のレベルの高さを感じるが、もう1レースくらい様子を見てその実力を判断したいところだ。Dr.Busch-Memorialを制してきたDavidoffは勝負所で伸び切れず4着。絶好調ヴェーラー厩舎、ペトロサ鞍上のRolling Homeは今回不発で不思議なくらい見せ場なく最下位。この辺も次走を見てみないと何とも判断し難い。

それにしてもAvisoのとんでもない走りのせいで、ゴール前の写真をまともに撮れなかった。私を含めカメラマンたちは直接コース上にいるのだけど、Avisoがふっ飛んできたせいで慌てて隅まで逃げねばならず、一応ゴールの瞬間を狙ってシャッターを切ったものの、写っているのはMolly Maxの方。他のカメラマンたちも皆舌打ちをしており、どうやら誰一人勝ち馬を撮影した者はいなかったようだ。

5月6日
Schwarzgold - Rennen Gruppe II

もう一つの重賞であるディアナ・トライアルのSchwarzgold-Rennenも全く別の意味で酷いレースだった。スタートと同時にポンとハナに立ったスボリッチ鞍上のScatinaが、他馬が牽制する中ピタッとスローテンポに落とし込み、イライラするくらいの流れで直線入口まで引っ張る。こうなっては全くのスプリント戦で、人気のScoubidouはよく伸びてきて交わすかに見えたものの、並んだところでScatinaが貯金の脚を発揮し、粘り切ってゴール。スボリッチ、してやったりのレースで、ディアナ本番の参考には全くならない。2200mのタイムも2:24,31で、その直前の3歳未勝利戦がいくら面子が揃っていたとはいえ、2:19,51出ているのと比較すると如何にダラダラしたレースだったかがよく分かる。Samum産駒のScatinaはディアナに登録がなくイタリア・オークスに向かうらしいが、そっちの方が益々合わない気がする。ディアナ本番はMi Emmaが出てこない限りScoubidouが変わらず本命となるだろう。

因みにその3歳未勝利戦は、ラオ厩舎期待の1頭First Stormが順当に勝ち、ダービー候補として名乗りを挙げた。この馬は時間をかけて見ていったほうが面白いかもしれない。

May 02, 2007

Shrek、狙いはイタリアダービー

フランクフルト競馬場にもプレス許可証の申請を出してみたが返事なく、今日直接事務局で直談判してみたが、馬用損害保険に入ってないのでダメとのこと。もっともな話だが、つまりケルンやデュッセルドルフがゆるゆるってことなんだよな。コースの外で撮るのは考えてみたら凱旋門賞以来で、久しぶりに柵にもたれて撮るとなんだかうまくいかない。それゆえあれこれ試行錯誤の上、思い切って200mmに2倍のエクステンダーを付けてスタンドから撮ってみた。デジカメの場合実際にはその1.6倍だから640mmになるので、ブレないように追いかけるのはかなりきつかったし、エクステンダーのせいかオートフォーカスの反応が若干遅く、結局ちょっとシャープさに欠ける写真になってしまった。ちと悔しい。

5月1日フランクフルト
Frühjahrspreis des Bankhaus Metzler Gruppe III

さて、2000ギニーを外し、直接ダービーを視野に入れた馬たちによる2000m重賞戦は、絶好調のペトロサ鞍上Shrekが1本被りの期待に応えて勝利した。この馬、パドックでは毎度嘶くほど落ち着きのない子供であるが、それゆえにこそまだまだ隠れた力は計り知れない。レースではAllanitが引っ張る淀みないペースで4番手に折り合い、2番手から直線で先に抜け出し粘りこみを図るAxxosを、確実な末脚でゴール前きっちり捉えた。Shrekはこれでイタリアダービーに向かうことになる。今日のフランクフルトは砂煙もあがるパンパンの良馬場だったし、軽い馬場が予想される本番へのステップとしては最適なレースだった。この馬は、大抵馬場が重いハンブルクより、ローマのほうが確実に合っている。

一方絶不調に喘ぐシールゲンとシュタルケだが、2着に粘ったAxxosのレースは決して悪くなかった。直線での走りには安定した力強さがあり、軽い馬場ゆえに最後の切れでShrekに敗れたものの、これがやや重くらいであったなら、もしかしたら粘り切っていたかもしれない。その走りっぷりは見るからにMonsun産駒で、ハンブルクで本領を発揮するタイプと思われる。叩かれ良化タイプでもあり、この馬がシールゲンのダービー候補となりそうだ。

3歳未勝利2000m戦では、シュレンダーハーン牧場のSommersturmが素晴らしい切れ味でデビュー戦を快勝した。この馬も良馬場向きだろう。ダービーより2000m路線での活躍が期待できそう。

ミュールハイムでも3歳準重賞のダービートライアル(2200m)があり、ホーファー厩舎のFirst Streamが勝利。これまであと一歩勝ちきれなかったが、本格化の気配を感じる。Lomitas産駒であり距離伸びて更に良くなるだろう。ミュンヘンのBavarian Classic(Gr.III、2000m)かUnion-Rennen(Gr.II、2200m)経由でダービーに向かうことになる。人気はShrek同様ヴェーラー厩舎のPrinzが集めていたが、最後方からの競馬で最後は鋭く伸びてきたものの3着。明らかに位置取りで負けてしまった。Paoliniの全弟であるこの馬も潜在力はかなりある。叩かれ2戦目で一気に名乗りを挙げてもおかしくないだろう。

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