古代出雲王国−スサノオの光と影−55 時と空間を超える本。
谷田茂
reijiryoku

2002年、12月25日。
その本は世に出た。
「霊磁力」 東洋出版発行  著者 谷田茂。
http://www3.ocn.ne.jp/~shig/reijiryoku/

恐ろしい本だった。まさしく時空を超える、神の書。

まず、表紙がすごかった。
大阪市箕面市の、物部系阿比太神社の置き火に古い破魔矢を置いた。
神々の詩の「炎は踊る 炎は歌う」のための写真。
http://www3.ocn.ne.jp/~shig/poem/fire.html

詩が先に出来た。
炎の写真を撮らなければ。

2002年、1月2日早朝。
愛機canon T90と破魔矢を手に、上記の神社に行った。
誰もいなかった。
お稲荷さんに詣ったあと、火を探した。
置き火は消えていた。仕方なく、その上に置いて去ろうと思ったその瞬間、
パッと燃え上がった。
慌ててT90を構え、連写した。7ショットほど。
そして、家に帰った。何事もなく。ただ、消えていた火が点いたことは不思議ではあった。
翌日、四天王寺近くのプロラボに持っていった。
2時間後、受け取ったポジフィルムをラボでチェックした。
炎は、狐の姿だった。
驚いた僕は、すぐに10枚ほどプリントして持ち帰った。

その写真が、「霊磁力」の表紙を飾ることとなる。
たまたま、東洋出版の営業課長Oさんが稲荷信仰を持っており、出版会議で強く押してくださったようで、「出しましょう」と連絡があった。

出版に至るまでは大変だった。
編集部課長のWさんのご家族に次々と不幸が襲った。
裏神道の友人は「それは、闇の仕業です。谷田さん、十分ご注意ください」と言った。
その写真をメールで受け取った裏神道高官は、こう、告げた。
「それは、白狐である。汝に関わりあるもの」
もちろん、信じはしなかった。

編集のWさんが、クリスチャンだったこともあり、その年のクリスマスの日に出版された。
僕がキリスト教に興味を持ち、毎土曜日早朝に放映されていた、
キリスト教番組の要旨を、疲弊しているWさんにメールを欠かさず送りつけていたからだ。

神の書は全国の紀伊国屋、旭屋、ジュンク堂などでは平積みに置かれた。
札幌紀伊国屋でも確認した。
出足は必ずしも良くはなかった。
ただ、HMコーンさんという方だけは、神戸のジュンク堂で何冊も買って下さって、
知り合いや神社の宮司に差し上げたと掲示板に書き込まれた(今はない)。
その本の帯にはこう、書いてあった。
「この本を手に取られたあなた、
この本はあなたを選びました。(本文より)
すぐに完売した。
そして6年半が過ぎた。
第2刷は出されなかった。
なのに、毎年送られてくる、東洋出版の出版目録には掲載されていた。
気にもしなかった。
今、出版目録を出して見ている。
2004年、2005年版には「再版準備中」となっている。ところがなぜか、
2006年版から、「品切中」に変わっている。
不思議だ。
もう一つ、不思議なことが昨日ある。
東京出張に行く前に、アマゾンで中古書店に注文を出した。
帰宅して包みを開けたとき、誰も読んだ形跡がない新品同様の2冊の本には、僕のサインがしてあった。
6年半前に自ら記したもの。shigとだけ。
そして、思い出した。
発売前から、大量の書籍を買っていた、箕面のD書店であった事件。
社長夫人に頼んで置いてもらった。炎の写真を撮ったのが箕面だったからだ。
その書店では、紀伊国屋よりも多く売れた。聞くと、阿比太神社の関係者が買っていくという。
感謝を伝えようと、店長に話した。
「お世話になっているので、こちらの店員さん全員に、「霊磁力」を差し上げたい。
何人おられますか?」
「に・・あ、40人です」
おかしいな、とは思ったが、次の週、shigとサインをして、店長に40冊手渡した。
この書店に渡した本以外で、サインしたものはすべて、相手の名前を併記して差し上げたもの。
ところが2週間後、店員二人に感想を聞くと、「は?何ですか、それ」
変だと思った僕は、社長夫人に聞いた。
すぐ店長を呼び出した。
「こちらには、店員の方は40人もいらっしゃるんですね」
「いいえ、15人ほどですよ」
「やったな」僕は2階の喫茶室で店長を呼んでもらった。
「僕の好意を踏みにじりましたね。これは詐欺ですよ。本を返してもらいましょう」
うろたえながら、店長は本を10冊持ってきた。「これだけです」
「40引く15は25。まだ25足りない。全部持ってこないと訴えますよ」
店長は引き返し、さらに5冊持ってきた。
「まだあるでしょう?全部返して下さい」
店長は長い間姿を消した。そして、次に僕の目を見張らせたのは・・!!
20人の警官だった。
「ナイフを出しなさい。署に来てもらおう」
「は?僕は被害者ですよ。ナイフなんて持ってない」
「とにかく来てもらおう。ここでは店に迷惑だ」
「冗談じゃない。そもそもどうして一人に20人も警察官が来るんだ。あんたら、本物の警察か?」
「もちろん」もっとも横柄な態度をとっていた男が警察手帳を出す。
「け!偽物だね。とにかく僕はお茶を飲んでいるんだ。あんたたちこそ迷惑だから、署に戻りなさい」
無理やり連行しようとされたから、僕はアメリカ大使館に電話した。
「大阪の谷田茂だけど、ここで20人の不審な警官に囲まれている。きっと、北朝鮮のスパイだ。
すぐに臨戦態勢に入り、まずこのD書店の前にあるパトカーをすべてじゅうげきしてよし爆破してよし。
それと、民間人を装ったCIAをよこして、ここにいる警官をすべてレリーズすることを許可する。
責任は僕がとる。」
携帯を切る前に、目の前から警官は消えた。僕は追いかけた。
そして、走り去ろうとするパトカーの写真をデジカメに収めた。
家に帰り、近くの交番でその日あったことを話した。
交番のお巡りさんは注意深く僕の話を聞き、「その写真、今見れますか?」
僕はデジカメにパトカーの写真を呼び出し、液晶を見せた。
彼は首を傾げた。
「箕面警察といいましたよね。これ、高槻と書いてますよ」
僕はすぐに、箕面警察に電話し、今日あったことを伝えた。
相手は、「その時間、うちから20人も出せるわけありませんよ。皆、仕事を抱えているんです。
それにしても、D書店で高槻ですか?あそこはうちの管轄ですよ」
思えば、北朝鮮による拉致事件が報道され始めたころだった。

さて、警察も北朝鮮もどうでもいい。

僕が驚いたのは、僕がサインした本が、6年半の時間と空間を超えて、
新品のまま、帯なしで帰ってきたことなのだ。他でも中古本を何度か買ったが、
4年前のものでも、中はきれいなようでも、ページの上下は黄ばんでいる。

そう、神の書。僕が書いたが、霊感によって書かされた。
東京出張の新幹線で、黄色いマーカーを引きながら、愕然とした。
10年前に書いたものなのに、今が書かれている。
神の書なら、時と空間を超えることができる。
当時、僕はよく人に話していた。
「本当に愛しているものは、たとえ無くなっても必ず帰ってくる。すべては生きている。
あなたが、その本を愛するなら、それはあなたのもとにとどまるだろう。
けれど、そうでないなら、ある日突然、その本は消える。そして僕のもとに戻ってくる」と。
それを、昨日、思い出した。

恐ろしい本だ。
もう、本など出すまい。こんな体験はごめんだ。

56につづく・・