志賀高原ネイチャだより

1年を通じた志賀高原の魅力をお届けします。

2008年11月

食糧難

54523d4f.jpg昨日スポーツハイムの玄関に、地元の知人からいただいた手作りの「干し柿」をつるしておきました。
スタッフ達とおやつにでもしようかと楽しみにしていたのです。

もしかすると鳥達がつつくかなと思い、かなり軒の奥につるしておいたのですが、今朝見てみると、

「まさか、嘘でしょう!」

全部で20個以上あった干し柿は、たった一つを残して綺麗に持ち去られていました。

朝方からの雪で、足跡も消えてしまい、推測でしかないのですが、おそらく毎日ハイムの周辺に足跡を残している、狐か狸の仕業だと思います。

それにしても、一番低いところでも私の胸ぐらいの高さですから、130・40センチくらいはあったはずです。

彼らの跳躍力に驚くと同時に、それほど臭いも強くない干し柿を一発で見つけるほど、やはり森は食料が少なくなっているのだと、改めて思い知らされました。


食料自給率40パーセントのわが国で、国民一人当たり年間170キロの残飯を出す現実と、この自然界の現実に、言いようの無い矛盾を感じた朝でした。


(もしかしたら、真犯人は彼らではないかも知れません。そうだとしたらとんだ濡れ衣ですね。ゴメンナサイ、狐さん、狸さん。
まさか、ツキノワグマじゃないよね〜 ・・・    エーッ!)

快晴

cf98c37c.jpg久しぶりに朝から雲ひとつ無い快晴になりました。

奥志賀は一面に雪がありますので、さすがに小春日和という言葉はあてはまらない感じですが、日差しがあるところでは、暖かく感じます。

スポーツハイム周辺の針葉樹たちは綿帽子を被り、綺麗な巨大ツリーになっています。

この時期、巷では電飾されたクリスマスツリーが賑やかなことと思います。

そんな街の賑やかさとはほとんど無縁な私ですが、毎年無限にある森のツリーを見て、一つ一つがはっきりと個性を主張してくれる彼らに感動しています。

謎だらけ

54e5dcea.jpgこの情報欄でも何度か取り上げていて、話題豊富でありながら謎だらけの蝶「アサギマダラ」を見つけました。

スポーツハイムの軒下に、まるで夏の状態そのままの状態で、いくつもの死体がありました。
まるで標本のように、今にも飛び出しそうな鮮やかで完全な形でビックリしました。

アダギマダラは体内に毒性を持っていて、他の動物達に狙われないといわれています。

そんな理由から、こんな完全な状態で残っているのでしょうか。


それにしても、何千キロも渡ってやってきた彼らの最後の目的地が、ここ奥志賀で良かったのだろうか、何かの理由で、目的なかばで命を落としたのではないかと、考え出したら、夏に見る以上にいとおしく思えてきました。

夜空のビーナス

bb0d870f.jpg日没が早くなり、夕方の夜空を見上げるチャンスも多い時期です。

この秋は、日没直後の「一番星」で、西の空に一際明るく輝く星があり、

「あの星は何?」

と思われた方も多いことと思います。

さらに今はその明るい星のすぐ上に、もう一つこれまた明るく輝く星があります。

ご存知「宵の明星」の「金星」です。

金星は太陽と月を除くと、全天で最も明るく輝く星で、マイナス4等星以上になり、条件が整えば昼間でも確認できるほどの惑星です。

その美しさは、洋の東西を問わず古の人々も魅了したようで、何と名前は美の女神「ビーナス」です。

私たち地球とは「兄弟星」とも呼ばれるほどの惑星ですが、その“美の女神”の素顔は、全天が濃硫酸の雲に覆われ、二酸化炭素の大気は90気圧、気温500度という、私たちには想像もつかない過酷な条件です。


やはりここでも私には
「美しいものには迂闊に近寄ってはならない」
という教訓が身にしみるのです。


ちなみにすぐ上の明るい星は、天空神ジュピターの「木星」です。

動物達だって・・・

1dfa2564.jpg登山道や、遊歩道では頻繁に動物のサインを見つけることが出来ます。運がよければ直接彼らの姿を見ることもあります。

勿論私は、彼らの気持ちを聞いたわけではありませんが、単に移動をしているときなどは、彼らも出来るだけ歩きやすい場所を選んでいるようです。

人間の気配が無いときは、藪の中を歩くより、登山道の方が歩きやすいはずです。

朝方、一面に雪が積もった奥志賀の道路の轍に沿って、延々と狐の足跡がありました。

昨日までの積雪が30センチほどになり、狐にとってはおそらく脚全体がうまってしまい、移動には厳しい“ラッセル”をしなければならないほどです。

そんな時、うまく見つけた車の轍は、とても快適な道だったことでしょう。

昨日の夜半から今朝にかけての出来事だったと思いますが、轍に沿ってトボトボと歩く狐の姿を思い浮かべたら、カメラを構えながら、ふと口元が緩んできました。

氷り始め

0195756e.jpg志賀高原に多数ある湖沼の結氷が始まりました。

池の大きさや、深さ、水の動き具合によって、氷り始めるタイミングは様々ですが、ここのところ続く冷え込みで、多くの池は結氷が始まり、湖面が見えなくなり始めました。

これで池も半年間の眠りに入りました。

私たちがまたあの水面を見られるのは来年の5月です。

3回降ると

63cea20b.jpg全国各地には様々な季節の風物詩が伝わっています。

冬の入り口の、初霜、初氷、初雪などについても沢山の語り継がれた伝承があるようです。

それらの多くは、科学的にも「なるほど」というものも多く、古から日本人の自然観察感の鋭さを思う瞬間でもあります。


そんな中の一つで

「○○に3回雪が降ると、里も初雪になる」

というものは、ほぼ全国的にあるようです。


写真はその一つ、志賀高原の麓の山で、地元では「高井富士」とも呼ばれ、住民にはランドマーク的な山「高社山」です。

この山も、地元の人の間では

「高社山に3回雪が降ると、初雪になる」

といわれている山で、私も子供の頃から、そう言い聞かされていた山です。


今回4日前からの寒気の襲来は、11月にしては記録的な厳しさだったようで、特に西日本では、それら各地の指標の山が一度も白くならずに、初雪になったようです。

勿論「高社山」もそうで、里と一緒に初雪が来ました。


さて、今年は一体どんな冬になるのでしょうか。



前線到来

f528461c.jpg朝方は雲ひとつ無いほどの好天でしたが、昼前に前線が通過した奥志賀は、西高東低の冬型になり、また雪が舞い始めました。

昼少し前、高台から西の方角をみると、まるで教科書に載るような前線の雲が迫っていました。

定規で引いたような、その几帳面な雲の線は、この後後数時間でスッポリ志賀高原の山を飲み込んでいきました。

貴重な食料

27fbc04e.jpg今年は夏から秋への気候のめぐりが順調で、私の実感としては、森は実りの良い年でした。
ここ数年の中では、動物達にとっても食料は恵まれていた年だったように思います。

それでも、さすがにこれだけ雪が降って、地上が全て雪の覆われてくると、彼らにはは厳しい季節の始まりです。

つい半月ほど前までは、葉が落ちた枝に、真っ赤な実を沢山つけていたナナカマドも、気がつくと写真のようになってしまっています。

ナナカマドの実を食べられるのは、ほぼ鳥の仲間達ですが、彼らにとっては貴重な食料なのでしょう。

しし座流星群

cff9c13f.jpg今日はあの「しし座流星群」の極大日です。

しし座流星群というと、2001年のあの“流星雨”を思い出す方も多い事と思いますが、今回はそれほどの発生は期待できそうにありません。
おまけに月が出ているため、観測にもあまり恵まれてはいないようです。

それでも、天文ファンにとってしし座流星群は、はずすことの出来ない初冬の天体ショーの一つです。

残念ながら奥志賀は、昼前までは写真のような素晴らしい青空だったのですが、昼過ぎからは、空一面が厚い雲に覆われて、今晩は星空は望めそうにありません。

流星群は、もうしばらくは続きますので、次回の晴れに期待したいところです。

小春日和

9b2cf58d.jpg昨晩から良く晴れた志賀高原は、夜明け前は強烈に冷え込み、水溜りは全て氷がはり、草の上は霜で真っ白になりました。

朝から太陽が出た分、日中は日差しで気温もあがり、久しぶりに10度を越すほどになりました。

ここのところ、まさに冬を実感するような天気ばかりでしたので、久しぶりの小春日和に、気持ちも幾分穏やかになります。

それでも、そんな穏やかさは束の間で、昼過ぎから前線が通過し冷たい雨が降り出しました。

この雨もまた雪になるでしょうか。

山眠る その2

455f6701.jpg積もった雪はある種の吸音材になるため、雪がタップリ降った時の朝なども特にそうですが、この時期気温が下がり、霧にすっぽりと覆われた朝は、音が全く無くなり、山全ての動きが止まってしまったかのような錯覚に陥ります。

どういうわけかそういった朝は、小鳥の声も聞こえなく、あのカラスでさえ姿を見せません。

まるで森の生物全てが示し合わせてジッとしているようです。

まさに山眠る瞬間です。

山眠る

b23779b8.jpg俳句の世界で「山眠る」は冬の季語です。

落葉樹の葉が落葉しきってしまい、小鳥達のさえずりもほとんど聞かれなくなってしまった今、生き物の気配がなかなか感じられず、まさに奥志賀も“山眠る”感じです。

春の新緑から、秋の紅葉まで生き生きとその息吹を感じさせてくれていた生物界も、こうして冬の間は、また新たな息吹のための重要な休養期間なのかも知れません。

ただ、志賀高原全体は、スキー場として、山そのものに入る人の数は冬が一番で、その意味では冬の山が最も賑やかな時期なのかも知れません。

里に下りた紅葉

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 ♪世界の車窓から♪

志賀高原はすっかり初冬のたたずまいになり、紅葉は完全に里山に下りていきました。

長野県内は、周囲の山を見上げるとどこも紅葉が素晴らしく、車や電車の窓から眺めているだけで、充分に紅葉が楽しめる季節になりました。

あの素晴らしい紅葉を充分に堪能した私にとっては、特に気にもとめないでいましたが、新幹線の後ろの座席から聞こえてきた

「紅葉綺麗ですね!」

の言葉にハッとさせられました。


音も無く、でも確実に

ff97e992.jpg今日は二十四節季の「立冬」です。

暦どおり、北からの寒冷前線が強烈な寒気を運んできたようです。

奥志賀も昼過ぎから急激に気温が下がり、一気に霧に包まれました。

こんなときは、視界も無く、音も無く、山や森全体が動きを止めて、仮死状態のように感じます。

ジッとしていると足元はジンジンと冷えてくるし、頬はピリピリして、まさに冬の空気の洗礼を受けています。

冬は、足音も立てずにやってきて、すっかり私たちの頭上をスッポリと覆ってしまったようです。

北アルプスの冠雪

e8b121d0.jpg日中良く晴れた志賀高原からは、北アルプスの真っ白に雪をかぶった稜線が眩しいほどに輝いて見えます。

この時期、北アルプスの雪で興味深いのは、まるで定規で線を引いたかのように北から南に向って、雪の線が上がっていくことです。

白馬周辺は、八方尾根を中心に山裾まで真っ白ですが、穂高連峰辺りはおおよそ3000メートルくらいの高さまでしか白くありませんん。
(写真ではわかりづらいと思いますが)

これをみても、いかに立山、後立山周辺の雪が多いかということが理解できます。

また雪降り

859335b5.jpgひょっとしたら今年はこのまま冬になっていくのかと思うほど、今週は雪が降っています。

標高の高いところでは、最初に降った雪がこのまま根雪になるのではないかというほど、下から見上げても真っ白な山肌です。

例年11月に入っても、信じられないような小春日和な日が何回かあるのですが、今年はこの後どうなるでしょうか。

雪のついた道

5d70e4d7.jpg先月末から、続けて二回降った雪は、ここ数日の低温傾向で、標高の高いところや沢筋、日陰などはなかなか融けずに、かなりの量が残っています。

さすがにアスファルトの自動車道は融けて、今は乾燥路になっていますが、遊歩道や登山道は、白く積雪があります。

半年振りに雪の感触を確かめならが歩いています。

そんな道を注意深く観察していると、狐、カモシカなどの足跡を発見します。

数時間前に歩いたであろう彼らの姿を想像すると、何となく微笑ましくなってきます。

秋の空

e038289c.jpg良く晴れて秋の青空が広がりました。

乾燥した空気で、空が一段と高く感じられます。

こんな空を見ていると、それまであれこれと悩んでいたことも、多少のことは気にならないほど、気持ちまで晴々としてきます。

晩秋と初冬の空気が混沌と交じり合う奥志賀の空気です。

星降る夜

b7df8063.jpg夕方から晴わたり、今は満点の星空になった奥志賀です。

頭上を見上げると、一瞬ドキッとするくらいの、まさに満点の星で、今にも星がバラバラと音をたてて地上に落ちてくるのはないかと錯覚しそうです。

良く晴れた分、冷え込んでいます。
早々と氷点下になりました。
写真は見えにくいですが、奥志賀の温度計がマイナス2度をさしています。

真冬と違ってやや軽装で外に出てしまった体からは、熱がドンドンと奪われていくのがわかるほどです。

頬っぺたが、ピリピリするような張り詰めた空気の中、何と岩菅山の稜線の上には、もう既に、オリオンのあの勇士が燦然と輝いているではないですか。

冬の扉が押し開かれたのを実感した今夜です。

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