2015年08月11日
日本の文化・ニホンウナギをいかに守るか??
8月10日付けの「日本養殖新聞」に寄稿させていただきました。
(以下、日本養殖新聞より転載(承諾済み)。)
ウナギへの情愛に理解得る『ウナギ外交』
========
「好きな食べ物は?」と聞かれ、「ウナギ」と答える日本人は多いでしょう。
私も子どもの頃から、家族でうな丼を食べに行くと、親の分まで食べてしまうほど大好きでした。
今年は「土用丑の日」が7月24日、8月5日の二度ありました。
暑〜い夏を乗り切るには、何と言ってもウナギ。
皆さん、堪能されたと思います。日本食の代表、日本の文化そのものですね。
私の地元・愛知県西尾市の一色ウナギは、全国2位の養殖生産量を誇り、養鰻業者の数は全国一です。
一色では、ウナギの放流、ウナギ供養が地域ぐるみの伝統行事として根付いています。
それだけに「ウナギの未来」が気にかかるところ。
【ニホンウナギの危機】
ご存じのとおり、近年、ニホンウナギの稚魚の漁獲量は減少し、昨年6月、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されました。
来年9月24日から10月5日まで南アフリカで開かれるワシントン条約締約国会議(CITES)で、国際取引が制限されることが懸念されています。
日本人が食べるウナギは、多くが中国や台湾から輸入された加工品か、輸入した稚魚を日本で養殖したものです。
国際取引が制限されれば、価格の高騰や養殖産業の影響が避けられません。
国際会議への議案の提出期限は、150日前の来年4月27日であり、締約国の3分の2以上の賛成があると可決されます。
現時点では、付属書1(すべての商業取引禁止)または付属書2(取引制限)へのニホンウナギの掲載を求める議案提出の動きはないようですが、予断を許しません。
【政府の取り組み】
日本政府も対策に乗り出し、内水面漁業振興法により養鰻業を届け出制とし(今年6月には許可制に移行)、池入れ量と仕入先の報告が義務付けられました。
また、昨年9月には、中国・韓国・台湾と行う「ウナギの国際的資源保護・管理に係る非公式協議」で自主規制に合意し、日本では11月から今年5月の期間に養殖池に入れる稚魚の上限量を前期より2割少ない21.6トンに制限しました。
さらに、今年2月からは資源管理に関する法的拘束力のある枠組みについて議論を始め、年内合意を目指しています。
従来の水産資源の国際管理の枠組みは、漁獲制限が中心であり、養殖量と貿易量の制限もあわせた取り組みは前例がありません。画期的なことだと思います。
【ウナギ文化の未来】
ウナギの生態は謎めいており、親ウナギがマリアナ諸島沖で産卵し、稚魚は黒潮に乗って東アジア沿岸部にたどり着くと言われています。
ですからウナギの減少には、乱獲だけでなく、海流の変動なども関係しており、「非公式協議」の宮原正典議長(農水省顧問)も、国際的取組みにより稚魚の来遊量が確実に戻るかどうかまだ分からないと述べています。
そんな中でウナギ資源を守るためには、ウナギが生息しづらいコンクリート護岸で固められた河川環境の改善も進めたい。
また、5年後の完全養殖の実用化を目指す水産総合研究センターでの研究も進めたい。
そして何と言っても、ウナギは自然から授かった日本人の宝物です。
ウナギ蒲焼きが国民食として、こんなに尊ばれている国は他にありません。
ウナギが世界に誇る「和食文化」そのものであることも国際世論にアピールしなければなりません。
国際世論を動かすのは、私たち国会議員の仕事です。
各国大使館とウナギランチを開きながら、蒲焼きの美味しさと、日本人のウナギへの情愛に理解を得る「ウナギ外交」を展開していきます。
ニホンウナギの資源回復の具体的成果を出していくだけでなく、国際社会において「ウナギ文化」を人類の共有財産としての地位に高めていきたいと考えています。
(以下、日本養殖新聞より転載(承諾済み)。)
ウナギへの情愛に理解得る『ウナギ外交』
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「好きな食べ物は?」と聞かれ、「ウナギ」と答える日本人は多いでしょう。
私も子どもの頃から、家族でうな丼を食べに行くと、親の分まで食べてしまうほど大好きでした。
今年は「土用丑の日」が7月24日、8月5日の二度ありました。
暑〜い夏を乗り切るには、何と言ってもウナギ。
皆さん、堪能されたと思います。日本食の代表、日本の文化そのものですね。
私の地元・愛知県西尾市の一色ウナギは、全国2位の養殖生産量を誇り、養鰻業者の数は全国一です。
一色では、ウナギの放流、ウナギ供養が地域ぐるみの伝統行事として根付いています。
それだけに「ウナギの未来」が気にかかるところ。
【ニホンウナギの危機】
ご存じのとおり、近年、ニホンウナギの稚魚の漁獲量は減少し、昨年6月、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されました。
来年9月24日から10月5日まで南アフリカで開かれるワシントン条約締約国会議(CITES)で、国際取引が制限されることが懸念されています。
日本人が食べるウナギは、多くが中国や台湾から輸入された加工品か、輸入した稚魚を日本で養殖したものです。
国際取引が制限されれば、価格の高騰や養殖産業の影響が避けられません。
国際会議への議案の提出期限は、150日前の来年4月27日であり、締約国の3分の2以上の賛成があると可決されます。
現時点では、付属書1(すべての商業取引禁止)または付属書2(取引制限)へのニホンウナギの掲載を求める議案提出の動きはないようですが、予断を許しません。
【政府の取り組み】
日本政府も対策に乗り出し、内水面漁業振興法により養鰻業を届け出制とし(今年6月には許可制に移行)、池入れ量と仕入先の報告が義務付けられました。
また、昨年9月には、中国・韓国・台湾と行う「ウナギの国際的資源保護・管理に係る非公式協議」で自主規制に合意し、日本では11月から今年5月の期間に養殖池に入れる稚魚の上限量を前期より2割少ない21.6トンに制限しました。
さらに、今年2月からは資源管理に関する法的拘束力のある枠組みについて議論を始め、年内合意を目指しています。
従来の水産資源の国際管理の枠組みは、漁獲制限が中心であり、養殖量と貿易量の制限もあわせた取り組みは前例がありません。画期的なことだと思います。
【ウナギ文化の未来】
ウナギの生態は謎めいており、親ウナギがマリアナ諸島沖で産卵し、稚魚は黒潮に乗って東アジア沿岸部にたどり着くと言われています。
ですからウナギの減少には、乱獲だけでなく、海流の変動なども関係しており、「非公式協議」の宮原正典議長(農水省顧問)も、国際的取組みにより稚魚の来遊量が確実に戻るかどうかまだ分からないと述べています。
そんな中でウナギ資源を守るためには、ウナギが生息しづらいコンクリート護岸で固められた河川環境の改善も進めたい。
また、5年後の完全養殖の実用化を目指す水産総合研究センターでの研究も進めたい。
そして何と言っても、ウナギは自然から授かった日本人の宝物です。
ウナギ蒲焼きが国民食として、こんなに尊ばれている国は他にありません。
ウナギが世界に誇る「和食文化」そのものであることも国際世論にアピールしなければなりません。
国際世論を動かすのは、私たち国会議員の仕事です。
各国大使館とウナギランチを開きながら、蒲焼きの美味しさと、日本人のウナギへの情愛に理解を得る「ウナギ外交」を展開していきます。
ニホンウナギの資源回復の具体的成果を出していくだけでなく、国際社会において「ウナギ文化」を人類の共有財産としての地位に高めていきたいと考えています。
shigetoku2 at 13:46│Comments(0)│TrackBack(0)│