2016年09月13日

水問題

【しきち】
バンガロールに動揺が走った。隣州との水利問題が抗議行動に発展し、多くの企業や商店が半ば強制的にシャッターを下ろしたのが先週の金曜。週末をはさんだ昨日の夕方からは、一部の暴徒がタイヤを燃やしたり車に投石する等の行動に出て、外資系を含む多くの企業は急きょ、社員の安全確保に追われた。

しきちのオフィスも昨日は4時ごろから帰宅して良いことになった。本日(火曜)はもともとイスラム教の祝日で出勤していないのだが、過激派の暴挙を防止するため、いくつかの地区では州政府により外出禁止令が発動されたこともあり、市内は渋滞なく静かな様子。TVのニュースで暴挙の様子が流れたため人々の不安が募ったようではあったが、本日の昼段階ではデマに煽られず落ち着いて行動することを声高に呼びかけている。写真はバンガロール市警察がリツイートした「市内は特に混乱なし、市バスも運行を始めつつある。噂にまどわされないように」というツイッターの書き込みや、祝日を祝うムスリムが例年どおり祈りを捧げている写真。

現代の生活で、停電よりも困るのが断水ではないだろうか。出勤前にシャンプーをしていたらシャワーの勢いが急に弱まり、やがて止まってしまった時のパニックといったらない。また、料理が途中で出来なくなったり、食器が洗えなくなったりするのにも参る。ズボラしきちでさえ、洗髪前にはある程度の湯をバケツに溜めるようにしているし、常時数リットルの飲み水は確保しているくらいだ。しきちのアパートでは30分程度を超える断水はまだ起こっていないのが救いである。

バンガロールでは上水はすべて各家庭の屋上になるタンクに補充されるのだが、タンクへの補給は給水車頼みの家庭がほとんどだ。共同で屋外の水場を使う家庭も少なくない。蛇口をひねれば水が出て来ることが奇跡とも思える。ダムはあるが急激な人口増加に追い付かず、水不足はいつも深刻である。そのため地域を流れるカヴェリ川の利権が重大事であり論争が何年も続いているのだ。一部暴徒の燃やしたタイヤの消火に水を使うのだから本末転倒も甚だしく、悲しくなる。せめて、無駄を省いた生活をしようと思う。  

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2016年08月22日

バスの車内にて

バスの中で【しきち】
何度も書いていることではあるが、しきちは忘れ物・なくし物がひどい。今までに失くした財布は片手で数え切れず、傘は両手でも数え切れない。携帯電話も2年に1度のペースで失くしている。

意外にも、バンガロールでは失くしたものが発見されている頻度が日本よりも高い。バスの中で「アンタ、財布落としてるよ」と指摘された時は本当にありがたかった。言われなかったら絶対にそのまま降りていただろう。落とした携帯電話は通行人が警察に届けてくれたし、置き忘れた傘は翌日まで店に保管されていた。

昨日のことである。しきちが乗り換えたバスに、見覚えのある女性が乗ってきた。乗り換える前のバスでも一緒だった乗客だ。特に顔見知りのわけではないが、妊婦さんなのか太り気味なのか分からない点で記憶に残っていた。

バンドバッグとピンクの手提げかばんを持って、何となく重そうである。向かいの席の女性が席を少し詰めて、手提げかばんを置くスペースを作ってあげた。

車内が少し空いてきたころ、その女性は降りる様子で前の方に動いている。あれっ、ピンクの手提げかばんはどうしたんだろう・・・と思い、しきちは女性の腕を軽くつついて「あのバッグはあなたのじゃないの?」と指摘してみた。女性はあれっと言うように眉を上げ、ピンクのかばんを手にとると、サッサと降車していった。

お礼を言われる必要もないけど「イエス、そのとおり」とだけでも言ってもいいんじゃないのかなぁと少々残念ではあったものの、いつもは自分が指摘される忘れ物を指摘する側になり、ちょっと恩返ししたような気分である。

今日乗ったバスでは、乗客と車掌がお釣りのやり取りでケンカになっていた。バンガロールの市バスでは、小銭のお釣りが慢性的に不足しているのと金銭授受の時間を短縮するために、お釣りは後で受け渡されることが多い。切符の裏にお釣りの金額が3とか80とか書かれるので、降車前に請求するという仕組みだ。しきちはすっかり忘れて降りてしまったこともあるし、1ルピーならおまけしてもらうこともある。バスやオートでは少額紙幣と小銭をあらかじめ準備しておくのが良いだろう。
  
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2016年08月17日

配車アプリ その2

https://www.olacabs.com/
【しきち】
前回・8月15日の画像は、メールで送られてくる「レシート」の一部。この日は20劼らいの距離を相乗りで利用し、約380円。左の画像は、別の配車アプリ「OLA」の公式サイトより、車を呼ぶ画面のイメージだ。「付近に3台車がいて、到着まで所要2分」と教えてくれている。

非常に便利な配車アプリだが「一人では不安なので使わない」「運転手と二人きりになるのが怖い」という声もある。首都デリーでタクシー乗客の女性が暴行された事件の影響も少なからずあるだろう。

しきちも、5分ほど居眠りした間に遠回りの道を通られたことがあり腹が立ったことがある。こんな場合はアプリの「フィードバック」機能から「遠回りをされた」という項目を選んでメールすると返金が受けられる。運転手の都合で配車キャンセルになった場合のキャンセル料も同じく還付される。

如何ともしがたいのが、金曜の夜や大晦日の夜、大雨の日などに車がつかまりにくいことだ。最高級の車種を選んでも「付近に空車無し」となり、ぼんやりとスマホを覗き込みながら待つことになる。しきちも30分待ちの憂き目にあったことがあり、しかもやっと来てくれたドライバーに「僕の家と反対方向だからなぁ・・・途中までじゃだめかな」と言われて弱り切ったこともある。「途中まででもいいよ、タクシーが客待ちしてるところがあるから」と提案したのだが、気の毒に思ってくれたのか、結局家まで連れて帰ってくれた。また、自分の現在位置がうまく伝えきれず、5分で来るはずの車と30分会えずに往生したこともあった。

思えばUBERが無いころは、シティタクシーなるものを半日や4時間といった単位で借りていた。遅くとも前日までに予約が必要なので、飲みに行って夜遅く帰る際などには使いにくい。深夜のオートリクシャは安全とは言えず人には勧めないのだが、やむなく使うことも少なくなかった。足回りの事情が悪いのを誰もが知っていて、一緒に飲みに行った人同士で必ず「今日、車が無い人は?」と確認しあって帰りの算段を付けるのが常だった。自分用の車を持たないしきちにはありがたかった。

とはいえ実は流しで捕まえられるオートリクシャが便利だと思っているしきち。このところ、配車アプリに客を取られたオートはマナーが改善しているように感じられるのはしきちのひいき目かもしれないが。

https://www.olacabs.com/  
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2016年08月15日

配車アプリ その1

UBER【しきち】
スマホでタクシーを呼べる配車アプリ。UBERやOLAが一般的で、しきちもここ2年ほど、UBERのお世話になっている。デリーの地下鉄とともに、インドで暮らす外国人の足回りを画期的に向上させた配車アプリは、今や市民の生活に欠かせないと言っても過言ではない。

日本ではタクシー会社の配車に限って使われているそうであるが、当地ではアプリを立ち上げると付近にいるUBER契約車が地図上に表示されるので、目的地を入力して「呼ぶ」というボタンを押すとのこのこやってきてくれる。ドライバーはフロントガラスに設置したスマホ上の地図に乗客の入力した目的地までの道順が表示され、ナビゲーションシステムが音声案内もしてくれるので道に不案内でも営業できる。このためか、地方から来たばかりの英語を話さないドライバーも少なくはないのだが、何しろ目的地まではナビが案内してくれるから、利用者も特に道順を説明する必要はなく、その点はオートリクシャよりも楽である。

駐在員の奥様であるN子さんも、基本的に会社支給の車を使用できるとはいえ、旦那さんと別行動の時などUBERを活用している。そんなN子さんが「今日、UBERで家から来たんだけど、途中で知らない女の子が乗り込んできたわ。思わずにらんじゃった」と話し出した。

「それはN子さんが相乗り設定にしたからだと思いますよ」と間髪を入れずに独身のY子ちゃんが指摘する。配車アプリは「7人乗りミニバン」「セダン」「ハッチバック」など、車種を特定できるようになっており、同様に「相乗り」という選択肢を選ぶとおよそ3割から5割引で利用できる代わりに、同じ方向に行く同乗者とのシェアになるのだ。

「え!そんな設定があるの?!」と言いつつスマホを覗き込む二人。果たしてY子ちゃんの言うとおりで「どおりで最近料金が安いと思ってたのよね」とN子さん。急いでいない時はお勧めですよー、とヘビーユーザーのY子ちゃん。彼女らに刺激され、しきちも積極的に相乗りを使うようになった。反対側車線を通行していた車が20代の空港へ向かうらしき青年を乗せてしきちをピックアップするためUターン。そして途中でしきちの目的地へと寄り道をしてくれたのだが、青年も運転手も終始無言。Y子ちゃんも「そうそう。乗客同士は常に無言で、話しかけられたことって一度も無いです」とのこと。首都圏の通勤列車なみのマナーが確立されているらしく、面白い。

N子さんににらまれた女の子も、何事だろうかと疑問に思ったかもしれないが、黙ってスマホをいじっていたそうであった。
(その2は8月17日に更新予定)  
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2016年07月10日

マトンビリヤニ

【しきち】
昨年12月に通達のあったカルナタカ州の銀行休業日は7月6日であったが、ちゃんと星印がついて暫定となっていた。これはムスリムの一番大事なラマダン明けの大祭が太陽暦ではないから。果たして、断食の終焉は6日ではなく7日となり、5日の夜の終業後に「祝日が動いたので、明日は営業日になった」と連絡網。文句も言わずにすべての職員が揃うのはすごい。祝日変動は例年1度はあるので、こちらもあまり驚かず、日中の予定も入れないようにしていたもの。

そんな風に迎えた七夕の祝日。昼すぎに旧知の友人から連絡があった。「シキチ、今からビリヤニ持って行くから」。ムスリムの友人が、毎年自宅で大量に作ったビリヤニをお裾分けしてくれるのだ。

デリバリーしてもらったマトンビリヤニは、まだほんのりと温かい。骨からハラリとはずれる赤身のマトンはお肉のいい味が出ており、少し残ったゼリー状の骨髄は指で骨からはずして忘れずに食べる。ライタ(ヨーグルトサラダ)は玉ねぎやきゅうりだけではなく、ザクロの実とブドウまで入った豪華版。これに、フライドチキンとデザートまでセットされていた。

ビリヤニはゆうに3人分はあろうかというもの。三分の一は肉とご飯を分けて冷凍する。この、肉無しのビリヤニもクシュカと呼ばれる立派なメニューだ。

今年の七夕は、世界中のムスリムがごちそうを食べたのだろう。  
Posted by shiki_chin at 18:05Comments(3)TrackBack(0)インド料理

2016年07月05日

バンガロールへの機内

【しきち】
ロンドン・バンガロール間は、ブリティッシュエアが11時間程で直行している。駐在員一家とおぼしき外国人乗客が目立つが、過半数はインド人だ。幼児や乳児を連れた人々も多い。

元同居人アルンは仕事で2年間ロンドンに駐在した。そのうち1年半は妻と1歳のアルナブを帯同していた。二人がコルカタからロンドンにやってくる際には、彼はインドに一時帰国してエスコートした。妻のミトは「自分一人でアルナブの面倒をみながら長時間の国際フライトで海外に行くのは無理だ」と言ったに違いない。

バンガロールへ戻るフライトに搭乗したしきちは、自分の席まで来ると番号を手元の搭乗券で2度、確かめた。後ろから7列目の通路側を取ったつもりなのに、なぜか非常口の座席になっている。前は折り畳み式ベビーベッドがあるので、リュックを足元に置くことができない。これは誤算だ、きっと機体が変わってしまったのだろう。

案の定、シートベルトを着用する前に男性フライトアテンダント(以下CA)がやってきて、「お客様、こちらのフライトは機体が直前で変更したため、ベビーベッドのある席を取れなかった方が数名いらっしゃいます。赤ちゃん連れの方のために席を移っていただけませんか」と尋ねられた。しきちの隣の大柄なインド人男性(推定体重95kg)は「俺、シアトルから乗り継いだところで疲れてるから足が伸ばせる席がいいんだ、非常口の席ならどこへでも移るけど」言い、しきちは「いいですよ」と席を立った。乳児を抱いたインド人の女性と入れ替わりで移動した席の隣には5歳くらいの少女。どうやら、母一人子二人で帰省するところらしい。5分程すると、先ほどのCAがまたしきちに話しかけた。「先ほどの女性ですが、お隣の娘さんを一人にしておくのは不安だからやはり元の席に戻りたいとのことです。お手数ですが、もう一度移動していただけますか」と。いいですよと席を立つ。

元の席につくと、今度は大柄男性の逆側の女性が「夫と子どもが後ろの席に居て遠くて不便だ、あなたの席を夫と交換してもらえないか」という。どこの席かと立ちあがってきょろきょろしていると、先ほどのCAが「お客さまどうされました、え?いやいや、もうこれ以上お手数はおかけしません。こちらの席のままでどうぞ」ととりなしてくれた。

そういえばインドの国内線でも列車でも、席を変わってくれと言われることは非常に多い。通路側の席なのに真ん中の席と交換してほしいと言われることもあるし、気軽に応諾しているインド人もこれまた多い。しきちは自分のニーズに合わせて丁重に断ることも多いが、ダメ元精神とそれを受ける親切な人々には感心させられる。

そういえばアルンは、ロンドン郊外のアパートで、息子アルナブの声と足音がうるさいと隣人に苦情を言われたそうだ。「1歳半の子が泣いたり走ったりするのは当たり前じゃないか、信じられないよ」と言っていたので「東京では苦情の方が当たり前だよ」と返したが、インドでは同種の苦情は全く一般的ではないのだ。社会がいかに子どもに寛大であるかを考えさせられる。

(写真はスコットランド式の朝食。)
  
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2016年06月20日

老人紳士と卵

IMG_20160619_161300【しきち】
休暇を取り、英国に旅行に出ることになった。両親及び姉も一緒である。コースはロンドンから高速列車で北上してスコットランドへ至り、また別コースで南下して戻るというものだ。

しきちはバンガロールから英国航空で直行便を手配。家族とはホテルで集合である。朝7時のフライトは、インドに暮らす駐在員や出張者、そして様々な事情で欧州に住むインド人とその家族などで満席であった。しきちの隣は白髪のインド人紳士。

機内食が出た時、老紳士は「ベジタリアンです」と申告。インド系乗客の過半数はベジタリアンにつき、何の問題もなく菜食が配膳された。が、問題はその後だった。トレーには温かい食事のほかにパンとデザートも乗っていたのだが、紳士がキャビンアテンダントを呼び止めて質問。「これは何だい?」 はい?と聞き返す若い金髪女子アテンダント。どうやらインドアクセントに慣れていないようだ。二度聞き返した末に、やっと「ペイストリーです」と回答。しかし、紳士は終了しない。「卵が使われているのかね?」これも金髪CAには難解。え、何ですって、使われているか、何がですか、聞き取れないわ。。。しきちは頭越しの会話を聞きながらもどかしくてじだんだを踏む。ベジタリアンが多いインド人の質問なんだから、肉や卵を警戒しているのは当然で、状況からタマゴに決まってるじゃないか!

しかしながらしきちにも答えが分からないので、横やりを入れるのも憚られる。結局彼女は卵という単語には行き当たったものの、「えっと、原材料までは分かりません。すみません」といいのこして去って行き、しきちのじだんだは収まらない。が、さすがはインド紳士。慌てず騒がず、次に通りかかった三十代男性アテンダントを呼び止めた。

「これはエッグレスかね?」

即座に回答が返された。「エッグレス!」

その力強い即答にしきちは心の中で喝采し、紳士はペイストリー(クリームパイ)を完食したのだった。

(写真は翌朝のホテルにて)。  
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2016年06月05日

ファストフード

【しきち】
元同居人アルンが子どもの頃、当時のコルカタにはファストフードなるものは無かった。少なくとも、彼は見たことがなかった。どこかの店で買った炒め麺を親戚が手土産に持ってきたのが、麺を食した初めての体験で、鮮明に覚えているそそうだ。さらに彼が大学生の頃に、米国帰りの親戚が街中のドミノピザにアルン家族を連れて行き、それが初めての海外資本のファストフード体験だったそうである。その後米国で仕事をして戻ってきたら、職場の新卒の若い同僚らはファストフードばかり食べるようになっていた。

しきちが記憶する初めてのファストフードは、マクドナルドだった。当時住んでいた首都圏のA駅の前に、お店ができて母に釣れて行ってもらった。明るい店内、元気なお姉さん、おいしいハンバーガーに感動した。九州の祖母が遊びに来た時にも連れて行った。初めてハンバーガーを食べるという祖母の口元をしきちは固唾をのんで見守り、「美味しいね」という祖母の一言に姉と躍り上がったのだった。

バンガロールにもKFCやマクドナルド、ドミノピザ、サブウェイなどが複数の店舗を構える。普段口にすることは殆ど無いのだが、昨年バーガーキングが店舗をオープンした時には興奮して食べに行った。大人になってしきちが気に入っているファストフードのメニューは、Wendy'sのチリと、モスライスバーガーと、バーガーキングのワッパーなのだ。

インドのマクドナルドには牛肉のメニューは無く、ノンベジはチキンと魚だけなのだが、バーガーキングにはラムバーガーがある。赤身肉のミートパティを網焼きして、たっぷりの野菜と挟んでソースをかけたものはしきちの好きなワッパーそのもの。思わず顔がほころぶ。

パニプリやマサラプリ、たこ焼風のパドゥなどのインドおやつも立派なファストフード。それらと並べると、バーガーキングは、お値段10倍。気軽に食べられる庶民のおやつとは言い難いものの、多様化が激しいインド大都市では外国資本のファストフードも確実に市民権を得ているのである。  
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2016年06月03日

東京出張の同僚

【しきち】
同僚マニシュが、一週間の東京出張から戻ってきた。

「シキチサーン!オハヨゴザイマ〜ス!」と、満面の笑み。「おはよ。元気?出張、楽しかった?」と聞くと「Ah...?アリガトゴザイマース!」とのこと。

いわく、人々は親切だった。ベジタリアンという概念は無いと理解し、食事に苦労することは織り込んでいたが職場の人々がいろいろと気を遣ってくれた。渋谷も新宿も品川も行ってきた。この写真は渋谷の一角で静かな場所があったので撮ったものだ・・・。

出発前にメトロの路線図をダウンロードしたり、片言日本語を暗記したりしているマニシュにしきちが送った言葉は3つ。「誰かと一緒に食事をするたびに『なぜベジタリアンなのか』と質問され、同情すらされると思うが、気にしないようにね」「日本人が二人以上居る場合は、彼らはキミの前でも互いには必ず日本語で会話するので多少疎外感があるかと思う。これは日本人同士が英語で話すことに違和感があるためなので、内緒話がしたいわけではないのだ」「滞在中に、仲良くなった人から年齢を尋ねられることが多々あると思うが、答えても答えなくても構わないからね」

マニシュによると、年齢は尋ねられなかったそうだ。「俺、もしかして老けて見えるのかなぁ」と逆に聞かれてしまったので「そんなことないよ」と言っておいたが、余計な入れ知恵だったか。

酒が大好きなマニシュには「夜の六本木にも行っておいでよ」と言っておいたのだが、ちゃんと行ってきたらしい。「ロシア人っていかしてるな、俺、モスクワに仕事があれば収入が下がってでも行っちゃうかも」「ロシア人は別格だけど、東京の女の子たちもスゴイよ。きれいな子がいっぱいだ!」

いつもは1時半から昼食休憩を取っているマニシュだが、12時になると「腹が減っちゃったな。俺の胃袋はまだ日本時間だぜ。出張先の人たちとは、混雑を避けるために11時半からランチだったんだから。合理的だよなー、日本人は」と言い出したのは笑った。さらに6時には「おっと、日本ではもう9時半じゃないか!まだ時差ボケだから帰るよ、バーイ」と軽やかに去っていったマニシュであった。  
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2016年05月28日

路上では自己責任で (その2)

【しきち】
歩行者として、クラクションを鳴らされるのはまだ耳をふさげば何とかなるとして、命の危険を感じるのは道路の横断だ。バンガロールで歩行者と車の交通事故の原因の大きなものだろう。信号や歩道橋が少ない。そもそも、過去10年間で倍ほどにも人口が急増したバンガロールのインフラは、これほどの交通量を想定していなかったのだ。

職場からの帰りに、国道沿いで乗合バスから下車し、小走りで横断して帰宅したら翌日「頼むからやめてくれ。国道の交通量をなめてはいけない。同乗者に気兼ねせず、自分の家の前に乗りつけてくれ」と同僚に諭された。その後、200mくらい先に歩行者横断用地下通路を発見したのは朗報であった。

市内中心部のMGロードでは、両側にびっしりと商業施設などが建っており、ついつい渡りたくなるのだが、交通量も多く危険極まりない。行政も、事故防止のために歩行者を渡らせまいと歩道と車道の間に柵を設けたり、中央分離帯に高さをつけてハードルを上げたりしているため、さらに難易度と危険度が増している。信号機も多数設置されており、歩行者信号も一応あるのが救いだ。が、多くの歩行者信号は車両信号がすべて赤になっているタイミングで、10秒ほどの短い時間、全方向の歩行者信号を青にするシステムを取っている。この10秒を逃すと次のタイミングまで5分以上待たねばならない。しかも車は赤信号になるギリギリまで走行し、青になるのを待ちきれない車やバイクは数秒間のフライングは当たり前。つまり、歩行者には正味5秒ほどの時間しか割り当てられていないので、左右を見て安全確認を怠らない上でダッシュするという高度な技術が必要だ。自信がない場合は一旦中央分離帯でストップした方が良い。

先日、MGロード近くの三叉路を歩いて渡ろうとした。とりあえず中央分離帯で立ち止まったら、「早く早く!今なら渡れるよ!」と、信号待ちのバイクの兄さんが大声で教えてくれた。ぺこりと頭を下げ、無事に渡り切ったしきちであった。  
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