【しきち】アパート主導の計画停電はアプリで告知されるものの、それ以外にも停電はある。なぜか今年は去年よりもずっと停電が多い。
アパートには大型の発電機が備えられており、エレベータや共用廊下、集会所などには停電があっても発電機の電気が供給される。マンションによっては各戸にも電気が配給されるようだが、しきちのアパートにはそのサービスはなく、住民はそれぞれ家庭用の非常電源を購入して使うようである。
携帯電話の電池がなくなってしまったしきちは、発電機のある管理棟に赴いて電源を借りたことがあった。その際「ここにノートパソコンを持ち込んで仕事ができるな」とひらめいた。それ以来、停電してインターネットが使えなくなるとリュックにパソコンと携帯電話を入れて管理棟に行くようになった。
管理棟の発電機ルームには電気技師と水道技師が常駐している。写真の後ろ姿は、しきちのパソコン(右端)用に延長コードを設置してくれている電気技師。ちょっとコンセントを貸してくれと言って座り込んだ図々しい住民に「そこのテーブル使っていいよ」とオファーするばかりか、こんな気遣いまで。ありがたい。
ここを使う大きなメリットは、復旧したら即座に帰宅できることだ。デメリットは、停電中はディーゼルの発電機が稼働しているのでモーター音が大きいこと。電話の際はこの部屋の外に出ないと会話にならない。外に出るとマスクをしていても日焼けするので、日焼け止めと帽子が欠かせない。
1時半になると技師たちは昼食を取る。持参したお弁当を広げるのである。しきちは自宅でランチを済ませているのだが、同じテーブルの端を使わせてもらっているので、邪魔をして申し訳ない気分になる。そして、チラリと横目で、おいしそうなお弁当を盗み見るのである。