【しきち】14日間の自主隔離期間は、自らが感染源となるのを防ぐために、公共交通機関に乗ることはできず、人と会うこともできなかったのだが、この管理方法が面白い。検疫所がスマホアプリで、入国者の所在を確認するのである。
海外在住の方には釈迦に説法であるが、記録のためにこのアプリについて書いておく。
入国者は、成田など日本の空港に到着するとMySOSという専用アプリを各自のスマホにダウンロードする。スマホを持っていない人は自己負担でレンタルが必要だ。係官は我々一人ひとりのスマホを手に取り、すばやい指さばきで設定を確認して「はいOKです」と言う。しきちは小学生の時の「ハンカチ・爪検査」を思い出した。爪をきちんと切っているか、ハンカチを携行しているかを先生にチェックしてもらう。今思うと、先生も大変である。
アプリは一日に2回、ランダムな時刻に「いますぐボタンを押してください」と自動メッセージを送ってくる。ボタンを押すだけが1回、自分の顔と背景を15秒間ビデオ録画するのが1回。無視し続けると係官から連絡があるようで、悪質な場合には名前が公表されるらしい。しきちは小学生の時の連絡網を思い出した。電話連絡がいつあるか分からない。連絡網が回ってきた時に電話に出られなかったら、前後の人に迷惑がかかる。重大なペナルティがあるわけではないが、一刻も早く次の人に電話せねば・・と焦る。今思うと、メールやLINEが無い時代は面倒だった。
しきちはアプリの連絡を逃さないようにトイレや風呂にもスマホを持ち込んだり、業務上の電話や会議もなるべく早く切り上げたりするようになり、家族に呆れられた。14日間が無事に終了した時の心からの解放感!日本人の真面目な一面を上手にくすぐる、心憎い制度だと思う。