北海道・富良野を舞台にした黒板五郎の家族の絆を描いた「北の国から」は、′02に完結したが、脚本家・倉本聡の中では、五郎や蛍・純の物語は続いている。五郎は現在77歳。富良野に住みまだ働いている。五郎は全くブレていない。便利なことを豊かさと考える世の中とは無関係な生活をずっと続けている。「貧幸」今我々にいちばん大事なのはお金を稼ぐための知識より、生き延びていく知恵だと思う。五郎の生き方にはそのヒントがあると氏はいう。純も蛍も根本では五郎の哲学を分かっているので、新しいものに飛び付きながらも何処かで自制心が働いている。蛍は福島で震災に遭って夫を亡くし、今は看護師としてボランティア活動をしながら避難所で暮らしている。純は埼玉でゴミ収集の仕事をしていたが被災地に駆け付け瓦礫の処理に当たる。続けて氏は、僕の中で物語は常に日記として進行しているので、いつ注文が来ても「北の国から」は書けると。実はトナカイは連続ドラマの時にはあまりドラマに共感を得られなかった。しかしスペシャル版初恋・帰郷になってから感情移入する
ようになった。自分もこどもができたが、五郎のような哲学がないことに虚しさを感じている。震災の後だからこそブレない五郎の生きざまをみたいと思う。